931 / 1,235
27章 雨乞いを
初めての雨
しおりを挟む
カナリアが事を終えるタイミング、それを図ってと言う訳でもないのだが。
「さて、この後が楽しみではあるのですが」
「ほう」
「為すべきを為さねばならぬものですね」
やはり、雨乞いの祭りなどと言ったところでいよいよと現場は壁の外。ならば、そこには多くの守られなければならない者たちがいる。無論、それをトモエが行う必要があるのかと言われれば、その様な事は無い。
魔国からの戦力として、当然一部の魔術師たちも外には出てきている。その者たちの中には、以前彼らの意地を通すためにとトモエの前に立ちはだかって見せた者たちもいる。どうにも、そうした者たちがこちらの王家の護衛も兼ねてはいるようで、少々頼りのない者達を前において。そうした相手迄もを含めて、神国の騎士たちの矜持として守らねばならぬのだと力を入れることになっているため、寧ろとそうしたことを考えもするのだが。
「私としては、今も壁の中にいる相手を少しはと思うのだがな」
「さて、あちらはあちらで任せる物にと決めたでしょうに」
そして、今はローレンツではなくアベルと並んで。
生憎と、どういった人員配置にするべきか、そうした話し合いがもたれたときに内外で分ける必要が生まれてしまった。外では、カナリアを主体として、今も進んでいる雨乞いの儀式。同様に、壁の内ではアイリスが己の祖霊の加護、それがかなり薄れているためにさらなるものをと喚起するのだとそうした話。壁の外には、魔国の国王。そしてうちには王妃とその様に決まったのだと報告を受けて、では神国から来た者たちはとそうした話になった。そこで、まず真っ先に話が決まったのはトモエとオユキ。雨を乞う、水と癒し、異空と流離に連なる祭りである以上、空と地をつなぐ恵みを求める以上はそうした特性を備えている異邦人が祭りの場の中にとそうした話になったのだ。では、ローレンツとシェリアといういつもの組み合わせになるのかと言えば、魔国の国王その人との釣り合いがとそうした話にもなる。アルゼオ公爵の縁者がいるにしても、方や先代、方や令息。そして、マリーア公爵家にしても追い落とされた初代とこちらは令孫。流石に、家格が足りないのだと、そうした話にまずはなった。そして、ユニエス公爵家の家督を持ち王兄の令息でもあるアベルに白羽の矢が立った。代わりにと言う訳では無いが、信頼のできる騎士として、オユキがなんだかんだと重用することもありアベルとも連携をよくとっていた彼にでは頼むとアベルから。
そして、ここ暫くはなかなか見なかった布陣が今は出来上がったと言う訳だ。
「にしても、始まりの町に流れてきた花精の長だったか」
「一団のと、そうした話ではありますが、そうですね」
そうして、アベルが意識を向ける先は、守られながらも喜びを隠しきれない様子のそんな人物。木精にしろ、花精にしろ。種族としての特性を使うときには大地から容赦なく吸い上げる物があるのだと、そうした様子はこれまでも散々に見て来たのだが、今となっては実に分かりやすい。アジサイが、実に見事に咲き誇っている。オルテンシアと言う名前がそのまま示すように、あの国ではやはり有名な花でもある。色とりどりの額に囲まれ、その中には白い小さな花が可愛らしく咲く。しかし、容赦なく咲き誇るアジサイの周囲、かろうじて生えていた下草が枯れていってもいるのだが。
「本当に、つくづくと知らぬ事ばかりが多いのだと思い知らされる」
「オユキさんの事も含めて、でしょうが」
「神国の事も含めて、ではあるのだがな」
「そちらは、まぁ仕方の無い物でしょう」
オユキは、割と身近にいる相手として、アベルにも勿論八つ当たり時見た事をする。それについては、もとより騎士団の長であった、その事実を聞いたうえでのことではあるのだろう。加えて、原因の一端を担っている者同士と言ったそうした親近感も含めて。言ってしまえば、この人物はかつてのミズキリに近い位置にオユキはオユキ自身の中で配置しているようにトモエからは見えるのだ。
だが、それをするにはやはりこの人物にしても立場が非常に難しい。騎士たちの中では、一目を置かれている、と言うよりも可愛がられているのだとトモエには見えている。しかし、どうにも全体として、貴族社会から見たときにはどうかと言えば、やはり扱いかねる存在だと方々からそう見えていると言うのが実に分かりやすい。
