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35章 流れに揺蕩う
秋の暮れ
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「話がそれてしまいましたが、オユキさんはあれを一応使える様にと言う事ですね」
「あの、他国の王族ですので」
「だからこそ、あれとしか言いようがないのですが」
「性根が甘えているとか、でしょうか」
「いえ、過剰に卑屈です」
勿論、才はありませんがと。トモエは、評価を付け加える事を忘れない。
「巫女というのは、才覚の種類が違うのでしょうか」
「他を知りませんので、難しいところですね。アイリスさんにしても、確かに身体的な能力には恵まれているのですが、種族由来と考える事の出来る範囲ですし」
「身の回りの比較対象だと、イリアさん、ですか」
「イリアさんが全力でといいますか、技を見た事が無いので」
イリアにしても、己の身体能力に自信を持っており、それを使う事が当然と考えている様子がある。トモエとしても、それが正解だとしか言えない。基礎能力が十分すぎる程、それならば技を磨くというよりも、人に合わせて考えられた技術を身に付けるよりもその方が色々とはやい。それでも、武の道に己を置く事を見出したアイリスがやはり特殊なのだ。
殊更アイリスが持ち上げたから、もしくはハヤトなる人物がそれでもと腐心して作り変えた。各自に合わせて伝えた事、それが功を奏したのだろう。一時は得た、彼の技に対する評価というのも。
「そもそも、獣人の方は作りが違うとでもいえばいいのでしょうか」
「ああ」
「見た目にそぐわぬ力、それが働くことが多いので、少し教える内容を変えなければならないのですよね」
「トモエさんは」
「正直に言えば、私の中にもそうした力があるようには思うのですが、どうにも」
トモエも、実のところオユキの事を笑っていられるような状態ではないのだ。オユキ程明確に、露骨に実害が出ているわけではない。そもそも、体を整えようと思えば大量に肉を胃の腑に納めれば、それだけでどうにでもなるようなでたらめな体。後は、こうしてオユキと夜の時間でしっかりと互いを確認すれば、それだけで心も満ちる。要は、肉体的にも、精神的にもそれだけで、肉の大量消費の場に関しては、オユキが決して踏み入れる事は出来ないのだが、クレドとアイリス、時にはイリアも交えて行う場でもあり寂しさを感じることも無ければオユキのほうでも種族差として理解をしている。
ただ、それにしても、トモエははっきりと自覚が出来るのだ。己の内に、扱いきれていない力があるのだと。
オユキは、トモエが炎に関心を示したときにかつてにはなかった、物語の中だけにしか存在しなかった魔術、魔法、そうした物に心惹かれているのだとそう感じたのだろう。だが、実際には何かもっと違う形。己の内にある力、使っていない、使い方の分からない力、それがあるのだと理解が出来る。どのように使うのか、どうすれば力が使えるのか、ただただそれを考える必要が、流派としてすべての力を把握して用いるのだとそれがある以上は。
「精霊に近いとなると、アイリスさんに聞くのが良いかとは思いますが」
「既に尋ねていますが、祖霊に聞くしかないとなかなかに身も蓋も無いといいますか」
オユキが、トモエに預ける体重を少し増して。
「祖霊、ですか。獅子で構わないと言う事であれば、いつぞやに」
「どう、なのでしょうか。こう、少し難しいのですよね。祖霊というものがどのような物かわかっていないのですが、例えばオユキさんはすっかりとセツナ様に気を許していますから」
「ああ」
そう、トモエは以前出会った、というよりもテトラポダからの者達を退けるために降ろした祖霊、それを見てもオユキ程の明確な何かを感じなかった。
「どう、言えばいいのでしょうか。己が連なる、係累、というよりも近しい人物だと、同族なのだなと。理屈ではなく、感覚でといいましょうか。ああ、成程、血縁に対して感じる物とはこのような物なのだと」
