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33章 神国へ戻って
食事の時間
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「あ、意外とおいしいかも」
「身の回りでは、翼人種の方が好んで食べている物、近縁種ではありますが、ですので味自体は問題ないだろうと考えてはいましたが、成程」
「結構、弾力強いな、その割になんか薄いっつーか」
「トモエさんが、薄く切った理由、なんとなくわかるかも」
「えっと、前にアルノーさんと話してた、濃い目のソースでしたっけ」
「私たちのほうでは、蒲焼という調理法になりますが、アルノーさんのほうでは濃く作ったトマトソースですね、それを使ってとのことらしいのですが」
「あれって、えっとあれ、なんだっけ。ウナギ、じゃなくて」
「アンギラ、ですよ」
蛇の肉、トモエの言葉の通り、殊更翼人種が好む肉でもありこれまでは捧げものとして基本は納品としていたものの。勿論、道楽としての趣味も持ち合わせているトモエが、オユキに配慮が必要ではあるのだが機会があればと考えていた結果として。もとより、かつての世界でも、蛇を食べる、料理として出す地域が多い事もありオユキも抵抗は無い。寧ろ、これまでに食べた物よりも、確かに淡白な身質であり、油も少ないその肉は口に運びやすい。ウナギに関しては、白焼きにしても脂を強く感じる事になったため少々の苦手意識がどうしても出てしまった。勿論、蛇の肉にしてもそうした部分が無いでもないのだが、セツナもどこか嬉し気に口を運んでいるところを見る限りまさに冬と眠りによった特徴を持つ生き物だからこそと言う事でもあるのだろうなと。
「ただ、冬眠となると熊もそうだったはずなのですが」
「さて、こちらの熊の内、私の覚えている冬眠する類の物がいたようには思えませんが」
「え。熊って、みんな冬眠するんじゃ」
「いえ、そういったわけではありませんよ。私たちの暮らしていた地域のツキノワグマが限度と考えられていましたし、北に行けばホッキョクグマは雌だけでしたか」
「おや、そうだったのですね」
こちらにいる熊は、確かにこれまでに見たところ山脈にいるとされているヒグマとはまた異なる種類。勿論、オユキ自身、そこまで詳しいわけでもないのだが、それでもかつての頃には魔物の大きさと、元にいた世界の動物との比較を行っていた者たちもいたのだ。そうして、なんとなく覚えていた話とでもいえばいいのだろうか。
「えっと、こっちで見る熊って、ツキノワグマじゃないんですか、胸元に特徴的な」
「いえ、魔物としてソポルトと呼んでいることもあり、ヒグマと勘違いしやすい事もありますが、元の世界でいえばマレーグマですよ。胸元の模様は確かによく似ていますが、こちらの熊は鼻周りも同じような色をしているでしょう」
「そう言えば、そうかも。えっと、でもツキノワグマも」
「そうですね、一部にそうした特徴を持つ子もいるかもしれませんが、あちらは基本として鼻周りの毛も黒が一般的ですから」
トモエが、サキに向けてかつての世界の生き物を説明しているのを背景に聞きながら、オユキはやはり野菜類の少なさ、葉物野菜、どうしたところである程度以上の期間を移動しなければならない時には、覿面に無くなるそれを寂しく思いながらもトモエが作ったマッシュドポテトをスプーンですくって口に運ぶ。オユキが散々に皮をむいていたジャガイモが、きちんとこうして使われているというものだ。とはいってもトモエが用意に使ったのはパウが運んでいったタライとは別にしていたもの。
「あー、何言ってっかたまにわかんなくなるけど」
「かつての世界の、異邦の話ですから。皆さんには、なかなか伝わらないものでしょう。それこそ、翻訳の加護を考えれば今トモエさんとサキさんが話している内容というのは、いよいよ魔物として呼ばれている名前とそこまで変わらないでしょうから。いえ、少し先に行けば、グリズリーやマーダーベアーなども出てきますし、サイズでの区分で見れば」
「あ、オユキちゃん、そういえば私たちも今日はスープ作ったんだよ」
「おや、ではせっかくですから、そちらも頂きましょうか」
オユキの手元には、それこそトモエが用意した皿以外は今のところ無く、基本として用意されている大量に焼かれた肉などはきちんと避けられている。これは、セツナも同様に。
「妾のほうにも、貰えるかの」
「えっと、セツナさんは好き嫌い、というよりも、オユキちゃんみたいに」
「妾たちにしても、種族として苦手な物があるには違いないが長じればそのあたりも問題は無くなるからのう」
「じゃあ、セツナさんがオユキちゃんを幼子って呼ぶのは」
「見目にしてもそうじゃし、力の扱いも同様じゃな。妾たちは精霊としての色も強く、相応に成長も本来であれば早いのじゃがのう」
「いえ、そう呼ばれることには慣れてきていますが、私としては生前の事もありますし」
「異邦からというのは聞いておるし、理解もしておる。中身と器とがちぐはぐじゃと言う事もな。そのあたり、酷な物とは思うのじゃがな」
「ああ。どうにも、肉体自体が真新しいとでもいえばいいのか。正直、成長を感じないからな」
そして、ここまで黙っていたクレドからも。彼のほうは狩に参加したうえに、それが終われば今度は大量の、馬車に詰める程度のそれもあくまで礼品の一部でしかない布でしかないのだが、それでもセツナにとっては盛り上がるに十分な量の布があったのだ。それを、あれこれと布のままではあるのだが、シェリアにエステールといういよいよ慣れない相手を側においてとしていれば、かつてのオユキもそうであったように相応に疲労もたまるっただろう。救いと言えば、己の伴侶がそうして楽しむ姿をただ楽しく眺めていられる時間だと、それくらい。
「成長を、感じないですか」
クレドの、とてもではないが聞き逃せない言葉に、思わずオユキの口調も鋭くなる。
「今後のと言う事であれば、分からんが。お前らの今を見る限り、トモエはともかくお前は数年も経ってないだろう」
「あんちゃんがともかくってのは」
「これまでの事を考えれば、長い時間使っていた体でもありますから」
流石に入れ替わりであったり、かつてのゲームでアバターをという話を、少年たちにまでする気はオユキとしても無い。そこに偏見などが生まれて、そんな事をオユキは考えていないのだが、間違いなく無用な混乱は引き起こすだろうからと。そのあたりは、いよいよ生前の事と言えばいいのだろうか。かつて、切欠一つでトモエが、オユキが今のようになったこともある。ならば、なくて良い事は、それこそ話して回っている者達ほどに、相応に齢を重ねて、己を確たるものとして。それから話そうと、トモエとオユキの間で決まっている。
「あー、異邦の人らの一部は、前にこっちに来てた時に使ってた体があるって話だっけか」
「シグルド君、一部、というのは」
「前にばーさんから聞いた話だけど、なんだっけか」
思い出そうとして、思い出せないと首をかしげて。それから、シグルドがアナを呼ぶ。アナのほうは、トモエとサキの話が今日の料理に移ったこともあって、そちらが気になるからとそっちに体ごと移動していたのだが。
「えっと、随分前に聞いた話の事」
「そうだっけ」
「そういえば、オユキちゃん、巫女様になってるけどこの辺りの話も知らないんだっけ」
「どうにも、所作を習う事を優先していることもありまして、知識に関しては」
「えっと、こっちだと有名な創世記の少し後の話になるんだけど、異邦の人たちが、創造神様が十回目に他の世界と繋いだときの話で」
言われた言葉に、これはまた、随分な話が飛び出してくるものだと。そして、この話の正しさとでもいえばいいのだろうか。オユキでは、どうしたところで今、アナが話している内容と、その正しさが保証されていない。既に、この辺りは散々に手痛い失敗をしていることもある。そのままに鵜呑みに等、できはしない類の話なのだから。
「えっと、オユキちゃん」
「その、申し訳ありません。アナさんを疑ってと言う訳では無いのですが、どうにもこの辺りの話は私では他の無いように聞こえることも多くて」
「もう、アナ。そういった話は、助祭様もまだきちんと話すのは難しい話でしょ。司祭様からじゃないと、創世期の話は知らない人にはしちゃダメだって」
「えっと、でも、オユキちゃん、巫女様だよ」
「それは、そうかもしれないけど」
そうして、聞こうとした話は、残念ながらとでもいえばいいのだろうか。本来では、彼女たちの位では口にすることは許されない類の話ではあったらしい。それこそ、こうした話を聞いても驚いていないセツナとクレドもいるあたり、いよいよ当然の知識とでもいえばいいのだろう。
「幼子よ。そのものらが難しいようではあるし、妾たちの里に伝わる昔語りをしても良いが」
「いえ、せっかくですから、戻った折に改めて教会でお伺いしようかと。どうにも、この子たちにしても一部は抜けているようですから」
ただ、簡単に互いに確認をしているからだろうが、少女たちが、持祭の少女たちが互いに互いの言葉に疑問を覚えている様子。確かに、その様子を見るにつけても、まだ話すには早いとそうされる理由がある様子。アナが簡単に口に出した言葉、それにしてもセシリアが五回ではなかったのかと言い出している始末。そして、そうした話を聞いているシグルドにしても何やら首をかしげてもいるのだから。
「そう、ですね。まずはトモエさんのためにも、鞘の用意、その布告を出す心算ではいますから、それが終われば改めて教会でとしたくはありますが」
「祭りが近いから、結構にぎやかだけどな、今」
「そうですね、私たちが手伝えることというのはなさそうですが、お邪魔でなければ」
「手伝ってくれるってんなら、餓鬼どものこと任せられるだけでも十分だし、オユキも知ってるだろうけど」
「まだ、おられますか」
「まだ寝てんのは、四人だけどな。あとは、なんだかんだで教会での暮らしが気に入ってる人らもいてさ。まぁ、そっちはきちんと位を得るのが先になるけど」
「そういえば、貴族の方から行儀見習いを受け入れているという話でしたが、そういった方々は例えば」
「あー、結構少ないんじゃなかったか、アナ、こっちの話、聞いてたか」
あちらはあちらで賑やかに。トモエとサキは、料理談議に花を咲かせ。少女たちのほうでは、何やら老巫女の教えに。パウは、ローレンツをはじめ騎士たちの側で食事をする傍ら、彼の目から見た盾の使い方を尋ねながら。
「身の回りでは、翼人種の方が好んで食べている物、近縁種ではありますが、ですので味自体は問題ないだろうと考えてはいましたが、成程」
「結構、弾力強いな、その割になんか薄いっつーか」
「トモエさんが、薄く切った理由、なんとなくわかるかも」
「えっと、前にアルノーさんと話してた、濃い目のソースでしたっけ」
「私たちのほうでは、蒲焼という調理法になりますが、アルノーさんのほうでは濃く作ったトマトソースですね、それを使ってとのことらしいのですが」
「あれって、えっとあれ、なんだっけ。ウナギ、じゃなくて」
「アンギラ、ですよ」
蛇の肉、トモエの言葉の通り、殊更翼人種が好む肉でもありこれまでは捧げものとして基本は納品としていたものの。勿論、道楽としての趣味も持ち合わせているトモエが、オユキに配慮が必要ではあるのだが機会があればと考えていた結果として。もとより、かつての世界でも、蛇を食べる、料理として出す地域が多い事もありオユキも抵抗は無い。寧ろ、これまでに食べた物よりも、確かに淡白な身質であり、油も少ないその肉は口に運びやすい。ウナギに関しては、白焼きにしても脂を強く感じる事になったため少々の苦手意識がどうしても出てしまった。勿論、蛇の肉にしてもそうした部分が無いでもないのだが、セツナもどこか嬉し気に口を運んでいるところを見る限りまさに冬と眠りによった特徴を持つ生き物だからこそと言う事でもあるのだろうなと。
「ただ、冬眠となると熊もそうだったはずなのですが」
「さて、こちらの熊の内、私の覚えている冬眠する類の物がいたようには思えませんが」
「え。熊って、みんな冬眠するんじゃ」
「いえ、そういったわけではありませんよ。私たちの暮らしていた地域のツキノワグマが限度と考えられていましたし、北に行けばホッキョクグマは雌だけでしたか」
「おや、そうだったのですね」
こちらにいる熊は、確かにこれまでに見たところ山脈にいるとされているヒグマとはまた異なる種類。勿論、オユキ自身、そこまで詳しいわけでもないのだが、それでもかつての頃には魔物の大きさと、元にいた世界の動物との比較を行っていた者たちもいたのだ。そうして、なんとなく覚えていた話とでもいえばいいのだろうか。
「えっと、こっちで見る熊って、ツキノワグマじゃないんですか、胸元に特徴的な」
「いえ、魔物としてソポルトと呼んでいることもあり、ヒグマと勘違いしやすい事もありますが、元の世界でいえばマレーグマですよ。胸元の模様は確かによく似ていますが、こちらの熊は鼻周りも同じような色をしているでしょう」
「そう言えば、そうかも。えっと、でもツキノワグマも」
「そうですね、一部にそうした特徴を持つ子もいるかもしれませんが、あちらは基本として鼻周りの毛も黒が一般的ですから」
トモエが、サキに向けてかつての世界の生き物を説明しているのを背景に聞きながら、オユキはやはり野菜類の少なさ、葉物野菜、どうしたところである程度以上の期間を移動しなければならない時には、覿面に無くなるそれを寂しく思いながらもトモエが作ったマッシュドポテトをスプーンですくって口に運ぶ。オユキが散々に皮をむいていたジャガイモが、きちんとこうして使われているというものだ。とはいってもトモエが用意に使ったのはパウが運んでいったタライとは別にしていたもの。
「あー、何言ってっかたまにわかんなくなるけど」
「かつての世界の、異邦の話ですから。皆さんには、なかなか伝わらないものでしょう。それこそ、翻訳の加護を考えれば今トモエさんとサキさんが話している内容というのは、いよいよ魔物として呼ばれている名前とそこまで変わらないでしょうから。いえ、少し先に行けば、グリズリーやマーダーベアーなども出てきますし、サイズでの区分で見れば」
「あ、オユキちゃん、そういえば私たちも今日はスープ作ったんだよ」
「おや、ではせっかくですから、そちらも頂きましょうか」
オユキの手元には、それこそトモエが用意した皿以外は今のところ無く、基本として用意されている大量に焼かれた肉などはきちんと避けられている。これは、セツナも同様に。
「妾のほうにも、貰えるかの」
「えっと、セツナさんは好き嫌い、というよりも、オユキちゃんみたいに」
「妾たちにしても、種族として苦手な物があるには違いないが長じればそのあたりも問題は無くなるからのう」
「じゃあ、セツナさんがオユキちゃんを幼子って呼ぶのは」
「見目にしてもそうじゃし、力の扱いも同様じゃな。妾たちは精霊としての色も強く、相応に成長も本来であれば早いのじゃがのう」
「いえ、そう呼ばれることには慣れてきていますが、私としては生前の事もありますし」
「異邦からというのは聞いておるし、理解もしておる。中身と器とがちぐはぐじゃと言う事もな。そのあたり、酷な物とは思うのじゃがな」
「ああ。どうにも、肉体自体が真新しいとでもいえばいいのか。正直、成長を感じないからな」
そして、ここまで黙っていたクレドからも。彼のほうは狩に参加したうえに、それが終われば今度は大量の、馬車に詰める程度のそれもあくまで礼品の一部でしかない布でしかないのだが、それでもセツナにとっては盛り上がるに十分な量の布があったのだ。それを、あれこれと布のままではあるのだが、シェリアにエステールといういよいよ慣れない相手を側においてとしていれば、かつてのオユキもそうであったように相応に疲労もたまるっただろう。救いと言えば、己の伴侶がそうして楽しむ姿をただ楽しく眺めていられる時間だと、それくらい。
「成長を、感じないですか」
クレドの、とてもではないが聞き逃せない言葉に、思わずオユキの口調も鋭くなる。
「今後のと言う事であれば、分からんが。お前らの今を見る限り、トモエはともかくお前は数年も経ってないだろう」
「あんちゃんがともかくってのは」
「これまでの事を考えれば、長い時間使っていた体でもありますから」
流石に入れ替わりであったり、かつてのゲームでアバターをという話を、少年たちにまでする気はオユキとしても無い。そこに偏見などが生まれて、そんな事をオユキは考えていないのだが、間違いなく無用な混乱は引き起こすだろうからと。そのあたりは、いよいよ生前の事と言えばいいのだろうか。かつて、切欠一つでトモエが、オユキが今のようになったこともある。ならば、なくて良い事は、それこそ話して回っている者達ほどに、相応に齢を重ねて、己を確たるものとして。それから話そうと、トモエとオユキの間で決まっている。
「あー、異邦の人らの一部は、前にこっちに来てた時に使ってた体があるって話だっけか」
「シグルド君、一部、というのは」
「前にばーさんから聞いた話だけど、なんだっけか」
思い出そうとして、思い出せないと首をかしげて。それから、シグルドがアナを呼ぶ。アナのほうは、トモエとサキの話が今日の料理に移ったこともあって、そちらが気になるからとそっちに体ごと移動していたのだが。
「えっと、随分前に聞いた話の事」
「そうだっけ」
「そういえば、オユキちゃん、巫女様になってるけどこの辺りの話も知らないんだっけ」
「どうにも、所作を習う事を優先していることもありまして、知識に関しては」
「えっと、こっちだと有名な創世記の少し後の話になるんだけど、異邦の人たちが、創造神様が十回目に他の世界と繋いだときの話で」
言われた言葉に、これはまた、随分な話が飛び出してくるものだと。そして、この話の正しさとでもいえばいいのだろうか。オユキでは、どうしたところで今、アナが話している内容と、その正しさが保証されていない。既に、この辺りは散々に手痛い失敗をしていることもある。そのままに鵜呑みに等、できはしない類の話なのだから。
「えっと、オユキちゃん」
「その、申し訳ありません。アナさんを疑ってと言う訳では無いのですが、どうにもこの辺りの話は私では他の無いように聞こえることも多くて」
「もう、アナ。そういった話は、助祭様もまだきちんと話すのは難しい話でしょ。司祭様からじゃないと、創世期の話は知らない人にはしちゃダメだって」
「えっと、でも、オユキちゃん、巫女様だよ」
「それは、そうかもしれないけど」
そうして、聞こうとした話は、残念ながらとでもいえばいいのだろうか。本来では、彼女たちの位では口にすることは許されない類の話ではあったらしい。それこそ、こうした話を聞いても驚いていないセツナとクレドもいるあたり、いよいよ当然の知識とでもいえばいいのだろう。
「幼子よ。そのものらが難しいようではあるし、妾たちの里に伝わる昔語りをしても良いが」
「いえ、せっかくですから、戻った折に改めて教会でお伺いしようかと。どうにも、この子たちにしても一部は抜けているようですから」
ただ、簡単に互いに確認をしているからだろうが、少女たちが、持祭の少女たちが互いに互いの言葉に疑問を覚えている様子。確かに、その様子を見るにつけても、まだ話すには早いとそうされる理由がある様子。アナが簡単に口に出した言葉、それにしてもセシリアが五回ではなかったのかと言い出している始末。そして、そうした話を聞いているシグルドにしても何やら首をかしげてもいるのだから。
「そう、ですね。まずはトモエさんのためにも、鞘の用意、その布告を出す心算ではいますから、それが終われば改めて教会でとしたくはありますが」
「祭りが近いから、結構にぎやかだけどな、今」
「そうですね、私たちが手伝えることというのはなさそうですが、お邪魔でなければ」
「手伝ってくれるってんなら、餓鬼どものこと任せられるだけでも十分だし、オユキも知ってるだろうけど」
「まだ、おられますか」
「まだ寝てんのは、四人だけどな。あとは、なんだかんだで教会での暮らしが気に入ってる人らもいてさ。まぁ、そっちはきちんと位を得るのが先になるけど」
「そういえば、貴族の方から行儀見習いを受け入れているという話でしたが、そういった方々は例えば」
「あー、結構少ないんじゃなかったか、アナ、こっちの話、聞いてたか」
あちらはあちらで賑やかに。トモエとサキは、料理談議に花を咲かせ。少女たちのほうでは、何やら老巫女の教えに。パウは、ローレンツをはじめ騎士たちの側で食事をする傍ら、彼の目から見た盾の使い方を尋ねながら。
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