1,013 / 1,235
30章 豊穣祭
日は進み
しおりを挟む
お茶会でオユキが盛大にやらかした後は、シェリアからの報告を受けたトモエも交えて。さらには、それが当然とばかりにヴィルヘルミナまでもが加わって散々に色々な話をされることとなった。曰く、相応の年齢の女性にとっては、非常に難しい問題なのだと。オユキにしてみれば、最終手段とでもいえばいいのか。そこで王家の紹介を受ければいいではないかと、そんな考えではあったのだ。だが、それはあまりにも楽観が過ぎるどころか、カルラは間違いなくこれまでの生活で、おのれの縁とした相手がいるのだからとかなり言いつのられることとなった。
オユキにしてみれば、そんな素振りなど全くなかったとそういう話になるのだが、他の者から見ればそんな訳も無いだろうとそういう話でもある。周囲にとって自明であれども、オユキにとってはそうでない。その逆もまた然り。そんな事を、ついつい考えていればトモエからまた頬を軽く押さえられたりと。
「オユキさんは、流石に慣れがあるわけですが」
そして、そんな日を終えてみれば、そこからは随分と他の者たちは忙しく日が進み、トモエとオユキのほうではやはり休暇同然の日々を過ごして。朝食を、トモエとオユキは基本的に別室で。少し休んでからは、魔物を狩るために、鍛錬も兼ねて王都の外に出て。そして、一時間と少しも外で過ごせば、屋敷に戻る。昼食はともかく、夕食にはとトモエが考えていることもあり、そこから先は日に依りけり。トモエとオユキが揃って庭先で鍛錬をするには変わりないのだが、そこに混ざる顔が変わることがしばしば。だが、そんな中でもトモエがオユキの為にと、料理をする時間をとってくれている。そのおかげもあっての事だろうか、オユキのほうではようやくそうした時期に差し掛かったのだろう程度の考えなのだが、それ以外の物にとってみれば、ああ成程これが重要なのかとそうした納得が実に簡単に得られたというのに。
「今はそれがと言う事なのでしょうね。こちらに来てから、長く触っていませんでしたし。いえ、折に触れて使ってはいましたが」
「そうですね。その時にも感じていたことなのですが」
そして、明日から前夜祭と言う日でも、こうして王都の外で太刀を振るいながら、オユキはトモエに姿勢を直されている。どうにも、かつては剛剣を主体として使っていたため、特にこうして柔らかく振るうというのがオユキには少し難しい。かつては正しく習ったはずではあるのだが、目録迄得たには違いないのだが、そこにはこちらで長く手に持たなかったからこそのずれが大きく生まれている。さらには、オユキが修正をしようとしたときに参照するのは、どうしたところで過去の経験だ。過去の己は、今のトモエより少し低い程度の上背で。筋力に至っては、習い始めの頃はなかなかに絶望的ではあったのだが、それでも不思議な事で。感覚までがあまりにはっきりと返ってくる遊び方だったからだろうか、習い始めて、気を付けて。言われたとおりに体を動かし始めてからは、オユキ自身少し奇妙に感じる程度には早く改善され、さらに上にとなっていったものだ。
「思い返してみれば、過去にしても」
「どうかしましたか、オユキさん」
人によっては、それこそ今も遠巻きにオユキたちの様子を見ている護衛ではない狩猟者たちにしてみれば、何をこんな危険地帯で暢気にと、そう感じるものだろうが。トモエは武器を納めた上で、オユキの体に触れながら姿勢を直し、そして太刀を振らせては細かく構えを直していく。
「ゲームの中での事、そう考えていましたが。振り返ってみれば、体にもしっかりとと」
「そのことですか」
そして、オユキのつぶやきにトモエが少し考える。
「いえ、後にしておきましょうか。この場でとなると、長くなりすぎますから」
「トモエさんも、思う所があったのですね」
「はい」
そして、オユキの疑念。改めて感じた事、それをトモエに話してみれば、心当たりがあるのだとばかりに返ってくる。その様子に、本当に我が事ながら、過去にどれだけ見落としがあったのかと、そんな事をオユキとしても考えるのだが。
「オユキさん」
「はい」
「今回の事で、オユキさんは改めて、その」
「両親からの書置きと言いますか、私宛の、トモエさんにも宛てた手紙ですね」
これまでに手に入れたのは、僅か二通。各神殿にと考えていたのだが、始まりの教会で渡されたこともあり、最早それさえ定かでもない。過去の両親の所業を考えれば、教会に深くかかわっている、それには違いないのだろうが。今回の事で得られるとすれば、それこそ水と癒しの神殿となるのだろうか。オユキとしては、そんな事を考えながら。
「どうでしょうか。華と恋が先になりそうかなと」
「オユキさんは、今回の事でどこまでを考えていますか」