「それでセシリアさんの事を、オユキさんは早々に納得していたわけですね」
「それだけと言う訳でもありませんが、その、前にルーリエラさんが早々にセシリアさんに混ざっている物を気が付いたこともありまして」
「ただ、そうなると私は」
「いえ、最初はセシリアさんも懐疑的であったかと」
そのあたりは、オユキにしても詳細は分からない。それこそ、オユキは散々に弱っており、己が少しでも楽になる体力、体調の回復に必要な物を求めている処に、翼人種が攫ってきたのがセツナとクレドだ。見た目については争いの形跡などは見られなかったのだが、こちらに来た時の憔悴を、猜疑を思えば陸でも無い事があったのだと理解ぐらいはできるというものだ。要は、そうした流れがあったからこそ、オユキは己にとって必要な何かを持っている相手だと理解したのだろうと、そう考えている。それ以上の何かがと言われれば、また考えなければならないのだろうが。
「今後の事を思えば、もう一度としましょうか」
「オユキさん」
「いえ、流石にアイリスさんに頼んでとしますが」
「今後の事、というよりも色々とお願いしなければならないこともあるでしょうに」
「それこそ、誓願祭が近いので、そこでとしても」
オユキとしては、近々あるその機会に、王都で教会を借りる以上は、かなり大仰な事になる祭り。それこそ、巫女として習わねばならないことがあまりにも多いオユキ。今後の事を考えたときに、覚えておきたいと考えており、しかし教会に入る事は出来ないオユキである以上、人を借りなければならない。それこそ、前回のように戦と武技からエリーザ助祭をと話してはいるのだが闘技大会に加えて今年の誓願祭ではオユキが事前に場所を借りるつもりだと。
以前領都で行ったときには、しっかりと神々を降ろしての事となった。
今回も、そうした経緯を知らせなくとも、司祭がいる以上は間違いなく理解しているだろうが伝えた上で場を借りたいと頼んでいる。それもあって、戦と武技の教会は、闘技場に併設されているその場は今かなり忙しくしているらしい。日ごろから備えがないのかと言われればそれもまた違う。以前に訪れたときにも正装は行き届いており、質素な中にもきちんと飾りなどが行われていたものだ。ただ、これまではあまり縁が無かった祭りを大々的に行うのだとなれば、オユキが、戦と武技の巫女がいるのだと知られている以上はこちらもなかなかに準備を行う必要がある。
オユキとしては、実際にどこまでの事になるのかは想像できず。教会にもなかなかに足を運べていない現状では、どれほど忙しいのかも、正直正しく理解しているとは言えないのだが。
「そちらは、木々と狩猟に向かうのではありませんか」
トモエに言われて、オユキは数度目を瞬かせる。
「イリアさんはいよいよそちらですし、獣の特徴を持つ方々はその、肉食獣を祖とする方々は基本的には狩猟を行う特性を持っているわけですから」
「言われてみれば、そうですね。ですが、アイリスさんは」
「三狐神が言っていた通りなのでしょうね。元となっている流れを考えれば戦と武技に加えて、豊穣にもかかわりますし」
「そういえば、父と呼んでいましたか。その時にも聞こうと思って忘れていましたが、宇迦の、ええと、三狐神については今一つ記憶になく。それに、戦と武技にしても讃える聖名は異なっていますし」
「元になっている、それだけと言う事でしょう。月と安息にしてもいくつか混ざっているといいますか。それこそ、冬と眠りの髪にしても聖名がペルセフォネとあるのだとしても織物を喜ばれてもいましたから」
「難解な事ですね」
そうして、どこか疲れたようにため息をつくオユキに、トモエはいくつかの事柄を。三狐神、宇迦御霊神に関していくらかの話を。そして、こちらで、ここ暫くオユキが考えている酒造に関する事を行うというのならば、この神にしても稲の豊穣を願うときに度々祝詞に挙がる神でもあるため重要なのだと。
本人にしてみれば、その末にしてみれば、こちらでは五穀を司ると口にしているのだが、それでも元となった伝承に関してはより融通が利くはずだと。
「こちらで、水田、ですか」
