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32章 闘技大会を控えて
実のところは
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「オユキって、国王陛下の事はどうおもってんだ」
「公人としての陛下か、私人としての陛下で評価が全く変わるのですが」
「えっと、それって、どう違うのかな」
オユキの苛立ちの結果は、当然少年たちも理解するところ。何よりも分かり易い結果があり、使用人たちが桶にせっせと雪を詰めては外に運び出してもいたのだ。勿論、そうした結果というのを目撃するというものだ。そうした惨状を作り出したうえで、片づけを押し付ける結果となったオユキとしては、気まずさは覚えるのだがそれよりもとばかりに、久しぶりに少し体が動くようになったからとトモエに外に連れ出されている。如何に、あとひと月と少しもすれば開かれる闘技大会で不参加を表明しているとはいえ、それでも今後の事を考えれば鍛錬はやはり必要にもなってくる。何より、ここ暫くオユキも散々にセツナとカナリアによって屋内に閉じ込められていたこともあり、ストレスもかなり溜まっている。気分転換になれば、そう考えての誘いをやはりオユキが断ることが無い。
何より、オユキに色々教えなければならないからと、すっかりと言い訳に使われていたこともありカナリアの鍛錬とて遅れているのだ。
そのカナリアはと言えば、一週間も体を動かすことから逃げていたこともあり、今はイリアにただただため息をつかれながら地面に転がっている処。
「公人というのは、国王陛下が、国王としての職務、それに基づいた選択をする場面です。しかし、私人として、国王という重責を得ない場面での選択を行う必要が無い時となります」
「でも、どっちも同じ人間じゃね」
「そうですね。ですが、人というのはやはり立場が作るものでもあります。現国王陛下にしても在位が長い様で、そのあたりは既に曖昧になっている部分もあるでしょうが、皆さんと始まりの町で過ごしたとき、これについては私人としての振る舞いが出てくる場面のほうが多かったと思いますよ」
「あー、まぁ、なんかのびのびしてたのは見たな」
「ね。でも、時々、それこそメイ様と話したりするときは」
「ギルドの偉い人とかな。面倒だって、隠してもいない感じだったけど」
オユキとしても、割と現国王陛下への評価というのは改善されている。何より、この良い少年たちが割と好意的にとらえているのだとその事実が大きい。
「そうですね、公人としての判断、それを行わなければならない場面というのを、理解されているからこその振る舞いなのでしょう」
「あんちゃんも、その辺分かんのか」
「ええ。自分自身、そうでは無く流派の皆伝を持つ者としての判断というのは、やはり重たい物ですから」
そう、オユキも会社に出て。創業からの人間として、革新的な技術を持ち込んだ人間として。散々に重たい判断を行わされ、その結果として己の役職に対する理解、そこで行わなければいけない、自分の望まぬ判断。そうした物があるのだと理解が出来たものだ。
「判断には、差があります。陛下も、国王という立場だからこそ行わなければならない選択というのが、やはり多いのです」
「えっと」
「例えば、私個人にというよりも、戦と武技の巫女、オユキという立場に対して。勿論、国に帰属する貴族たちに対しても。そこでは、己の感情というのを、国益、その、国の利益、そこで暮らす多くの民のためを思えばこそ、選択をしなければならない事というのが、やはり出てきます」
オユキとしても、説明が難しい事柄ではある。国家の運営など、いよいよかかわったことも無い。さらには、かつての世界とはいよいよもって社会制度が異なるのだから、説明しろと言われても、かつての世界をもとに漠然とした理解し変えていない事であるために、どうしたところで言葉を選ぼうにも、かみ砕いて説明することが出来ない。そんなオユキの様子に、少年たちのほうでもオユキが今一つ納得のいかぬ言葉を選んでいるからと理解が及ばない様子。
「例えば、そうですね。皆さんの事でいえば、シグルド君も、パウ君も。アナさんたちを置いて、狩りに出る事を決めたでしょう」
「ああ」
「ま、手伝わなきゃいけない時には、俺らも教会の事手伝うけど」
「そうですね。それは良い事です。ですが、皆さんとしては、やはり一緒に動きたいわけです。アナさん、セシリアさん、アドリアーナさん。こちらも同様に、狩りに出たいと考えてはいるでしょう。ですが持祭の位を持つからと、教会での仕事を選んでとなるわけです」
そうしてトモエが言葉を選べば、少年たちも互いに顔を見合わせて納得がいったとばかりに頷きを作る。そう、立場に寄っての選択等と言うのは、何も国王だから行うようなものではない。当然、そこに外から見たときに分かり易い軽重というのは存在するのだが、それでも誰も彼もが等しく行っていること。
勿論それが出来ぬ者もいるにはいるが、そうした者たちというのは相応の扱いを受けるというだけ。
「公人と私人、そうした区別が難しいのであれば、仕事をしている時と、そうでないとき。そのように考えると良いでしょう」
「でも、王様って」
「国王というのも仕事ですよ。勿論、なろうと思って、やろうと思ってできるようなものではありませんが、公爵様、身近なところでいえばメイ様やファルコ君、こうした相手を考えればよく分かるでしょう」
「それこそ、皆さんでいえば、修道士様方や、助祭様でも構いませんが」
そして、散々に絞られたからだろう。それこそ、方々に始まりの町の教会からお使いを頼まれて、持祭という立場で行わなければならなかったこと。それに対して、方々からの改善を言われた結果として、散々に絞られた位を持たない少年たちは背を震わせ。位を持つ少女たちは、ただただ遠くを虚ろな瞳で見つめている。なかなかに、らしいと言える様相。どうやら、魔国に来て、随分と生き生きとしていると思えばそうした流れもあっての事らしい。寧ろ、魔国で暫くという話をされたからこそ、徹底的にそちらも仕込まれたのかもしれないが。
「そういやさ、俺ら、後いくつかばーさんから言われてることがあんだけど」
「そちらは、先代アルゼオ公、ファルコさんを経由していただくのが良いでしょう」
「まぁ、オユキは当分屋敷から出してもらえそうにないしな」
「そうですね。頂いている、身の助けとなるものをすべて外した上で、一人で歩くことが出来る様になるまでは私が許しませんとも」
「あの、トモエさん、流石にもう少しくらいは手心と言いますか」
「オユキさん、今それらを外して、本当に大丈夫ですか」
トモエからの質問には答えず、オユキはただ木でできた剣を、本番用の得物を持たしてもらえない不満を隠すように、ただ振りぬいて見せる。どうにも、体の感覚というのが少し遠いと言えばいいのだろうか。少年たちの手前、オユキとしても慣れた型をなぞるだけとしてはいるのだが、これまでに比べて少し己の意図と違う向きに体が動くように感じる。そうした違和感を、トモエに直してもらおうかとは考えるのだが、それよりも先に己である程度把握しておこうと考えて。トモエのほうは、今も少年たちにかかりきりなのだ。なんだかんだと、離れている期間が長く、日々軽く治しているとはいえ、それで既に完全にと言う訳にもいかない。そもそも、トモエが話した中には、私人としての判断も踏まえた上で少年たちを一先ず準備運動が終わりだとしているのだ。
「あー、そういや、アルノーのおっさんいるだろ」
「はい。今も精力的に皆さんの食事をご用意いただいていますね」
「でさ、俺らも、こう久しぶりに初めて領都いったときに食べたのが、なんか食べたくなってさ」
「領都で食べたというと、色々とありますが」
それこそ、こちらでいくらか手に入れて、それこそかつての世界で有名だったサルシッチャをはじめ、ピザの具材としても有名なドライサラミをはじめ、狩りに出てから大量に仕入れてくる肉類など。いよいよ、大量の食材をふんだんに使って、日々の料理と言うものが用意されている。そして、こればかりは領都で一時期宿泊していたホテル、カテドラルと名のついていた宿泊施設で食べた物と同様に、本当に日々違うものが用意されている。
「あー、なんだっけか。あの、パンじゃなくて」
「パエジャだったっかな。確かに、パウも、シグルドもたくさん食べてたよね」
「私も、結構好きだったかも。あの野菜のやつとかもおいしかったし」
「ああ。こちらにも米はありますし、リゾットに向いていますのでアルノーさんに頼めば確かに用意していただけそうなものですが」
「でも、こっちだと手に入るものも違うし、向こうと全く同じとはいかなそうだよね」
「いいんじゃね。それはそれで楽しいし、アルノーのおっさんが作るのにも興味あるしな」
さて、シグルドから珍しくとでもいえばいいのだろうか、これまでは出されたものをただ食べているだけだった少年から、珍しく言われた事なのだ。それこそ、離れている間に、少年たちの間でどういった話し合いがなされているかは分からないが、少なくとも、トモエとオユキの前では初めての事。ならば、それを叶えるのに、やはり否やは無い。
「シェリア、アルノーに伝えてください」
「畏まりました」
聞こえていたオユキから、侍女として実に都合よく頼んでいる相手に、オユキからは珍しいという程でもない私事としての言葉。個人的な、それこそ自信以外の願いをかなえるという意味では、初めてと呼んでもいい物を。
トモエとオユキが、はっきりと少年たちを特別視している。それがあまりにもはっきりと、これまでも散々に伝えていることではあるのだが、改めてそれを伝える意味を込めて。魔国にいる者たちは、新しく共にとなる者たち、とくに先代アルゼオ公爵は、どれほどの感情をトモエとオユキが少年たちに向けているからを知らないだろうから、改めてと。
どうしたところで、休暇に来ているとはいえここ暫くは多くの事が起こったのだ。少年たちを、始まりの町にいる狩猟者、リース伯爵というマリーア公爵にその地を任せる代官として、己の娘を拠出している相手それが重用しているのだからとそうした視線しか今は向いていない。改めて、この少年たちが、こちらの世界に来て初めて出会った相手をトモエもオユキも大事にしているのだと示すのは悪くないからと。
「公人としての陛下か、私人としての陛下で評価が全く変わるのですが」
「えっと、それって、どう違うのかな」
オユキの苛立ちの結果は、当然少年たちも理解するところ。何よりも分かり易い結果があり、使用人たちが桶にせっせと雪を詰めては外に運び出してもいたのだ。勿論、そうした結果というのを目撃するというものだ。そうした惨状を作り出したうえで、片づけを押し付ける結果となったオユキとしては、気まずさは覚えるのだがそれよりもとばかりに、久しぶりに少し体が動くようになったからとトモエに外に連れ出されている。如何に、あとひと月と少しもすれば開かれる闘技大会で不参加を表明しているとはいえ、それでも今後の事を考えれば鍛錬はやはり必要にもなってくる。何より、ここ暫くオユキも散々にセツナとカナリアによって屋内に閉じ込められていたこともあり、ストレスもかなり溜まっている。気分転換になれば、そう考えての誘いをやはりオユキが断ることが無い。
何より、オユキに色々教えなければならないからと、すっかりと言い訳に使われていたこともありカナリアの鍛錬とて遅れているのだ。
そのカナリアはと言えば、一週間も体を動かすことから逃げていたこともあり、今はイリアにただただため息をつかれながら地面に転がっている処。
「公人というのは、国王陛下が、国王としての職務、それに基づいた選択をする場面です。しかし、私人として、国王という重責を得ない場面での選択を行う必要が無い時となります」
「でも、どっちも同じ人間じゃね」
「そうですね。ですが、人というのはやはり立場が作るものでもあります。現国王陛下にしても在位が長い様で、そのあたりは既に曖昧になっている部分もあるでしょうが、皆さんと始まりの町で過ごしたとき、これについては私人としての振る舞いが出てくる場面のほうが多かったと思いますよ」
「あー、まぁ、なんかのびのびしてたのは見たな」