「昨日のお茶会ですね、その席でどうやらマリーア公爵は既に一つ二つは得ている様子でした。今は、他の領を先にと考えて公表していないのでしょう」
そして、トモエの疑問に直接答えるわけではなく、トモエの疑問に対して、寄り親である相手は既に確保済みだとそう応える。何処か焦ったような、というよりもオユキのデビュタント等と言う華々しい舞台。そこで、他に入り込むだけの余地を与えるような真似など、これまでを考えれば間違いなくしなかった。だというのに、今回はそれを行っていた。つまりは、トモエとオユキに関わることで、それを得たのだとそんな風に考えているのだろう。オユキからは、どうにか言外にそれは違うのだと示せたとは思うのだが、戻ってからも手紙など用意してユーフォリアに預けたものだ。帰ってきた物には、少なくとも翼人種との交流については、ほとんどマリーア公爵が独占せざるを得ない状況なので、それ以外の道を探したかったのだと書かれてもいたが。
「次に早いのは、クレリー公爵領となるかと思うのですが」
「その、オユキさんが言うには」
「その余裕が、間違いなく今のカルラ様にはないのですよね」
どうにも、カルラにしても仕事の多さに振り回されているとでもいえばいいのか。
「その、オユキさん」
「カルラさんから、私に直接何かあれば助言もできるのですが」
「オユキさん」
「流石に、麾下として振る舞わなければならない以上は、色々と難しいのです」
トモエから、オユキとして持っている解決策、それをいくつか伝えるだけであれば構わないのではないかと、そんな風に募られる。だが、オユキとしてもやはり言い分はあるのだ。トモエが参加していなかった、先の茶会の席。実のところ、そこでいくらか助言を行おうかと考えはしたのだ。だが、それは尽くマリーア公爵夫人に止められた。簡単に匂わせる、それすらも。一体、どうやってオユキの思考をなぞっているのかと思うほどに、先手を常に取られてしまった。失言という形で、伴侶を探せばと、当てはないのかとそういった突飛な発言に関しては、流石に公爵夫人も止められなかったのだが。
「その、私の失言は見逃していただけましたが」
「つまりは、オユキさんが何かを言おうとするときには、その視線の先に話題の先にクレリー公爵がいたときにはと言う事ですか」
「はい」
そしてトモエとしてもここで頭を抱えざるを得ない。言ってしまえば、既にオユキが苦手とする部分、それについて既に女性陣の中で共有が終わっていると言う事だ。オユキは、ミズキリに散々に仕込まれたからだろう。生来の物もあるのだろう。これから話をしようと、声をかけようとする相手をまっすぐに見る。それは、確かに色々と円滑に動くことになるだろう。それは、あまりにも分かり易い合図ではあるのだから。だが、それが明確に欠点となる場面と言うのは存在している。それが、お茶会のような、会議とは根本的に性質の異なる場面での事。
アイリスが、オユキがいない方が楽だろうと言ったのも、この辺りにも起因している。あのような多くの人間が異なる目的で集まるような場では、オユキのように話題の方向性を制御するというのはやはりそこまで好まれはしない。トモエが主催の代わりを務めたときに起こる様に、そこかしこで異なる話題に花を咲かせるのがより自然と言うものだ。だが、他ではなされている内容に耳を傾けていないのかと言われれば、それもまた違う。当然のことながら、他ではなされている内容にしても、把握している。この辺りは、脳科学とでもいえばいいのだろうか。その範囲で性別による差などと言うものが議論されていたようにトモエは覚えているのだが。
「オユキさんは、どうでしょうか。その、新しく技能としてそのあたりを」
「正直、不向きだという自覚はあるのですよね」
「はい。私も、そう思います」
だが、こうして入れ替わってみて、トモエが自然とできると言う事は、何もそうした物に限らないと言う事なのだろうと、トモエとしては改めてそんな事を。もしくは、過去の経験に合わせて造りが違うのか。そのあたりは、いよいよ分かるようなものではないのだが。
「結局のところ、鍛錬と同じと捕らえるのだとして」
「そう、ですよね」
ただ、仮にオユキにその心算があったとしても、練習の場が必須になる。トモエとの会話では、やはり基本的には互いを見た上で話が進む。そこに、他の誰かがいるのだとして、それでもオユキはトモエに視線を向ける。他に向けるのは、その必要がある時だけ。
基本的に、こうしている時にも、少し離れている時にも。オユキの視線と言うのは、意識というのは。何処までもまっすぐにトモエに向かっているのだから。
「まぁ、不向きな事については、諦めるしかないのでしょう。他の多くがそうであるように」
「ええ。それでよいかと言われれば、今回のように思う所もありますが」
