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33章 神国へ戻って
過去の話
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「既に、アベル様とローレンツ様は、トモエさんから話しているそうですが」
こうして、旅の中で、短い杖によって安息の結界を用意し、魔物の領域でもあるためかがり火をたいている中で。そんな時間はいつ以来だろうかと、オユキはそんな事を考える。これから話すことに関しては、いよいよオユキの私的な、過去の話であるには違いなく。勿論、耳目が少ないに越した事は無い。だが、流石に、如何に空間拡張により広がった馬車であろうとも、少年たちまでも一緒に乗り込んで、こうして夕食も終えた後に軽く何かをつまみながらという、そこまでの広さは無い。特に今回は魔国からのお土産であったり、短くはない移動の為にとトモエとオユキの日常の品もそれなりに詰め込んでいることもあるのだから、尚の事空間にそこまで余裕も無い。極端な話、空いている空間など、中央しかないのだ。他の一つはトモエとオユキが休むための部屋となっており、移動が行われるときに使う場所。
同様に、今回はフスカとセツナがいるため、残った二か所も当然そちらに向けての部屋とされている。身の回りで、すぐに使うものに関しては、確かにそれぞれの部屋、空間に置いたうえで残りの道具は随伴の別の馬車に乗せてというのが、現在の流れでもある。
つまりは、こうして食事であったりというのはこれまでと違って馬車の外で採る必要というのがある。勿論、そうなってしまえばオユキとしては少年たちとというよりも、気楽な席を求めはする。エステールの言葉もあって、オユキはきちんと行儀見習いをエステールに言われるかと思えば、流石にそうしたことを他の目が多い中でやる物でも無いからと見逃されて。つまりは、トモエの望む通りとでもいえばいいのだろうか。トモエの機嫌が非常に良いという状況が、用意されて。
この辺りは、それこそ橋に入ったばかりの時に、オユキの、トモエの怒りというのが鮮烈に伝わったこともあるのだろう。常々、トモエが繰り返して伝えてはいたはずなのだが、それでも人には向けていなかった。はっきりと、知らぬ者たちのほうが多かった。なんとなれば、アイリスの国許から来た者たちに対して、僅かに向けたことはあるのだがそこではオユキの刀としての振る舞いを優先したためにはっきりとした怒りというのは確かに見せていなかった。
以前にも、オユキとしては感じたものだが、トモエの怒り、はっきりと威圧をと考えたときにはかつてでは考えられぬほどの圧が存在する。それに触れた者たちが、トモエの武威に当てられた者たちが、どうしたところで腰が引けたともいうのだが。家格等と言うよりも、あまりにも明確に過ぎる、個人としての、そんなものは知らぬとできる異邦人たちの怒りというのがどれだけ鮮烈な物かと。
「私が、十五の頃でした。両親がふらりと何処かに行きました。それ自体は、そこまでの間にも度々あったことでしたから、その時には気にしていませんでした」
少々制度が違うために、卒業式等と言うのも説明が難しいために、そこは置いて起き。高校への入学手続きが済んで、中学を卒業しようという頃。その頃に、オユキの両親がそこまでによくあった様に、ふらりとどこかへ行ったのだ。
「これまでであれば、ええ、長くて一週程でしょうか、それくらいで戻って来ていたのです」
お小遣いというよりも、生活費についてはそもそも当時のオユキは残高も分からぬカードを渡されていたこともある。度々両親がそうして離れることもあり、オユキの口座というのも用意されていて、そこには人が生涯をつつましく過ごして問題ないだけの金額が入っていたこともあるのだ。思い返してみれば、かなりの危険を、何時そうなるかもしれぬと本人たちも理解していたのかもしれないと、疑うには十分すぎる程の出来事は思い返してみればいくらでも見つかった。
