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序章
幕間 残された隊員達
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ディランは、ベノワのことを一時的に意識外に追いやり、小型珪素生命体の撃破に集中する。
事この状況に至るまでに、実弾兵器は既に打ち尽くし、光学兵器も連続使用と珪素生命体との接触による衝撃によって、いくつかは破損している。連続使用による、一時的な使用不可、それを含めればさらに増える。
複数機で一体へと火線を集中させ、どうにか小型の撃破に成功する。
そして、今ここにいる誰もが同じだが、更に輪をかけて理解の及ばない事態に撒き込まれている新人と、無鉄砲な隊長へと意識を戻す。
そこでは、新人の乗る機体を、自分の機体で無理やり弾き飛ばした隊長機の姿があった。
無事だと安心したのもつかの間、すぐに球状に配置されたガラス状物質の中央から、各種センサーに異常値が報告される。
そして、モニター越しに、弾き飛ばし影響範囲外らしき場所に移動した新人と、隊長の機体が飲み込まれていくのが映るのを、ディランはただ眺める。
球体の大きさは、僅か数メートルほど。
そこに七二メートルのコーンが飲み込まれていく。
目に映る事態があまりに現実感がなく、茫然としてしまう。頭の片隅では、追いかけるべきだというディランの本心と、次席指揮官としてこの後があると理性が盛大に喧嘩をしていることもあり、動けない。動くために必要な意思が、定まらない。
そして、逡巡の間に、まるでそこには何もなかったかのように。
妙な歪みが消える、隊長機と共に。
謎の球上構造物は、変わらずにそこに残っている。
ただ、直前まで回転していたガラス状の物質の動きが止まっている。各種センサーから警告が出ていた、異常も既に存在しない。球面を回るように動いていた結晶は、すでに動きを止めている。ただコーンの外部に取り付けられた光源、今はそれに照らされるだけだ。
押し出されたベノワは、無事に残っているようだが。
「隊長機へ連絡!」
「エラー。シグナルロスト。双方向通信可能な範囲に確認できません。」
ディランは軽い眩暈を覚えた。普段の設定とは多き異なる補助AIの挙動。それが今となってはただディランに非現実、それを突き付ける道具になっている。
「音声ファイルを作成。隊長、無事ですか!メッセージが届けば、すぐに現状報告を!」
彼は作成したファイルをすぐに転送させる。
「エラー。ファイル転送先との接続の確立に失敗しました。
規程に従い、天野弘忠中尉並びに搭乗機SAG160-14-000012Bを作戦行動中行方不明と定義。
次席指揮官ディラン・メイフィールド軍曹へと戦闘隊の指揮権を委譲。」
無機質に響くエラーメッセージを聞き、ディランは自分の背筋が急激に冷えるのを感じた。他の隊員たちも、周囲の調査を停止させ、ただこの宙域を漂っている。指揮権を得たディランは、更に詳細な他の人員の情報も手に入る。
どれもこれも、見たいものではないが、見ざるを得ない。既に指揮権はディランの手元にある。
まるで背中に氷の塊を当てられたようだ。ディランはそんなことを考えた。
「搭乗者のストレスレベル急上昇。
トランキライザーを投与。」
身体への荷重を抑えるために満たされた溶液の中、呼吸を行うためにつけているマスクの中に薬剤が噴霧される。
吸い込めば、止まりかけていた彼の思考が動き出す。
これまで、あの気のいい年下の友人である上司、それには随分と助けられたのだ。ならば、それに返すべきものが有る。そう考え、改めて深く呼吸をする。階級が自分より高い物に対しても、彼は今から指示を出さなければいけない。
「天野弘忠中尉は現時点でMIA認定、私ディラン・メイフィールドが指揮を引き継ぐ。
全機、撤退行動を一時中断、稼働しているセンサー全てを使い、周辺宙域を探査。
調査時間は一〇分。それまでに得られた成果の如何に関わらず撤退を再開。」
ディランはそう告げながら、指揮権の引継ぎとともに開示された、これまでの自分の知らない作戦記録を確認する。
射手座方面軍への各種報告が定期的に行われていたため、現状の報告を指揮官用のコードを使い送信する。
もしも天野が未だに健在であれば、あと数分もしたら連絡がきたであろう。
その時間経過を見てディランは考える。
方面軍は隊長への連絡を試みて連絡が取れないとしたら、次に彼らはどういった行動をとるだろうか。
非常時と考え、要請通りに増援を派遣するのか。
手遅れと考え、より広範な事態に対応するために時間を使うのか。
「ディラン軍曹!MIAとはどういうことですか!
現状、珪素生命体もいないのですから、このまま方面軍の増援を待ちつつ周辺を捜索しないのですか!」
想像が悪い方向へと傾きかけたディランを、リディアの声が引き戻す。
ディランは少尉ではなく、自分が次席指揮官になった理由がこれかと納得する。
相変わらず、部下を見る目がある人間だ。そして、自分がこの状況にも対応できる、そう思われていることが、一段と心を冷え込ませる。
「リディア少尉。貴官等元第二班が、これまで安全圏とされていた宙域で襲撃された以上、すでにこの場も安全ではない。
我々は、人的損失を最も避けなければいけない。このことは、貴官も入隊時に教えられているはずだ。軍紀第二条一項。思い出せないなら、直ちにそれを参照するといい。
また、情報を共有しているとはいえ、時間差がある。増援が実際にいつ来るのか、共同できるのはいつか、それも分からない。加えて、実際に襲撃に対応した我々の意見も、今後求められる機会があるだろう。
故に方面軍との合流こそが、現状最優先となる。わかるな?」
嫌われ者役は性に合わない。ディランはため息を飲み込みながら、自分の考えとは異なる見解を、つらつらと述べる。
これも指揮官の仕事だと無理やり割り切って。
「見捨てろと?直前の命令は全員での帰還であったはずですが?」
「それは貴官の解釈が間違っている。
中尉は不可能にならなければ、と宣言していた。
現状我々の機体は、相応の被害を受け、センサー系も完全ではない。
そんな状態で、このどこまでも広い宇宙空間で人一人。機体一つを探すと?
それを不可能といわずして、何というのかね。」
ディランが告げれば、歯ぎしりの音が聞こえる。
リディア少尉が代表していているだけで、他の隊員も同じ気持ちでいるのだろう。
ディラン自身もそうなのだから。
ディランは考える。自分であればどうであったろうか。
恐らく、あっさり天野の命令を無視して、自分の望む行動をとろうとするだろう。そして、彼も恐らく許す。班を分け柔軟さを残したうえで。ただ、ディランには現状そこまでの権限はない。
あくまで今持っている指揮権は臨時であり、限定的な物に過ぎない。
そして他の班員がそうしないだけ、自分よりも優秀な軍人なのだなと、妙な感心をしてしまう。
「他の者も、指示は理解したな。
どれだけ不満があろうが構わん。飲み込め。そして従え。」
ディランはそのまま言葉を続ける。
「この地点へ確実に戻れるように、帰還時にビーコン、あのわけのわからないボールの監視モニターを配置。
方面軍と合流。修理、補給が終わり次第。ここに戻ってくる。空き時間で。より高性能な探索用の装備を分捕ってだ。
いいか、このまま探索を続けるのは意味がない。ならば意味がある状況で戻ってくる。当然だろう。」
言葉を続けるうちに、ディラン自身徐々に熱が入っていくのを感じる。
彼とて、全員での帰還を諦めたわけではないのだ。
そして、彼らはそのまま調べられるだけ周囲を徹底的に調べあげ、決めた時間が訪れると同時にその場を後にする。
後には変わらず浮かぶ謎の球上構造物と、それを監視するためのモニターだけを残して。
事この状況に至るまでに、実弾兵器は既に打ち尽くし、光学兵器も連続使用と珪素生命体との接触による衝撃によって、いくつかは破損している。連続使用による、一時的な使用不可、それを含めればさらに増える。
複数機で一体へと火線を集中させ、どうにか小型の撃破に成功する。
そして、今ここにいる誰もが同じだが、更に輪をかけて理解の及ばない事態に撒き込まれている新人と、無鉄砲な隊長へと意識を戻す。
そこでは、新人の乗る機体を、自分の機体で無理やり弾き飛ばした隊長機の姿があった。
無事だと安心したのもつかの間、すぐに球状に配置されたガラス状物質の中央から、各種センサーに異常値が報告される。
そして、モニター越しに、弾き飛ばし影響範囲外らしき場所に移動した新人と、隊長の機体が飲み込まれていくのが映るのを、ディランはただ眺める。
球体の大きさは、僅か数メートルほど。
そこに七二メートルのコーンが飲み込まれていく。
目に映る事態があまりに現実感がなく、茫然としてしまう。頭の片隅では、追いかけるべきだというディランの本心と、次席指揮官としてこの後があると理性が盛大に喧嘩をしていることもあり、動けない。動くために必要な意思が、定まらない。
そして、逡巡の間に、まるでそこには何もなかったかのように。
妙な歪みが消える、隊長機と共に。
謎の球上構造物は、変わらずにそこに残っている。
ただ、直前まで回転していたガラス状の物質の動きが止まっている。各種センサーから警告が出ていた、異常も既に存在しない。球面を回るように動いていた結晶は、すでに動きを止めている。ただコーンの外部に取り付けられた光源、今はそれに照らされるだけだ。
押し出されたベノワは、無事に残っているようだが。
「隊長機へ連絡!」
「エラー。シグナルロスト。双方向通信可能な範囲に確認できません。」
ディランは軽い眩暈を覚えた。普段の設定とは多き異なる補助AIの挙動。それが今となってはただディランに非現実、それを突き付ける道具になっている。
「音声ファイルを作成。隊長、無事ですか!メッセージが届けば、すぐに現状報告を!」
彼は作成したファイルをすぐに転送させる。
「エラー。ファイル転送先との接続の確立に失敗しました。
規程に従い、天野弘忠中尉並びに搭乗機SAG160-14-000012Bを作戦行動中行方不明と定義。
次席指揮官ディラン・メイフィールド軍曹へと戦闘隊の指揮権を委譲。」
無機質に響くエラーメッセージを聞き、ディランは自分の背筋が急激に冷えるのを感じた。他の隊員たちも、周囲の調査を停止させ、ただこの宙域を漂っている。指揮権を得たディランは、更に詳細な他の人員の情報も手に入る。
どれもこれも、見たいものではないが、見ざるを得ない。既に指揮権はディランの手元にある。
まるで背中に氷の塊を当てられたようだ。ディランはそんなことを考えた。
「搭乗者のストレスレベル急上昇。
トランキライザーを投与。」
身体への荷重を抑えるために満たされた溶液の中、呼吸を行うためにつけているマスクの中に薬剤が噴霧される。
吸い込めば、止まりかけていた彼の思考が動き出す。
これまで、あの気のいい年下の友人である上司、それには随分と助けられたのだ。ならば、それに返すべきものが有る。そう考え、改めて深く呼吸をする。階級が自分より高い物に対しても、彼は今から指示を出さなければいけない。
「天野弘忠中尉は現時点でMIA認定、私ディラン・メイフィールドが指揮を引き継ぐ。
全機、撤退行動を一時中断、稼働しているセンサー全てを使い、周辺宙域を探査。
調査時間は一〇分。それまでに得られた成果の如何に関わらず撤退を再開。」
ディランはそう告げながら、指揮権の引継ぎとともに開示された、これまでの自分の知らない作戦記録を確認する。
射手座方面軍への各種報告が定期的に行われていたため、現状の報告を指揮官用のコードを使い送信する。
もしも天野が未だに健在であれば、あと数分もしたら連絡がきたであろう。
その時間経過を見てディランは考える。
方面軍は隊長への連絡を試みて連絡が取れないとしたら、次に彼らはどういった行動をとるだろうか。
非常時と考え、要請通りに増援を派遣するのか。
手遅れと考え、より広範な事態に対応するために時間を使うのか。
「ディラン軍曹!MIAとはどういうことですか!
現状、珪素生命体もいないのですから、このまま方面軍の増援を待ちつつ周辺を捜索しないのですか!」
想像が悪い方向へと傾きかけたディランを、リディアの声が引き戻す。
ディランは少尉ではなく、自分が次席指揮官になった理由がこれかと納得する。
相変わらず、部下を見る目がある人間だ。そして、自分がこの状況にも対応できる、そう思われていることが、一段と心を冷え込ませる。
「リディア少尉。貴官等元第二班が、これまで安全圏とされていた宙域で襲撃された以上、すでにこの場も安全ではない。
我々は、人的損失を最も避けなければいけない。このことは、貴官も入隊時に教えられているはずだ。軍紀第二条一項。思い出せないなら、直ちにそれを参照するといい。
また、情報を共有しているとはいえ、時間差がある。増援が実際にいつ来るのか、共同できるのはいつか、それも分からない。加えて、実際に襲撃に対応した我々の意見も、今後求められる機会があるだろう。
故に方面軍との合流こそが、現状最優先となる。わかるな?」
嫌われ者役は性に合わない。ディランはため息を飲み込みながら、自分の考えとは異なる見解を、つらつらと述べる。
これも指揮官の仕事だと無理やり割り切って。
「見捨てろと?直前の命令は全員での帰還であったはずですが?」
「それは貴官の解釈が間違っている。
中尉は不可能にならなければ、と宣言していた。
現状我々の機体は、相応の被害を受け、センサー系も完全ではない。
そんな状態で、このどこまでも広い宇宙空間で人一人。機体一つを探すと?
それを不可能といわずして、何というのかね。」
ディランが告げれば、歯ぎしりの音が聞こえる。
リディア少尉が代表していているだけで、他の隊員も同じ気持ちでいるのだろう。
ディラン自身もそうなのだから。
ディランは考える。自分であればどうであったろうか。
恐らく、あっさり天野の命令を無視して、自分の望む行動をとろうとするだろう。そして、彼も恐らく許す。班を分け柔軟さを残したうえで。ただ、ディランには現状そこまでの権限はない。
あくまで今持っている指揮権は臨時であり、限定的な物に過ぎない。
そして他の班員がそうしないだけ、自分よりも優秀な軍人なのだなと、妙な感心をしてしまう。
「他の者も、指示は理解したな。
どれだけ不満があろうが構わん。飲み込め。そして従え。」
ディランはそのまま言葉を続ける。
「この地点へ確実に戻れるように、帰還時にビーコン、あのわけのわからないボールの監視モニターを配置。
方面軍と合流。修理、補給が終わり次第。ここに戻ってくる。空き時間で。より高性能な探索用の装備を分捕ってだ。
いいか、このまま探索を続けるのは意味がない。ならば意味がある状況で戻ってくる。当然だろう。」
言葉を続けるうちに、ディラン自身徐々に熱が入っていくのを感じる。
彼とて、全員での帰還を諦めたわけではないのだ。
そして、彼らはそのまま調べられるだけ周囲を徹底的に調べあげ、決めた時間が訪れると同時にその場を後にする。
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