1,120 / 1,235
34章 王都での生活
示す月
しおりを挟む
部屋を整えると、そうした話をしていたはずだと。オユキは少し長めの午睡から目を覚まして、そんな事を思い返す。トモエに、仕方が無い事だといわんばかりに浴室に連れていかれ、まだ準備の整っていない場ではあったのだが、軽く旅の汚れを落とさなければと、そんな話を夢うつつに聞いたところまでは記憶に残っている。
だが、オユキが目を覚ましてみれば、変わらず屋内は柔らかな魔術による明かりが天蓋越しに届く。屋内だというのに、雪が降るからだろう。これまでは、侍女たちがオユキの様子を、カナリアの診察もあるからと取り付けられていなかったのだが、今ではしっかりと取り付けられた薄布の先から改めて声がかかる。
「目が、覚めましたか」
「はい。どれほど、寝ていましたか」
「数時間、といったところでしょうか。日がすっかり沈んでから、そのように考えていましたが」
何処か、笑いを含む声が。
「やはり、長旅は堪えますね」
「オユキさんは、今回の旅路は特に忙しくしていましたから」
「色々と用意が必要な事も多く、確認も多かったので」
闘技大会への参加は見送り、あくまで勝者に与えられる花冠として、とでもいえばいいのだろうか。三部に分かれたそれぞれから、望む物が出たのならば、オユキは応える事と決まっている。ただしとでもいえばいいのだろうか、今神国には、二人の巫女がいる。武国からも、年若い巫女が来るという話がある。そして、各々の年齢を考えたときに、これまた見事に三者三葉とできるではないかと、そうした話が持ち上がったらしい。
マリーア公爵からは、実に苦々しげに言われたものだが、年少者の部、青年の部、壮年の部と三つに分かれたそれぞれの優勝者に対して、それぞれにとそうした話が彼ではどうにもならない場で成立してしまったらしい。領都の事もあり、王都にどうしたところで長くいられるわけでもない。その結果として、彼の知らぬところで他の者たちの核策とて行われるというものらしい。勿論、彼の抱える他の人員が対策を取ろうとはするのだが、それにも限界があり。
「私の為に、鞘をでしたか」
「ウーヴェさんへの確認は、あの子たちに任せましたから。大会に合わせて王都には来るはずですから」
「私のほうから、改めて確認を頼んでいますので、明日にでも返答があるでしょう」
「リース伯の王都屋敷でとなるでしょうか、それとも」
「あの子達の事を考えれば、どちらかといえば神殿で暫くとなりそうなものですが」
「となると、別れてという可能性もありそうなものですね」
闘技大会では、水と癒しの神殿の協力も勿論必要になる。まず真っ先に、水と癒しの持祭となった少女には協力をしてくれという話がいくだろう。そして、それを手伝おうと少女たちがそちらに混ざって。少年たちのほうは、始まりの町の教会は大事に思っているには違いないのだが、他の教会に関してはどうにも。
そして、今はサキもいるし少年の口ぶりでは仲良くなった花精の子もいるらしい。どうにも、近々そちらにしてもあの少年たちに加わりそうな気配がある。橋を進む中で、少女たちのほうはタルヤの振る舞いを見たからと言う訳でもないのだが、シグルドが名前を出すたびに何やら警戒をあらわにしていたのだから。
「トモエさんは、どう思いますか」
「私は、独占したいので」
「ええと、それは私もですから。私たちの事はともかく」
何をとはっきりと言わず、只オユキが漠然と話を振ってみればトモエからは、正しくオユキの考えていたことについて。トモエが、オユキを、オユキだけをと考えているのは分かる。他の誰かにオユキを等と言う事を認めないのもよく分かる。そして、それはオユキも同様に。だが、あの少年たちは異なっている。こちらにしても、社会通念とでもいえばいいのだろうか。種族として男性しかいない種族、生憎とこれまでの間に、そのような種族とは遭遇していないのだが、人狼に関しては女性の割合が少ないだろうと、それくらいの理解は及ぶ。だが、何よりも女性だけの種族、単一の性別の種族というのがやはり多い様子なのだ。
貴族たちは、義務として。こちらの世界における者たち、貴族以外の者たちにしても、余裕さえあればとそうした様子ではある。これまで、まだ控えめだったのは、結ばれたとしてもその先が難しかったからと言う事もあるのだろう。だが、それが解消された、少なくとも神国では問題とならないとなった以上は、今後は過熱していくだろうと予想に難くない。
「あの子たちは、大変そうですね」
「どちらが、とは聞かないでおきましょう」
「聞かれれば応えますが、どうにも私としては過去の流れがありますから」
「まったく、度し難い事ですね」
「そうは言われましても、私は理解の及ばない事ですし」
「そうした物が多いと、そうした店舗があるといった話はしたかと」
「それについては、一つの回答として外での仕事を、魔物の狩猟を選択しなかった方の選択とでもいえばいいのでしょうか」
益体も無い話を、トモエとオユキでしていれば。トモエがそろそろオユキが目を覚ますと考えて頼んでいたのだろう。夕食の時間も近いために、軽食をとばかりにエステールが軽くつまめるものをいくらか用意したうえで室内へ。
「エステール様は、ローレンツ様とタルヤ様との時間は」
「主人は移動の完了を王城へ報告に。タルヤ様は、今はパロティア様の部屋の用意を」
「ああ、そうですね。私が眠ってしまいましたが」
「どうぞ、オユキ様はしっかりと休んで頂けますように。そのために、私どもがいるわけですから」
「お言葉に、まずは甘える事としましょう。ええと、エステール様、後は馬車からまずは」
「ええ、お任せください。ですがオユキ様、此処は公爵様からお借りしている場ですから、お寛ぎ頂く部屋の外では」
「それも、そうですか」
一応、オユキの手によって完成を見た手布が一枚。それを、トモエに渡してほしいと、オユキがエステールに頼んでみれば。わかっていると頷かれたうえで、用意の終わった席へと、案内される。雪の降る室内という、なんとも奇妙な場にはなっているのだが、こうして食事を用意した席については雪が綺麗に避けている。有難い事ではあるのだが、トモエが実に味のある顔をしているので、どうかこの辺りは説明があっても良いのではないかと。
「エステール様は、そちらが冬の装いですか」
「はい。生地を厚手に、それだけでは少々難しいようでしたから」
「流石に、廊下もとなると、少々難しいでしょうから、公爵様に頼んでと部屋の外にとさせて頂きましょうか」
「主の部屋、その直ぐ外に使用人の施設をというのは」
「派手な作業にはなりそうですが、壁を切ってそこに埋め込む形で簡単に衣装だなくらいはと思いますが」
ただ、どうなのだろうか。オユキには降る雪が、何かをすることも無い。それは身に着けた衣装にしても同様に。だが、トモエもそうであり、エステールにしても雪が積もっているのだ。この辺りが、成程種族の差かとオユキは妙な納得を得ながらも。
「どう、でしょうか。使用人の方々としては、雪でというよりも濡れた衣服というのは」
「そう、ですね。速やかに洗濯に回さなければいけませんし」
「ええと、トモエさんも」
「私も、そうですね。オユキさんの側であれば、そこまで問題にはなりませんが」
トモエにしても、今初めて気が付いたといわんばかりに。ある程度以上、今、食卓を挟んで互いに向かい合っている。この程度の距離でもはや無理なのだろう。
そもそも、トモエとオユキの寝室でもある、こうして寛げる一室には衣装棚など置いてはいない。別に衣装部屋が用意されておりそれも、トモエとオユキで別々に用意された部屋に、納められている。
「少し、考えなければなりませんか」
「いえ、構わないでしょう。優先は、オユキさんの体調ですから」
「ですが、その結果としてトモエさんが」
「私が風邪をひくことがあれば、そうですね、その時に改めて考えましょうか」
トモエは、そうしては平然と笑いながら。オユキの前にだけ並べられているガレットを見れば、どうやらトモエは既に食事を終えているらしい。のんびりと、こちらに来てから暫くの間にどうやらお気に入りを見つけたらしいお茶をゆっくりと飲んでいる。どうにも、オユキが食べ終わるまでは、これは開放してくれそうにないなと考えて、置かれていた食器を手に取り、切り分けながらも口に運ぶ。
室内が、間違いなく氷点下になっているからだろうか。オユキはその様な事は無いのだが、トモエにしても、エステールにしても。吐く息が白い。ガレットからも、はっきりと湯気が立ち上っている。だが、どうだろうか。一口大に切り分けて、改めてオユキが己の口に運ぼうとしたときには、冷めている。かつてであれば、少し残念に思いもしたのだろうが、今となってはこちらの方がオユキにとっては嬉しい物になっている。
「ああ、それとエステール様。公爵夫人から、また日程を言われるかと思いますが」
「日程、ですか」
「はい。セツナ様が、クレド様の衣装であったり、刺繍用の糸ですね。後は、里に持ち帰る品を選ぶためにと、宋任たちを一度読んで頂くことになっています」
「オユキ様は、外に、いえ、失礼いたしました」
それこそ、本来であれば王都でトモエと並んで歩いてというのもいいかもしれない。だが、あまりにも明確な問題として、武国の者どもの狼藉がある。神国の王都で、どういった振る舞いをしているかは今公爵が改めて確認をしている処ではあるのだが、少なくとも魔国に置いてきた者たちのいくらかが神国に来ているだろうとは考えている。闘技大会への参加、それが許されている者たちではないだろうが、そこで武国からの者たちと、諍いを起こしそうな気配もある。何より、神国の者たちに対して出場枠をよこせなどと言っても可笑しくないと、トモエもオユキもそう考えている。
「正直な所を申しますと、言葉を選ばなければといいますか」
「そうですね、蛮族と言える方々のようですから」
「上層部はまともだと良いのですが、正直、前回のアベル様のお父上の事を考えてしまうと」
思い返してみれば、あのアダムという男にしても近しい真似は、計算の上だとしても行っていたのだ。今回はそうした策謀の気配も無い。寧ろ、魔国で暫くとはいえ堪えていたのは、一度そうした経験があったからこそ、なのだが。
だが、オユキが目を覚ましてみれば、変わらず屋内は柔らかな魔術による明かりが天蓋越しに届く。屋内だというのに、雪が降るからだろう。これまでは、侍女たちがオユキの様子を、カナリアの診察もあるからと取り付けられていなかったのだが、今ではしっかりと取り付けられた薄布の先から改めて声がかかる。
「目が、覚めましたか」
「はい。どれほど、寝ていましたか」
「数時間、といったところでしょうか。日がすっかり沈んでから、そのように考えていましたが」
何処か、笑いを含む声が。
「やはり、長旅は堪えますね」
「オユキさんは、今回の旅路は特に忙しくしていましたから」
「色々と用意が必要な事も多く、確認も多かったので」
闘技大会への参加は見送り、あくまで勝者に与えられる花冠として、とでもいえばいいのだろうか。三部に分かれたそれぞれから、望む物が出たのならば、オユキは応える事と決まっている。ただしとでもいえばいいのだろうか、今神国には、二人の巫女がいる。武国からも、年若い巫女が来るという話がある。そして、各々の年齢を考えたときに、これまた見事に三者三葉とできるではないかと、そうした話が持ち上がったらしい。
マリーア公爵からは、実に苦々しげに言われたものだが、年少者の部、青年の部、壮年の部と三つに分かれたそれぞれの優勝者に対して、それぞれにとそうした話が彼ではどうにもならない場で成立してしまったらしい。領都の事もあり、王都にどうしたところで長くいられるわけでもない。その結果として、彼の知らぬところで他の者たちの核策とて行われるというものらしい。勿論、彼の抱える他の人員が対策を取ろうとはするのだが、それにも限界があり。
「私の為に、鞘をでしたか」
「ウーヴェさんへの確認は、あの子たちに任せましたから。大会に合わせて王都には来るはずですから」
「私のほうから、改めて確認を頼んでいますので、明日にでも返答があるでしょう」
「リース伯の王都屋敷でとなるでしょうか、それとも」
「あの子達の事を考えれば、どちらかといえば神殿で暫くとなりそうなものですが」
「となると、別れてという可能性もありそうなものですね」
闘技大会では、水と癒しの神殿の協力も勿論必要になる。まず真っ先に、水と癒しの持祭となった少女には協力をしてくれという話がいくだろう。そして、それを手伝おうと少女たちがそちらに混ざって。少年たちのほうは、始まりの町の教会は大事に思っているには違いないのだが、他の教会に関してはどうにも。
そして、今はサキもいるし少年の口ぶりでは仲良くなった花精の子もいるらしい。どうにも、近々そちらにしてもあの少年たちに加わりそうな気配がある。橋を進む中で、少女たちのほうはタルヤの振る舞いを見たからと言う訳でもないのだが、シグルドが名前を出すたびに何やら警戒をあらわにしていたのだから。
「トモエさんは、どう思いますか」
「私は、独占したいので」
「ええと、それは私もですから。私たちの事はともかく」
何をとはっきりと言わず、只オユキが漠然と話を振ってみればトモエからは、正しくオユキの考えていたことについて。トモエが、オユキを、オユキだけをと考えているのは分かる。他の誰かにオユキを等と言う事を認めないのもよく分かる。そして、それはオユキも同様に。だが、あの少年たちは異なっている。こちらにしても、社会通念とでもいえばいいのだろうか。種族として男性しかいない種族、生憎とこれまでの間に、そのような種族とは遭遇していないのだが、人狼に関しては女性の割合が少ないだろうと、それくらいの理解は及ぶ。だが、何よりも女性だけの種族、単一の性別の種族というのがやはり多い様子なのだ。
貴族たちは、義務として。こちらの世界における者たち、貴族以外の者たちにしても、余裕さえあればとそうした様子ではある。これまで、まだ控えめだったのは、結ばれたとしてもその先が難しかったからと言う事もあるのだろう。だが、それが解消された、少なくとも神国では問題とならないとなった以上は、今後は過熱していくだろうと予想に難くない。
「あの子たちは、大変そうですね」
「どちらが、とは聞かないでおきましょう」
「聞かれれば応えますが、どうにも私としては過去の流れがありますから」
「まったく、度し難い事ですね」
「そうは言われましても、私は理解の及ばない事ですし」
「そうした物が多いと、そうした店舗があるといった話はしたかと」
「それについては、一つの回答として外での仕事を、魔物の狩猟を選択しなかった方の選択とでもいえばいいのでしょうか」
益体も無い話を、トモエとオユキでしていれば。トモエがそろそろオユキが目を覚ますと考えて頼んでいたのだろう。夕食の時間も近いために、軽食をとばかりにエステールが軽くつまめるものをいくらか用意したうえで室内へ。
「エステール様は、ローレンツ様とタルヤ様との時間は」
「主人は移動の完了を王城へ報告に。タルヤ様は、今はパロティア様の部屋の用意を」
「ああ、そうですね。私が眠ってしまいましたが」
「どうぞ、オユキ様はしっかりと休んで頂けますように。そのために、私どもがいるわけですから」
「お言葉に、まずは甘える事としましょう。ええと、エステール様、後は馬車からまずは」
「ええ、お任せください。ですがオユキ様、此処は公爵様からお借りしている場ですから、お寛ぎ頂く部屋の外では」
「それも、そうですか」
一応、オユキの手によって完成を見た手布が一枚。それを、トモエに渡してほしいと、オユキがエステールに頼んでみれば。わかっていると頷かれたうえで、用意の終わった席へと、案内される。雪の降る室内という、なんとも奇妙な場にはなっているのだが、こうして食事を用意した席については雪が綺麗に避けている。有難い事ではあるのだが、トモエが実に味のある顔をしているので、どうかこの辺りは説明があっても良いのではないかと。
「エステール様は、そちらが冬の装いですか」
「はい。生地を厚手に、それだけでは少々難しいようでしたから」
「流石に、廊下もとなると、少々難しいでしょうから、公爵様に頼んでと部屋の外にとさせて頂きましょうか」
「主の部屋、その直ぐ外に使用人の施設をというのは」
「派手な作業にはなりそうですが、壁を切ってそこに埋め込む形で簡単に衣装だなくらいはと思いますが」
ただ、どうなのだろうか。オユキには降る雪が、何かをすることも無い。それは身に着けた衣装にしても同様に。だが、トモエもそうであり、エステールにしても雪が積もっているのだ。この辺りが、成程種族の差かとオユキは妙な納得を得ながらも。
「どう、でしょうか。使用人の方々としては、雪でというよりも濡れた衣服というのは」
「そう、ですね。速やかに洗濯に回さなければいけませんし」
「ええと、トモエさんも」
「私も、そうですね。オユキさんの側であれば、そこまで問題にはなりませんが」
トモエにしても、今初めて気が付いたといわんばかりに。ある程度以上、今、食卓を挟んで互いに向かい合っている。この程度の距離でもはや無理なのだろう。
そもそも、トモエとオユキの寝室でもある、こうして寛げる一室には衣装棚など置いてはいない。別に衣装部屋が用意されておりそれも、トモエとオユキで別々に用意された部屋に、納められている。
「少し、考えなければなりませんか」
「いえ、構わないでしょう。優先は、オユキさんの体調ですから」
「ですが、その結果としてトモエさんが」
「私が風邪をひくことがあれば、そうですね、その時に改めて考えましょうか」
トモエは、そうしては平然と笑いながら。オユキの前にだけ並べられているガレットを見れば、どうやらトモエは既に食事を終えているらしい。のんびりと、こちらに来てから暫くの間にどうやらお気に入りを見つけたらしいお茶をゆっくりと飲んでいる。どうにも、オユキが食べ終わるまでは、これは開放してくれそうにないなと考えて、置かれていた食器を手に取り、切り分けながらも口に運ぶ。
室内が、間違いなく氷点下になっているからだろうか。オユキはその様な事は無いのだが、トモエにしても、エステールにしても。吐く息が白い。ガレットからも、はっきりと湯気が立ち上っている。だが、どうだろうか。一口大に切り分けて、改めてオユキが己の口に運ぼうとしたときには、冷めている。かつてであれば、少し残念に思いもしたのだろうが、今となってはこちらの方がオユキにとっては嬉しい物になっている。
「ああ、それとエステール様。公爵夫人から、また日程を言われるかと思いますが」
「日程、ですか」
「はい。セツナ様が、クレド様の衣装であったり、刺繍用の糸ですね。後は、里に持ち帰る品を選ぶためにと、宋任たちを一度読んで頂くことになっています」
「オユキ様は、外に、いえ、失礼いたしました」
それこそ、本来であれば王都でトモエと並んで歩いてというのもいいかもしれない。だが、あまりにも明確な問題として、武国の者どもの狼藉がある。神国の王都で、どういった振る舞いをしているかは今公爵が改めて確認をしている処ではあるのだが、少なくとも魔国に置いてきた者たちのいくらかが神国に来ているだろうとは考えている。闘技大会への参加、それが許されている者たちではないだろうが、そこで武国からの者たちと、諍いを起こしそうな気配もある。何より、神国の者たちに対して出場枠をよこせなどと言っても可笑しくないと、トモエもオユキもそう考えている。
「正直な所を申しますと、言葉を選ばなければといいますか」
「そうですね、蛮族と言える方々のようですから」
「上層部はまともだと良いのですが、正直、前回のアベル様のお父上の事を考えてしまうと」
思い返してみれば、あのアダムという男にしても近しい真似は、計算の上だとしても行っていたのだ。今回はそうした策謀の気配も無い。寧ろ、魔国で暫くとはいえ堪えていたのは、一度そうした経験があったからこそ、なのだが。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
Fragment-memory of future-Ⅱ
黒乃
ファンタジー
小説内容の無断転載・無断使用・自作発言厳禁
Repost is prohibited.
무단 전하 금지
禁止擅自转载
W主人公で繰り広げられる冒険譚のような、一昔前のRPGを彷彿させるようなストーリーになります。
バトル要素あり。BL要素あります。苦手な方はご注意を。
今作は前作『Fragment-memory of future-』の二部作目になります。
カクヨム・ノベルアップ+でも投稿しています
Copyright 2019 黒乃
******
主人公のレイが女神の巫女として覚醒してから2年の月日が経った。
主人公のエイリークが仲間を取り戻してから2年の月日が経った。
平和かと思われていた世界。
しかし裏では確実に不穏な影が蠢いていた。
彼らに訪れる新たな脅威とは──?
──それは過去から未来へ紡ぐ物語
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
異世界坊主の成り上がり
峯松めだか(旧かぐつち)
ファンタジー
山歩き中の似非坊主が気が付いたら異世界に居た、放っておいても生き残る程度の生存能力の山男、どうやら坊主扱いで布教せよということらしい、そんなこと言うと坊主は皆死んだら異世界か?名前だけで和尚(おしょう)にされた山男の明日はどっちだ?
矢鱈と生物学的に細かいゴブリンの生態がウリです?
本編の方は無事完結したので、後はひたすら番外で肉付けしています。
タイトル変えてみました、
旧題異世界坊主のハーレム話
旧旧題ようこそ異世界 迷い混んだのは坊主でした
「坊主が死んだら異世界でした 仏の威光は異世界でも通用しますか? それはそうとして、ゴブリンの生態が色々エグいのですが…」
迷子な坊主のサバイバル生活 異世界で念仏は使えますか?「旧題・異世界坊主」
ヒロイン其の2のエリスのイメージが有る程度固まったので画像にしてみました、灯に関しては未だしっくり来ていないので・・未公開
因みに、新作も一応準備済みです、良かったら見てやって下さい。
少女は石と旅に出る
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893967766
SF風味なファンタジー、一応この異世界坊主とパラレル的にリンクします
少女は其れでも生き足掻く
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893670055
中世ヨーロッパファンタジー、独立してます
World of Fantasia
神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。
世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。
圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。
そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。
現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。
2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。
世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる