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26章 魔国へ
続く話は
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頼まれなくても、ここまでの恩義に報いるために。カリンとヴィルヘルミナが異口同音にそう話す。しかし、この二人にしても、今後の事。己の生を全うするまで、それがどういった結果になるのか。それこそ、月と安息からはっきりとこちらに暮らす者たちに対して、お前たちに与える課題の形だとそう告げられるほどの物を持っている。トモエのほうでは、はっきりと予想がついているのだがオユキはやはり想定が出来ていない。それについて、トモエから口にすることがあるのだろうかと、そう考えてはいる。ただ、人の心、ひとかどの人物の振る舞い。それをトモエから口にするのもやはり違うような気がすると。
「それにしても、本当にアルノーは」
「ええ。短い時間でしたでしょうに、本当に華やかで」
セコンド・ピアットはとばして、コントルノが並んだ食卓。今のオユキにとっては、実に嬉しい野菜が色とりどりに盛り付けられた皿が並ぶ。どうにも、プリモ・ピアットに関してはアルノーとしても気合の入れ方が違ったようで。会話がそこまで盛り上がらなかったと言う訳でもなく、それぞれがただ黙々と口に運ぶ時間となってしまった。川魚、近くとはいっても馬車で急いで少しかかる位置にある大河から運んできただろう白身の魚。肉については、やはりこちらはこれまでの期間で大量に確保が進んでいた鹿肉を使った皿。彩以上に味をどう両立させるのか、調和させるのかも考え抜かれたうえで用意されたソースにしても、本当に楽しい物であったのだ。ただ、それ以上に単純に並ぶ品の好き嫌いと言えばいいのか。他の者たちにとってみれば、これはもはや箸休めの一品と言えばいいのだろう。次に来るのはフォルマッジョかドルチェかはわからないが、そちらに向けて口内の脂を落としてとするための品。ただ、それだけでは納めるつもりはないのだとソテーにしても一体どれほど迄と思うほどに飾り切りに始まり、火の入れ加減まで徹底的にこだわられている。切って食べることを当然として、口に入れたときに、感触の違いがそれぞれの野菜から楽しめるようにと、それぞれに調整されて。
「本当に、ここまでできるとは思わなかったものね、生前も」
「あら、有名どころでしたら勿論同じくらいはできていましたよ。そちらと比べることが出来る、それだけでアルノーの料理の技術は素晴らしいのですけれど」
「ええ、本当に。オユキさんも、楽しんでいるようですし」
「そう、ですね。私としては、やはり食べなれたトモエさんの物がと考えてしまいますが」
ただ、おいしいのかと聞かれれば、オユキとしても凝らされた趣向、そこに使われている技量を素直に称賛するだけにとどまるだろう。アルノーがこれまで用意した中で、オユキがはっきりとおいしいと口にしたのは彼がこちらに来たばかりのころの一度切。トモエがアルノーに、オユキはこういった物を好むのだとそう告げて用意されたガレットのみ。それから先は、ただこうして忌避感なく口に運べるとそれだけではある。折に触れて、彼にしても色々と手を尽くして氷菓なども用意してくれるものだがそちらにしても。以前、王都でそれこそ夢中になって食べてしまったときほどの事も無い。贅を凝らした料理よりも、工夫を凝らした料理よりも。やはり簡素なもののほうが、オユキにとってうれしい物ではある。勿論、場面にそぐわぬというのは理解が出来ているため、何を言う物でもないのだが。
「ああ、もとはそうなのよね」
「トモエさんの料理、ですか。こちらに来て、祭りの場であったりでお見掛けすることはありましたが」
「家庭料理の範疇ですから」
オユキがほめそやすほどの物ではないのだと、トモエからはそのように。
「ですが、頂いたこともありますが十分な物であったかと」
「そうね。見た目の華やかさでいえば、アルノーのほうが随分と上だと言わなければいけないし、味付けも好みの範疇を超えて最低限と思えるものであったとは思うのよ」
カリンとヴィルヘルミナ、その二人からははっきりとアルノーに劣ると言われはするのだが、それは単に比べる相手が悪いだけ。専門的に行っているわけではない以上、専門家に及ばないのは当然の話。アルノーにしても、家庭料理の範疇に含まれる細かい工夫。トモエが行う物に関しては、面白いと評価するほどの物ではあるのだ。
「まぁ、好んで食べる相手がいればこそ、そういう事なのでしょうけど」
「そうですね。日々の食事、それは鍛錬の一部でもありますし」
「まぁ」
幼い頃に、トモエは母を亡くして。それからしばらくの間は、慣れないながらも父が。手すきの門下生がいるときには、彼らが、彼女らが代わりに。時には、家で余剰を作って差し入れとして。それらをありがたく頂きながらも、しばらくすればかつてのトモエにしても、自分でやってみようと考え始めて。それからずいぶん経つ頃には、かつてのオユキの惨状に気が付いて。そこからだろうか。あまりにもあまりなオユキの生活、それに対して少しはまともに、少しでも体に必要なものをと考えて色々と調べ始めて作るようになったのは。
「だとすれば、オユキはかつての世界でも野菜を好んで食べていたのかしら」
「そういえば、どうだったでしょうか」
先程の魚については、オリーブオイルだけでなく、バターも使われていたためオユキにとってはやはり少々重く。他の者たちが楽しんでいる中で、少し苦手だとそうした様子を隠せていなかったのだが、今はそれこそ満腹感を覚えていないためせっせと野菜を口に運んでいる。そんなオユキが、どうにも思い出せないと首をかしげて見せれば。
「生前のオユキさんと、今のオユキさんでは食の好みはやはりだいぶ変わっていますよ」
「だ、そうです」
「貴女、自分の事でしょうに」
そうして、呆れたようにカリンに言われるのだが。
「自分の事など、わかるようで最もわからないものでしょうに」
「それは、確かにそうした思想もあるにはあるけれど」
オユキが、韜晦と言う訳でもなく本当に身につまされることとしてそう話せば、カリンのほうはそういった物に心当たりがあるとして。ヴィルヘルミナのほうは、何やらこれまでの経験で多くの心当たりがあるとばかりに、過去に思いを馳せるように。トモエについては、己の制御、事故の制御を徹底する流派を伝えるものとしてそれはどうかと、そのような様子。しかし、トモエの集中力の発露、その形が己こそが一本の刀なのだと、いまこうしてそこにある肉体なぞ、刀が思う様に走るための道具でしかないのだとそうした形をとっているため反論も難しいという物。何度か、それこそ過去に何度も二人で話したこともあるのだが、互いに信条としている物、そこから得られる集中が深まった時に得られる世界の見え方。それは逆であるのが正しい在り方ではないだろうかと。
「さて、私としてはこちらに来ること、勿論頼まれたのだから断りはしないわよ。月と安息の神言われたからと言うだけでなく、それ以上の物は既に貴女からもらった物」
「私も、同じ。美と芸術の女神さまには、少し貴女の手習いとしてとも言われているけれど、それ以上に私が歌を披露できる舞台も用意してくれたのだもの。それに応えようと、それくらいの矜持は、人の世で生きるための物くらいは私も持ち合わせているのよ」
そうして、二人が華やかに笑う。オユキに対して、そこまで気を使わなくてもいいのだと。今回軟禁する予定のクレリー家、そちらが無聊を慰めるためにと求めたのだとそれを知ってなお。何も、それをオユキが直接口にしたわけではない。だが、ここまでの扱いに気が付くほどには、二人ともそれなり以上の時間を過ごしている。本人しても、かつての世界でそう扱われることもあったには違いない。方や世界にその名を轟かせた歌姫であり、もう一人にしてもその舞で数多の者たちを魅了してきた舞姫なのだから。
「それで、要望があれば、で、いいのかしら」
「私としても、演目の要望位は事前に聞いておきたいものだわ」
「ええ、本当に有難うございます」
実のところ、クレリー家から選ばれたカルラにしても、自分が軟禁される。魔国にいる間は、自由がないことなど当然のように理解しているのだ。だからこそ、何処かやさぐれた雰囲気で。オユキとしても、それをただ良しとしているわけでもなく。どうにかとは考えているのだが、やはり、邪魔なのだ。見知らぬものに、信用は置けない。だからと言って、どういった能力があるのかもわからぬ相手に場を任せる気にもなれない。今回の事、この場の事は、今後の他国との関係を考えれば、本当に難しいのだ。期間内に恐らく間に合う事として、武国との間に門が作られれば、そちらからも魔国に対して戦力の供与が行われ、その対価として魔道具を求めてとなるだろう。そちらに対しても、今回の出来事が基準となるため、アベルとの関係もありここだけの事で終わらないものなのだ。今回の魔国との新しい関係を作るという行為は。
「正直、助かります」
「まぁ、他国に赴け、しかしそこで何もするな。それだけでは、かなり気が滅入る物ね」
「ええ。観光も少しくらい、そう願っても叶えられないのでは、やはり悲しいですもの」
そして、話していなかったこと。この二人に対して求めることと言うのはこちらに一緒に向かう事。そこで、色々と行う事に対して助力を求めるようなものではなく。アルノーにしてもそうなのだが、軟禁相手が不自由を感じたとして、それ以上の楽しみが得られるように。それでしかない。神々が、オユキの助けにとそうして用意した人員だというのであれば、まさにこの時のためかと邪推はしてしまうという物だが。
「あの、オユキさん」
「はい、なんでしょう」
そんなことを考えるオユキに対して、トモエがやはりその考え違いについて少し。
「お二方がオユキさんを助けるようにと言われているのは、間違いなく今回の事ではありませんよ」
「ええと、そうなのですか」
そう、オユキの思考ではそうなっていたとしても。トモエから見れば、やはり違うとわかるものだ。話を聞いている二人についてもオユキの勘違いなど、こうしてトモエが口にしなければわからないものだ。
「私達の、性別が変わってしまった事、それに対しての手助けですよ」
「おや」
だからこそ、トモエが口にすれば、二人そろってああ伝わっていなかったのかと。これまで、オユキが詩作や刺繍と言ったこちらで淑女教育の一環とされていることに従事しているときに、常に都合よくいたのだから。
「それにしても、本当にアルノーは」
「ええ。短い時間でしたでしょうに、本当に華やかで」
セコンド・ピアットはとばして、コントルノが並んだ食卓。今のオユキにとっては、実に嬉しい野菜が色とりどりに盛り付けられた皿が並ぶ。どうにも、プリモ・ピアットに関してはアルノーとしても気合の入れ方が違ったようで。会話がそこまで盛り上がらなかったと言う訳でもなく、それぞれがただ黙々と口に運ぶ時間となってしまった。川魚、近くとはいっても馬車で急いで少しかかる位置にある大河から運んできただろう白身の魚。肉については、やはりこちらはこれまでの期間で大量に確保が進んでいた鹿肉を使った皿。彩以上に味をどう両立させるのか、調和させるのかも考え抜かれたうえで用意されたソースにしても、本当に楽しい物であったのだ。ただ、それ以上に単純に並ぶ品の好き嫌いと言えばいいのか。他の者たちにとってみれば、これはもはや箸休めの一品と言えばいいのだろう。次に来るのはフォルマッジョかドルチェかはわからないが、そちらに向けて口内の脂を落としてとするための品。ただ、それだけでは納めるつもりはないのだとソテーにしても一体どれほど迄と思うほどに飾り切りに始まり、火の入れ加減まで徹底的にこだわられている。切って食べることを当然として、口に入れたときに、感触の違いがそれぞれの野菜から楽しめるようにと、それぞれに調整されて。
「本当に、ここまでできるとは思わなかったものね、生前も」
「あら、有名どころでしたら勿論同じくらいはできていましたよ。そちらと比べることが出来る、それだけでアルノーの料理の技術は素晴らしいのですけれど」
「ええ、本当に。オユキさんも、楽しんでいるようですし」
「そう、ですね。私としては、やはり食べなれたトモエさんの物がと考えてしまいますが」
ただ、おいしいのかと聞かれれば、オユキとしても凝らされた趣向、そこに使われている技量を素直に称賛するだけにとどまるだろう。アルノーがこれまで用意した中で、オユキがはっきりとおいしいと口にしたのは彼がこちらに来たばかりのころの一度切。トモエがアルノーに、オユキはこういった物を好むのだとそう告げて用意されたガレットのみ。それから先は、ただこうして忌避感なく口に運べるとそれだけではある。折に触れて、彼にしても色々と手を尽くして氷菓なども用意してくれるものだがそちらにしても。以前、王都でそれこそ夢中になって食べてしまったときほどの事も無い。贅を凝らした料理よりも、工夫を凝らした料理よりも。やはり簡素なもののほうが、オユキにとってうれしい物ではある。勿論、場面にそぐわぬというのは理解が出来ているため、何を言う物でもないのだが。
「ああ、もとはそうなのよね」
「トモエさんの料理、ですか。こちらに来て、祭りの場であったりでお見掛けすることはありましたが」
「家庭料理の範疇ですから」
オユキがほめそやすほどの物ではないのだと、トモエからはそのように。
「ですが、頂いたこともありますが十分な物であったかと」
「そうね。見た目の華やかさでいえば、アルノーのほうが随分と上だと言わなければいけないし、味付けも好みの範疇を超えて最低限と思えるものであったとは思うのよ」
カリンとヴィルヘルミナ、その二人からははっきりとアルノーに劣ると言われはするのだが、それは単に比べる相手が悪いだけ。専門的に行っているわけではない以上、専門家に及ばないのは当然の話。アルノーにしても、家庭料理の範疇に含まれる細かい工夫。トモエが行う物に関しては、面白いと評価するほどの物ではあるのだ。
「まぁ、好んで食べる相手がいればこそ、そういう事なのでしょうけど」
「そうですね。日々の食事、それは鍛錬の一部でもありますし」
「まぁ」
幼い頃に、トモエは母を亡くして。それからしばらくの間は、慣れないながらも父が。手すきの門下生がいるときには、彼らが、彼女らが代わりに。時には、家で余剰を作って差し入れとして。それらをありがたく頂きながらも、しばらくすればかつてのトモエにしても、自分でやってみようと考え始めて。それからずいぶん経つ頃には、かつてのオユキの惨状に気が付いて。そこからだろうか。あまりにもあまりなオユキの生活、それに対して少しはまともに、少しでも体に必要なものをと考えて色々と調べ始めて作るようになったのは。
「だとすれば、オユキはかつての世界でも野菜を好んで食べていたのかしら」
「そういえば、どうだったでしょうか」
先程の魚については、オリーブオイルだけでなく、バターも使われていたためオユキにとってはやはり少々重く。他の者たちが楽しんでいる中で、少し苦手だとそうした様子を隠せていなかったのだが、今はそれこそ満腹感を覚えていないためせっせと野菜を口に運んでいる。そんなオユキが、どうにも思い出せないと首をかしげて見せれば。
「生前のオユキさんと、今のオユキさんでは食の好みはやはりだいぶ変わっていますよ」
「だ、そうです」
「貴女、自分の事でしょうに」
そうして、呆れたようにカリンに言われるのだが。
「自分の事など、わかるようで最もわからないものでしょうに」
「それは、確かにそうした思想もあるにはあるけれど」
オユキが、韜晦と言う訳でもなく本当に身につまされることとしてそう話せば、カリンのほうはそういった物に心当たりがあるとして。ヴィルヘルミナのほうは、何やらこれまでの経験で多くの心当たりがあるとばかりに、過去に思いを馳せるように。トモエについては、己の制御、事故の制御を徹底する流派を伝えるものとしてそれはどうかと、そのような様子。しかし、トモエの集中力の発露、その形が己こそが一本の刀なのだと、いまこうしてそこにある肉体なぞ、刀が思う様に走るための道具でしかないのだとそうした形をとっているため反論も難しいという物。何度か、それこそ過去に何度も二人で話したこともあるのだが、互いに信条としている物、そこから得られる集中が深まった時に得られる世界の見え方。それは逆であるのが正しい在り方ではないだろうかと。
「さて、私としてはこちらに来ること、勿論頼まれたのだから断りはしないわよ。月と安息の神言われたからと言うだけでなく、それ以上の物は既に貴女からもらった物」
「私も、同じ。美と芸術の女神さまには、少し貴女の手習いとしてとも言われているけれど、それ以上に私が歌を披露できる舞台も用意してくれたのだもの。それに応えようと、それくらいの矜持は、人の世で生きるための物くらいは私も持ち合わせているのよ」
そうして、二人が華やかに笑う。オユキに対して、そこまで気を使わなくてもいいのだと。今回軟禁する予定のクレリー家、そちらが無聊を慰めるためにと求めたのだとそれを知ってなお。何も、それをオユキが直接口にしたわけではない。だが、ここまでの扱いに気が付くほどには、二人ともそれなり以上の時間を過ごしている。本人しても、かつての世界でそう扱われることもあったには違いない。方や世界にその名を轟かせた歌姫であり、もう一人にしてもその舞で数多の者たちを魅了してきた舞姫なのだから。
「それで、要望があれば、で、いいのかしら」
「私としても、演目の要望位は事前に聞いておきたいものだわ」
「ええ、本当に有難うございます」
実のところ、クレリー家から選ばれたカルラにしても、自分が軟禁される。魔国にいる間は、自由がないことなど当然のように理解しているのだ。だからこそ、何処かやさぐれた雰囲気で。オユキとしても、それをただ良しとしているわけでもなく。どうにかとは考えているのだが、やはり、邪魔なのだ。見知らぬものに、信用は置けない。だからと言って、どういった能力があるのかもわからぬ相手に場を任せる気にもなれない。今回の事、この場の事は、今後の他国との関係を考えれば、本当に難しいのだ。期間内に恐らく間に合う事として、武国との間に門が作られれば、そちらからも魔国に対して戦力の供与が行われ、その対価として魔道具を求めてとなるだろう。そちらに対しても、今回の出来事が基準となるため、アベルとの関係もありここだけの事で終わらないものなのだ。今回の魔国との新しい関係を作るという行為は。
「正直、助かります」
「まぁ、他国に赴け、しかしそこで何もするな。それだけでは、かなり気が滅入る物ね」
「ええ。観光も少しくらい、そう願っても叶えられないのでは、やはり悲しいですもの」
そして、話していなかったこと。この二人に対して求めることと言うのはこちらに一緒に向かう事。そこで、色々と行う事に対して助力を求めるようなものではなく。アルノーにしてもそうなのだが、軟禁相手が不自由を感じたとして、それ以上の楽しみが得られるように。それでしかない。神々が、オユキの助けにとそうして用意した人員だというのであれば、まさにこの時のためかと邪推はしてしまうという物だが。
「あの、オユキさん」
「はい、なんでしょう」
そんなことを考えるオユキに対して、トモエがやはりその考え違いについて少し。
「お二方がオユキさんを助けるようにと言われているのは、間違いなく今回の事ではありませんよ」
「ええと、そうなのですか」
そう、オユキの思考ではそうなっていたとしても。トモエから見れば、やはり違うとわかるものだ。話を聞いている二人についてもオユキの勘違いなど、こうしてトモエが口にしなければわからないものだ。
「私達の、性別が変わってしまった事、それに対しての手助けですよ」
「おや」
だからこそ、トモエが口にすれば、二人そろってああ伝わっていなかったのかと。これまで、オユキが詩作や刺繍と言ったこちらで淑女教育の一環とされていることに従事しているときに、常に都合よくいたのだから。
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