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26章 魔国へ
踊る様に、遊ぶように
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「成程、緊張感がありますね」
「ええ」
結界の外に出て、トモエとオユキが並んで寄ってくる魔物の相手をする。アイリスについても、すっかりと手に馴染んだと言わんばかりに野太刀を大いに振り回し、寄らば斬るとそれを何とか体現できている。そちらも、今後も色々と手を入れなければ、目を置いておかなければとトモエとしては考えるものだが、今はそちらよりも。
「オユキさん」
「何か。いえ、間合いですか」
「ええ、小太刀は何も牽制の道具というばかりではありませんよ」
オユキの手本にならなければと、トモエとしてもそう考えて。一応はウーヴェに頼んではいたのだが、流石につぶれた刃を研ぎなおすのに、かなりの時間がかかったとそう話しながらも戻ってきた神授の小太刀。実際には短刀と呼ぶべき直刃の造り。オユキの物ではあるのだが、今はオユキのほうも新しい武器を手に、体になじませる段階だからとトモエに預けて。神授の品だというのに、痛めてしまったと言う事は、己の未熟だとそうした反省もあり。
「このように」
そうして、オユキに声をかけながらも手本として。
近寄ってくる、とびかかる紫色の毛玉に対してオユキは牽制と、払うためにと振っているのだがトモエのほうは飛び掛かってくる相手に対して容赦なく。短刀の一振りを相手の下から、そのまま首と思しき場所に向けて滑らせて。そのまま一振りで引き裂いたうえで、次に向けて太刀を振るう。立ち位置、位置関係。右に持つ短刀を使うために、右足を出していたため、次に向けて左で踏み込むと同時に、左に持つ太刀を振るう。動きとしては、担当が下から上であったのに対して、太刀のほうはそれこそ上から下に向けるように。
「一対一、そうではあるのですが、両手に武器を持つ以上はそれぞれの間合いで考えなければなりません」
「確かに、これまでは一振りの武器、その心算で動いていましたか」
そう。オユキは両の手にそれぞれ武器を携えているというのに、別に動かそうと、そうした工夫があまり見られなかった。勿論、型と言えばいいのだろうか。舞のような動きの流れとして、腕を互い違いに動かすことはあったのだが、それにしても別に使っているわけではない。工夫と言えばいいのだろうか、それにしてもこれまでにオユキに伝えたものを基本として、そこの上に積み上げて。確かに、手早くしようと考えるのならばそれも正しい。だが、それではあまりにも早く行き詰る。
「はい。少なくとも、異なる武器であり別のことが出来るのだと、そうした認識が身につくまでは」
「確かに、同じ形状の物としてしまえば、そうした意識が染みつきますか」
「あとは、そうですね」
オユキの少し先の目標と言えばいいのだろうか、それを示すために。
「次の目標ですが、こうした動きをまずは」
そうして話しながらも、二刀の型を披露する。こちらでは、既に散々加護を得ていることもあり、生前では少々無理な動きではあったのだが。今となってはそれにしてもわずかな力で熟せてしまう。良くないことだと、そうして己を戒めながらもただ、型としてまずは。
「これが、二刀における型として基本の物です」
交差法は既に当身術で教えている。だが、二刀を使って行う事も当然できる。短刀に対して少々過剰な負荷がかかりはするのだが、それでも有用には違いない。まずは、太刀を振るって。相手がそれを受け止めたのであれば、容赦なく小太刀も当てて。そこで、挟み込んで捩じり、制御を奪うのだ。
「基本は、当身術の物ですか」
「はい」
「確かに、あちらであれば、四肢をそれぞれに使うのが基本、でしたね」
そう、二刀が特別等と言うわけではない。他にも多くの系統に共通する理合い。
「ああ、そういう事ですか」
「流石に、それを正式に伝えるのは印状を渡すときですから」