「そのあたりは、ユフィを経由すれば、上手くやってくれることでしょう」
「あまり、ユーフォリアをいいように使いたくはないのですが」
オユキとしては、ここまで尽くしてくれるユーフォリアに、一度は己の生を全うして迄ついて来て呉れるユーフォリアに対して。やはり、何処か申し訳なさのようなものを覚えてしまうのだから。
オユキにしてみれば、そんな素振りなど全くなかったとそういう話になるのだが、他の者から見ればそんな訳も無いだろうとそういう話でもある。周囲にとって自明であれども、オユキにとってはそうでない。その逆もまた然り。そんな事を、ついつい考えていればトモエからまた頬を軽く押さえられたりと。
「オユキさんは、流石に慣れがあるわけですが」
そして、そんな日を終えてみれば、そこからは随分と他の者たちは忙しく日が進み、トモエとオユキのほうではやはり休暇同然の日々を過ごして。朝食を、トモエとオユキは基本的に別室で。少し休んでからは、魔物を狩るために、鍛錬も兼ねて王都の外に出て。そして、一時間と少しも外で過ごせば、屋敷に戻る。昼食はともかく、夕食にはとトモエが考えていることもあり、そこから先は日に依りけり。トモエとオユキが揃って庭先で鍛錬をするには変わりないのだが、そこに混ざる顔が変わることがしばしば。だが、そんな中でもトモエがオユキの為にと、料理をする時間をとってくれている。そのおかげもあっての事だろうか、オユキのほうではようやくそうした時期に差し掛かったのだろう程度の考えなのだが、それ以外の物にとってみれば、ああ成程これが重要なのかとそうした納得が実に簡単に得られたというのに。
「今はそれがと言う事なのでしょうね。こちらに来てから、長く触っていませんでしたし。いえ、折に触れて使ってはいましたが」
「そうですね。その時にも感じていたことなのですが」
そして、明日から前夜祭と言う日でも、こうして王都の外で太刀を振るいながら、オユキはトモエに姿勢を直されている。どうにも、かつては剛剣を主体として使っていたため、特にこうして柔らかく振るうというのがオユキには少し難しい。かつては正しく習ったはずではあるのだが、目録迄得たには違いないのだが、そこにはこちらで長く手に持たなかったからこそのずれが大きく生まれている。さらには、オユキが修正をしようとしたときに参照するのは、どうしたところで過去の経験だ。過去の己は、今のトモエより少し低い程度の上背で。筋力に至っては、習い始めの頃はなかなかに絶望的ではあったのだが、それでも不思議な事で。感覚までがあまりにはっきりと返ってくる遊び方だったからだろうか、習い始めて、気を付けて。言われたとおりに体を動かし始めてからは、オユキ自身少し奇妙に感じる程度には早く改善され、さらに上にとなっていったものだ。
「思い返してみれば、過去にしても」
「どうかしましたか、オユキさん」
人によっては、それこそ今も遠巻きにオユキたちの様子を見ている護衛ではない狩猟者たちにしてみれば、何をこんな危険地帯で暢気にと、そう感じるものだろうが。トモエは武器を納めた上で、オユキの体に触れながら姿勢を直し、そして太刀を振らせては細かく構えを直していく。
「ゲームの中での事、そう考えていましたが。振り返ってみれば、体にもしっかりとと」
「そのことですか」
そして、オユキのつぶやきにトモエが少し考える。
「いえ、後にしておきましょうか。この場でとなると、長くなりすぎますから」
「トモエさんも、思う所があったのですね」
「はい」
そして、オユキの疑念。改めて感じた事、それをトモエに話してみれば、心当たりがあるのだとばかりに返ってくる。その様子に、本当に我が事ながら、過去にどれだけ見落としがあったのかと、そんな事をオユキとしても考えるのだが。
「オユキさん」
「はい」
「今回の事で、オユキさんは改めて、その」
「両親からの書置きと言いますか、私宛の、トモエさんにも宛てた手紙ですね」
これまでに手に入れたのは、僅か二通。各神殿にと考えていたのだが、始まりの教会で渡されたこともあり、最早それさえ定かでもない。過去の両親の所業を考えれば、教会に深くかかわっている、それには違いないのだろうが。今回の事で得られるとすれば、それこそ水と癒しの神殿となるのだろうか。オユキとしては、そんな事を考えながら。
「どうでしょうか。華と恋が先になりそうかなと」
「オユキさんは、今回の事でどこまでを考えていますか」
「昨日のお茶会ですね、その席でどうやらマリーア公爵は既に一つ二つは得ている様子でした。今は、他の領を先にと考えて公表していないのでしょう」