「ね。でも、時々、それこそメイ様と話したりするときは」
「ギルドの偉い人とかな。面倒だって、隠してもいない感じだったけど」
オユキとしても、割と現国王陛下への評価というのは改善されている。何より、この良い少年たちが割と好意的にとらえているのだとその事実が大きい。
「そうですね、公人としての判断、それを行わなければならない場面というのを、理解されているからこその振る舞いなのでしょう」
「あんちゃんも、その辺分かんのか」
「ええ。自分自身、そうでは無く流派の皆伝を持つ者としての判断というのは、やはり重たい物ですから」
そう、オユキも会社に出て。創業からの人間として、革新的な技術を持ち込んだ人間として。散々に重たい判断を行わされ、その結果として己の役職に対する理解、そこで行わなければいけない、自分の望まぬ判断。そうした物があるのだと理解が出来たものだ。
「判断には、差があります。陛下も、国王という立場だからこそ行わなければならない選択というのが、やはり多いのです」
「えっと」
「例えば、私個人にというよりも、戦と武技の巫女、オユキという立場に対して。勿論、国に帰属する貴族たちに対しても。そこでは、己の感情というのを、国益、その、国の利益、そこで暮らす多くの民のためを思えばこそ、選択をしなければならない事というのが、やはり出てきます」
オユキとしても、説明が難しい事柄ではある。国家の運営など、いよいよかかわったことも無い。さらには、かつての世界とはいよいよもって社会制度が異なるのだから、説明しろと言われても、かつての世界をもとに漠然とした理解し変えていない事であるために、どうしたところで言葉を選ぼうにも、かみ砕いて説明することが出来ない。そんなオユキの様子に、少年たちのほうでもオユキが今一つ納得のいかぬ言葉を選んでいるからと理解が及ばない様子。
「例えば、そうですね。皆さんの事でいえば、シグルド君も、パウ君も。アナさんたちを置いて、狩りに出る事を決めたでしょう」
「ああ」
「ま、手伝わなきゃいけない時には、俺らも教会の事手伝うけど」
「そうですね。それは良い事です。ですが、皆さんとしては、やはり一緒に動きたいわけです。アナさん、セシリアさん、アドリアーナさん。こちらも同様に、狩りに出たいと考えてはいるでしょう。ですが持祭の位を持つからと、教会での仕事を選んでとなるわけです」
そうしてトモエが言葉を選べば、少年たちも互いに顔を見合わせて納得がいったとばかりに頷きを作る。そう、立場に寄っての選択等と言うのは、何も国王だから行うようなものではない。当然、そこに外から見たときに分かり易い軽重というのは存在するのだが、それでも誰も彼もが等しく行っていること。
勿論それが出来ぬ者もいるにはいるが、そうした者たちというのは相応の扱いを受けるというだけ。
「公人と私人、そうした区別が難しいのであれば、仕事をしている時と、そうでないとき。そのように考えると良いでしょう」
「でも、王様って」
「国王というのも仕事ですよ。勿論、なろうと思って、やろうと思ってできるようなものではありませんが、公爵様、身近なところでいえばメイ様やファルコ君、こうした相手を考えればよく分かるでしょう」
「それこそ、皆さんでいえば、修道士様方や、助祭様でも構いませんが」
そして、散々に絞られたからだろう。それこそ、方々に始まりの町の教会からお使いを頼まれて、持祭という立場で行わなければならなかったこと。それに対して、方々からの改善を言われた結果として、散々に絞られた位を持たない少年たちは背を震わせ。位を持つ少女たちは、ただただ遠くを虚ろな瞳で見つめている。なかなかに、らしいと言える様相。どうやら、魔国に来て、随分と生き生きとしていると思えばそうした流れもあっての事らしい。寧ろ、魔国で暫くという話をされたからこそ、徹底的にそちらも仕込まれたのかもしれないが。
「そういやさ、俺ら、後いくつかばーさんから言われてることがあんだけど」
「そちらは、先代アルゼオ公、ファルコさんを経由していただくのが良いでしょう」
「まぁ、オユキは当分屋敷から出してもらえそうにないしな」
「そうですね。頂いている、身の助けとなるものをすべて外した上で、一人で歩くことが出来る様になるまでは私が許しませんとも」
「あの、トモエさん、流石にもう少しくらいは手心と言いますか」
「オユキさん、今それらを外して、本当に大丈夫ですか」
トモエからの質問には答えず、オユキはただ木でできた剣を、本番用の得物を持たしてもらえない不満を隠すように、ただ振りぬいて見せる。どうにも、体の感覚というのが少し遠いと言えばいいのだろうか。少年たちの手前、オユキとしても慣れた型をなぞるだけとしてはいるのだが、これまでに比べて少し己の意図と違う向きに体が動くように感じる。そうした違和感を、トモエに直してもらおうかとは考えるのだが、それよりも先に己である程度把握しておこうと考えて。トモエのほうは、今も少年たちにかかりきりなのだ。なんだかんだと、離れている期間が長く、日々軽く治しているとはいえ、それで既に完全にと言う訳にもいかない。そもそも、トモエが話した中には、私人としての判断も踏まえた上で少年たちを一先ず準備運動が終わりだとしているのだ。
「あー、そういや、アルノーのおっさんいるだろ」
「はい。今も精力的に皆さんの食事をご用意いただいていますね」
「でさ、俺らも、こう久しぶりに初めて領都いったときに食べたのが、なんか食べたくなってさ」
「領都で食べたというと、色々とありますが」
それこそ、こちらでいくらか手に入れて、それこそかつての世界で有名だったサルシッチャをはじめ、ピザの具材としても有名なドライサラミをはじめ、狩りに出てから大量に仕入れてくる肉類など。いよいよ、大量の食材をふんだんに使って、日々の料理と言うものが用意されている。そして、こればかりは領都で一時期宿泊していたホテル、カテドラルと名のついていた宿泊施設で食べた物と同様に、本当に日々違うものが用意されている。
「あー、なんだっけか。あの、パンじゃなくて」
「パエジャだったっかな。確かに、パウも、シグルドもたくさん食べてたよね」
「私も、結構好きだったかも。あの野菜のやつとかもおいしかったし」
「ああ。こちらにも米はありますし、リゾットに向いていますのでアルノーさんに頼めば確かに用意していただけそうなものですが」
「でも、こっちだと手に入るものも違うし、向こうと全く同じとはいかなそうだよね」
「いいんじゃね。それはそれで楽しいし、アルノーのおっさんが作るのにも興味あるしな」
さて、シグルドから珍しくとでもいえばいいのだろうか、これまでは出されたものをただ食べているだけだった少年から、珍しく言われた事なのだ。それこそ、離れている間に、少年たちの間でどういった話し合いがなされているかは分からないが、少なくとも、トモエとオユキの前では初めての事。ならば、それを叶えるのに、やはり否やは無い。
「シェリア、アルノーに伝えてください」
「畏まりました」
聞こえていたオユキから、侍女として実に都合よく頼んでいる相手に、オユキからは珍しいという程でもない私事としての言葉。個人的な、それこそ自信以外の願いをかなえるという意味では、初めてと呼んでもいい物を。
トモエとオユキが、はっきりと少年たちを特別視している。それがあまりにもはっきりと、これまでも散々に伝えていることではあるのだが、改めてそれを伝える意味を込めて。魔国にいる者たちは、新しく共にとなる者たち、とくに先代アルゼオ公爵は、どれほどの感情をトモエとオユキが少年たちに向けているからを知らないだろうから、改めてと。
どうしたところで、休暇に来ているとはいえここ暫くは多くの事が起こったのだ。少年たちを、始まりの町にいる狩猟者、リース伯爵というマリーア公爵にその地を任せる代官として、己の娘を拠出している相手それが重用しているのだからとそうした視線しか今は向いていない。改めて、この少年たちが、こちらの世界に来て初めて出会った相手をトモエもオユキも大事にしているのだと示すのは悪くないからと。
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