そう、あまりに多いとそう評される流派として伝える技。しかして、根底にある物はどこまで行っても変わらない。変える必要がないからこそ、極意としてそこに存在している。願うべきものは、叶えるべきものはどこまで行っても一つしかない。相手の意を読み、先の先を。意を発するところを待つと、そういった意味では後の先を。懸待表裏という言葉を常に念頭に置き、それを叶えるためだけに存在するのが術理。
「オユキさんは、父から先に聞いているようですが」
「その、ですね」
「ええ、私が効いたのは、それこそ印状を得たときであったのですが、父もお酒が入ると口が軽くなると言いますか」
「あの、責めないで上げて頂けると」
不満があると、それを一切隠しもしないトモエの言葉に、トモエはその場にいなかったはずだと、男同士で色々と話すこともあるからと義父が追い出したはずだと、そんなことをオユキは考えながら。どうにかしなければと、せめて名誉は守らねばと。どうにか良い訳の言葉を探して。
「気が付かないと、そう考えていたのでしょうが」
「ええと、ここ暫くの事ですか」
「父から、暗器術も習っていたのでしょう。過去に比べても、随分と覚えが早いとまでは言いませんが、明らかに知っているとそうした動きが多かったですから」
「その、いつから」
聞かれた言葉に、トモエは少し考える。
「私に二度目に勝った時、そこからでしょうか」
全く、一体全体何故ばれないと考えているのかと。トモエとしては、ため息交じりに。勿論、こうして話しながらもトモエとオユキは寄ってくる魔物を順次処分していく。オユキのほうも、トモエに言われたことを気を付けながら。あくまで左右には今違う武器を持っているのだと、左右で違う事をするのだと。神国の魔物とは違い、こちらはただ飛び掛かってくるばかりではない。遠間からの手段を持っている。要は、武器の間合いの外からこちらを狙ってくることが出来るそんな敵。トモエも、オユキも。アイリスについては言うまでも無く。離れた敵を相手取る、そんな手段はそれぞれに持ち合わせているのだが、揃って使う事は無く。敵が遠距離から、少し離れた場所から狙ってくるというのであればそれが当然とばかりに距離を詰めて。
「オユキさん、便利なのはわかりますが」
「ええと、トモエさんも使っていませんか」
「おや」
そして、距離を詰める手段として、オユキが武技を使っていることをトモエから注意してみれば、しかしオユキから返ってくる言葉がある。オユキが使っているのと同じものを、同じではないが類似の物を使っていやしないかと。言われて己を顧みてみれば。
「確かに、何やら」
距離を詰めよう、間合いを詰めようと考えれば途端に距離が詰まってはいる。歩法によるものかと、そう考えていたのだが確かに随分と。
「その、気が付いては」
「いえ、加護として身体能力への強化などもありますし」
ただ、言われるまで気が付かなかったのは、明確な落ち度だと。
「ただ、どうでしょうか。こうしたことが出来ぬ場では、やはり当然としているのだと考えると」
オユキの口ぶりから見るに、間違いなく相応の期間使っていたのだろう。己が違和を感じない程度に馴染んでいるところを見れば、どうにもしばらく前からと言う事でもあるらしい。何故気が付かなかったのか、そうして考えてみれば、神々の加護を排する場で己が全く違和感なく動くことが出来たからだろうと。これが常になっているのだとすれば、その時に何某かの感覚は、ずれは、遅滞は生まれたはず。
「とすると、さて」
「感覚に対しての補正と言えばいのでしょうか」
「然もありなん。己を戒めることを忘れるな、そういう事だと受け取りましょう」
加護は、便利だ。あまりにも強力で、確かにそれなくしてこうも気軽に魔物を蹴散らすことなどできはしまい。かつての世界であれば、それこそ便利な兵器などもあったものだが、採算がもはやとれぬだろうとそう感じるほど。鉄の塊をばらまいて、ただ襲い来る魔物を処理していく。勿論、それも選択肢の一つ。ただ、それをなすためには、求められる生産能力というのが冗談じみたものになる。こちらの世界では、まず間違いなく賄えないだろうと、そう断言できるほどに。
「あの、トモエさん」
「何でしょう、オユキさん」
そうして、過去にあったはずの兵器の数々。個人を、個人の能力という物にほとんど頼る事無く行使可能な、そのような物に思いをはせていれば、オユキから。
「そのですね、かつて再現を試みた方々もおられまして」
「ああ」
オユキの口ぶり、こちらで既に失われていると言う事。
「最低限の蒸気機関、これすらも動作が怪しかったのですよね」
「その、私の知る限り、単純な仕組みだったと思うのですが」
蒸気機関、原理そのものは非常に単純なのだ。実際には、実に多くの事ができるものではあるのだが。
「トモエさんは、こちらで風車など見た事がありますか」
言われて、少し考える。スペインを舞台としているはずの神国、そちらでは当然ある物だと考えてこれまでは生活していたはずだ。だが、オユキに指摘されて、改めて考えてみればそのような物を見た記憶も無い。風車だけではなく、それこそ水車すら。井戸があるのは確か。こちらに来たばかりのころ、少なくとも渡り鳥の雛邸では案内された場所にあるそれを使った。滑車、釣瓶というものも存在していた。
「その、井戸にですね」
「滑車ですよね、いえ、別の故障もあった気もしますが、そのような倍力機構というのは基本的に利用ができるのです」
オユキからは、実に苦々し気に。以前から繰り返して話している、今に至るまで、ここ暫くはすっかりと記憶に蓋をされていたのだが。
「まさかとは思いますが」
「非常に複雑なのですよね。いえ、単純と言ってもよいのかもしれませんが」
人の体が、物理としての動きが通用する部分は通用する。
「流体、ですね。流体力学とくくってもよいのですが、それに類するものはとにかく成立しません」
この世界には、確かに風も僅かに吹く。翼人種等という物もおり、確かに風を巻き起こす者たちであるし、話を聞くに、風の流れを目にすることが出来るのだと広げた翼で風を受けることでマナの回復をなすのだとそうした話も聞いたものだが、さて。
「思い返してみれば、屋内だというのに翼を広げていましたか」
「ええ」
結界の外に出て、トモエとオユキが並んで寄ってくる魔物の相手をする。アイリスについても、すっかりと手に馴染んだと言わんばかりに野太刀を大いに振り回し、寄らば斬るとそれを何とか体現できている。そちらも、今後も色々と手を入れなければ、目を置いておかなければとトモエとしては考えるものだが、今はそちらよりも。
「オユキさん」
「何か。いえ、間合いですか」
「ええ、小太刀は何も牽制の道具というばかりではありませんよ」
オユキの手本にならなければと、トモエとしてもそう考えて。一応はウーヴェに頼んではいたのだが、流石につぶれた刃を研ぎなおすのに、かなりの時間がかかったとそう話しながらも戻ってきた神授の小太刀。実際には短刀と呼ぶべき直刃の造り。オユキの物ではあるのだが、今はオユキのほうも新しい武器を手に、体になじませる段階だからとトモエに預けて。神授の品だというのに、痛めてしまったと言う事は、己の未熟だとそうした反省もあり。
「このように」
そうして、オユキに声をかけながらも手本として。
近寄ってくる、とびかかる紫色の毛玉に対してオユキは牽制と、払うためにと振っているのだがトモエのほうは飛び掛かってくる相手に対して容赦なく。短刀の一振りを相手の下から、そのまま首と思しき場所に向けて滑らせて。そのまま一振りで引き裂いたうえで、次に向けて太刀を振るう。立ち位置、位置関係。右に持つ短刀を使うために、右足を出していたため、次に向けて左で踏み込むと同時に、左に持つ太刀を振るう。動きとしては、担当が下から上であったのに対して、太刀のほうはそれこそ上から下に向けるように。
「一対一、そうではあるのですが、両手に武器を持つ以上はそれぞれの間合いで考えなければなりません」
「確かに、これまでは一振りの武器、その心算で動いていましたか」
そう。オユキは両の手にそれぞれ武器を携えているというのに、別に動かそうと、そうした工夫があまり見られなかった。勿論、型と言えばいいのだろうか。舞のような動きの流れとして、腕を互い違いに動かすことはあったのだが、それにしても別に使っているわけではない。工夫と言えばいいのだろうか、それにしてもこれまでにオユキに伝えたものを基本として、そこの上に積み上げて。確かに、手早くしようと考えるのならばそれも正しい。だが、それではあまりにも早く行き詰る。
「はい。少なくとも、異なる武器であり別のことが出来るのだと、そうした認識が身につくまでは」
「確かに、同じ形状の物としてしまえば、そうした意識が染みつきますか」
「あとは、そうですね」
オユキの少し先の目標と言えばいいのだろうか、それを示すために。
「次の目標ですが、こうした動きをまずは」
そうして話しながらも、二刀の型を披露する。こちらでは、既に散々加護を得ていることもあり、生前では少々無理な動きではあったのだが。今となってはそれにしてもわずかな力で熟せてしまう。良くないことだと、そうして己を戒めながらもただ、型としてまずは。
「これが、二刀における型として基本の物です」
交差法は既に当身術で教えている。だが、二刀を使って行う事も当然できる。短刀に対して少々過剰な負荷がかかりはするのだが、それでも有用には違いない。まずは、太刀を振るって。相手がそれを受け止めたのであれば、容赦なく小太刀も当てて。そこで、挟み込んで捩じり、制御を奪うのだ。
「基本は、当身術の物ですか」
「はい」
「確かに、あちらであれば、四肢をそれぞれに使うのが基本、でしたね」
そう、二刀が特別等と言うわけではない。他にも多くの系統に共通する理合い。
「ああ、そういう事ですか」
「流石に、それを正式に伝えるのは印状を渡すときですから」
そう、あまりに多いとそう評される流派として伝える技。しかして、根底にある物はどこまで行っても変わらない。変える必要がないからこそ、極意としてそこに存在している。願うべきものは、叶えるべきものはどこまで行っても一つしかない。相手の意を読み、先の先を。意を発するところを待つと、そういった意味では後の先を。懸待表裏という言葉を常に念頭に置き、それを叶えるためだけに存在するのが術理。
「オユキさんは、父から先に聞いているようですが」
「その、ですね」
「ええ、私が効いたのは、それこそ印状を得たときであったのですが、父もお酒が入ると口が軽くなると言いますか」
「あの、責めないで上げて頂けると」
不満があると、それを一切隠しもしないトモエの言葉に、トモエはその場にいなかったはずだと、男同士で色々と話すこともあるからと義父が追い出したはずだと、そんなことをオユキは考えながら。どうにかしなければと、せめて名誉は守らねばと。どうにか良い訳の言葉を探して。
「気が付かないと、そう考えていたのでしょうが」
「ええと、ここ暫くの事ですか」
「父から、暗器術も習っていたのでしょう。過去に比べても、随分と覚えが早いとまでは言いませんが、明らかに知っているとそうした動きが多かったですから」
「その、いつから」
聞かれた言葉に、トモエは少し考える。
「私に二度目に勝った時、そこからでしょうか」
全く、一体全体何故ばれないと考えているのかと。トモエとしては、ため息交じりに。勿論、こうして話しながらもトモエとオユキは寄ってくる魔物を順次処分していく。オユキのほうも、トモエに言われたことを気を付けながら。あくまで左右には今違う武器を持っているのだと、左右で違う事をするのだと。神国の魔物とは違い、こちらはただ飛び掛かってくるばかりではない。遠間からの手段を持っている。要は、武器の間合いの外からこちらを狙ってくることが出来るそんな敵。トモエも、オユキも。アイリスについては言うまでも無く。離れた敵を相手取る、そんな手段はそれぞれに持ち合わせているのだが、揃って使う事は無く。敵が遠距離から、少し離れた場所から狙ってくるというのであればそれが当然とばかりに距離を詰めて。
「オユキさん、便利なのはわかりますが」
「ええと、トモエさんも使っていませんか」
「おや」
そして、距離を詰める手段として、オユキが武技を使っていることをトモエから注意してみれば、しかしオユキから返ってくる言葉がある。オユキが使っているのと同じものを、同じではないが類似の物を使っていやしないかと。言われて己を顧みてみれば。
「確かに、何やら」
距離を詰めよう、間合いを詰めようと考えれば途端に距離が詰まってはいる。歩法によるものかと、そう考えていたのだが確かに随分と。
「その、気が付いては」
「いえ、加護として身体能力への強化などもありますし」
ただ、言われるまで気が付かなかったのは、明確な落ち度だと。
「ただ、どうでしょうか。こうしたことが出来ぬ場では、やはり当然としているのだと考えると」
オユキの口ぶりから見るに、間違いなく相応の期間使っていたのだろう。己が違和を感じない程度に馴染んでいるところを見れば、どうにもしばらく前からと言う事でもあるらしい。何故気が付かなかったのか、そうして考えてみれば、神々の加護を排する場で己が全く違和感なく動くことが出来たからだろうと。これが常になっているのだとすれば、その時に何某かの感覚は、ずれは、遅滞は生まれたはず。
「とすると、さて」
「感覚に対しての補正と言えばいのでしょうか」
「然もありなん。己を戒めることを忘れるな、そういう事だと受け取りましょう」
加護は、便利だ。あまりにも強力で、確かにそれなくしてこうも気軽に魔物を蹴散らすことなどできはしまい。かつての世界であれば、それこそ便利な兵器などもあったものだが、採算がもはやとれぬだろうとそう感じるほど。鉄の塊をばらまいて、ただ襲い来る魔物を処理していく。勿論、それも選択肢の一つ。ただ、それをなすためには、求められる生産能力というのが冗談じみたものになる。こちらの世界では、まず間違いなく賄えないだろうと、そう断言できるほどに。
「あの、トモエさん」
「何でしょう、オユキさん」
そうして、過去にあったはずの兵器の数々。個人を、個人の能力という物にほとんど頼る事無く行使可能な、そのような物に思いをはせていれば、オユキから。
「そのですね、かつて再現を試みた方々もおられまして」
「ああ」
オユキの口ぶり、こちらで既に失われていると言う事。
「最低限の蒸気機関、これすらも動作が怪しかったのですよね」
「その、私の知る限り、単純な仕組みだったと思うのですが」
蒸気機関、原理そのものは非常に単純なのだ。実際には、実に多くの事ができるものではあるのだが。
「トモエさんは、こちらで風車など見た事がありますか」
言われて、少し考える。スペインを舞台としているはずの神国、そちらでは当然ある物だと考えてこれまでは生活していたはずだ。だが、オユキに指摘されて、改めて考えてみればそのような物を見た記憶も無い。風車だけではなく、それこそ水車すら。井戸があるのは確か。こちらに来たばかりのころ、少なくとも渡り鳥の雛邸では案内された場所にあるそれを使った。滑車、釣瓶というものも存在していた。
「その、井戸にですね」
「滑車ですよね、いえ、別の故障もあった気もしますが、そのような倍力機構というのは基本的に利用ができるのです」
オユキからは、実に苦々し気に。以前から繰り返して話している、今に至るまで、ここ暫くはすっかりと記憶に蓋をされていたのだが。
「まさかとは思いますが」
「非常に複雑なのですよね。いえ、単純と言ってもよいのかもしれませんが」
人の体が、物理としての動きが通用する部分は通用する。
「流体、ですね。流体力学とくくってもよいのですが、それに類するものはとにかく成立しません」
この世界には、確かに風も僅かに吹く。翼人種等という物もおり、確かに風を巻き起こす者たちであるし、話を聞くに、風の流れを目にすることが出来るのだと広げた翼で風を受けることでマナの回復をなすのだとそうした話も聞いたものだが、さて。
「思い返してみれば、屋内だというのに翼を広げていましたか」
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