そして、トモエの疑問に直接答えるわけではなく、トモエの疑問に対して、寄り親である相手は既に確保済みだとそう応える。何処か焦ったような、というよりもオユキのデビュタント等と言う華々しい舞台。そこで、他に入り込むだけの余地を与えるような真似など、これまでを考えれば間違いなくしなかった。だというのに、今回はそれを行っていた。つまりは、トモエとオユキに関わることで、それを得たのだとそんな風に考えているのだろう。オユキからは、どうにか言外にそれは違うのだと示せたとは思うのだが、戻ってからも手紙など用意してユーフォリアに預けたものだ。帰ってきた物には、少なくとも翼人種との交流については、ほとんどマリーア公爵が独占せざるを得ない状況なので、それ以外の道を探したかったのだと書かれてもいたが。
「次に早いのは、クレリー公爵領となるかと思うのですが」
「その、オユキさんが言うには」
「その余裕が、間違いなく今のカルラ様にはないのですよね」
どうにも、カルラにしても仕事の多さに振り回されているとでもいえばいいのか。
「その、オユキさん」
「カルラさんから、私に直接何かあれば助言もできるのですが」
「オユキさん」
「流石に、麾下として振る舞わなければならない以上は、色々と難しいのです」
トモエから、オユキとして持っている解決策、それをいくつか伝えるだけであれば構わないのではないかと、そんな風に募られる。だが、オユキとしてもやはり言い分はあるのだ。トモエが参加していなかった、先の茶会の席。実のところ、そこでいくらか助言を行おうかと考えはしたのだ。だが、それは尽くマリーア公爵夫人に止められた。簡単に匂わせる、それすらも。一体、どうやってオユキの思考をなぞっているのかと思うほどに、先手を常に取られてしまった。失言という形で、伴侶を探せばと、当てはないのかとそういった突飛な発言に関しては、流石に公爵夫人も止められなかったのだが。
「その、私の失言は見逃していただけましたが」
「つまりは、オユキさんが何かを言おうとするときには、その視線の先に話題の先にクレリー公爵がいたときにはと言う事ですか」
「はい」
そしてトモエとしてもここで頭を抱えざるを得ない。言ってしまえば、既にオユキが苦手とする部分、それについて既に女性陣の中で共有が終わっていると言う事だ。オユキは、ミズキリに散々に仕込まれたからだろう。生来の物もあるのだろう。これから話をしようと、声をかけようとする相手をまっすぐに見る。それは、確かに色々と円滑に動くことになるだろう。それは、あまりにも分かり易い合図ではあるのだから。だが、それが明確に欠点となる場面と言うのは存在している。それが、お茶会のような、会議とは根本的に性質の異なる場面での事。
アイリスが、オユキがいない方が楽だろうと言ったのも、この辺りにも起因している。あのような多くの人間が異なる目的で集まるような場では、オユキのように話題の方向性を制御するというのはやはりそこまで好まれはしない。トモエが主催の代わりを務めたときに起こる様に、そこかしこで異なる話題に花を咲かせるのがより自然と言うものだ。だが、他ではなされている内容に耳を傾けていないのかと言われれば、それもまた違う。当然のことながら、他ではなされている内容にしても、把握している。この辺りは、脳科学とでもいえばいいのだろうか。その範囲で性別による差などと言うものが議論されていたようにトモエは覚えているのだが。
「オユキさんは、どうでしょうか。その、新しく技能としてそのあたりを」
「正直、不向きだという自覚はあるのですよね」
「はい。私も、そう思います」
だが、こうして入れ替わってみて、トモエが自然とできると言う事は、何もそうした物に限らないと言う事なのだろうと、トモエとしては改めてそんな事を。もしくは、過去の経験に合わせて造りが違うのか。そのあたりは、いよいよ分かるようなものではないのだが。
「結局のところ、鍛錬と同じと捕らえるのだとして」
「そう、ですよね」
ただ、仮にオユキにその心算があったとしても、練習の場が必須になる。トモエとの会話では、やはり基本的には互いを見た上で話が進む。そこに、他の誰かがいるのだとして、それでもオユキはトモエに視線を向ける。他に向けるのは、その必要がある時だけ。
基本的に、こうしている時にも、少し離れている時にも。オユキの視線と言うのは、意識というのは。何処までもまっすぐにトモエに向かっているのだから。
「まぁ、不向きな事については、諦めるしかないのでしょう。他の多くがそうであるように」
「ええ。それでよいかと言われれば、今回のように思う所もありますが」
「そのあたりは、ユフィを経由すれば、上手くやってくれることでしょう」
「あまり、ユーフォリアをいいように使いたくはないのですが」
オユキとしては、ここまで尽くしてくれるユーフォリアに、一度は己の生を全うして迄ついて来て呉れるユーフォリアに対して。やはり、何処か申し訳なさのようなものを覚えてしまうのだから。
