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35章 流れに揺蕩う
長々しき夜の
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侍女たちの連携なのだろうか。化粧の後に着替えも終わり。公爵夫人が、良しとしたかと思えば、当然のようにトモエが訪れてオユキの髪を衣装に合わせて結い上げた。それが終わり、簡単に身に着ける装飾に関して公爵夫人と侍女たちと相談をしたかと思えばトモエも勿論己の用意が残っているのだろう、早々にその場を辞去して。勿論合間に簡単に言葉を交わしているのだが、あくまで互いに見覚えのない衣装、それを身に着けた互いの伴侶をほめそやす程度。
そして、トモエの指示を受けた侍女たちが改めてオユキの化粧を直したり、いつの間に用意があったのかと首をかしげるばかりなのだが、新しい装飾品をオユキに身につけさせたりと。そうしていれば時間などすぐに過ぎ去るというもの。一応、用意されたもののうち、オユキからは以前に話に聞いていた互いの瞳の色を、それだけを口にはしたのだが。基本的に、どれも緋色の貴石がはめられたものばかり。戦と武技の巫女、その名が先に立つ以上は彼の神が示す色を装飾として入れないのはまた問題があるのだとか。
「それにしても、トモエさんはご存じだったのですね」
「拗ねないでください。とはいっても、オユキさんの茶会の用意が佳境に、二日前の夜に突然言われた事ですから」
「ああ、それでしたら確かに難しくもありますか」
「一応、言われた事を簡単に説明したかには思うのですが」
「今後の事といいますか、まだしばらく先の事かと考えていたのですよね」
そして、互いに用意が終わったために、今は控室とでもいえばいいのだろうか。夜会を主催する、つまりは茶会とはまた違い、客人が揃うなり主要な相手が揃ったときに改めてその場に出ていき挨拶を行う立場でもある。こちらの礼儀作法についてというよりも、なるほどこうした流れを受けていたからこそ過去の講演であったりというのはこうした形になっていたのだなと妙な納得をしながら。
「トモエさんは、大丈夫ですか」
「一応、公爵様から挨拶の作法といいますか、今回についてはこのようにと言う内容は頂いていますが」
「覚えていられるというのであれば、問題なさそうですね」
挨拶であったりというのは、トモエが苦手だろうと考えてこれまでも基本的にはオユキが引き取っていた。以前、公爵を前にしてトモエがとしたのはオユキにしてもこちらの作法と言うものがつかめていなかったから。一応は教会であり、司祭も同席の上でありさらには無作法を許すといわれたからこそトモエが前に出て一先ず物語の中で、過去に見た演劇の一幕として。だが、今回に関してはいよいよ場に合わせた工場が必要にもなってくる。
「オユキさんでしたら、どのように」
「主催はファンタズマ子爵家でもありますから、私のお披露目の前に内々にご挨拶とこの場の用意を行ってくださったマリーア公爵との縁を喜んだうえで招かれた方々に今後もとするでしょうか」
「マリーア公から頂いている物と、ほとんど相違が無いのは経験故なのでしょうね」
散々に着替えの為にと、身嗜みを整えるためにとトモエにしても侍女たちに連れまわされたのだ。オユキよりも流石に短い時間で済んだとはいえ、流石に一仕事。夜会、これからさらに疲れる時間が待っているというのに、この段階で過剰にと言うのは互いにどうなのだろうかと考えながらも用意されたお茶に口をつけて。
「そういえば、トモエさんはいつごろかからお尋ねになることがありませんでしたか」
「オユキさんが、いえ、今日のお茶会ですか。そうですね、日々口にするものの大半がと言う事は理解できるのですが、それでも発酵させたものがというのはやはり納得がいきませんから」
「あの、トモエさん、もしかすると」
「はい。今日の茶会に出されたお茶については、小麦粉と同じく」
「挽かれた小麦がというだけでも、トモエさん奇妙な顔をされていましたからね」
オユキとしてはそう言うもので済ませることが出来る内容、だというのにトモエにとってはやはりそうでは無いのだ。
「かつて、何度かお話しさせていただいたかとも思うのですが」
成程、これまでの間は改めて冷まされた物でもオユキは時に過剰な熱を感じたものだが、今度の物は平気な訳だとオユキ自身妙な納得を得ながら。
口のつけ方に問題があるのだろうか、それとも全く別の理由か。どうにも、己の茶器に紅の跡が残る事に違和感を感じながら。これまでは、今使っているような陶器ではなく木の器であったりそもそもオユキがあまり好まないから色が付くものは避けられていたと言う事もある。だが、正式な夜会となればそうもいかぬとばかりに今日は随分としっかりと。
そして、そんな様子のオユキを眺めてトモエは侍女たちに簡単に合図を出しておく。改めて表に出る時には、オユキの口周りをきちんと整えなければならぬと。
こちらの化粧品はやはり少々水に弱い物が多い。トモエが過去に使っていたものは、口周りに塗るものは特に気にされていたものが多かったのだが、こちらではそうともいかない。トモエのほうでも唇に薄くグロスだろう物が引かれている。オユキのように全体的に色味が薄いからその程度で済んでいるのだが、こちらの男性陣は過去に比べて大変そうだとそんな事を考えながらも。
「聞いてはいましたが、どうにも実感が無かったといいますか」
「確かに、話しで聞くだけでは、字面以上の意味合いは分かりませんか」
「お茶にしても、こう、葉が纏めて落ちるだけというのならまだしも、コブクロに入った状態でですから。神の奇跡、それがあるには違いないのでしょうが」
木々と狩猟の神、その一柱だけでここまでできるものかと思わず首をかしげてしまうものだ。
「魔物の仕組みに関してですか。淀みを使い魔物に変える、人への試練として成立させる。この辺りは確かに木々と狩猟の領分となるのでしょうが、勿論他の神もかかわっていると思いますよ」
「創造神様と、法と裁き、戦と武技でしょうか」
「いえ、金銭を落とす事を考えても商業でしょうか、そのあたりを司っている神をはじめ食材などになる事を考えても」
「本当に、それらを纏めている、寧ろ纏めているからこそでしょうか」
「ええ、分散するだけの理由が、目立たぬ理由があるものでしょう」
トモエの言葉に、オユキは少し言葉を選びながら回答を。トモエが聞きたい事というのは、ここにきて理解もできている。要は、オユキが確信を得ていないまでも、必要だと考えていること。狩猟際という、人の望みと共に起こすことが出来る祭りの条件。それだけではなく、近々行われる五大祭の中でも少々目立たぬものとなっている祈願祭。その改善とでもいえばいいのだろうか、そうしたことを考えているのだろう。また、前回に行った事、七夕というかつてに行われていた祭りをなぞる形で行ったのだという話を広めてみてもいいのかと。そうした話を聞きたいのだろうと言う事は、理解が出来る。
要は、オユキの負担を取り除く一助として、理解が出来るのならばそのあたりの理屈を聞き引き取る形で少しでもとマリーア公爵からトモエに話があったのだろう。
「おっしゃりたい事は分かるのですが、些か」
「難しそう、ですか」
「こう、人員として間違いなく不足がありますから。どうしたところで、神々の気軽な降臨というのは異邦から来ている私達異邦人だからこそと言うものでもあります」
「他の方々との違いというのは」
「こちらの世界で、何を為したいのか、その差としか言いようがありませんね」
オユキとしては、勿論他の者達にも行ってほしいと、己ばかりが無理を重ねてと言う事に確かに納得がいっていないというのもある。もしも、そう考えないでもない。そして、それが為せるというのであれば、とも。だが、己しかできない、己にしかできないことが正しくある。かつての両親が、実は。そうした話にしても、はっきりと思う所がある。
「そうでは無いはずだと、そうでなくても構わないだろうと、確かに考えています。ですが、これまでに無理だったことが言われただけで、それもありますから」
「確かに見も知らぬ方々に、それもこちらに来てから出会った相手を考えれば」
「後は、私たちの目的、これに関しても都合が良い事であるには違いないのですよね」
「オユキさんの目的は、もう一度、それだけでしたか」
トモエに揶揄う様に言われて。
「前にもお話ししましたが、こちらに来るにあたって背を押してくれた言葉がありましたから」
確かオユキ自身は、その時にはトモエは絶対にこちらにいないだろうなどと考えていたのだ。かつての創造神の言葉に、今となっては何故か思い出せないその言葉に、はっきりと何かを考えたはずなのだが。
ここ暫く、確かに思い出せることが増えてきている。過去の、己が遊んでいたころのゲーム。それに対して生まれていた多くの疑念、疑いの声。まさかと、もしくはと。過去に散々に議論になり、その度に現実的とでもいえばいいのだろうか、物理現象、人が作ったものであり設計書も公開されていた品。一から十まで、それこそ微に入り細に穿ち。そうして検討された結果、ありえないとされたことがこうしてこちらに来てみればそちらが正解だといわれたような物。
かつての世界で、設計書通りに完全に同じものを作り出しては見ても、結局模倣にすらなっていないその事実が示すことを考えるべきではあったのだ。
「いえ、確か、考えたのでしたか」
「オユキさんが、よく話してくださいましたからね」
そして、トモエの疑問に応えるはずが、オユキの逸れた思考が作る言葉。それが自然と漏れるのだが、トモエは当然とばかりに何を考えていたのかが分かるのだとばかりに。
「私だけが、早々にできた、その意味をもう少し考えるべきだったのでしょうか」
「オユキさんは、あの男がいいように使っていましたからね」
「そのミズキリにしても、恐らくはと思う所が無いわけではないのですが」
「オユキさんを、既に知っていた、それですか。オユキさんは、記憶にないのですよね」
「はい」
トモエからの質問は、きちんと二つの意味を込めて。しかし、オユキが気が付く事は無く、己の思考の内に沈んでいるオユキは、トモエがはっきりと意識をもって言葉をかけなければやはりそれだけの余裕も無い。
だが、流石に部屋の外に連絡を頼んでいるのだろう侍女が来た。その気配を感じて、シェリアも慌て始めていることもある。残念ではあるのだが、オユキの思考の時間はここで一先ず終わりと、そうしなければいけないのだろう。
そして、トモエの指示を受けた侍女たちが改めてオユキの化粧を直したり、いつの間に用意があったのかと首をかしげるばかりなのだが、新しい装飾品をオユキに身につけさせたりと。そうしていれば時間などすぐに過ぎ去るというもの。一応、用意されたもののうち、オユキからは以前に話に聞いていた互いの瞳の色を、それだけを口にはしたのだが。基本的に、どれも緋色の貴石がはめられたものばかり。戦と武技の巫女、その名が先に立つ以上は彼の神が示す色を装飾として入れないのはまた問題があるのだとか。
「それにしても、トモエさんはご存じだったのですね」
「拗ねないでください。とはいっても、オユキさんの茶会の用意が佳境に、二日前の夜に突然言われた事ですから」
「ああ、それでしたら確かに難しくもありますか」
「一応、言われた事を簡単に説明したかには思うのですが」
「今後の事といいますか、まだしばらく先の事かと考えていたのですよね」
そして、互いに用意が終わったために、今は控室とでもいえばいいのだろうか。夜会を主催する、つまりは茶会とはまた違い、客人が揃うなり主要な相手が揃ったときに改めてその場に出ていき挨拶を行う立場でもある。こちらの礼儀作法についてというよりも、なるほどこうした流れを受けていたからこそ過去の講演であったりというのはこうした形になっていたのだなと妙な納得をしながら。
「トモエさんは、大丈夫ですか」
「一応、公爵様から挨拶の作法といいますか、今回についてはこのようにと言う内容は頂いていますが」
「覚えていられるというのであれば、問題なさそうですね」
挨拶であったりというのは、トモエが苦手だろうと考えてこれまでも基本的にはオユキが引き取っていた。以前、公爵を前にしてトモエがとしたのはオユキにしてもこちらの作法と言うものがつかめていなかったから。一応は教会であり、司祭も同席の上でありさらには無作法を許すといわれたからこそトモエが前に出て一先ず物語の中で、過去に見た演劇の一幕として。だが、今回に関してはいよいよ場に合わせた工場が必要にもなってくる。
「オユキさんでしたら、どのように」
「主催はファンタズマ子爵家でもありますから、私のお披露目の前に内々にご挨拶とこの場の用意を行ってくださったマリーア公爵との縁を喜んだうえで招かれた方々に今後もとするでしょうか」
「マリーア公から頂いている物と、ほとんど相違が無いのは経験故なのでしょうね」
散々に着替えの為にと、身嗜みを整えるためにとトモエにしても侍女たちに連れまわされたのだ。オユキよりも流石に短い時間で済んだとはいえ、流石に一仕事。夜会、これからさらに疲れる時間が待っているというのに、この段階で過剰にと言うのは互いにどうなのだろうかと考えながらも用意されたお茶に口をつけて。
「そういえば、トモエさんはいつごろかからお尋ねになることがありませんでしたか」
「オユキさんが、いえ、今日のお茶会ですか。そうですね、日々口にするものの大半がと言う事は理解できるのですが、それでも発酵させたものがというのはやはり納得がいきませんから」
「あの、トモエさん、もしかすると」
「はい。今日の茶会に出されたお茶については、小麦粉と同じく」
「挽かれた小麦がというだけでも、トモエさん奇妙な顔をされていましたからね」
オユキとしてはそう言うもので済ませることが出来る内容、だというのにトモエにとってはやはりそうでは無いのだ。
「かつて、何度かお話しさせていただいたかとも思うのですが」
成程、これまでの間は改めて冷まされた物でもオユキは時に過剰な熱を感じたものだが、今度の物は平気な訳だとオユキ自身妙な納得を得ながら。
口のつけ方に問題があるのだろうか、それとも全く別の理由か。どうにも、己の茶器に紅の跡が残る事に違和感を感じながら。これまでは、今使っているような陶器ではなく木の器であったりそもそもオユキがあまり好まないから色が付くものは避けられていたと言う事もある。だが、正式な夜会となればそうもいかぬとばかりに今日は随分としっかりと。
そして、そんな様子のオユキを眺めてトモエは侍女たちに簡単に合図を出しておく。改めて表に出る時には、オユキの口周りをきちんと整えなければならぬと。
こちらの化粧品はやはり少々水に弱い物が多い。トモエが過去に使っていたものは、口周りに塗るものは特に気にされていたものが多かったのだが、こちらではそうともいかない。トモエのほうでも唇に薄くグロスだろう物が引かれている。オユキのように全体的に色味が薄いからその程度で済んでいるのだが、こちらの男性陣は過去に比べて大変そうだとそんな事を考えながらも。
「聞いてはいましたが、どうにも実感が無かったといいますか」
「確かに、話しで聞くだけでは、字面以上の意味合いは分かりませんか」
「お茶にしても、こう、葉が纏めて落ちるだけというのならまだしも、コブクロに入った状態でですから。神の奇跡、それがあるには違いないのでしょうが」
木々と狩猟の神、その一柱だけでここまでできるものかと思わず首をかしげてしまうものだ。
「魔物の仕組みに関してですか。淀みを使い魔物に変える、人への試練として成立させる。この辺りは確かに木々と狩猟の領分となるのでしょうが、勿論他の神もかかわっていると思いますよ」
「創造神様と、法と裁き、戦と武技でしょうか」
「いえ、金銭を落とす事を考えても商業でしょうか、そのあたりを司っている神をはじめ食材などになる事を考えても」
「本当に、それらを纏めている、寧ろ纏めているからこそでしょうか」
「ええ、分散するだけの理由が、目立たぬ理由があるものでしょう」
トモエの言葉に、オユキは少し言葉を選びながら回答を。トモエが聞きたい事というのは、ここにきて理解もできている。要は、オユキが確信を得ていないまでも、必要だと考えていること。狩猟際という、人の望みと共に起こすことが出来る祭りの条件。それだけではなく、近々行われる五大祭の中でも少々目立たぬものとなっている祈願祭。その改善とでもいえばいいのだろうか、そうしたことを考えているのだろう。また、前回に行った事、七夕というかつてに行われていた祭りをなぞる形で行ったのだという話を広めてみてもいいのかと。そうした話を聞きたいのだろうと言う事は、理解が出来る。
要は、オユキの負担を取り除く一助として、理解が出来るのならばそのあたりの理屈を聞き引き取る形で少しでもとマリーア公爵からトモエに話があったのだろう。
「おっしゃりたい事は分かるのですが、些か」
「難しそう、ですか」
「こう、人員として間違いなく不足がありますから。どうしたところで、神々の気軽な降臨というのは異邦から来ている私達異邦人だからこそと言うものでもあります」
「他の方々との違いというのは」
「こちらの世界で、何を為したいのか、その差としか言いようがありませんね」
オユキとしては、勿論他の者達にも行ってほしいと、己ばかりが無理を重ねてと言う事に確かに納得がいっていないというのもある。もしも、そう考えないでもない。そして、それが為せるというのであれば、とも。だが、己しかできない、己にしかできないことが正しくある。かつての両親が、実は。そうした話にしても、はっきりと思う所がある。
「そうでは無いはずだと、そうでなくても構わないだろうと、確かに考えています。ですが、これまでに無理だったことが言われただけで、それもありますから」
「確かに見も知らぬ方々に、それもこちらに来てから出会った相手を考えれば」
「後は、私たちの目的、これに関しても都合が良い事であるには違いないのですよね」
「オユキさんの目的は、もう一度、それだけでしたか」
トモエに揶揄う様に言われて。
「前にもお話ししましたが、こちらに来るにあたって背を押してくれた言葉がありましたから」
確かオユキ自身は、その時にはトモエは絶対にこちらにいないだろうなどと考えていたのだ。かつての創造神の言葉に、今となっては何故か思い出せないその言葉に、はっきりと何かを考えたはずなのだが。
ここ暫く、確かに思い出せることが増えてきている。過去の、己が遊んでいたころのゲーム。それに対して生まれていた多くの疑念、疑いの声。まさかと、もしくはと。過去に散々に議論になり、その度に現実的とでもいえばいいのだろうか、物理現象、人が作ったものであり設計書も公開されていた品。一から十まで、それこそ微に入り細に穿ち。そうして検討された結果、ありえないとされたことがこうしてこちらに来てみればそちらが正解だといわれたような物。
かつての世界で、設計書通りに完全に同じものを作り出しては見ても、結局模倣にすらなっていないその事実が示すことを考えるべきではあったのだ。
「いえ、確か、考えたのでしたか」
「オユキさんが、よく話してくださいましたからね」
そして、トモエの疑問に応えるはずが、オユキの逸れた思考が作る言葉。それが自然と漏れるのだが、トモエは当然とばかりに何を考えていたのかが分かるのだとばかりに。
「私だけが、早々にできた、その意味をもう少し考えるべきだったのでしょうか」
「オユキさんは、あの男がいいように使っていましたからね」
「そのミズキリにしても、恐らくはと思う所が無いわけではないのですが」
「オユキさんを、既に知っていた、それですか。オユキさんは、記憶にないのですよね」
「はい」
トモエからの質問は、きちんと二つの意味を込めて。しかし、オユキが気が付く事は無く、己の思考の内に沈んでいるオユキは、トモエがはっきりと意識をもって言葉をかけなければやはりそれだけの余裕も無い。
だが、流石に部屋の外に連絡を頼んでいるのだろう侍女が来た。その気配を感じて、シェリアも慌て始めていることもある。残念ではあるのだが、オユキの思考の時間はここで一先ず終わりと、そうしなければいけないのだろう。
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