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33章 神国へ戻って
夕食を用意しながら
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「ミズキリが、何処に、ですか」
「ええ、オユキさんは見当がつきませんか」
「こうした空間につなげる事は初めから想定内でしょうから、間違いなくどこかに出入口が用意されるかとは思いますが、それが今かは私からは何とも言えないのですよね。それこそ、ミズキリの側で準備ができてからというのが自然かと」
「それも、確かに、そうですか」
「トモエさんは、納得がいきませんか。確かに、ここまで整っているとなれば、何か他を加える事に問題を感じるのも分かりますが」
既に一行での移動は橋を使う前の一日を含めれば、四日目になる。つまりは、初日に浮き彫りになった問題点、その修正が話し合われ、実行されて。既に、こうした野営の用意における分担というのも決まり始めているため、実に速やかに。
アルノーの側では、魔国でもしっかりと人員の確保を行った様子であり、神国から彼に付き従っている者たちのさらに下に幾人かが手伝いとして付、こちらはいよいよ十人を数得る程。勿論、護衛だけで三十を超える人数でもあるためにその程度の人員でとても足りる訳も無く。トモエにしても、オユキ用にと別に用意を考えていることもあり、トモエと並んで少女たちがせっせとオユキをはじめとした慣れた者たちの席に出すものを用意している場所。
其処では、勿論陸に料理をしない少年たちのほうに交じって、オユキがせっせと芋の皮をむいては水の張られたたらいに放り込んでいる。味付けに関しては、細かな料理という作業についてはオユキに触らせないようにと、既にここにいる者たちは揃って認識していることもある。
「はい。疑念を覚えるところというのは、確かにあります」
「戻ってから聞いてもいいのですが、また、何事かではぐらかさられるような気がしますし。正直、ミズキリよりも先にルーリエラさんに話を聞いておきたいのですよね」
「ルーおばさんか。オユキって、そういやこっちに来たばかりの時にあって以来なんだっけか」
「と言う事は、皆さんは少し違いますか」
オユキがぽつりと出した名前に、こちらはこちらで串に只管肉と野菜を刺し続けているシグルドが。生憎と、パウは持ち前の膂力を生かして、水を汲んだ鍋を火の上から上げ下ろしを、さらには纏めた食材の箱を取り出したりと力仕事が振られているためにこの場にはいない。
「ああ。前に、話さなかったっけか、いや、言ったのはあんちゃんか。ほら、始まりの町に花精達がきたろ。あの時に、俺が代表みたいな形で話すことになってさ。その時に色々と面倒を見てもらったり、それからもリーアの弓の練習だったり、採取に出る時とかにも色々教えてもらっててさ」
「良い関係を築けているようで、何よりですね。そうですね、皆さんから尋ねて頂けるのであればと思わないでもないのですが」
「あー、言われても覚えておく自信が無いし、手紙かなんかで用意して貰ったら」
「それだと、ミズキリに渡すのと変わりませんから、どうにも私たちは避けられているようでもありますし」
「セリーが、確か、そのあたりなんか言われてなかったっけか」
少年たちにしても、花精との交流という一つの新しい種族を始まりの町に迎え入れるなどというそれはそれは困難な事を成し遂げているのだ。そこで、以前にトモエとオユキが話したようにできる相手を容赦なく巻き込んでいくのだと、問題点を可能な限り、それこそ下手をすればずれた結果が出るかもしれないというのに、彼らでも分かる範囲で切り出して動いて。何とも、よく学んで生かしてくれるものではある。勿論、ファルコの知り合いたちが纏めてやってきたと言う事もあり、そちらも大いに巻き込んだうえでの事ではあるらしいのだが。
「えっと、ミズキリさんだったかな、その人から、できるならあと二年は、あの時からだと後一年半くらいだったかな。積極的に接触しないように言われてるって」
「え、そうなの」
「うん。理由は、なんだったかな、教えてくれたような気はしてるんだけど」
「あー、セリーに何か言ってるのは分かってたけど、そっか、神様の介在を願ったのかな」
「そうかも。言われた事、その時にきちんと話したって分かるんだけど」
「そこまで、やりますか」
何やら、セシリアの言葉に肉の焼き加減に注意を払っていたトモエが、苦笑いなどしている物だ。そして、広く食べる予定の肉以外にも、今日の狩猟の成果の肉だろう、味見用にとこれまたきちんとトモエとして確保している物を、味見用には少々サイズが大きいのではないかと思うのだが、羚羊、ガセラトムソンの肉だけでなく、蛇の肉も塊で焼いている。
「えっと、トモエさん」
「あの男は、いよいよ一度くらいはと思いますが」
「トモエさん、その一度お伝えしましたが」
一応、オユキからはトモエに対して一度トモエがとしてしまえば、ミズキリはいよいよそれを免罪符にするからやめてくれと、そうした話もしているのだ。ただでさえ、オユキが彼に計画の前倒しをさせているという事実もある。それ以上の事柄を、それ以上の言い訳を作ってしまえば、オユキにしてもこれからを考えている暇すらも無くなるに違いないからと。
「ええ、今暫くは」
「あの、トモエさんは、ミズキリさん、嫌いですよね。えっと、オユキちゃんの国王陛下に向けている物とも、また違う気がしますけど」
「そう、ですね。公私の区別なく、あまり好ましくない人物ですね。これで、能力が無ければ、私にできないことがあそこ迄できる人間でなければ容赦なく排除を考えるのですが」
「あの、どうしてそこまで」
「そりゃ、あんちゃんにしてみりゃ、ここまでオユキに好き勝手するんだから、そりゃ気に入らないだろ」
「シグルド君の言葉が正解ですね。この辺りは、セツナ様に聞いていただければ私よりも言葉を尽くしてくださるでしょうが、己の伴侶を粗末に扱われて」
「ええと、トモエさん、過去の事にしてもそうですが、私には納得がありますから」
「オユキさんが納得したとて、私が納得したわけではありません」
オユキの言葉に、トモエはぴしゃりと言い切った上で、今はクレドに着せる服を作るためにと採寸を行っているセツナ達。そちらが使っている、トモエとオユキの馬車に一度視線を向ける。オユキから簡単に話は聞いたのだが、採寸は行ったのかとトモエが尋ねてみれば、セツナにしてもオユキとよく似ていると言えばいいのだろうか。言われて初めて思い出したとばかりに一つ手を打ってと、そのような有様。今は、エステールとシェリアも手伝ったうえで、なんだかんだと礼品として大量に今回も手に入れている布のうち、自由にしていい物を改めて荷物を大量に放り込んだ馬車から移して選んでもらっている最中。それこそ、散々にオユキが世話になっていることもあるため、侍女たちにしても今後の種族間の取引としての事もあるため、好む布であったりの調査には余念がない。
「えっと、トモエさん、それよりもそっちのお肉ですけど」
「サキさんも、味見されますか」
「えっと、その、元の動物っていえばいいのかな。私も、その映像で見た事があるんですけど」
「ああ。以前にオユキさんと出かけた先では、食用とされていましたよ」
トモエの言葉に、サキが改めてオユキになかなか愉快な視線を向けてくるのだが。
「毒という意味では、フグよりは余程分かりやすい物ですし」
「えっと」
「正直、毒腺として明確に区分されるものでは無く、血液自体に毒を含むウナギなどと比べれば、よほど穏当と言えるかもしれません。あとは、素人目に見て、全く区別のつかない植物やキノコの類でしょうか」
「あー、それか。俺も、最近ガキどもに言われて、割とまじまじ見て考えたけどさ」
「ね。言われてみれば、なんでこんなもの食べてみようなんて思ったんだろうって、そう感じる物が多いよね」
「チレもそうじゃない。あんなに辛いの、どう考えても毒としか思えないし」
「香辛料の類は、古来より薬としての取り扱いをという話も聞いてはいますが」
そうして話している間にも、オユキはオユキで用意されたジャガイモの皮むきが全て終わり、手を軽く布で拭き。どうにも、風向きの加減で、生憎とカナリアは毎度の如く短杖を使った結界の設置に駆り出されているために、今は側に居らず。
「そう、ですね。色味だけでいえば、何故こんなものを食べようと考えたのかと、心底首をひねるものもありますよね」
オユキが、具体的にどれとは言わずに。それこそ、こちらに来た時に、市場で少女たちから散々に言われる原因を作った訳の分からないキノコ達を思い出しながら、そんな事をつぶやく。
「ああ、終わったのか」
「おや、パウ君」
「これは、纏めて煮るらしいから、持っていくぞ」
「ええ、お願いしますね」
一抱えでは効かないタライを、パウが平然と抱えてそのままアルノーが細かく指示を出しながら、子供たちと共に作業をする一角に。
「パウ君は、私も幾度か見ていますがかなり力が付きましたね」
「あー、まぁ、な。俺も、結構力ついたと思うけど」
「そうですね。剣の振出、刃の速度。そのあたりはシグルド君も良くなっていますし、そちらに限っていえばパウ君よりも上だと思いますが、この辺りは加護の差と言えるものでしょうか」
「ほんと、いっつもパウは重たい武器持って振り回してるからな。最近は大楯も当たり前のように使ってるし」
「大楯に関しては、まだまだ振り回されているようにも見えますし、そのあたりは教えているローレンツ様に聞かねばわかりませんが」
「俺ら、今回はどこまでやれっかな」
シグルドのほうでも、食材はまだ残っているのだが串が無くなったために、少し手持ち無沙汰になったのか。既にかなり近づいた闘技大会に向けて。
「どう、でしょう。いえ、勿論悪くは無いと思いますが、どうにも部門の分け方の都合と言えばいいのでしょうか」
「あー、一応俺らは成人してっけど」
「皆さんは、去年でしたから。こちらの仕組みの上で、新年祭で皆さん纏めてとのことですし、それを考えたときには」
「そういや、そんな話も聞いたか。でも、なぁ」
「ええ、ですから、今年に関しては皆さん、かなりいいところまで行けると思いますよ」
そう、新成人として別部門を作るわけにもいかず。成人にしても新成人まではと纏められることになるのだと、孫話をオユキも既に聞かされている。つまりは、翌年にしても現状のままではオユキは不参加の憂き目を得る事になる。勿論、オユキは来年こそはと考えているため、今年は是非とも少年たちに、それ以外の成人たちに頑張って欲しい物だと考えているのだ。せめて、三つに階級を分けてもらえるように。
「ええ、オユキさんは見当がつきませんか」
「こうした空間につなげる事は初めから想定内でしょうから、間違いなくどこかに出入口が用意されるかとは思いますが、それが今かは私からは何とも言えないのですよね。それこそ、ミズキリの側で準備ができてからというのが自然かと」
「それも、確かに、そうですか」
「トモエさんは、納得がいきませんか。確かに、ここまで整っているとなれば、何か他を加える事に問題を感じるのも分かりますが」
既に一行での移動は橋を使う前の一日を含めれば、四日目になる。つまりは、初日に浮き彫りになった問題点、その修正が話し合われ、実行されて。既に、こうした野営の用意における分担というのも決まり始めているため、実に速やかに。
アルノーの側では、魔国でもしっかりと人員の確保を行った様子であり、神国から彼に付き従っている者たちのさらに下に幾人かが手伝いとして付、こちらはいよいよ十人を数得る程。勿論、護衛だけで三十を超える人数でもあるためにその程度の人員でとても足りる訳も無く。トモエにしても、オユキ用にと別に用意を考えていることもあり、トモエと並んで少女たちがせっせとオユキをはじめとした慣れた者たちの席に出すものを用意している場所。
其処では、勿論陸に料理をしない少年たちのほうに交じって、オユキがせっせと芋の皮をむいては水の張られたたらいに放り込んでいる。味付けに関しては、細かな料理という作業についてはオユキに触らせないようにと、既にここにいる者たちは揃って認識していることもある。
「はい。疑念を覚えるところというのは、確かにあります」
「戻ってから聞いてもいいのですが、また、何事かではぐらかさられるような気がしますし。正直、ミズキリよりも先にルーリエラさんに話を聞いておきたいのですよね」
「ルーおばさんか。オユキって、そういやこっちに来たばかりの時にあって以来なんだっけか」
「と言う事は、皆さんは少し違いますか」
オユキがぽつりと出した名前に、こちらはこちらで串に只管肉と野菜を刺し続けているシグルドが。生憎と、パウは持ち前の膂力を生かして、水を汲んだ鍋を火の上から上げ下ろしを、さらには纏めた食材の箱を取り出したりと力仕事が振られているためにこの場にはいない。
「ああ。前に、話さなかったっけか、いや、言ったのはあんちゃんか。ほら、始まりの町に花精達がきたろ。あの時に、俺が代表みたいな形で話すことになってさ。その時に色々と面倒を見てもらったり、それからもリーアの弓の練習だったり、採取に出る時とかにも色々教えてもらっててさ」
「良い関係を築けているようで、何よりですね。そうですね、皆さんから尋ねて頂けるのであればと思わないでもないのですが」
「あー、言われても覚えておく自信が無いし、手紙かなんかで用意して貰ったら」
「それだと、ミズキリに渡すのと変わりませんから、どうにも私たちは避けられているようでもありますし」
「セリーが、確か、そのあたりなんか言われてなかったっけか」
少年たちにしても、花精との交流という一つの新しい種族を始まりの町に迎え入れるなどというそれはそれは困難な事を成し遂げているのだ。そこで、以前にトモエとオユキが話したようにできる相手を容赦なく巻き込んでいくのだと、問題点を可能な限り、それこそ下手をすればずれた結果が出るかもしれないというのに、彼らでも分かる範囲で切り出して動いて。何とも、よく学んで生かしてくれるものではある。勿論、ファルコの知り合いたちが纏めてやってきたと言う事もあり、そちらも大いに巻き込んだうえでの事ではあるらしいのだが。
「えっと、ミズキリさんだったかな、その人から、できるならあと二年は、あの時からだと後一年半くらいだったかな。積極的に接触しないように言われてるって」
「え、そうなの」
「うん。理由は、なんだったかな、教えてくれたような気はしてるんだけど」
「あー、セリーに何か言ってるのは分かってたけど、そっか、神様の介在を願ったのかな」
「そうかも。言われた事、その時にきちんと話したって分かるんだけど」
「そこまで、やりますか」
何やら、セシリアの言葉に肉の焼き加減に注意を払っていたトモエが、苦笑いなどしている物だ。そして、広く食べる予定の肉以外にも、今日の狩猟の成果の肉だろう、味見用にとこれまたきちんとトモエとして確保している物を、味見用には少々サイズが大きいのではないかと思うのだが、羚羊、ガセラトムソンの肉だけでなく、蛇の肉も塊で焼いている。
「えっと、トモエさん」
「あの男は、いよいよ一度くらいはと思いますが」
「トモエさん、その一度お伝えしましたが」
一応、オユキからはトモエに対して一度トモエがとしてしまえば、ミズキリはいよいよそれを免罪符にするからやめてくれと、そうした話もしているのだ。ただでさえ、オユキが彼に計画の前倒しをさせているという事実もある。それ以上の事柄を、それ以上の言い訳を作ってしまえば、オユキにしてもこれからを考えている暇すらも無くなるに違いないからと。
「ええ、今暫くは」
「あの、トモエさんは、ミズキリさん、嫌いですよね。えっと、オユキちゃんの国王陛下に向けている物とも、また違う気がしますけど」
「そう、ですね。公私の区別なく、あまり好ましくない人物ですね。これで、能力が無ければ、私にできないことがあそこ迄できる人間でなければ容赦なく排除を考えるのですが」
「あの、どうしてそこまで」
「そりゃ、あんちゃんにしてみりゃ、ここまでオユキに好き勝手するんだから、そりゃ気に入らないだろ」
「シグルド君の言葉が正解ですね。この辺りは、セツナ様に聞いていただければ私よりも言葉を尽くしてくださるでしょうが、己の伴侶を粗末に扱われて」
「ええと、トモエさん、過去の事にしてもそうですが、私には納得がありますから」
「オユキさんが納得したとて、私が納得したわけではありません」
オユキの言葉に、トモエはぴしゃりと言い切った上で、今はクレドに着せる服を作るためにと採寸を行っているセツナ達。そちらが使っている、トモエとオユキの馬車に一度視線を向ける。オユキから簡単に話は聞いたのだが、採寸は行ったのかとトモエが尋ねてみれば、セツナにしてもオユキとよく似ていると言えばいいのだろうか。言われて初めて思い出したとばかりに一つ手を打ってと、そのような有様。今は、エステールとシェリアも手伝ったうえで、なんだかんだと礼品として大量に今回も手に入れている布のうち、自由にしていい物を改めて荷物を大量に放り込んだ馬車から移して選んでもらっている最中。それこそ、散々にオユキが世話になっていることもあるため、侍女たちにしても今後の種族間の取引としての事もあるため、好む布であったりの調査には余念がない。
「えっと、トモエさん、それよりもそっちのお肉ですけど」
「サキさんも、味見されますか」
「えっと、その、元の動物っていえばいいのかな。私も、その映像で見た事があるんですけど」
「ああ。以前にオユキさんと出かけた先では、食用とされていましたよ」
トモエの言葉に、サキが改めてオユキになかなか愉快な視線を向けてくるのだが。
「毒という意味では、フグよりは余程分かりやすい物ですし」
「えっと」
「正直、毒腺として明確に区分されるものでは無く、血液自体に毒を含むウナギなどと比べれば、よほど穏当と言えるかもしれません。あとは、素人目に見て、全く区別のつかない植物やキノコの類でしょうか」
「あー、それか。俺も、最近ガキどもに言われて、割とまじまじ見て考えたけどさ」
「ね。言われてみれば、なんでこんなもの食べてみようなんて思ったんだろうって、そう感じる物が多いよね」
「チレもそうじゃない。あんなに辛いの、どう考えても毒としか思えないし」
「香辛料の類は、古来より薬としての取り扱いをという話も聞いてはいますが」
そうして話している間にも、オユキはオユキで用意されたジャガイモの皮むきが全て終わり、手を軽く布で拭き。どうにも、風向きの加減で、生憎とカナリアは毎度の如く短杖を使った結界の設置に駆り出されているために、今は側に居らず。
「そう、ですね。色味だけでいえば、何故こんなものを食べようと考えたのかと、心底首をひねるものもありますよね」
オユキが、具体的にどれとは言わずに。それこそ、こちらに来た時に、市場で少女たちから散々に言われる原因を作った訳の分からないキノコ達を思い出しながら、そんな事をつぶやく。
「ああ、終わったのか」
「おや、パウ君」
「これは、纏めて煮るらしいから、持っていくぞ」
「ええ、お願いしますね」
一抱えでは効かないタライを、パウが平然と抱えてそのままアルノーが細かく指示を出しながら、子供たちと共に作業をする一角に。
「パウ君は、私も幾度か見ていますがかなり力が付きましたね」
「あー、まぁ、な。俺も、結構力ついたと思うけど」
「そうですね。剣の振出、刃の速度。そのあたりはシグルド君も良くなっていますし、そちらに限っていえばパウ君よりも上だと思いますが、この辺りは加護の差と言えるものでしょうか」
「ほんと、いっつもパウは重たい武器持って振り回してるからな。最近は大楯も当たり前のように使ってるし」
「大楯に関しては、まだまだ振り回されているようにも見えますし、そのあたりは教えているローレンツ様に聞かねばわかりませんが」
「俺ら、今回はどこまでやれっかな」
シグルドのほうでも、食材はまだ残っているのだが串が無くなったために、少し手持ち無沙汰になったのか。既にかなり近づいた闘技大会に向けて。
「どう、でしょう。いえ、勿論悪くは無いと思いますが、どうにも部門の分け方の都合と言えばいいのでしょうか」
「あー、一応俺らは成人してっけど」
「皆さんは、去年でしたから。こちらの仕組みの上で、新年祭で皆さん纏めてとのことですし、それを考えたときには」
「そういや、そんな話も聞いたか。でも、なぁ」
「ええ、ですから、今年に関しては皆さん、かなりいいところまで行けると思いますよ」
そう、新成人として別部門を作るわけにもいかず。成人にしても新成人まではと纏められることになるのだと、孫話をオユキも既に聞かされている。つまりは、翌年にしても現状のままではオユキは不参加の憂き目を得る事になる。勿論、オユキは来年こそはと考えているため、今年は是非とも少年たちに、それ以外の成人たちに頑張って欲しい物だと考えているのだ。せめて、三つに階級を分けてもらえるように。
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