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33章 神国へ戻って
到着
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「久しぶり、ですね」
橋の終わりとでもいえばいいのだろうか、そこには入口にあった物ともまた異なる扉が設置されていた。直感的にと言う事も無い、しかし橋の内側からウニルの町が見えるでもない。これについては、魔国側、未だに名前も無き砦と教会だけが用意され、それを覆う壁がどうにか少しづつとなっている場所と同様に。
いよいよもって、どういった理屈かは分からない。だが、成程ダンジョンに近いという話にしてもこうした部分から。さらには、常にそこにあるとはいえ入るたびに仲が変わるような施設なのだ。そう考えられても仕方が無いというもの。差し当たって、ダンジョンとの大きな違いは内部にいる魔物から魔石が得られる事であろう。その魔石にしても、馬車一台では足りぬほどが集まり、今はそちらを騎士たちの一部がウニルの狩猟者ギルドに持ち込んでいる。オユキとしても、ギルドに期間報告を等と考えるのだが、そちらに関しては未だに所属が始まりの町でもあるため、そちらにするので良いのではないかとそうした話もされて。
「あー、やっぱ、俺はこっちが好きだな」
「私も」
そして、到着するなり緑の匂いと、近くを流れる大河の水から来るかすかな寒さと。何よりも、シグルドとセシリアとしては、こちらが己の暮らす場だとそうした意識があるからだろう。他の者たちがそうした言葉を口にせずとも頷きながら、始まりの町のほうに視線を向けるあたりしっかりと郷愁とでもいえばいいのだろうか、年に似合わないそれをしっかりと持っているらしい。最も、年齢にそぐわないなどという事は、そうした感情には関係ないのだが。
「皆さん、出入り口の前ですから」
「ああ、そういや、そうだな」
「ええ。一度落ち着くのは、そういえば、宿の手配などはありませんでしたね」
「橋を渡ると決めたわけですし、一応、渡るまでの期間がある程度決まっているとはいえ」
「そうですね。誤差も出る以上は、そのあたり難しい事もありますか」
オユキとしては、そうしたことも踏まえて、いよいよ金銭で方が付くのだから等と考えないでもないのだが、そもそも今回にしても日程を大幅に変えているのだ。此処でそうした振る舞いをしようと思えば、門の移動までを含めた金銭の支払いが必要になる。オユキとしても、その程度でファンタズマ子爵家が傾くことが無いと理解はしている。だが、割合として小数点以下とはいえ、それで表現が出来てしまう程の浪費は流石に望みはしない。特に、今回魔国での狩猟の成果に関しては、トモエのほうで色々と思う所もあり、ミリアムに言われたこともあり。大部分を魔国の物としている。こればかりは、ミリアムがどうにか魔国における狩猟者ギルドを健全化させた、始まりの町から忙しいだろうに増援として駆り出された者たちとの共同成果として、税収なども魔国と話し合いの元に決定したことも大きい。
魔道具というものを使い、それを基盤として都市をつくる魔国。そこで求められる税というのは、神国の比ではない。少年たちが思わず真顔になるほどに、愉快な金額であることは事実。この辺りは、少年たちに対してもオユキがかなりかみ砕いて説明を行う事になったのだが、そもそも魔石が不足している現状があり、さらには神国と比べて騎士も陸にいなければ、傭兵も、狩猟者もいない国。だというのに、神国よりも余程魔石の需要が高い国。そこでは、魔石が神国に比べて高級品であるには違いない。額面としてみたときに、かなりの額を徴収されていると確かに感じるだろうが、率でいえば、倍と迄はいかない程度にしか変わっていないのだと、そんな説明を。生憎と、理解をしてくれたのはアドリアーナだけであり、少年たちにしても一人が分かったのならそれでいいやと実に見事な割り切りを見せた物だ。
そこで、オユキが改めて数学、学問の必要性を俎上に挙げてみれば結果としてオユキの午前が魔術の勉強に埋められた。
「今暫く、此処で休んだうえで始まりの町に戻りましょうか」
「俺らも、ちょっと此処で手に入れていきたいのもあるし」
「ね。メイ様もカングレホとか、メルルーサ好きだもんね」
「メルルーサはどうでしょうか、少々日が過ぎているので」
「それも、そうか」
「干物の販売という意味では、まだ取り扱いがあるかもしれませんし、それ以外の魚介も増えていそうですし」
「あー、こっちのメルカドに行くことも俺らそれなりにあるけど、日持ちしないとかでもって帰れないのが」
「今は、カナリアさんもいますし、改めて頼んで持ち帰るのもいいでしょう」
どうしたところで、魚介というのは足が速い。
「そういや、おばさんいるのか」
「私も、便利だからどうにかって思ってるけど」
「氷は難しいって言われたじゃない。水と癒しの奇跡とは、また領分が違うからって」
「それだと、冬と眠りの女神さまが月と安息の女神さまの妹だし、私がって思うんだけど」
「アンは、そういや巫女のばーさんからも色々言われてるし、奇跡はまだなんだっけ」
「うん。なんだか、私はちょっと方向が違うんだって」
巫女に対して与えられる奇跡というのが、舞や歌である以上はそれはそうだろうと。そんな事を考えながら、トモエとオユキが揃って頷きなどを作っていれば。
「オユキ様」
「はて、イマノルさんとも、クララさんとも違うようですが」
そうしてみれば、到着の知らせが方々に向かったのだろう。宿の手配を等とオユキは考えていたものだが、それを行う者たちが、行う役割を持っている者たちが慌てない理由がこれかと想像はつく。だが、それを考えたときに、この街を預かる者たちが来ないのはと、オユキとしても首をかしげるしかない。
これで、家紋などが見える位置、もしくは向かってきている馬車に家紋でも掲げてあれば。最低限の教育をうけて周囲の貴族などの家紋をどうにか覚えきったオユキとしては、相手が分かるのだがと首をかしげて。そして、向かってきている気配とでもいえばいいのだろうか。トモエが警戒を向けている以上は、やはり知人では無いと分かるからこそ。
「私が、伺って参りましょうか」
「いえ、先ぶれがあっての事でしょうし」
「とすれば」
「そのあたりは、どうなのでしょうか」
シェリアが、すわローレンツの落ち度かと、そうした視線を。だが、この移動に関しては、そもそもオユキの元に指揮系統がない以上は、宿泊に関わることなどはいよいよ決まったことを報告として受けるだけ。つまりは、案内される側ではないのかと考えて。そんな事を、話してみれば、シェリアにしても今回に関しては色々と特例が過ぎることもあり判断における差、誰が何を決めることが出来るのかという指揮系統、それが少々あやふやだと改めて。
そして、そんな事を考えていれば馬車がトモエとオユキの側にたどり着き、中から老年の男性が従者に手を取られて先に居り、そしてその男性が今度は己の伴侶に手を差し伸べて。
成程、そうして、馬車から出てきたのならば、相手がだれか、その衣装に誂られた家紋を見ればオユキも理解が及ぶ。だからこそ、その場で片膝をついたうえで頭を下げて。そして、オユキがそのように動いたからと言う訳でも無く、トモエにしても武器に伸びていた手を改めて腰の後ろに回し、反対の手を胸元に。そして、膝をついたうえで頭を下げる。位置としては、それこそ本来であればオユキを前にとしなければならないところではあるのだが、その場でとしているためそうもいかず。
「ふむ。その方らとは、初めて会うな。息子から色々と話を聞いているために、どうにもそうした気分にもならぬのだが」
「ええ、本当に。さて、私たちは既に後を譲った身、どうぞ皆さん顔をお上げになって」
「うむ。我としても、長旅を終えたその方らに、旅の汚れも落とさぬままにこのような場で更に土をつけさせることを望む物ではない。生憎と、この場に居るものすべてをと言う訳にはいかぬが、ファンタズマ子爵、それに連なる者たちよ。始まりの町へと戻る前に、我が屋敷で一度休むが良い」
そう言いながらも、先代マリーア公爵がさて何処から何処までかと、そんな視線を巡らせて。それに気が付いたオユキとしても、また難しいと言えばいいのだろう。少年たちと、この後食事でもしながら少しウニルでの予定を話そうか、そんな事を考えていたのだ。実のところ、トモエにしてもウニルであれば水と癒しの教会、領都で縁を得た子供たちとも改めて顔を合わせたいからと、教会での宿泊に問題はないかとそんな話を少年たちにしていたこともある。
そうした、僅かな逡巡があったからと言う訳でもないのだが。
「ふむ」
「あら、もう、何か決めていたことがあったのかしら」
先代公爵夫妻が、何やら決めたことが、優先することがと。
「直答の許可を頂きたく」
「ああ、忘れておったな。成程、先ほど我妻の言葉にもあったのだが、我は既に退いた身故そう畏まる必要も無い。改めて、顔を上げるとよい」
どうやら、伝わらなかった、促成栽培の貴族なのだと、そうした理解が得られたことをオユキとしては幸いとして。
「改めて、お初に御目文字致します。先代マリーア公爵様」
「うむ。名乗るが良い」
「この身はオユキ・ファンタズマ。有難くも、神国にて子爵という位を頂き現マリーア公爵様にお引き頂いております」
「ああ。それについても、我が息子から、現当主からよくよく聞かされておるとも。さて、ウニル、この町での逗留については現当主からの連絡が遅れている様子ではあるのだが、我ら公爵家の屋敷でと考えておる。故に」
「ご厚情真に有難く。私共、と言う事でしたら」
そして、少年たちを、アベルを省いたうえでオユキが己の身の回りの物を告げる。そして、先代マリーア公爵にとっては意外過ぎる客人がいる旨を改めて。そして、何やら魔国からの者たちが半ば驚きと共にオユキに視線を向けてくるのだが、そもそも勝手についてきている者たち。一応は、魔国の王妃から頼まれた者たちではあるのだがそれにしても、オユキが責任者と言う訳でもない。難しい部分とでもいえばいいのだろうか、此処で、魔国から調査としてついてきている者たちまでもマリーア公爵家にとなってしまえばまた面倒が起こるだろうと考えての事でもある。
ああ、そのあたりまで考えて、馬車に家紋が付いていないのかとも。
橋の終わりとでもいえばいいのだろうか、そこには入口にあった物ともまた異なる扉が設置されていた。直感的にと言う事も無い、しかし橋の内側からウニルの町が見えるでもない。これについては、魔国側、未だに名前も無き砦と教会だけが用意され、それを覆う壁がどうにか少しづつとなっている場所と同様に。
いよいよもって、どういった理屈かは分からない。だが、成程ダンジョンに近いという話にしてもこうした部分から。さらには、常にそこにあるとはいえ入るたびに仲が変わるような施設なのだ。そう考えられても仕方が無いというもの。差し当たって、ダンジョンとの大きな違いは内部にいる魔物から魔石が得られる事であろう。その魔石にしても、馬車一台では足りぬほどが集まり、今はそちらを騎士たちの一部がウニルの狩猟者ギルドに持ち込んでいる。オユキとしても、ギルドに期間報告を等と考えるのだが、そちらに関しては未だに所属が始まりの町でもあるため、そちらにするので良いのではないかとそうした話もされて。
「あー、やっぱ、俺はこっちが好きだな」
「私も」
そして、到着するなり緑の匂いと、近くを流れる大河の水から来るかすかな寒さと。何よりも、シグルドとセシリアとしては、こちらが己の暮らす場だとそうした意識があるからだろう。他の者たちがそうした言葉を口にせずとも頷きながら、始まりの町のほうに視線を向けるあたりしっかりと郷愁とでもいえばいいのだろうか、年に似合わないそれをしっかりと持っているらしい。最も、年齢にそぐわないなどという事は、そうした感情には関係ないのだが。
「皆さん、出入り口の前ですから」
「ああ、そういや、そうだな」
「ええ。一度落ち着くのは、そういえば、宿の手配などはありませんでしたね」
「橋を渡ると決めたわけですし、一応、渡るまでの期間がある程度決まっているとはいえ」
「そうですね。誤差も出る以上は、そのあたり難しい事もありますか」
オユキとしては、そうしたことも踏まえて、いよいよ金銭で方が付くのだから等と考えないでもないのだが、そもそも今回にしても日程を大幅に変えているのだ。此処でそうした振る舞いをしようと思えば、門の移動までを含めた金銭の支払いが必要になる。オユキとしても、その程度でファンタズマ子爵家が傾くことが無いと理解はしている。だが、割合として小数点以下とはいえ、それで表現が出来てしまう程の浪費は流石に望みはしない。特に、今回魔国での狩猟の成果に関しては、トモエのほうで色々と思う所もあり、ミリアムに言われたこともあり。大部分を魔国の物としている。こればかりは、ミリアムがどうにか魔国における狩猟者ギルドを健全化させた、始まりの町から忙しいだろうに増援として駆り出された者たちとの共同成果として、税収なども魔国と話し合いの元に決定したことも大きい。
魔道具というものを使い、それを基盤として都市をつくる魔国。そこで求められる税というのは、神国の比ではない。少年たちが思わず真顔になるほどに、愉快な金額であることは事実。この辺りは、少年たちに対してもオユキがかなりかみ砕いて説明を行う事になったのだが、そもそも魔石が不足している現状があり、さらには神国と比べて騎士も陸にいなければ、傭兵も、狩猟者もいない国。だというのに、神国よりも余程魔石の需要が高い国。そこでは、魔石が神国に比べて高級品であるには違いない。額面としてみたときに、かなりの額を徴収されていると確かに感じるだろうが、率でいえば、倍と迄はいかない程度にしか変わっていないのだと、そんな説明を。生憎と、理解をしてくれたのはアドリアーナだけであり、少年たちにしても一人が分かったのならそれでいいやと実に見事な割り切りを見せた物だ。
そこで、オユキが改めて数学、学問の必要性を俎上に挙げてみれば結果としてオユキの午前が魔術の勉強に埋められた。
「今暫く、此処で休んだうえで始まりの町に戻りましょうか」
「俺らも、ちょっと此処で手に入れていきたいのもあるし」
「ね。メイ様もカングレホとか、メルルーサ好きだもんね」
「メルルーサはどうでしょうか、少々日が過ぎているので」
「それも、そうか」
「干物の販売という意味では、まだ取り扱いがあるかもしれませんし、それ以外の魚介も増えていそうですし」
「あー、こっちのメルカドに行くことも俺らそれなりにあるけど、日持ちしないとかでもって帰れないのが」
「今は、カナリアさんもいますし、改めて頼んで持ち帰るのもいいでしょう」
どうしたところで、魚介というのは足が速い。
「そういや、おばさんいるのか」
「私も、便利だからどうにかって思ってるけど」
「氷は難しいって言われたじゃない。水と癒しの奇跡とは、また領分が違うからって」
「それだと、冬と眠りの女神さまが月と安息の女神さまの妹だし、私がって思うんだけど」
「アンは、そういや巫女のばーさんからも色々言われてるし、奇跡はまだなんだっけ」
「うん。なんだか、私はちょっと方向が違うんだって」
巫女に対して与えられる奇跡というのが、舞や歌である以上はそれはそうだろうと。そんな事を考えながら、トモエとオユキが揃って頷きなどを作っていれば。
「オユキ様」
「はて、イマノルさんとも、クララさんとも違うようですが」
そうしてみれば、到着の知らせが方々に向かったのだろう。宿の手配を等とオユキは考えていたものだが、それを行う者たちが、行う役割を持っている者たちが慌てない理由がこれかと想像はつく。だが、それを考えたときに、この街を預かる者たちが来ないのはと、オユキとしても首をかしげるしかない。
これで、家紋などが見える位置、もしくは向かってきている馬車に家紋でも掲げてあれば。最低限の教育をうけて周囲の貴族などの家紋をどうにか覚えきったオユキとしては、相手が分かるのだがと首をかしげて。そして、向かってきている気配とでもいえばいいのだろうか。トモエが警戒を向けている以上は、やはり知人では無いと分かるからこそ。
「私が、伺って参りましょうか」
「いえ、先ぶれがあっての事でしょうし」
「とすれば」
「そのあたりは、どうなのでしょうか」
シェリアが、すわローレンツの落ち度かと、そうした視線を。だが、この移動に関しては、そもそもオユキの元に指揮系統がない以上は、宿泊に関わることなどはいよいよ決まったことを報告として受けるだけ。つまりは、案内される側ではないのかと考えて。そんな事を、話してみれば、シェリアにしても今回に関しては色々と特例が過ぎることもあり判断における差、誰が何を決めることが出来るのかという指揮系統、それが少々あやふやだと改めて。
そして、そんな事を考えていれば馬車がトモエとオユキの側にたどり着き、中から老年の男性が従者に手を取られて先に居り、そしてその男性が今度は己の伴侶に手を差し伸べて。
成程、そうして、馬車から出てきたのならば、相手がだれか、その衣装に誂られた家紋を見ればオユキも理解が及ぶ。だからこそ、その場で片膝をついたうえで頭を下げて。そして、オユキがそのように動いたからと言う訳でも無く、トモエにしても武器に伸びていた手を改めて腰の後ろに回し、反対の手を胸元に。そして、膝をついたうえで頭を下げる。位置としては、それこそ本来であればオユキを前にとしなければならないところではあるのだが、その場でとしているためそうもいかず。
「ふむ。その方らとは、初めて会うな。息子から色々と話を聞いているために、どうにもそうした気分にもならぬのだが」
「ええ、本当に。さて、私たちは既に後を譲った身、どうぞ皆さん顔をお上げになって」
「うむ。我としても、長旅を終えたその方らに、旅の汚れも落とさぬままにこのような場で更に土をつけさせることを望む物ではない。生憎と、この場に居るものすべてをと言う訳にはいかぬが、ファンタズマ子爵、それに連なる者たちよ。始まりの町へと戻る前に、我が屋敷で一度休むが良い」
そう言いながらも、先代マリーア公爵がさて何処から何処までかと、そんな視線を巡らせて。それに気が付いたオユキとしても、また難しいと言えばいいのだろう。少年たちと、この後食事でもしながら少しウニルでの予定を話そうか、そんな事を考えていたのだ。実のところ、トモエにしてもウニルであれば水と癒しの教会、領都で縁を得た子供たちとも改めて顔を合わせたいからと、教会での宿泊に問題はないかとそんな話を少年たちにしていたこともある。
そうした、僅かな逡巡があったからと言う訳でもないのだが。
「ふむ」
「あら、もう、何か決めていたことがあったのかしら」
先代公爵夫妻が、何やら決めたことが、優先することがと。
「直答の許可を頂きたく」
「ああ、忘れておったな。成程、先ほど我妻の言葉にもあったのだが、我は既に退いた身故そう畏まる必要も無い。改めて、顔を上げるとよい」
どうやら、伝わらなかった、促成栽培の貴族なのだと、そうした理解が得られたことをオユキとしては幸いとして。
「改めて、お初に御目文字致します。先代マリーア公爵様」
「うむ。名乗るが良い」
「この身はオユキ・ファンタズマ。有難くも、神国にて子爵という位を頂き現マリーア公爵様にお引き頂いております」
「ああ。それについても、我が息子から、現当主からよくよく聞かされておるとも。さて、ウニル、この町での逗留については現当主からの連絡が遅れている様子ではあるのだが、我ら公爵家の屋敷でと考えておる。故に」
「ご厚情真に有難く。私共、と言う事でしたら」
そして、少年たちを、アベルを省いたうえでオユキが己の身の回りの物を告げる。そして、先代マリーア公爵にとっては意外過ぎる客人がいる旨を改めて。そして、何やら魔国からの者たちが半ば驚きと共にオユキに視線を向けてくるのだが、そもそも勝手についてきている者たち。一応は、魔国の王妃から頼まれた者たちではあるのだがそれにしても、オユキが責任者と言う訳でもない。難しい部分とでもいえばいいのだろうか、此処で、魔国から調査としてついてきている者たちまでもマリーア公爵家にとなってしまえばまた面倒が起こるだろうと考えての事でもある。
ああ、そのあたりまで考えて、馬車に家紋が付いていないのかとも。
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