「ウニルであればとも思いますが。オユキさんは、あちらに屋敷を、ファンタズマ子爵家というよりも、オユキさん自身が暮らす場として考えているでしょう」
「それは、その、トモエさんが」
「私は、構いませんよ」
オユキとしては、尚もトモエの趣味、小物であったり買い物の利便性、職人たちの割合を考えて。トモエの望む物が、トモエが欲しいと思えるものが多いだろう環境、それを考えて。
「ですが、オユキさんはこちらにそこまで長くとは考えていないでしょう。そうなったときに、後を任せるのだとして、エステール様とローレンツ卿、タルヤ様もかもしれませんが、シェリアさんにしても側にいる環境というのは心強い物でしょう」
レジス侯爵の事もありますからねと、そうしてトモエが笑う。実際にはトモエが、流れとしてはオユキが。外から見たときには、ファンタズマ子爵家が。未だに持て余している、レジス侯爵という名。流石に、終わりの時までには、オユキの考えている、神々から言われている期限の間では届きはしない。加護を含めて、それを言えばイマノルが早々に取り上げることもできる。ただただ勝利をもって、それを為すというのであれば。だが、現当主は、戦と武技の神にしてもそれを良しとしないだろう。
「考えるべき事、後に問題が無いようにと、それもまた難しいですね」
「以前は、オユキさんたちは揃ってとしましたが、問題は」
「流石に、あちらの世界ではそうした引継ぎというのはこちらほどの物ではありませんでしたし、いよいよ、後に任せた後にも私たちは相応に呼ばれましたから」
トモエさんも、知っているでしょうと。オユキは、やはり苦笑い。
創業期の中で、会社に残ったのはこちらではケレスだけ。そんな状況にしてどうにかなるほど甘くはない。これまでに培ってきた人脈、取引先とのやり取りや同じく引退したと対外的には表明していても相談役のような形で残っていた相手から。折に触れて連絡があり、その度に家を留守にしていたものだ。
仕事を、止めたというのに。
そして、こちらでは、そうしたことが出来なくなる。かつての世界の流れに身をゆだねる、それを行ったときにはもうこちらに関わる事は出来ないのだから。
「あの、他国の王族ですので」
「だからこそ、あれとしか言いようがないのですが」
「性根が甘えているとか、でしょうか」
「いえ、過剰に卑屈です」
勿論、才はありませんがと。トモエは、評価を付け加える事を忘れない。
「巫女というのは、才覚の種類が違うのでしょうか」
「他を知りませんので、難しいところですね。アイリスさんにしても、確かに身体的な能力には恵まれているのですが、種族由来と考える事の出来る範囲ですし」
「身の回りの比較対象だと、イリアさん、ですか」
「イリアさんが全力でといいますか、技を見た事が無いので」
イリアにしても、己の身体能力に自信を持っており、それを使う事が当然と考えている様子がある。トモエとしても、それが正解だとしか言えない。基礎能力が十分すぎる程、それならば技を磨くというよりも、人に合わせて考えられた技術を身に付けるよりもその方が色々とはやい。それでも、武の道に己を置く事を見出したアイリスがやはり特殊なのだ。
殊更アイリスが持ち上げたから、もしくはハヤトなる人物がそれでもと腐心して作り変えた。各自に合わせて伝えた事、それが功を奏したのだろう。一時は得た、彼の技に対する評価というのも。
「そもそも、獣人の方は作りが違うとでもいえばいいのでしょうか」
「ああ」
「見た目にそぐわぬ力、それが働くことが多いので、少し教える内容を変えなければならないのですよね」
「トモエさんは」
「正直に言えば、私の中にもそうした力があるようには思うのですが、どうにも」
トモエも、実のところオユキの事を笑っていられるような状態ではないのだ。オユキ程明確に、露骨に実害が出ているわけではない。そもそも、体を整えようと思えば大量に肉を胃の腑に納めれば、それだけでどうにでもなるようなでたらめな体。後は、こうしてオユキと夜の時間でしっかりと互いを確認すれば、それだけで心も満ちる。要は、肉体的にも、精神的にもそれだけで、肉の大量消費の場に関しては、オユキが決して踏み入れる事は出来ないのだが、クレドとアイリス、時にはイリアも交えて行う場でもあり寂しさを感じることも無ければオユキのほうでも種族差として理解をしている。
ただ、それにしても、トモエははっきりと自覚が出来るのだ。己の内に、扱いきれていない力があるのだと。
オユキは、トモエが炎に関心を示したときにかつてにはなかった、物語の中だけにしか存在しなかった魔術、魔法、そうした物に心惹かれているのだとそう感じたのだろう。だが、実際には何かもっと違う形。己の内にある力、使っていない、使い方の分からない力、それがあるのだと理解が出来る。どのように使うのか、どうすれば力が使えるのか、ただただそれを考える必要が、流派としてすべての力を把握して用いるのだとそれがある以上は。
「精霊に近いとなると、アイリスさんに聞くのが良いかとは思いますが」
「既に尋ねていますが、祖霊に聞くしかないとなかなかに身も蓋も無いといいますか」
オユキが、トモエに預ける体重を少し増して。
「祖霊、ですか。獅子で構わないと言う事であれば、いつぞやに」
「どう、なのでしょうか。こう、少し難しいのですよね。祖霊というものがどのような物かわかっていないのですが、例えばオユキさんはすっかりとセツナ様に気を許していますから」
「ああ」
そう、トモエは以前出会った、というよりもテトラポダからの者達を退けるために降ろした祖霊、それを見てもオユキ程の明確な何かを感じなかった。
「どう、言えばいいのでしょうか。己が連なる、係累、というよりも近しい人物だと、同族なのだなと。理屈ではなく、感覚でといいましょうか。ああ、成程、血縁に対して感じる物とはこのような物なのだと」
「それでセシリアさんの事を、オユキさんは早々に納得していたわけですね」
「それだけと言う訳でもありませんが、その、前にルーリエラさんが早々にセシリアさんに混ざっている物を気が付いたこともありまして」
「ただ、そうなると私は」
「いえ、最初はセシリアさんも懐疑的であったかと」
そのあたりは、オユキにしても詳細は分からない。それこそ、オユキは散々に弱っており、己が少しでも楽になる体力、体調の回復に必要な物を求めている処に、翼人種が攫ってきたのがセツナとクレドだ。見た目については争いの形跡などは見られなかったのだが、こちらに来た時の憔悴を、猜疑を思えば陸でも無い事があったのだと理解ぐらいはできるというものだ。要は、そうした流れがあったからこそ、オユキは己にとって必要な何かを持っている相手だと理解したのだろうと、そう考えている。それ以上の何かがと言われれば、また考えなければならないのだろうが。
「今後の事を思えば、もう一度としましょうか」
「オユキさん」
「いえ、流石にアイリスさんに頼んでとしますが」
「今後の事、というよりも色々とお願いしなければならないこともあるでしょうに」
「それこそ、誓願祭が近いので、そこでとしても」
オユキとしては、近々あるその機会に、王都で教会を借りる以上は、かなり大仰な事になる祭り。それこそ、巫女として習わねばならないことがあまりにも多いオユキ。今後の事を考えたときに、覚えておきたいと考えており、しかし教会に入る事は出来ないオユキである以上、人を借りなければならない。それこそ、前回のように戦と武技からエリーザ助祭をと話してはいるのだが闘技大会に加えて今年の誓願祭ではオユキが事前に場所を借りるつもりだと。
以前領都で行ったときには、しっかりと神々を降ろしての事となった。
今回も、そうした経緯を知らせなくとも、司祭がいる以上は間違いなく理解しているだろうが伝えた上で場を借りたいと頼んでいる。それもあって、戦と武技の教会は、闘技場に併設されているその場は今かなり忙しくしているらしい。日ごろから備えがないのかと言われればそれもまた違う。以前に訪れたときにも正装は行き届いており、質素な中にもきちんと飾りなどが行われていたものだ。ただ、これまではあまり縁が無かった祭りを大々的に行うのだとなれば、オユキが、戦と武技の巫女がいるのだと知られている以上はこちらもなかなかに準備を行う必要がある。
オユキとしては、実際にどこまでの事になるのかは想像できず。教会にもなかなかに足を運べていない現状では、どれほど忙しいのかも、正直正しく理解しているとは言えないのだが。
「そちらは、木々と狩猟に向かうのではありませんか」
トモエに言われて、オユキは数度目を瞬かせる。
「イリアさんはいよいよそちらですし、獣の特徴を持つ方々はその、肉食獣を祖とする方々は基本的には狩猟を行う特性を持っているわけですから」
「言われてみれば、そうですね。ですが、アイリスさんは」
「三狐神が言っていた通りなのでしょうね。元となっている流れを考えれば戦と武技に加えて、豊穣にもかかわりますし」
「そういえば、父と呼んでいましたか。その時にも聞こうと思って忘れていましたが、宇迦の、ええと、三狐神については今一つ記憶になく。それに、戦と武技にしても讃える聖名は異なっていますし」
「元になっている、それだけと言う事でしょう。月と安息にしてもいくつか混ざっているといいますか。それこそ、冬と眠りの髪にしても聖名がペルセフォネとあるのだとしても織物を喜ばれてもいましたから」
「難解な事ですね」
そうして、どこか疲れたようにため息をつくオユキに、トモエはいくつかの事柄を。三狐神、宇迦御霊神に関していくらかの話を。そして、こちらで、ここ暫くオユキが考えている酒造に関する事を行うというのならば、この神にしても稲の豊穣を願うときに度々祝詞に挙がる神でもあるため重要なのだと。
本人にしてみれば、その末にしてみれば、こちらでは五穀を司ると口にしているのだが、それでも元となった伝承に関してはより融通が利くはずだと。
「こちらで、水田、ですか」
「ウニルであればとも思いますが。オユキさんは、あちらに屋敷を、ファンタズマ子爵家というよりも、オユキさん自身が暮らす場として考えているでしょう」
「それは、その、トモエさんが」
「私は、構いませんよ」
オユキとしては、尚もトモエの趣味、小物であったり買い物の利便性、職人たちの割合を考えて。トモエの望む物が、トモエが欲しいと思えるものが多いだろう環境、それを考えて。
「ですが、オユキさんはこちらにそこまで長くとは考えていないでしょう。そうなったときに、後を任せるのだとして、エステール様とローレンツ卿、タルヤ様もかもしれませんが、シェリアさんにしても側にいる環境というのは心強い物でしょう」
レジス侯爵の事もありますからねと、そうしてトモエが笑う。実際にはトモエが、流れとしてはオユキが。外から見たときには、ファンタズマ子爵家が。未だに持て余している、レジス侯爵という名。流石に、終わりの時までには、オユキの考えている、神々から言われている期限の間では届きはしない。加護を含めて、それを言えばイマノルが早々に取り上げることもできる。ただただ勝利をもって、それを為すというのであれば。だが、現当主は、戦と武技の神にしてもそれを良しとしないだろう。
「考えるべき事、後に問題が無いようにと、それもまた難しいですね」
「以前は、オユキさんたちは揃ってとしましたが、問題は」
「流石に、あちらの世界ではそうした引継ぎというのはこちらほどの物ではありませんでしたし、いよいよ、後に任せた後にも私たちは相応に呼ばれましたから」
トモエさんも、知っているでしょうと。オユキは、やはり苦笑い。
創業期の中で、会社に残ったのはこちらではケレスだけ。そんな状況にしてどうにかなるほど甘くはない。これまでに培ってきた人脈、取引先とのやり取りや同じく引退したと対外的には表明していても相談役のような形で残っていた相手から。折に触れて連絡があり、その度に家を留守にしていたものだ。
仕事を、止めたというのに。
そして、こちらでは、そうしたことが出来なくなる。かつての世界の流れに身をゆだねる、それを行ったときにはもうこちらに関わる事は出来ないのだから。
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