「オユキちゃん、それって」
「ええ、その時には、戻ってきませんでした。きっと、戻ってくるだろうと考えて、ああ、今度は少し長いのだなと、そんな事を考えて。ええ、一月ほどでしょうか」
勿論、二週目に差し掛かったあたりで、違和感を感じた物だ。だが、その頃には高校の入学に向けて色々と準備をする必要が出てきたこともある。両親がいれば、色々と聞きながら頼むこともできたには違いない。親戚がいるのであれば、そちらを頼ることが出来たのかもしれない。
ただ、当時のオユキはそうした選択肢をやはり思いつかず。寧ろ、戻ってきたときには自分できちんと準備を整えた上で、入学を終えた姿を見せようなどと変な事を考えていたのだ、今にして思えば。このあたりは、トモエにも零したことではあるのだがどうやらトモエはいつものように、もう少し簡潔に話していたらしい。ローレンツがただ瞑目し、アベルが苦虫を噛み潰したような顔を。シェリアからは、はっきりと憐憫を感じるというものだ。
「その頃に、初めて失踪したのだと理解しました」
「そう、か」
つまりは、少年たちに感じている物。教会で暮らす者たちに対して、明確に理解をするだけの、共感を得るだけの理由というのがオユキにはあるのだ。
「両親がどこへ、それも全くつかめませんでした。勿論、私の暮らしていた家には、その、両親が残してくれたものですね、そういった物が多くあったので、勿論調査なども色々と行われたのですが」
警察に、興信所に。前者はともかく、後者に関しては金銭の問題というあまりにも単純明快な解決方法もあり、オユキには両親が遺したあまりにも多くの金銭もあったために。それは、高校入学を果たしたばかりの者が持つようなものではない。それだけの道具を使ったうえで、オユキは探したのだ。だが、結果はやはり何も出なかった。それどころか、両親が働いてたはずの企業、それすらも分からなかったのだ。
資金の流れを追えば、勿論追っては見たのだがそれにしてもオユキが当然把握していない口座も多く失踪したかもしれないと、そんな未成年の言葉だけで凍結させることが出来るはずもない。警察にしても、当然成人の捜索などそうそう行ってくれるような物でも無かったのだ。特に、これまで頻繁にあった、たまにというよりもちょうどかつてのオユキが高校に入学したこともあり、あまりにも十分な物を遺していたこともあり。言ってしまえば、緊急性など著しき低い事柄なのだ。事件性があるのかと言われれば、ただいなくなっただけ。それも、一人残った子供が、全く問題が無く暮らせるだけの状況が整っていたこともある。
「私が、一人で残って生きていくには十分すぎるだけの準備がありました。そうなると、ええ、そ、公的な機関ですね、こちらの方々は他のより助けねばならない方たちも多かったために、どうしても腰が重く。私にしても、日々の生活もあって、頻繁に訴えなかったこともありまして」
実際には、何処か自分を疑うような、一体何を言っているのかとそうした視線に耐えて、オユキが己の両親を害したのではないかと、そんな猜疑の目に耐えるのが嫌だったと言う事もある。
「ええ、結果に関しては言うまでも無く。両親はついぞ戻ってくることはありませんでした」
そして、オユキには、どれだけ取り繕って見せたところで、言い訳を作ってみたところで。それが、根深い傷として残っている。
「その、オユキちゃんの両親が、使徒様として」
「それについては、もっと後でしょうね。なんとなれば、失踪した両親と私は、しばらくののちにあったこともあるようでしたから」
「それは、その、気が付かなかったのは」
「事故で、両親の姿は変わっていました。記憶も、残念ながら」
それでも、かつての世界で散々に語られていたように。出会ったときに、何か、そうした奇跡のような。記憶としては覚えていなくとも、脳機能としての記憶が存在していなくても。肉体としての記憶でも残っていてくれても良かったのではないか、そんな事をオユキは考えてしまうのだ。
そして、そうした思考に抑えが効かなくなったのが、知識と魔の神殿、そこで使徒として掲げられていた両親の姿を見たときに起こったことなのだと、そうした話も含めて。
食卓について、距離を置いているからだろう。それでも、トモエが整えたからだろうか。タルヤの手によって、いつぞやと同じように周囲は蔦の壁に覆われて、内部に関してはカナリアの手もあり、フスカの力も借りた上で、外には声が漏れぬ様に。さらには、楽な席、オユキでも過ごしやすい環境にとセツナの手も借りた上で。
「ええと、トモエさんと出会ったのが、両親がいなくなってから三年程が過ぎ、四年というには早い頃でしょうか」
高校の在学期間、そこでははっきりと針の筵だったと、そんな記憶。そして、散々に両親が遺した物を調べて、何やらオユキにしてみれば随分とそれらしいものが、実ににぎにぎしく世に出てきて、少ししたころ。一人での生活に、はっきりと諦念を友として、そうして生きる術を身につけた頃。
「聞いた話の順序であれば、そうですね。当時のオユキさんは、それは酷い物でした」
「あの、一応は、両親がいなくなってから、それでもきちんと生活をしていましたが」
「繰り返しますが、あれを私は人の生活とは認められませんから」
そんな、昔語り。今もまだ、話すだけでも、口にするだけでも知らず知らずのうちに頬をぬらす物が止まらぬ、そんな話をしてみれば。
「えっと、だから、オユキちゃん」
「だからと言う事はありませんが、まぁ、想像ができる悲劇ですから」
「そうですね。周囲では、あまり、悲しい事というのは起きてほしくありませんから」
オユキとしては、オユキとしても。勿論、そうしたことが理由になっているかと聞かれれば首を縦に振るには違いない。だが、それ以外というのも、やはり多いのだ。身の回りの悲劇など、無い方がいい。それがどこまで行っても、トモエとオユキの間にある共通認識。そして、二人の歪がはまる形でもある。
「日々のささやかな幸せを、それを祈って生きていける。それがあると信じて生きていける、それはやはり素晴らしい事ですから」
こうして、旅の中で、短い杖によって安息の結界を用意し、魔物の領域でもあるためかがり火をたいている中で。そんな時間はいつ以来だろうかと、オユキはそんな事を考える。これから話すことに関しては、いよいよオユキの私的な、過去の話であるには違いなく。勿論、耳目が少ないに越した事は無い。だが、流石に、如何に空間拡張により広がった馬車であろうとも、少年たちまでも一緒に乗り込んで、こうして夕食も終えた後に軽く何かをつまみながらという、そこまでの広さは無い。特に今回は魔国からのお土産であったり、短くはない移動の為にとトモエとオユキの日常の品もそれなりに詰め込んでいることもあるのだから、尚の事空間にそこまで余裕も無い。極端な話、空いている空間など、中央しかないのだ。他の一つはトモエとオユキが休むための部屋となっており、移動が行われるときに使う場所。
同様に、今回はフスカとセツナがいるため、残った二か所も当然そちらに向けての部屋とされている。身の回りで、すぐに使うものに関しては、確かにそれぞれの部屋、空間に置いたうえで残りの道具は随伴の別の馬車に乗せてというのが、現在の流れでもある。
つまりは、こうして食事であったりというのはこれまでと違って馬車の外で採る必要というのがある。勿論、そうなってしまえばオユキとしては少年たちとというよりも、気楽な席を求めはする。エステールの言葉もあって、オユキはきちんと行儀見習いをエステールに言われるかと思えば、流石にそうしたことを他の目が多い中でやる物でも無いからと見逃されて。つまりは、トモエの望む通りとでもいえばいいのだろうか。トモエの機嫌が非常に良いという状況が、用意されて。
この辺りは、それこそ橋に入ったばかりの時に、オユキの、トモエの怒りというのが鮮烈に伝わったこともあるのだろう。常々、トモエが繰り返して伝えてはいたはずなのだが、それでも人には向けていなかった。はっきりと、知らぬ者たちのほうが多かった。なんとなれば、アイリスの国許から来た者たちに対して、僅かに向けたことはあるのだがそこではオユキの刀としての振る舞いを優先したためにはっきりとした怒りというのは確かに見せていなかった。
以前にも、オユキとしては感じたものだが、トモエの怒り、はっきりと威圧をと考えたときにはかつてでは考えられぬほどの圧が存在する。それに触れた者たちが、トモエの武威に当てられた者たちが、どうしたところで腰が引けたともいうのだが。家格等と言うよりも、あまりにも明確に過ぎる、個人としての、そんなものは知らぬとできる異邦人たちの怒りというのがどれだけ鮮烈な物かと。
「私が、十五の頃でした。両親がふらりと何処かに行きました。それ自体は、そこまでの間にも度々あったことでしたから、その時には気にしていませんでした」
少々制度が違うために、卒業式等と言うのも説明が難しいために、そこは置いて起き。高校への入学手続きが済んで、中学を卒業しようという頃。その頃に、オユキの両親がそこまでによくあった様に、ふらりとどこかへ行ったのだ。
「これまでであれば、ええ、長くて一週程でしょうか、それくらいで戻って来ていたのです」
お小遣いというよりも、生活費についてはそもそも当時のオユキは残高も分からぬカードを渡されていたこともある。度々両親がそうして離れることもあり、オユキの口座というのも用意されていて、そこには人が生涯をつつましく過ごして問題ないだけの金額が入っていたこともあるのだ。思い返してみれば、かなりの危険を、何時そうなるかもしれぬと本人たちも理解していたのかもしれないと、疑うには十分すぎる程の出来事は思い返してみればいくらでも見つかった。
「オユキちゃん、それって」
「ええ、その時には、戻ってきませんでした。きっと、戻ってくるだろうと考えて、ああ、今度は少し長いのだなと、そんな事を考えて。ええ、一月ほどでしょうか」
勿論、二週目に差し掛かったあたりで、違和感を感じた物だ。だが、その頃には高校の入学に向けて色々と準備をする必要が出てきたこともある。両親がいれば、色々と聞きながら頼むこともできたには違いない。親戚がいるのであれば、そちらを頼ることが出来たのかもしれない。
ただ、当時のオユキはそうした選択肢をやはり思いつかず。寧ろ、戻ってきたときには自分できちんと準備を整えた上で、入学を終えた姿を見せようなどと変な事を考えていたのだ、今にして思えば。このあたりは、トモエにも零したことではあるのだがどうやらトモエはいつものように、もう少し簡潔に話していたらしい。ローレンツがただ瞑目し、アベルが苦虫を噛み潰したような顔を。シェリアからは、はっきりと憐憫を感じるというものだ。
「その頃に、初めて失踪したのだと理解しました」
「そう、か」
つまりは、少年たちに感じている物。教会で暮らす者たちに対して、明確に理解をするだけの、共感を得るだけの理由というのがオユキにはあるのだ。
「両親がどこへ、それも全くつかめませんでした。勿論、私の暮らしていた家には、その、両親が残してくれたものですね、そういった物が多くあったので、勿論調査なども色々と行われたのですが」
警察に、興信所に。前者はともかく、後者に関しては金銭の問題というあまりにも単純明快な解決方法もあり、オユキには両親が遺したあまりにも多くの金銭もあったために。それは、高校入学を果たしたばかりの者が持つようなものではない。それだけの道具を使ったうえで、オユキは探したのだ。だが、結果はやはり何も出なかった。それどころか、両親が働いてたはずの企業、それすらも分からなかったのだ。
資金の流れを追えば、勿論追っては見たのだがそれにしてもオユキが当然把握していない口座も多く失踪したかもしれないと、そんな未成年の言葉だけで凍結させることが出来るはずもない。警察にしても、当然成人の捜索などそうそう行ってくれるような物でも無かったのだ。特に、これまで頻繁にあった、たまにというよりもちょうどかつてのオユキが高校に入学したこともあり、あまりにも十分な物を遺していたこともあり。言ってしまえば、緊急性など著しき低い事柄なのだ。事件性があるのかと言われれば、ただいなくなっただけ。それも、一人残った子供が、全く問題が無く暮らせるだけの状況が整っていたこともある。
「私が、一人で残って生きていくには十分すぎるだけの準備がありました。そうなると、ええ、そ、公的な機関ですね、こちらの方々は他のより助けねばならない方たちも多かったために、どうしても腰が重く。私にしても、日々の生活もあって、頻繁に訴えなかったこともありまして」
実際には、何処か自分を疑うような、一体何を言っているのかとそうした視線に耐えて、オユキが己の両親を害したのではないかと、そんな猜疑の目に耐えるのが嫌だったと言う事もある。
「ええ、結果に関しては言うまでも無く。両親はついぞ戻ってくることはありませんでした」
そして、オユキには、どれだけ取り繕って見せたところで、言い訳を作ってみたところで。それが、根深い傷として残っている。
「その、オユキちゃんの両親が、使徒様として」
「それについては、もっと後でしょうね。なんとなれば、失踪した両親と私は、しばらくののちにあったこともあるようでしたから」
「それは、その、気が付かなかったのは」
「事故で、両親の姿は変わっていました。記憶も、残念ながら」
それでも、かつての世界で散々に語られていたように。出会ったときに、何か、そうした奇跡のような。記憶としては覚えていなくとも、脳機能としての記憶が存在していなくても。肉体としての記憶でも残っていてくれても良かったのではないか、そんな事をオユキは考えてしまうのだ。
そして、そうした思考に抑えが効かなくなったのが、知識と魔の神殿、そこで使徒として掲げられていた両親の姿を見たときに起こったことなのだと、そうした話も含めて。
食卓について、距離を置いているからだろう。それでも、トモエが整えたからだろうか。タルヤの手によって、いつぞやと同じように周囲は蔦の壁に覆われて、内部に関してはカナリアの手もあり、フスカの力も借りた上で、外には声が漏れぬ様に。さらには、楽な席、オユキでも過ごしやすい環境にとセツナの手も借りた上で。
「ええと、トモエさんと出会ったのが、両親がいなくなってから三年程が過ぎ、四年というには早い頃でしょうか」
高校の在学期間、そこでははっきりと針の筵だったと、そんな記憶。そして、散々に両親が遺した物を調べて、何やらオユキにしてみれば随分とそれらしいものが、実ににぎにぎしく世に出てきて、少ししたころ。一人での生活に、はっきりと諦念を友として、そうして生きる術を身につけた頃。
「聞いた話の順序であれば、そうですね。当時のオユキさんは、それは酷い物でした」
「あの、一応は、両親がいなくなってから、それでもきちんと生活をしていましたが」
「繰り返しますが、あれを私は人の生活とは認められませんから」
そんな、昔語り。今もまだ、話すだけでも、口にするだけでも知らず知らずのうちに頬をぬらす物が止まらぬ、そんな話をしてみれば。
「えっと、だから、オユキちゃん」
「だからと言う事はありませんが、まぁ、想像ができる悲劇ですから」
「そうですね。周囲では、あまり、悲しい事というのは起きてほしくありませんから」
オユキとしては、オユキとしても。勿論、そうしたことが理由になっているかと聞かれれば首を縦に振るには違いない。だが、それ以外というのも、やはり多いのだ。身の回りの悲劇など、無い方がいい。それがどこまで行っても、トモエとオユキの間にある共通認識。そして、二人の歪がはまる形でもある。
「日々のささやかな幸せを、それを祈って生きていける。それがあると信じて生きていける、それはやはり素晴らしい事ですから」
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