10
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
僕のおつかい
麻竹
ファンタジー
魔女が世界を統べる世界。
東の大地ウェストブレイ。赤の魔女のお膝元であるこの森に、足早に森を抜けようとする一人の少年の姿があった。
少年の名はマクレーンといって黒い髪に黒い瞳、腰まである髪を後ろで一つに束ねた少年は、真っ赤なマントのフードを目深に被り、明るいこの森を早く抜けようと必死だった。
彼は、母親から頼まれた『おつかい』を無事にやり遂げるべく、今まさに旅に出たばかりであった。
そして、その旅の途中で森で倒れていた人を助けたのだが・・・・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※一話約1000文字前後に修正しました。
他サイト様にも投稿しています。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
アルゴノートのおんがえし
朝食ダンゴ
ファンタジー
『完結済!』【続編製作中!】
『アルゴノート』
そう呼ばれる者達が台頭し始めたのは、半世紀以上前のことである。
元来アルゴノートとは、自然や古代遺跡、ダンジョンと呼ばれる迷宮で採集や狩猟を行う者達の総称である。
彼らを侵略戦争の尖兵として登用したロードルシアは、その勢力を急速に拡大。
二度に渡る大侵略を経て、ロードルシアは大陸に覇を唱える一大帝国となった。
かつて英雄として名を馳せたアルゴノート。その名が持つ価値は、いつしか劣化の一途辿ることになる。
時は、記念すべき帝国歴五十年の佳節。
アルゴノートは、今や荒くれ者の代名詞と成り下がっていた。
『アルゴノート』の少年セスは、ひょんなことから貴族令嬢シルキィの護衛任務を引き受けることに。
典型的な貴族の例に漏れず大のアルゴノート嫌いであるシルキィはセスを邪険に扱うが、そんな彼女をセスは命懸けで守る決意をする。
シルキィのメイド、ティアを伴い帝都を目指す一行は、その道中で国家を巻き込んだ陰謀に巻き込まれてしまう。
セスとシルキィに秘められた過去。
歴史の闇に葬られた亡国の怨恨。
容赦なく襲いかかる戦火。
ーー苦難に立ち向かえ。生きることは、戦いだ。
それぞれの運命が絡み合う本格派ファンタジー開幕。
苦難のなかには生きる人にこそ読んで頂きたい一作。
○表紙イラスト:119 様
※本作は他サイトにも投稿しております。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
World of Fantasia
神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。
世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。
圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。
そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。
現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。
2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。
世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。
ゲームの世界に堕とされた開発者 ~異世界化した自作ゲームに閉じ込められたので、攻略してデバックルームを目指す~
白井よもぎ
ファンタジー
河井信也は会社帰りに、かつての親友である茂と再会する。
何年か振りの再会に、二人が思い出話に花を咲かせていると、茂は自分が神であると言い出してきた。
怪しい宗教はハマったのかと信也は警戒するが、茂は神であることを証明するように、自分が支配する異世界へと導いた。
そこは高校時代に二人で共同制作していた自作ゲームをそのまま異世界化させた世界だという。
驚くのも束の間、茂は有無を言わさず、その世界に信也を置いて去ってしまう。
そこで信也は、高校時代に喧嘩別れしたことを恨まれていたと知る。
異世界に置いてけぼりとなり、途方に暮れる信也だが、デバックルームの存在を思い出し、脱出の手立てを思いつく。
しかしデバックルームの場所は、最難関ダンジョン最奥の隠し部屋。
信也は異世界から脱出すべく、冒険者としてダンジョンの攻略を目指す。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる