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26章 魔国へ
語らう場
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「私に与えられたこと、それは言ってしまえば貴女を助けることなのよ」
「私も同様に。こちらに来るときに、言われたのよ。貴女が、これから困ることが多いからと」
異邦人二人から、オユキにそうして話が始まる。
「かつての世界から、こちらに渡る時には」
「そう、ね。他の方も基本は同じと聞いてはいたけれど、少し話をして」
そうして、それが当然とばかりに互いに言葉をつづけながら。
「私が会ったのは、美と芸術」
「私は、月と安息だったのよね。これまでが評価されたというのなら、是非とも美と芸術が良かったのだけれど」
ヴィルヘルミナは、美と芸術の神に。カリンのほうも、てっきり同じ柱かと思えばこちらはどうにもまた別の神であったらしい。月と安息、こちらが司る物とは正直彼女のこれまでとはやはり異なっているように思う。それを言えば、トモエとオユキにしても戦と武技ではなく創造神であったわけだが。そうして、話を聞いてみれば、やはり考えなければならない事と言うのが生まれてくる。こちらに来た時に、出会う紙が違うとは考えていた。しかし、それはあくまで創造神か、こちらに存在する悪意か。それだけの事だと考えていた。
しかし、こうして話を聞いてみればそもそもこちらに来た時に出会う神すらも違うと言う事らしい。呼んだ相手については、以前に月と安息からはっきりと選ぶ基準があると聞いたのも事実。それが嘘でないとするのならば、今トモエとオユキの周りにいる異邦人たちは揃って月と安息に呼ばれたと言う事らしいのだが。
「まぁ、そこで言われたのよ。私にはトモエが困るからと言う事だったのだけれど」
「あら、私ははっきりとオユキがと聞かされたわ」
「私のほうは、元のトモエを知っていたから、でしょうね」
「あの、困っているとして、それでこちらに来て早々の出来事と言うのは」
困っている人間がいて、それを助けてほしいのだと言われたにしては。オユキが少々胡乱な者を見る視線を浮かべたとして、それで何を言われる事も無いだろう。
「そうはいっても、ねぇ」
「ええ。流石に、久しくこうして自由に動くこともできていなかったものですから」
前菜も、こちらに合わせてだろうからアンティパストと呼ぶべきか。オユキのほうでは並んだオリーブに、キノコや野菜のフリッタータ、加えていくらかの塩漬け肉などを口に運びつつ。トモエはトモエで少々重ための肉類、ハムやサラミと言った物を主体に並べられた皿。アルノーがいるからだと、本当にわかりやすいほどに。食事はあくまで話に華を添えるために、謙遜としてそう語っているのだろうが、何よりこうして食卓に並べられて見ればすぐに彼の存在がわかる。魔国では、それこそフランスの品をはじめ、それぞれの要求にこたえる形で色々と楽しませてもらったものだ。こちらでは、流石に市場に出る時間は無かったため、それこそ厨房にあった品々を見てそこからすぐに組み立てた物だろう。どうやら、こちらでも既に格付けは終わったのか、ここまでの間で彼の腕前に信頼を置いている者たちばかりがいるからと勝ち取ったのか。
向かいの異邦人二人の皿にしても、トモエとオユキとはそれぞれにまた違う物が並んでいる。それぞれの好みに合わせた物だろう。何とも、手の込んだことだと思う反面、今回彼がこちらに来るにあたって選んだ子供たち。もともと丁稚として雇い入れていた子供ではあるのだが、そのうちの幾人かは神国の屋敷に残り、今もあちらで働いている者たちに向けての料理を任せることとしたのだと聞いてもいる。彼のほうでは、順調に後進の育成が進んでいるようでなによりと思う反面、こちらに連れてきている者たちと残した者たち。そこにある差も少しは気になるものだ。
「オユキさんも」
「言われてみれば、覚え位はありますが」
ただ、それでもオユキはこちらで改めて暮らすにあたって、少しくらいの情報を事前にと考えていた。しかし、こちらの異邦人たちはどうかと言えば。
「生活については、心配しなくてもよいとそう言われていましたもの。オユキが面倒を見るだろうからと」
「私も、まぁ、そうね」
「まぁ、確かに言われずともカリンさんは顔見知りでしたから」
どうやら、すっかりと頼る心算であったらしい。そのあたりについては、オユキとしては確かにそうしただろうという考えもあり、いまさら何を言うでもないのだが。
「その、オユキさんの助けにと、そういう話であったかと思うのですが」
前菜の皿もそれぞれに片付けて。そうすればプリモ・ピアットは飛ばしてセコンド・ピアットとして。川もほど近いから、そちらから採ってきたものなのだろうがオユキとカリンには魚が。ヴィルヘルミナとトモエには肉を使ったものが。このあたりは生前暮らしていた国、地域の違いなのだろうがやはりここにも食の好みの差と言うのが表れてくる。肉類を好んで食べる者もいれば、そうでないものもいる。そのあたり、本当によく把握されていると言えばいいのか。
「ええ。ただ、内容は言われてないのよね」
「私は、頼まれることが折に触れてあるだろうから、それは可能ならとだけ」
「それはまた、お二方とも良く頷かれましたね」
「まぁ、そうなのだけれど」
全く見知らぬ相手であったには違いないだろう。それでも諾と答えるだけの感情は、それぞれにかつてのゲーム、この世界の全身であったかもしれない舞台に持っていたらしい。だからこそと言う訳でもないが、それでも選ばれるだけの何かには違いなく。そこは、やはりオユキと変わらないだけの物を抱えているらしい。各々に、どうにもならぬ感情を。どこへも行けぬ感情を確かに。
「私は、まぁ、過去に散々追いかけていた相手だもの。あまり聞こえてくる話は無かったけれど、それでも何度か話したときに少なくとも、人となりはわかっていたつもりだったわよ」
「それは、ええ、お互いさまと言いますか。私にしても、避けていたのは改めて申し訳なく思いますが」
「ええ、本当に。でも、それがあってこうしてこちらに来ることにもなったわけだし、技を磨くだけの事もあったもの」
「私は、そうね。いつだったかに、とても面白い人がいるのだと聞いたくらいかしら」
カリンとは面識があり、互いに存在を認識していたものだが、ヴィルヘルミナのほうでも一応心当たりくらいはあったらしい。そんな評価に、トモエから何やらオユキに少々嗜めるような視線が送られてくるものだが、面白いと言われても正直オユキには心当たりがありすぎる。
「世界の果てを目指して、異なる大陸へ足を延ばして。己の足が通らなかったところは無いと、そのように語る方もいたけれど、それをするでもなく」
「ああ、確か私も色々と聞いていたのだけれど、どうにも眉唾と言えばいいのかしら。いえ、足取りがつかめないと言う事は、正しいのだろうと」
「あの、どのような噂かは分かりかねますが。そうですね、ヴィルヘルミナさんが今仰った言葉、それに嘘はありませんとも」
「とすると、そこから戻る方法と言うのも、嘘では無かったのかしら」
そうして、実に楽し気にヴィルヘルミナがくすくすと笑う。
「あそこ迄、ええ、私が効いた話によると、あんなに方々から集めて作った船にしても」
「もとより、そうした物でしたから。正直、途中で餓死による脱落者も出そうなものと考えていましたので」
「そういえば、オユキさん、以前には魔物には海生の種類もいるとか」
「ええ、ですから予定を合わせて、常に誰かが警戒できるように。加えて、今は短杖と言う形でカナリアさんが使っていますが、もともとはゲームの時にもあったのですよね」
そう、相応に強化をした船を建造して、その時に構造に詳しいアマギであったりヴィックスであったりがこの世界の浮力はおかしいなどと散々に文句を言いながら。それを、使い捨てると言う事に、寧ろ彼らにしても乗り気であったのだから、集まった一団と言うのがどういった性質だったのかがうかがい知れるという物だ。
「確か、木材にしてもかなり希少だったとか」
「どうなのでしょうか、あの時に使った物はもとより私たちの一団が構えていた砦、その周囲に植えていたものですから」
別の大陸に行ったのは、確かゲームのサービスが開始されて二十年程は立ったころだったろうか。そのころには、実のところオユキのほうでは世界樹に一度はたどり着いていたのだ。そこから持ち帰れるものなど何もなかったが、ただ、どうにも砦の周囲に樹木を植えてみれば何やら育ちが随分と早くなったものだ。おかげで、相応の面倒を引き寄せることにもなったのだが。
「それにしても、他に成功した例と言うのは、あまり聞きませんでしたから」
「どうでしょうか、私たち以外にも向かった方々はいたわけですし、戻ってこなかったのはむしろ渡った先で何かを見つけたからではないかと」
「どうなのかしら。仮にそうであったなら、往復を継続してと」
「いえ、魔物除けの領域を形成するための道具は安い物ではありませんでしたし」
「船も、そうでしょうに。重機も無かったのだから」
そう、重機がなくとも人が代替できるとはいえ、何も重機の役割と言うのは出力ばかりではない。据付の際には、色々と細かく行う事もありその時間を確保するためにはやはり支えがいる。一団の中で、そうした人員を募ってとしてはいたのだが、なんといえばいいのか。相応に怒声が響くなかなかにらしい現場となっていたものだ。
「ええと、話がそれていますが」
「本当ですね、オユキの、そう今はオユキなのだけれど、要は助けるようにとそう言われてこちらに来たのよ」
「おそらく、アルノーもそうでしょうね」
「ありがたい事ではありますが」
さて、それをするだけの理由が、それぞれにあるのだろうか。それをされるだけの物が自分にあるのだろうか。オユキは、どうしてもそうしたことを考えてしまう。何が、と言う訳でもない。確かに、できることを、余剰だと感じる物もあり。それだけではなく、どうにも怪しげな異邦人と言う枠組みに対して向けられている物から守るためにと。そうしたことを考えて、振る舞いはしているのだが。
「頼まれたからと言うだけではなく、貴女から色々と既に受け取っているもの」
「私も、同じだわ。衣装にしても、歌う場にしても」
「私も同様に。こちらに来るときに、言われたのよ。貴女が、これから困ることが多いからと」
異邦人二人から、オユキにそうして話が始まる。
「かつての世界から、こちらに渡る時には」
「そう、ね。他の方も基本は同じと聞いてはいたけれど、少し話をして」
そうして、それが当然とばかりに互いに言葉をつづけながら。
「私が会ったのは、美と芸術」
「私は、月と安息だったのよね。これまでが評価されたというのなら、是非とも美と芸術が良かったのだけれど」
ヴィルヘルミナは、美と芸術の神に。カリンのほうも、てっきり同じ柱かと思えばこちらはどうにもまた別の神であったらしい。月と安息、こちらが司る物とは正直彼女のこれまでとはやはり異なっているように思う。それを言えば、トモエとオユキにしても戦と武技ではなく創造神であったわけだが。そうして、話を聞いてみれば、やはり考えなければならない事と言うのが生まれてくる。こちらに来た時に、出会う紙が違うとは考えていた。しかし、それはあくまで創造神か、こちらに存在する悪意か。それだけの事だと考えていた。
しかし、こうして話を聞いてみればそもそもこちらに来た時に出会う神すらも違うと言う事らしい。呼んだ相手については、以前に月と安息からはっきりと選ぶ基準があると聞いたのも事実。それが嘘でないとするのならば、今トモエとオユキの周りにいる異邦人たちは揃って月と安息に呼ばれたと言う事らしいのだが。
「まぁ、そこで言われたのよ。私にはトモエが困るからと言う事だったのだけれど」
「あら、私ははっきりとオユキがと聞かされたわ」
「私のほうは、元のトモエを知っていたから、でしょうね」
「あの、困っているとして、それでこちらに来て早々の出来事と言うのは」
困っている人間がいて、それを助けてほしいのだと言われたにしては。オユキが少々胡乱な者を見る視線を浮かべたとして、それで何を言われる事も無いだろう。
「そうはいっても、ねぇ」
「ええ。流石に、久しくこうして自由に動くこともできていなかったものですから」
前菜も、こちらに合わせてだろうからアンティパストと呼ぶべきか。オユキのほうでは並んだオリーブに、キノコや野菜のフリッタータ、加えていくらかの塩漬け肉などを口に運びつつ。トモエはトモエで少々重ための肉類、ハムやサラミと言った物を主体に並べられた皿。アルノーがいるからだと、本当にわかりやすいほどに。食事はあくまで話に華を添えるために、謙遜としてそう語っているのだろうが、何よりこうして食卓に並べられて見ればすぐに彼の存在がわかる。魔国では、それこそフランスの品をはじめ、それぞれの要求にこたえる形で色々と楽しませてもらったものだ。こちらでは、流石に市場に出る時間は無かったため、それこそ厨房にあった品々を見てそこからすぐに組み立てた物だろう。どうやら、こちらでも既に格付けは終わったのか、ここまでの間で彼の腕前に信頼を置いている者たちばかりがいるからと勝ち取ったのか。
向かいの異邦人二人の皿にしても、トモエとオユキとはそれぞれにまた違う物が並んでいる。それぞれの好みに合わせた物だろう。何とも、手の込んだことだと思う反面、今回彼がこちらに来るにあたって選んだ子供たち。もともと丁稚として雇い入れていた子供ではあるのだが、そのうちの幾人かは神国の屋敷に残り、今もあちらで働いている者たちに向けての料理を任せることとしたのだと聞いてもいる。彼のほうでは、順調に後進の育成が進んでいるようでなによりと思う反面、こちらに連れてきている者たちと残した者たち。そこにある差も少しは気になるものだ。
「オユキさんも」
「言われてみれば、覚え位はありますが」
ただ、それでもオユキはこちらで改めて暮らすにあたって、少しくらいの情報を事前にと考えていた。しかし、こちらの異邦人たちはどうかと言えば。
「生活については、心配しなくてもよいとそう言われていましたもの。オユキが面倒を見るだろうからと」
「私も、まぁ、そうね」
「まぁ、確かに言われずともカリンさんは顔見知りでしたから」
どうやら、すっかりと頼る心算であったらしい。そのあたりについては、オユキとしては確かにそうしただろうという考えもあり、いまさら何を言うでもないのだが。
「その、オユキさんの助けにと、そういう話であったかと思うのですが」
前菜の皿もそれぞれに片付けて。そうすればプリモ・ピアットは飛ばしてセコンド・ピアットとして。川もほど近いから、そちらから採ってきたものなのだろうがオユキとカリンには魚が。ヴィルヘルミナとトモエには肉を使ったものが。このあたりは生前暮らしていた国、地域の違いなのだろうがやはりここにも食の好みの差と言うのが表れてくる。肉類を好んで食べる者もいれば、そうでないものもいる。そのあたり、本当によく把握されていると言えばいいのか。
「ええ。ただ、内容は言われてないのよね」
「私は、頼まれることが折に触れてあるだろうから、それは可能ならとだけ」
「それはまた、お二方とも良く頷かれましたね」
「まぁ、そうなのだけれど」
全く見知らぬ相手であったには違いないだろう。それでも諾と答えるだけの感情は、それぞれにかつてのゲーム、この世界の全身であったかもしれない舞台に持っていたらしい。だからこそと言う訳でもないが、それでも選ばれるだけの何かには違いなく。そこは、やはりオユキと変わらないだけの物を抱えているらしい。各々に、どうにもならぬ感情を。どこへも行けぬ感情を確かに。
「私は、まぁ、過去に散々追いかけていた相手だもの。あまり聞こえてくる話は無かったけれど、それでも何度か話したときに少なくとも、人となりはわかっていたつもりだったわよ」
「それは、ええ、お互いさまと言いますか。私にしても、避けていたのは改めて申し訳なく思いますが」
「ええ、本当に。でも、それがあってこうしてこちらに来ることにもなったわけだし、技を磨くだけの事もあったもの」
「私は、そうね。いつだったかに、とても面白い人がいるのだと聞いたくらいかしら」
カリンとは面識があり、互いに存在を認識していたものだが、ヴィルヘルミナのほうでも一応心当たりくらいはあったらしい。そんな評価に、トモエから何やらオユキに少々嗜めるような視線が送られてくるものだが、面白いと言われても正直オユキには心当たりがありすぎる。
「世界の果てを目指して、異なる大陸へ足を延ばして。己の足が通らなかったところは無いと、そのように語る方もいたけれど、それをするでもなく」
「ああ、確か私も色々と聞いていたのだけれど、どうにも眉唾と言えばいいのかしら。いえ、足取りがつかめないと言う事は、正しいのだろうと」
「あの、どのような噂かは分かりかねますが。そうですね、ヴィルヘルミナさんが今仰った言葉、それに嘘はありませんとも」
「とすると、そこから戻る方法と言うのも、嘘では無かったのかしら」
そうして、実に楽し気にヴィルヘルミナがくすくすと笑う。
「あそこ迄、ええ、私が効いた話によると、あんなに方々から集めて作った船にしても」
「もとより、そうした物でしたから。正直、途中で餓死による脱落者も出そうなものと考えていましたので」
「そういえば、オユキさん、以前には魔物には海生の種類もいるとか」
「ええ、ですから予定を合わせて、常に誰かが警戒できるように。加えて、今は短杖と言う形でカナリアさんが使っていますが、もともとはゲームの時にもあったのですよね」
そう、相応に強化をした船を建造して、その時に構造に詳しいアマギであったりヴィックスであったりがこの世界の浮力はおかしいなどと散々に文句を言いながら。それを、使い捨てると言う事に、寧ろ彼らにしても乗り気であったのだから、集まった一団と言うのがどういった性質だったのかがうかがい知れるという物だ。
「確か、木材にしてもかなり希少だったとか」
「どうなのでしょうか、あの時に使った物はもとより私たちの一団が構えていた砦、その周囲に植えていたものですから」
別の大陸に行ったのは、確かゲームのサービスが開始されて二十年程は立ったころだったろうか。そのころには、実のところオユキのほうでは世界樹に一度はたどり着いていたのだ。そこから持ち帰れるものなど何もなかったが、ただ、どうにも砦の周囲に樹木を植えてみれば何やら育ちが随分と早くなったものだ。おかげで、相応の面倒を引き寄せることにもなったのだが。
「それにしても、他に成功した例と言うのは、あまり聞きませんでしたから」
「どうでしょうか、私たち以外にも向かった方々はいたわけですし、戻ってこなかったのはむしろ渡った先で何かを見つけたからではないかと」
「どうなのかしら。仮にそうであったなら、往復を継続してと」
「いえ、魔物除けの領域を形成するための道具は安い物ではありませんでしたし」
「船も、そうでしょうに。重機も無かったのだから」
そう、重機がなくとも人が代替できるとはいえ、何も重機の役割と言うのは出力ばかりではない。据付の際には、色々と細かく行う事もありその時間を確保するためにはやはり支えがいる。一団の中で、そうした人員を募ってとしてはいたのだが、なんといえばいいのか。相応に怒声が響くなかなかにらしい現場となっていたものだ。
「ええと、話がそれていますが」
「本当ですね、オユキの、そう今はオユキなのだけれど、要は助けるようにとそう言われてこちらに来たのよ」
「おそらく、アルノーもそうでしょうね」
「ありがたい事ではありますが」
さて、それをするだけの理由が、それぞれにあるのだろうか。それをされるだけの物が自分にあるのだろうか。オユキは、どうしてもそうしたことを考えてしまう。何が、と言う訳でもない。確かに、できることを、余剰だと感じる物もあり。それだけではなく、どうにも怪しげな異邦人と言う枠組みに対して向けられている物から守るためにと。そうしたことを考えて、振る舞いはしているのだが。
「頼まれたからと言うだけではなく、貴女から色々と既に受け取っているもの」
「私も、同じだわ。衣装にしても、歌う場にしても」
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