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35章 流れに揺蕩う
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「それにしても、ファンタズマ子爵家の抱える人員はなかなかに豊富ですのね」
「豊富、ですか」
ラスト子爵夫人の言葉に、オユキは思わず首をかしげる。主催である以上、中座などできる訳も無くただただ転がっていく話題に、トモエがいればここまで戸惑う事も退屈を覚えることも無いだろうにと考えながらもついていき。どうにかこうにか、事前にエステールとシェリアから聞いていた作法に従って振る舞っていれば突然その様な事を言われる。
ラスト子爵夫人からは、以前別の場所で直接名を呼んでも良いといわれているのだが流石に今は初対面の相手も多すぎるからと、それは控えた上で。
「ええ。ファンタズマ子爵家には、勿論身の回りの世話をする者たちが貸し与えられているのでしょうが」
「ああ。そのあたり、確かにお伝えさせていませんでしたか。お二方が、異邦からのお二人が言うには、私を助ける事を言われているのだとか」
「言われている、ですか」
「如何なる柱からかは、まぁ一人は分かり易いでしょうが」
「それは、確かにそうですね」
一人は、今も朗々と歌声を響かせている。屋外だというのに、少し離れた場所からだというのに。それが当然とばかりに、席に声を届けて。それも、美しさを備えて。料理の数々にしても、一つ口に運べばため息が出るようなものもある。そうでないものに関しては、要は茶会の席だ。そして、今回の主役はどこまで行ってもオユキが確認すると決めている話題。そこで茶菓が主となってしまっては、本末転倒と考えての事なのだろう。明確に、技量を示すための品と、話を聞くときに、話をするときに妨げぬ様にと。あまりに分かり易いほどに分けられている。
この場の主役は、間違いなく主催のオユキではあるのだが。それでも気を払わなければならない相手がいるのだと、その事実を実に正しく理解してくれている。
言ってしまえば、オユキにとってこの状況は接待でしかないのだから。
「異邦からの者達、ですか」
「パヴォ様は、翼人種の方々はある意味では同様と伺っていますが」
「私たちの崇めた造物主は、こちらでは異空と流離に落ちていますから。貴女方の暮らしていた地の御方は、この世界の創造神の姉でもあるのでしょう」
「一応、そのように会話の端々で理解はしていますが」
「ならば、そこには暮らす地、世界としての格の差が生まれる物」
並べられた茶菓の中でも、元がそれ由来だからだろうか。殊更長く火にかけた物を好んで。オユキのかつて暮らしていた地で干菓子と言えば、まず真っ先に出てくるものは砂糖を型に入れて押し固めた物。アルノーが基本として用意する物とは全く毛色が違う。
窯で、熱源の最たるものの中で乾燥させた菓子類を、彼はそう呼ぶのだから。
「どうにも、一つの宇宙観とでもいえばいいのでしょうか、そこに差異を見出すことは出来ないものですが」
かつての世界は、寧ろかつての世界の在り方に合わせて法則を見出した物。では、そちらの世界では否定されていった各神話観における宇宙論。過去になった、人が宇宙に進出して明確な物証を提供して、かつてはこう考えていたのかと人によっては笑いながら語るもの。
だが、こちらではそれが正しいとされている物。
比較をしようにも、両方ともに利点があるのだろう、その程度しかオユキには思い当たらない話。
「私たちの世界における、超空洞と呼ばれるものが存在しないでしょうし、すなわち熱的な終焉と言うものは考慮に値しないともいえるので」
「熱であれば、己が放てば。いえ、あなた達の世界では、そうですか」
「ええ。原初に与えられたとしている総量、それが常に総和として等しいというのが法則における是でしたから」
「ですが、それを考えるのであれば、冷めないまでも」
「そちらについては、理論として見出した方にしても無いだろうと考えていた特異点と呼ばれるものが、現実に発見されてしまいましたから」
「特異点、成程、密度の異常点と聞こえましたが、伝わってきた物は空間的な広がりを持ち、さらには放出も行っているようですが」
そうして、オユキがパヴォと楽しく話を始めていれば、公爵夫人からの咳払いですぐさま意識が引き戻される。どうにも、他の者たちが日常的に話している内容、オユキはまだ覚えきれていないこちらの貴族の事情に気が乗らないという部分もある。だが、こうして公爵夫人がオユキに注意を促すと言う事は、いよいよ聞いておかなければならない事なのだろう。
こうして、この場に呼んでいるのはいよいよオユキが既に面識を得ている相手ばかり。互いに、自分の家の事をあまり話さずに、他の家、深い事情を知っている、噂などではなく、こうした話を聞いたではなく。彼女たちが直接聞いた話を、こうしてしてくれている。もしくはしていると言う事に、理由を見出すこともできる。
「それにしても、ファンタズマ子爵はこうした会をあまり開かないのは、理由があるのかしら」
「理由ですか。それこそ、筆頭に来るのはどうしたところで過分に抱え込んでいると言う事もありますが」
イマノルとクララの間を取り持ったのだから、もう少しくらいはという意味でもあるのだろう。だが、そちらに対しては、オユキからあまりにも明確に反論ができる。
今回にしても、公爵家の別邸であり借り受ける事の出来る人員が多い。さらには、常々ついてきている相手として、頼める者たちもいるのだがそれにしても場合によってはそれぞれに頼むことになる。侍女として側に置いている者たちにしても、基本は借りている人員ばかり。エステールにしても、それこそ本来であればオユキにそうした会を開くことを進める人物にしてもこうした事でも無ければ、周囲からしっかりと圧力をかけられて渋々という状況でも無ければオユキに話はしないのだ。
「私にしても、こうした場での振る舞いで合格点を頂けているわけではありませんので」
「あら。見ている範囲では」
「お披露目構えとはいえ、実際はこの中では上から数得た方が早いのですよね」
レジス侯夫人から、作法として問題がある部分は特にないのだとそうした話はされる。だが、オユキに言わせてみれば、そもそもが中身が違う。経験を積んできた歳月が違う。お茶会のマナーはいよいよこちらに来て初めて学ぶような内容ではあったが、テーブルマナーについては過去に一貫した物を学んでいる。自国の物と、西洋で一般的とされているものの二種類でしかないのだが。
「そうした面までを考えれば、実際にはそのように考える方々からは、どうにも」
「そのあたりは、どうにも失念してしまいますね」
「こちらの方は、皆様背が高いですから。一応異邦が、私たちの暮らしていた地が下敷きにとは伺っていますが、それ以上に」
オユキは、改めて己の年齢を考えて。過去に、己と同じ世代の平均はどの程度であったのか、こちらで現状の己がどの程度か。トモエという、かつて己が設定した相手が隣にいるために、検討できる対象はすぐそばにある。それに、正直な所オユキ自身はともかく。トモエが己の得物、太刀の長さを間違えるとはとてもではないが考えられない。
そちらと比較した時に、己の身長というのがはっきりと低いというのは理解が出来ている。
だからこそ、侍女たちに、トモエに対して少しでもと頼んで化粧を考えてもらっていることもある。
「それにしても、皆さん一応といいますか」
そして、他の会話が切れた事もあり改めてオユキから。
ここ暫く、刺繍に励んでいるからだろうか。各々が身に着けている衣装。当然のように家紋がそれぞれ小物に使われているし衣装にしても共通の色が含まれている。最初は、神国が特にとする柱の色かとも考えたのだが青緑でも黒でもない。では残ったものは何かといえば、濃淡の差はあれど茶色と言われて思いつくものなどオユキには一つしかない。
「常春ではあるというのに、季節の色を取り入れられるのですね」
そう、四季の神も、それこそ冬と眠りをはじめとしてこちらには存在している。
「オユキは、環境として」
「そうですね。異邦の話がどこまで伝わっているかは分かりませんが、四季の差と言うものが非常に明確にある国から」
「成程。であれば、この国における差というのは誤差と受け取れるものかもしれませんね」
「体質の事もありますので、夏については少々辟易とはしますが」
そもそも、この世界は平面。そこで四季の差が生まれる理屈など、オユキはいよいよ理解が及ぶものではない。神国が常春といった様相にしても、一年を通して、水中の温度はそこまで変わらない、過去にはそうした理屈があったのだから、恐らくそこからだろう程度。水面に関しては、どうにもならず冷え込む物ではあった。だが、海に目を遣れば、その少し深い部分に目を遣れば。やはりある程度温度は一定となる。
「幼子にとっては、こちらに戻る前の場も少々環境が良くはなかったからのう。妾たちが、こちらと同様にとすればまた話も違うのじゃが」
「一応は迎賓館ですから。こちらでは、御貸しくださっている方から直接許可を頂けていますが」
「私としても、オユキが長くあちらにというのは好ましくないと考えていますから」
「以前は、ええ、抗議の一環といいますか」
「貴女が良しとしても、トモエが良しとしない。それは前回で、ええ、はっきりと」
そう、オユキは既に半ば諦めている。こうした生活を、己が、トモエが良しとできる生活を望むのだと決めたときに、恐らくはという形で予想をして。改めて日々を過ごす中で、想像以上の物があるのだと思い知って。それでも、オユキの我儘として、トモエにはどうかと無理に押し込んでいること。
巫女として、それが必要な職務であるのならば。この世界に対して己の身を削ることで出来ることがあるのならば、今後も続けることをどうか許してくれと。オユキの意識があるうちは、どうかただ見守っていてくれと。
「そのあたりは、私が意識を保っている間はトモエさんも呑んでくれるのですが」
「前回は、貴女の意識が失われて、そこから随分と早かったですからね」
王妃の言葉が、言外に貸し出している相手、近衛として仕事を頼んでいる相手に対して僅かに不満をにじませている。それこそ、シェリアとタルヤに関してはもはやその立場に未練などないだろうが。
「豊富、ですか」
ラスト子爵夫人の言葉に、オユキは思わず首をかしげる。主催である以上、中座などできる訳も無くただただ転がっていく話題に、トモエがいればここまで戸惑う事も退屈を覚えることも無いだろうにと考えながらもついていき。どうにかこうにか、事前にエステールとシェリアから聞いていた作法に従って振る舞っていれば突然その様な事を言われる。
ラスト子爵夫人からは、以前別の場所で直接名を呼んでも良いといわれているのだが流石に今は初対面の相手も多すぎるからと、それは控えた上で。
「ええ。ファンタズマ子爵家には、勿論身の回りの世話をする者たちが貸し与えられているのでしょうが」
「ああ。そのあたり、確かにお伝えさせていませんでしたか。お二方が、異邦からのお二人が言うには、私を助ける事を言われているのだとか」
「言われている、ですか」
「如何なる柱からかは、まぁ一人は分かり易いでしょうが」
「それは、確かにそうですね」
一人は、今も朗々と歌声を響かせている。屋外だというのに、少し離れた場所からだというのに。それが当然とばかりに、席に声を届けて。それも、美しさを備えて。料理の数々にしても、一つ口に運べばため息が出るようなものもある。そうでないものに関しては、要は茶会の席だ。そして、今回の主役はどこまで行ってもオユキが確認すると決めている話題。そこで茶菓が主となってしまっては、本末転倒と考えての事なのだろう。明確に、技量を示すための品と、話を聞くときに、話をするときに妨げぬ様にと。あまりに分かり易いほどに分けられている。
この場の主役は、間違いなく主催のオユキではあるのだが。それでも気を払わなければならない相手がいるのだと、その事実を実に正しく理解してくれている。
言ってしまえば、オユキにとってこの状況は接待でしかないのだから。
「異邦からの者達、ですか」
「パヴォ様は、翼人種の方々はある意味では同様と伺っていますが」
「私たちの崇めた造物主は、こちらでは異空と流離に落ちていますから。貴女方の暮らしていた地の御方は、この世界の創造神の姉でもあるのでしょう」
「一応、そのように会話の端々で理解はしていますが」
「ならば、そこには暮らす地、世界としての格の差が生まれる物」
並べられた茶菓の中でも、元がそれ由来だからだろうか。殊更長く火にかけた物を好んで。オユキのかつて暮らしていた地で干菓子と言えば、まず真っ先に出てくるものは砂糖を型に入れて押し固めた物。アルノーが基本として用意する物とは全く毛色が違う。
窯で、熱源の最たるものの中で乾燥させた菓子類を、彼はそう呼ぶのだから。
「どうにも、一つの宇宙観とでもいえばいいのでしょうか、そこに差異を見出すことは出来ないものですが」
かつての世界は、寧ろかつての世界の在り方に合わせて法則を見出した物。では、そちらの世界では否定されていった各神話観における宇宙論。過去になった、人が宇宙に進出して明確な物証を提供して、かつてはこう考えていたのかと人によっては笑いながら語るもの。
だが、こちらではそれが正しいとされている物。
比較をしようにも、両方ともに利点があるのだろう、その程度しかオユキには思い当たらない話。
「私たちの世界における、超空洞と呼ばれるものが存在しないでしょうし、すなわち熱的な終焉と言うものは考慮に値しないともいえるので」
「熱であれば、己が放てば。いえ、あなた達の世界では、そうですか」
「ええ。原初に与えられたとしている総量、それが常に総和として等しいというのが法則における是でしたから」
「ですが、それを考えるのであれば、冷めないまでも」
「そちらについては、理論として見出した方にしても無いだろうと考えていた特異点と呼ばれるものが、現実に発見されてしまいましたから」
「特異点、成程、密度の異常点と聞こえましたが、伝わってきた物は空間的な広がりを持ち、さらには放出も行っているようですが」
そうして、オユキがパヴォと楽しく話を始めていれば、公爵夫人からの咳払いですぐさま意識が引き戻される。どうにも、他の者たちが日常的に話している内容、オユキはまだ覚えきれていないこちらの貴族の事情に気が乗らないという部分もある。だが、こうして公爵夫人がオユキに注意を促すと言う事は、いよいよ聞いておかなければならない事なのだろう。
こうして、この場に呼んでいるのはいよいよオユキが既に面識を得ている相手ばかり。互いに、自分の家の事をあまり話さずに、他の家、深い事情を知っている、噂などではなく、こうした話を聞いたではなく。彼女たちが直接聞いた話を、こうしてしてくれている。もしくはしていると言う事に、理由を見出すこともできる。
「それにしても、ファンタズマ子爵はこうした会をあまり開かないのは、理由があるのかしら」
「理由ですか。それこそ、筆頭に来るのはどうしたところで過分に抱え込んでいると言う事もありますが」
イマノルとクララの間を取り持ったのだから、もう少しくらいはという意味でもあるのだろう。だが、そちらに対しては、オユキからあまりにも明確に反論ができる。
今回にしても、公爵家の別邸であり借り受ける事の出来る人員が多い。さらには、常々ついてきている相手として、頼める者たちもいるのだがそれにしても場合によってはそれぞれに頼むことになる。侍女として側に置いている者たちにしても、基本は借りている人員ばかり。エステールにしても、それこそ本来であればオユキにそうした会を開くことを進める人物にしてもこうした事でも無ければ、周囲からしっかりと圧力をかけられて渋々という状況でも無ければオユキに話はしないのだ。
「私にしても、こうした場での振る舞いで合格点を頂けているわけではありませんので」
「あら。見ている範囲では」
「お披露目構えとはいえ、実際はこの中では上から数得た方が早いのですよね」
レジス侯夫人から、作法として問題がある部分は特にないのだとそうした話はされる。だが、オユキに言わせてみれば、そもそもが中身が違う。経験を積んできた歳月が違う。お茶会のマナーはいよいよこちらに来て初めて学ぶような内容ではあったが、テーブルマナーについては過去に一貫した物を学んでいる。自国の物と、西洋で一般的とされているものの二種類でしかないのだが。
「そうした面までを考えれば、実際にはそのように考える方々からは、どうにも」
「そのあたりは、どうにも失念してしまいますね」
「こちらの方は、皆様背が高いですから。一応異邦が、私たちの暮らしていた地が下敷きにとは伺っていますが、それ以上に」
オユキは、改めて己の年齢を考えて。過去に、己と同じ世代の平均はどの程度であったのか、こちらで現状の己がどの程度か。トモエという、かつて己が設定した相手が隣にいるために、検討できる対象はすぐそばにある。それに、正直な所オユキ自身はともかく。トモエが己の得物、太刀の長さを間違えるとはとてもではないが考えられない。
そちらと比較した時に、己の身長というのがはっきりと低いというのは理解が出来ている。
だからこそ、侍女たちに、トモエに対して少しでもと頼んで化粧を考えてもらっていることもある。
「それにしても、皆さん一応といいますか」
そして、他の会話が切れた事もあり改めてオユキから。
ここ暫く、刺繍に励んでいるからだろうか。各々が身に着けている衣装。当然のように家紋がそれぞれ小物に使われているし衣装にしても共通の色が含まれている。最初は、神国が特にとする柱の色かとも考えたのだが青緑でも黒でもない。では残ったものは何かといえば、濃淡の差はあれど茶色と言われて思いつくものなどオユキには一つしかない。
「常春ではあるというのに、季節の色を取り入れられるのですね」
そう、四季の神も、それこそ冬と眠りをはじめとしてこちらには存在している。
「オユキは、環境として」
「そうですね。異邦の話がどこまで伝わっているかは分かりませんが、四季の差と言うものが非常に明確にある国から」
「成程。であれば、この国における差というのは誤差と受け取れるものかもしれませんね」
「体質の事もありますので、夏については少々辟易とはしますが」
そもそも、この世界は平面。そこで四季の差が生まれる理屈など、オユキはいよいよ理解が及ぶものではない。神国が常春といった様相にしても、一年を通して、水中の温度はそこまで変わらない、過去にはそうした理屈があったのだから、恐らくそこからだろう程度。水面に関しては、どうにもならず冷え込む物ではあった。だが、海に目を遣れば、その少し深い部分に目を遣れば。やはりある程度温度は一定となる。
「幼子にとっては、こちらに戻る前の場も少々環境が良くはなかったからのう。妾たちが、こちらと同様にとすればまた話も違うのじゃが」
「一応は迎賓館ですから。こちらでは、御貸しくださっている方から直接許可を頂けていますが」
「私としても、オユキが長くあちらにというのは好ましくないと考えていますから」
「以前は、ええ、抗議の一環といいますか」
「貴女が良しとしても、トモエが良しとしない。それは前回で、ええ、はっきりと」
そう、オユキは既に半ば諦めている。こうした生活を、己が、トモエが良しとできる生活を望むのだと決めたときに、恐らくはという形で予想をして。改めて日々を過ごす中で、想像以上の物があるのだと思い知って。それでも、オユキの我儘として、トモエにはどうかと無理に押し込んでいること。
巫女として、それが必要な職務であるのならば。この世界に対して己の身を削ることで出来ることがあるのならば、今後も続けることをどうか許してくれと。オユキの意識があるうちは、どうかただ見守っていてくれと。
「そのあたりは、私が意識を保っている間はトモエさんも呑んでくれるのですが」
「前回は、貴女の意識が失われて、そこから随分と早かったですからね」
王妃の言葉が、言外に貸し出している相手、近衛として仕事を頼んでいる相手に対して僅かに不満をにじませている。それこそ、シェリアとタルヤに関してはもはやその立場に未練などないだろうが。
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