こうして、らしい振る舞いを、散々に叩き込まれた振る舞いを行うのがこうして公の場面でのみ。それにしても無理に等と言う事も無く、寧ろこちらの方が自然体なのだと分かる様子で。
ならば、常日頃からこの人物が行っている振る舞いと言うのが、そのような状況で生き抜くためにと身に着けてきたアベルなりの処世術と言う所なのだろう。アイリスが、要所要所を外すことがない、それと同じように。
「それにしても、オユキさんとは私も見方が異なるのですが」
「ほう」
「アイリスさんと、アベルさんですね」
「ああ」
そう、本当に過去の己を見るような、トモエとしてはそのような心持なのだ。
「関係を進めたのもアイリスさんからでしょうし、本当に」
「そうか、その方らであれば確かにそうなったか」
過去のトモエには、アイリスのような特別な立場。言ってしまえば姫として扱われるようなそういった物は確かになかった。だが、まぁ、過去のオユキにとってはまさにその通りであったのだろうと、何処かそんなことを今になっても考えてしまうものだ。演武として、演舞として。近くの神社で行われる奉納の舞、依頼を受けて流派としての物を披露するために。そうした機会には、生憎とかつてのオユキが付いてくる事は無かったし、そのころには父にしても何やら断りを多く入れる事となっていたため、ついぞ機会も無かったと言うしか無い物ではある。それこそ、目録の先、内伝としてそうした所作と言うのは伝えていくのだが。
なんにせよ、そうした振る舞いも身に着けて。しかし、諦念、厭世観が前面に滲み出すアイリスと、かつて似たような心持。このまま、父から継いだ流派と言うのは、今いる門下生たちにしても年ごとに数を減らしている様を見て、今後は確かに衰退していくのだろうとそういやでも理解していたトモエと。
オユキがアイリスに気やすいのは、なんだかんだと気を許してあれこれと本来であればトモエに許可を求めて行う発言を失言とするのは、要はそのあたり。
「どうにも、周囲の用意、それが出来すぎているとこちらに来て感じることが多かったのです」
「用意、とは。いや、言いたい事はわからないでもないのだが」
「それこそ神々の予定、それ故だろうとそうは考えています」
アベルが始まりの町に来て、それは一応どのような流れがあったのか、そうした理解はある。
「どうなのでしょうか、アベルさんは」
「そのあたりは、先達に言われて、だな。凡そ神国の最高戦力、そう呼んでもいい存在がとな」
「門番をされている、アーサーさんですよね」
「ああ」
魔物を狩ったところで、己の向上が求められなくなったのだとアベルはそう話していた。だと言うのに、王都を離れ、さらなる強敵を求めて放浪するのではなく、それこそ始まりの町という名にふさわしいようにあまりにも長閑で牧歌的なあの町に。オユキのほうでは、特に重要ではないと考えての事なのだろうが、トモエとしてはやはりそこが気にはなったいたのだ。オユキは、そこで魔物相手ではなく技術を磨くための時間が取れるようになるだろうと、そう考えていたのだろうが、生憎とその様な研鑽はトモエに感じられないのだから。
「何度か、頼んではみたのだがな」
「立場もある方ですし、色々と難しいのでしょう」
「それにしても、私が知ったのはいよいよその方らを経由して、なのだからな」
あの町で、ミズキリと言う使徒までも集まって。
「世界をつなぐ、それだけなのでしょうか」
「ああ、それか。いや、言わんとすることはわかるのだが、私にはそれすらも途方も無い事のように聞こえていてな」
それが目的だとして、過剰ではないのか。トモエにとっては、そうした話。アベルが言う様に、オユキがそれが目的だと考えているように、それも一つであることは違いない。
「ですが、異邦人としてかなりの数がこちらに来ているはずなのですよね」
それこそ、こちらの神々に始まった話ではない。この世界では神として認められていない、そんな存在程度でも行えることなのだ。世界の切り離しを行う、それが着々と進んでいる。だから、今後は遠くなる。そうした話は確かに聞いている。それにしても、トモエから何度となくオユキに伝えているのだが、つないだままにすると言うのならば、そもそも切り離す必要などないだろうと。
「こう、寧ろ逆なのではないかと、私はもっぱらそう考えているのですよね」
そう、切り離すから選択の時が失われるのではなく、繋いだままにできない、このままでは世界が離れてしまうからこそ、選択の時、刻限が存在する。そして、こちらで魂の循環が成立するだけの素地ができた、予定が加速して、離れてしまうまでの期間が短くなった。だからこそ、大いに慌てているのだと考えれば、実に納得もいくという物だ。
「相も変わらず、その方らは」
「いえ、不敬にすぎるとそう言いたい気持ちは確かに分かるのですが」
アベルがため息とともに、そんなことを口にするのだが、確かに言わんとすることと言うのは理解できる。
「ですが、役割があり、制限があるとそういうお話ですから」
「それは、いや、言わんとすることはわかるのだが」
そうして、アベルと二人肩を並べて寄ってくる魔物を次から次へと切り捨てて。遠間の相手には、すっかりと馴染んできたと感じるある程度の距離まで纏めて切り捨てることが出来る武技なども使いながら。
「私たちの最終的な目標、それはご理解いただけているのでしょう」
「アイリスから聞いた時には、耳を疑ったのだがな」
「それが叶うのであれば、いえ、間違いなく今の期間では及ばないのですが」
どうだろうか。ついにはカナリアが主となる薪に向けて、火を放つ。そして、それよりも遥かに前から、雨乞いとしての炎等きっかけに過ぎないのだと、祭祀の象徴でしかないのだと言わんばかりに湧き出ていた雲に向けて、灯された焔が、火の粉が少しづつ舞い上がっていく。
「私には、動機があるのですよね」
「さて、この後が楽しみではあるのですが」
「ほう」
「為すべきを為さねばならぬものですね」
やはり、雨乞いの祭りなどと言ったところでいよいよと現場は壁の外。ならば、そこには多くの守られなければならない者たちがいる。無論、それをトモエが行う必要があるのかと言われれば、その様な事は無い。
魔国からの戦力として、当然一部の魔術師たちも外には出てきている。その者たちの中には、以前彼らの意地を通すためにとトモエの前に立ちはだかって見せた者たちもいる。どうにも、そうした者たちがこちらの王家の護衛も兼ねてはいるようで、少々頼りのない者達を前において。そうした相手迄もを含めて、神国の騎士たちの矜持として守らねばならぬのだと力を入れることになっているため、寧ろとそうしたことを考えもするのだが。
「私としては、今も壁の中にいる相手を少しはと思うのだがな」
「さて、あちらはあちらで任せる物にと決めたでしょうに」
そして、今はローレンツではなくアベルと並んで。
生憎と、どういった人員配置にするべきか、そうした話し合いがもたれたときに内外で分ける必要が生まれてしまった。外では、カナリアを主体として、今も進んでいる雨乞いの儀式。同様に、壁の内ではアイリスが己の祖霊の加護、それがかなり薄れているためにさらなるものをと喚起するのだとそうした話。壁の外には、魔国の国王。そしてうちには王妃とその様に決まったのだと報告を受けて、では神国から来た者たちはとそうした話になった。そこで、まず真っ先に話が決まったのはトモエとオユキ。雨を乞う、水と癒し、異空と流離に連なる祭りである以上、空と地をつなぐ恵みを求める以上はそうした特性を備えている異邦人が祭りの場の中にとそうした話になったのだ。では、ローレンツとシェリアといういつもの組み合わせになるのかと言えば、魔国の国王その人との釣り合いがとそうした話にもなる。アルゼオ公爵の縁者がいるにしても、方や先代、方や令息。そして、マリーア公爵家にしても追い落とされた初代とこちらは令孫。流石に、家格が足りないのだと、そうした話にまずはなった。そして、ユニエス公爵家の家督を持ち王兄の令息でもあるアベルに白羽の矢が立った。代わりにと言う訳では無いが、信頼のできる騎士として、オユキがなんだかんだと重用することもありアベルとも連携をよくとっていた彼にでは頼むとアベルから。
そして、ここ暫くはなかなか見なかった布陣が今は出来上がったと言う訳だ。
「にしても、始まりの町に流れてきた花精の長だったか」
「一団のと、そうした話ではありますが、そうですね」
そうして、アベルが意識を向ける先は、守られながらも喜びを隠しきれない様子のそんな人物。木精にしろ、花精にしろ。種族としての特性を使うときには大地から容赦なく吸い上げる物があるのだと、そうした様子はこれまでも散々に見て来たのだが、今となっては実に分かりやすい。アジサイが、実に見事に咲き誇っている。オルテンシアと言う名前がそのまま示すように、あの国ではやはり有名な花でもある。色とりどりの額に囲まれ、その中には白い小さな花が可愛らしく咲く。しかし、容赦なく咲き誇るアジサイの周囲、かろうじて生えていた下草が枯れていってもいるのだが。
「本当に、つくづくと知らぬ事ばかりが多いのだと思い知らされる」
「オユキさんの事も含めて、でしょうが」
「神国の事も含めて、ではあるのだがな」
「そちらは、まぁ仕方の無い物でしょう」
オユキは、割と身近にいる相手として、アベルにも勿論八つ当たり時見た事をする。それについては、もとより騎士団の長であった、その事実を聞いたうえでのことではあるのだろう。加えて、原因の一端を担っている者同士と言ったそうした親近感も含めて。言ってしまえば、この人物はかつてのミズキリに近い位置にオユキはオユキ自身の中で配置しているようにトモエからは見えるのだ。
だが、それをするにはやはりこの人物にしても立場が非常に難しい。騎士たちの中では、一目を置かれている、と言うよりも可愛がられているのだとトモエには見えている。しかし、どうにも全体として、貴族社会から見たときにはどうかと言えば、やはり扱いかねる存在だと方々からそう見えていると言うのが実に分かりやすい。
こうして、らしい振る舞いを、散々に叩き込まれた振る舞いを行うのがこうして公の場面でのみ。それにしても無理に等と言う事も無く、寧ろこちらの方が自然体なのだと分かる様子で。
ならば、常日頃からこの人物が行っている振る舞いと言うのが、そのような状況で生き抜くためにと身に着けてきたアベルなりの処世術と言う所なのだろう。アイリスが、要所要所を外すことがない、それと同じように。
「それにしても、オユキさんとは私も見方が異なるのですが」
「ほう」
「アイリスさんと、アベルさんですね」
「ああ」
そう、本当に過去の己を見るような、トモエとしてはそのような心持なのだ。
「関係を進めたのもアイリスさんからでしょうし、本当に」
「そうか、その方らであれば確かにそうなったか」
過去のトモエには、アイリスのような特別な立場。言ってしまえば姫として扱われるようなそういった物は確かになかった。だが、まぁ、過去のオユキにとってはまさにその通りであったのだろうと、何処かそんなことを今になっても考えてしまうものだ。演武として、演舞として。近くの神社で行われる奉納の舞、依頼を受けて流派としての物を披露するために。そうした機会には、生憎とかつてのオユキが付いてくる事は無かったし、そのころには父にしても何やら断りを多く入れる事となっていたため、ついぞ機会も無かったと言うしか無い物ではある。それこそ、目録の先、内伝としてそうした所作と言うのは伝えていくのだが。
なんにせよ、そうした振る舞いも身に着けて。しかし、諦念、厭世観が前面に滲み出すアイリスと、かつて似たような心持。このまま、父から継いだ流派と言うのは、今いる門下生たちにしても年ごとに数を減らしている様を見て、今後は確かに衰退していくのだろうとそういやでも理解していたトモエと。
オユキがアイリスに気やすいのは、なんだかんだと気を許してあれこれと本来であればトモエに許可を求めて行う発言を失言とするのは、要はそのあたり。
「どうにも、周囲の用意、それが出来すぎているとこちらに来て感じることが多かったのです」
「用意、とは。いや、言いたい事はわからないでもないのだが」
「それこそ神々の予定、それ故だろうとそうは考えています」
アベルが始まりの町に来て、それは一応どのような流れがあったのか、そうした理解はある。
「どうなのでしょうか、アベルさんは」
「そのあたりは、先達に言われて、だな。凡そ神国の最高戦力、そう呼んでもいい存在がとな」
「門番をされている、アーサーさんですよね」
「ああ」
魔物を狩ったところで、己の向上が求められなくなったのだとアベルはそう話していた。だと言うのに、王都を離れ、さらなる強敵を求めて放浪するのではなく、それこそ始まりの町という名にふさわしいようにあまりにも長閑で牧歌的なあの町に。オユキのほうでは、特に重要ではないと考えての事なのだろうが、トモエとしてはやはりそこが気にはなったいたのだ。オユキは、そこで魔物相手ではなく技術を磨くための時間が取れるようになるだろうと、そう考えていたのだろうが、生憎とその様な研鑽はトモエに感じられないのだから。
「何度か、頼んではみたのだがな」
「立場もある方ですし、色々と難しいのでしょう」
「それにしても、私が知ったのはいよいよその方らを経由して、なのだからな」
あの町で、ミズキリと言う使徒までも集まって。
「世界をつなぐ、それだけなのでしょうか」
「ああ、それか。いや、言わんとすることはわかるのだが、私にはそれすらも途方も無い事のように聞こえていてな」
それが目的だとして、過剰ではないのか。トモエにとっては、そうした話。アベルが言う様に、オユキがそれが目的だと考えているように、それも一つであることは違いない。
「ですが、異邦人としてかなりの数がこちらに来ているはずなのですよね」
それこそ、こちらの神々に始まった話ではない。この世界では神として認められていない、そんな存在程度でも行えることなのだ。世界の切り離しを行う、それが着々と進んでいる。だから、今後は遠くなる。そうした話は確かに聞いている。それにしても、トモエから何度となくオユキに伝えているのだが、つないだままにすると言うのならば、そもそも切り離す必要などないだろうと。
「こう、寧ろ逆なのではないかと、私はもっぱらそう考えているのですよね」
そう、切り離すから選択の時が失われるのではなく、繋いだままにできない、このままでは世界が離れてしまうからこそ、選択の時、刻限が存在する。そして、こちらで魂の循環が成立するだけの素地ができた、予定が加速して、離れてしまうまでの期間が短くなった。だからこそ、大いに慌てているのだと考えれば、実に納得もいくという物だ。
「相も変わらず、その方らは」
「いえ、不敬にすぎるとそう言いたい気持ちは確かに分かるのですが」
アベルがため息とともに、そんなことを口にするのだが、確かに言わんとすることと言うのは理解できる。
「ですが、役割があり、制限があるとそういうお話ですから」
「それは、いや、言わんとすることはわかるのだが」
そうして、アベルと二人肩を並べて寄ってくる魔物を次から次へと切り捨てて。遠間の相手には、すっかりと馴染んできたと感じるある程度の距離まで纏めて切り捨てることが出来る武技なども使いながら。
「私たちの最終的な目標、それはご理解いただけているのでしょう」
「アイリスから聞いた時には、耳を疑ったのだがな」
「それが叶うのであれば、いえ、間違いなく今の期間では及ばないのですが」
どうだろうか。ついにはカナリアが主となる薪に向けて、火を放つ。そして、それよりも遥かに前から、雨乞いとしての炎等きっかけに過ぎないのだと、祭祀の象徴でしかないのだと言わんばかりに湧き出ていた雲に向けて、灯された焔が、火の粉が少しづつ舞い上がっていく。
「私には、動機があるのですよね」
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~
SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。
ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。
『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』
『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』
そんな感じ。
『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。
隔週日曜日に更新予定。
百花繚乱 〜国の姫から極秘任務を受けた俺のスキルの行くところ〜
幻月日
ファンタジー
ーー時は魔物時代。
魔王を頂点とする闇の群勢が世界中に蔓延る中、勇者という職業は人々にとって希望の光だった。
そんな勇者の一人であるシンは、逃れ行き着いた村で村人たちに魔物を差し向けた勇者だと勘違いされてしまい、滞在中の兵団によってシーラ王国へ送られてしまった。
「勇者、シン。あなたには魔王の城に眠る秘宝、それを盗み出して来て欲しいのです」
唐突にアリス王女に突きつけられたのは、自分のようなランクの勇者に与えられる任務ではなかった。レベル50台の魔物をようやく倒せる勇者にとって、レベル100台がいる魔王の城は未知の領域。
「ーー王女が頼む、その任務。俺が引き受ける」
シンの持つスキルが頼りだと言うアリス王女。快く引き受けたわけではなかったが、シンはアリス王女の頼みを引き受けることになり、魔王の城へ旅立つ。
これは魔物が世界に溢れる時代、シーラ王国の姫に頼まれたのをきっかけに魔王の城を目指す勇者の物語。
Fragment-memory of future-Ⅱ
黒乃
ファンタジー
小説内容の無断転載・無断使用・自作発言厳禁
Repost is prohibited.
무단 전하 금지
禁止擅自转载
W主人公で繰り広げられる冒険譚のような、一昔前のRPGを彷彿させるようなストーリーになります。
バトル要素あり。BL要素あります。苦手な方はご注意を。
今作は前作『Fragment-memory of future-』の二部作目になります。
カクヨム・ノベルアップ+でも投稿しています
Copyright 2019 黒乃
******
主人公のレイが女神の巫女として覚醒してから2年の月日が経った。
主人公のエイリークが仲間を取り戻してから2年の月日が経った。
平和かと思われていた世界。
しかし裏では確実に不穏な影が蠢いていた。
彼らに訪れる新たな脅威とは──?
──それは過去から未来へ紡ぐ物語
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
異世界坊主の成り上がり
峯松めだか(旧かぐつち)
ファンタジー
山歩き中の似非坊主が気が付いたら異世界に居た、放っておいても生き残る程度の生存能力の山男、どうやら坊主扱いで布教せよということらしい、そんなこと言うと坊主は皆死んだら異世界か?名前だけで和尚(おしょう)にされた山男の明日はどっちだ?
矢鱈と生物学的に細かいゴブリンの生態がウリです?
本編の方は無事完結したので、後はひたすら番外で肉付けしています。
タイトル変えてみました、
旧題異世界坊主のハーレム話
旧旧題ようこそ異世界 迷い混んだのは坊主でした
「坊主が死んだら異世界でした 仏の威光は異世界でも通用しますか? それはそうとして、ゴブリンの生態が色々エグいのですが…」
迷子な坊主のサバイバル生活 異世界で念仏は使えますか?「旧題・異世界坊主」
ヒロイン其の2のエリスのイメージが有る程度固まったので画像にしてみました、灯に関しては未だしっくり来ていないので・・未公開
因みに、新作も一応準備済みです、良かったら見てやって下さい。
少女は石と旅に出る
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893967766
SF風味なファンタジー、一応この異世界坊主とパラレル的にリンクします
少女は其れでも生き足掻く
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893670055
中世ヨーロッパファンタジー、独立してます
World of Fantasia
神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。
世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。
圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。
そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。
現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。
2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。
世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる