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25章 次に備えて
夜半に
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庭園でしばしの談笑を楽しんだ後、オユキが疲労から来る眠気に負けた事もあり、着せられた衣装のままに寝台へと放り込まれた。仕方ないとトモエは笑ったものだが、カリンからしてみればかつての己が目指した相手がこのありさまかと、随分と複雑そうではある。その辺りは、どうにか自分の中で消化してくれとしか言えない物だ。ミズキリにしても、ケレスにしても今のオユキの姿がらしいと、そう言われるような性格を昔から持っているのだから。
そんなオユキが眠りについた後は、一度カナリアに任せてカリンと共にトモエは庭で剣を振るう。トモエにしても未だに体に多少の気だるさは残しているのだが、オユキと似たような状態になったというのに、次の日には闘技場で大立ち回りが出来る程、今日にいたってはいよいよ問題なく。常よりも疲労が早いと、そう感じる程度。
「と、そのような事を考えたわけです」
そして、夜半。食事の為にと起こしたオユキに、朝と変わらず匙を運びながらトモエが己の考えを話す。トモエの話を聞いているオユキは、流石にまだ睡眠が足りないのか何処か夢現と言った様子。どうにか目を開けようとそう考えている様子は分かるし、食事をどうにかと、体力を戻すには必要だと分かるそれらを運ばれるままに嚥下しようとはするのだが、やはり多少は口の端から零れていく。眠っている間に、トモエとカリンが揃って外で遊んでいる時に着替えさせたのだろう、今ではすっかりといつも通りと分かりやすい長襦袢姿。
「そうですか。面白い着眼点かと」
「面白いですか」
トモエの疑問に、オユキからはどう言えばよいのか、トモエが考える物とは少し違う返答が返ってくる。
「魔国の王妃様も仰っていましたが、トモエさんが使うものは魔術とは少し違うようです」
「そう言えば、魔術文字でしたか、そうした物が脳裏に浮かんだ記憶もありませんね」
「私も詳しくはありません。カナリアさんあたりに聞いてみれば、より詳しい所は分かるかと」
「ああ、それもそうですね。ですが、あまりに都合よく使ってと、そう思われはしない物でしょうか」
オユキから返ってくる言葉には、トモエとしても成程と思うところはある。だが、それ以上にカナリアを近頃散々に良いように使っているのではないかと、そうした遠慮もある。対価は確かに支払っているのだが、やはりカナリアに関してはアイリスともまた違う関係性。
「構わないでしょう。カナリアさんも、私達の側にいて利が有ると考えての事です」
「それは、魔国への移動も踏まえて、でしょうか」
「いえ、トモエさんは気が付いていないかもしれませんが、カナリアさんの認識で眠っていたはずの、翼人種の崇める柱ですね」
「そう言えば、もう、随分と前の事のように感じてしまいますね」
一応、カナリアにそうさせるだけの事を思い返してみれば、トモエとオユキにしても為してはいた。
「だから、カナリアさんもオユキさんと私を大事にしてくれるわけですか」
「そればかりでは無いでしょうし、彼女にしても今後を考えての事もあるでしょうが」
オユキの語り口と言うのは、常にも増してゆっくりと。普段から、なるべき聞き取りやすく、聞き逃さぬようにとゆったりとした口調で話している。しかし、今は眠気に押されて常よりもさらに、そして何処かもごもごと。トモエがそうした言葉で荒れ聞き逃さぬからこそ会話として成立しているし、こうした状態でもオユキはトモエの言葉を聞き逃さないと知っているからこその事ではある。側についているシェリアとナザレアは揃ってオユキが何か言っていると、所々聞き取れてはいるのだろうが、基本はトモエの応答から会話を推測している。
「オユキさん」
「はい」
飲み薬の類は、マルコが用意する薬は今は無いのだが、カナリアが一度町に出てらしい薬を買ってきた。食事の後に、それをオユキに飲ませればいよいよまた眠気に負けつつある。
「トモエさん」
「はい。どうされましたか」
そして、眠る前に、実にそれらしいさらにぼそぼそと、もごもごとした口調で。
「明日から、暫くは休めるでしょう」
「そうなのでしょうね」
「王都の観光、見て回りたいところ、色々と」
「ええ、楽しみです」
トモエが、ただそう応えれば安心したのだろう。そのまま静かにオユキは目を閉じる。
「楽しみ、ですね。見せたい景色が、色々と」
「ええ、お待ちしています」
「確か、王都の北側だったでしょうか、鉱山に続く道が」
かつての、ゲームとしての世界を思い出しているのだろう。今は夢現という状態で、トモエに過去はなした景色のいくつかを少し呟いたかと思えば寝息を立てはじめる。
トモエにしても、過去に聞いた話それを思い返して。ああ、トモエにした話を、トモエが楽しんで聞いていた話を今もオユキも変わらずにと。
その事実がやはり嬉しく、オユキに対して募る思いが重さを増すのを感じる。
「本当に、オユキさんは私の事をよく考えてくれますね」
食事の最中にも、簡単に拭いたりはしていたのだが改めてオユキの口周りを拭いて、室内の温度はだいぶ下がっているのに汗ばむオユキの額を別の布に変えて軽く拭う。長い髪が首元にも張り付いてはいるが、その辺りは流石に今は置いておく。食事を終えたオユキの、トモエも使う寝台を整える為にまずはナザレアがベッドテーブルごと食器を下げる。トモエとしては、これから自分の食事をとろうかと考えているのだが、どうにもオユキの側から離れ難い。以前のように、オユキがトモエの袖を掴んでと言う事も無いのだが。
「トモエ様」
「いえ、そうですね」
「こちらで、お召し上がりになりますか」
「オユキさんは、私の好む料理の匂いは苦手ですから」
普段で有れば、互いに我慢してどうにかすることもできる。それに、なんだかんだと家財も大きなものが用意されており、距離を開ける事も出来る。他人の食事にはあまり口を出すような事は無いのだが、やはり焼けて肉の脂が香る料理というのは今もオユキが苦手としているものになる。
魔国の王妃の話では、体の作りと言えばいいのか今ここにある肉体は人の者であるには違いないが、そこに満たされているものがオユキはまた色々と違うのだとそう言う話。トモエの方も一度見てもらおうかとそんな話もあったのだが、流石に色々と時間が無かったため後に回している。
「アイリスさんの話では、私にも獅子の血が混じっていると聞いていましたので、今回の使者の方々から何かを言われるかと思っていたのですが」
正直、トモエとしてはその辺りも気になっている。オユキと話をしたいこととして、間違いなくそうした項目もあるにはある。だが、やはり色々と時間が不足している。夫婦として、他愛もない話を楽しみたい。オユキの内に積もる疲労を少しでもと、そう願うトモエとしてもそうした時間を切り捨てる事は望んでいない。では、どのような頃合いで話をすることができるかと考えてはいるのだ。オユキの方でも、そうしたことに間違いなく感づいてはいるはず。口に出さぬのは、さて、どういった考えがあっての事か。
「少し、オユキ様から伺った事ではあるのですが」
そうして、眠るオユキの傍らで悩んでいるトモエにシェリアから。
「トモエ様に手を出すような事があれば、その時は容赦できないと、そのように」
「オユキさんは、随分と」
そう、トモエを守ろうと本当に。過去もそうであったように、今も誠心を尽くしてくれている。恐らくアイリスかアベルかにそうした話をしたのだろう。若しくは直接、半ば脅迫ともとれる手紙を書いて持たせたのか。文面としても、文言としても、ある程度の想像は付く。
「脅しに使える手札は、一つだけでしょうに。得られぬかもと、そのように話していたはずですが」
何とはなしに、眠るオユキの頬を軽くつねる。オユキは、二つ得られるかは分からぬとそうした話を確かにしていた。しかし、一つは確実に得る心算であったのだろう。今回の件、少なくともテトラポダからの使者が来ると分かったその時から。若しくは、その前から。
「私は私で、色々と考えて動いている心算ではあるのですが」
オユキが、己はミズキリの掌の上だとそう語るのと同じように。トモエとしても、オユキの掌中で珠のように扱われているというのがよくわかる。傍から見れば、逆に見えるだろう。少し踏み込んだものであれば、直ぐに気が付くだろう。互いにはっきりと依存しているのだと。
「トモエ様」
呼ばれる声に、トモエもようやくオユキの傍らから腰を上げる。
オユキは、トモエを連れ回すことをやはり変わらず楽しみにしている。既にトモエの体調はある程度回復しているのだが、今後の予定もありトモエの分からぬ厄介をオユキは恐らくまた考えている。ならば、トモエとしては先に名乗りを上げた言葉が嘘にならないように、己を万全にしておかなければならない。
「ええ、食事にしましょうか」
名残惜しい。確かにトモエはそう感じる。だが、何も今日で終わりでは無いのだと、こうした時間を守るために己もなさねばならない事があるのだと言い聞かせて。
「オユキ様は、トモエ様を頼りにされています」
「勿論、それは分かっています」
シェリアに、何処か悪戯気にそのように言われるのだが、やはりそれも理解はしているのだ。オユキがトモエを己の前に置く時、戦場で、魔物が跋扈する壁の外、そこでは間違いなくオユキはトモエの判断をこそ優先する。来たばかりの時、変異種などを知らなかったとき、その時にはオユキがトモエに促したこともあるのだが、それで終わり。以降はトモエの知らぬ何かがあるとオユキが判断した時でも無ければ、口を差し挟む事は無い。
「もう少し、頼って欲しいとも思うのですが」
「そうでしょうか」
トモエとしては、そうした場面以外でもと。しかし、ナザレアからはまた違うのではないかと。
「オユキ様は、トモエ様がいなければ」
「それは、勿論分かっているのですが」
「だからこそ、己の存在を守るために、そのために必要なトモエ様だからこそ」
「ええ、それはお互いに」
本当に、お互いにお互いがいなければと、よくもまぁここまで歪な形が上手くはまったものだ。つくづく、運命的な出会いと、トモエとしては生前から変わらず有難く思う。
そんなオユキが眠りについた後は、一度カナリアに任せてカリンと共にトモエは庭で剣を振るう。トモエにしても未だに体に多少の気だるさは残しているのだが、オユキと似たような状態になったというのに、次の日には闘技場で大立ち回りが出来る程、今日にいたってはいよいよ問題なく。常よりも疲労が早いと、そう感じる程度。
「と、そのような事を考えたわけです」
そして、夜半。食事の為にと起こしたオユキに、朝と変わらず匙を運びながらトモエが己の考えを話す。トモエの話を聞いているオユキは、流石にまだ睡眠が足りないのか何処か夢現と言った様子。どうにか目を開けようとそう考えている様子は分かるし、食事をどうにかと、体力を戻すには必要だと分かるそれらを運ばれるままに嚥下しようとはするのだが、やはり多少は口の端から零れていく。眠っている間に、トモエとカリンが揃って外で遊んでいる時に着替えさせたのだろう、今ではすっかりといつも通りと分かりやすい長襦袢姿。
「そうですか。面白い着眼点かと」
「面白いですか」
トモエの疑問に、オユキからはどう言えばよいのか、トモエが考える物とは少し違う返答が返ってくる。
「魔国の王妃様も仰っていましたが、トモエさんが使うものは魔術とは少し違うようです」
「そう言えば、魔術文字でしたか、そうした物が脳裏に浮かんだ記憶もありませんね」
「私も詳しくはありません。カナリアさんあたりに聞いてみれば、より詳しい所は分かるかと」
「ああ、それもそうですね。ですが、あまりに都合よく使ってと、そう思われはしない物でしょうか」
オユキから返ってくる言葉には、トモエとしても成程と思うところはある。だが、それ以上にカナリアを近頃散々に良いように使っているのではないかと、そうした遠慮もある。対価は確かに支払っているのだが、やはりカナリアに関してはアイリスともまた違う関係性。
「構わないでしょう。カナリアさんも、私達の側にいて利が有ると考えての事です」
「それは、魔国への移動も踏まえて、でしょうか」
「いえ、トモエさんは気が付いていないかもしれませんが、カナリアさんの認識で眠っていたはずの、翼人種の崇める柱ですね」
「そう言えば、もう、随分と前の事のように感じてしまいますね」
一応、カナリアにそうさせるだけの事を思い返してみれば、トモエとオユキにしても為してはいた。
「だから、カナリアさんもオユキさんと私を大事にしてくれるわけですか」
「そればかりでは無いでしょうし、彼女にしても今後を考えての事もあるでしょうが」
オユキの語り口と言うのは、常にも増してゆっくりと。普段から、なるべき聞き取りやすく、聞き逃さぬようにとゆったりとした口調で話している。しかし、今は眠気に押されて常よりもさらに、そして何処かもごもごと。トモエがそうした言葉で荒れ聞き逃さぬからこそ会話として成立しているし、こうした状態でもオユキはトモエの言葉を聞き逃さないと知っているからこその事ではある。側についているシェリアとナザレアは揃ってオユキが何か言っていると、所々聞き取れてはいるのだろうが、基本はトモエの応答から会話を推測している。
「オユキさん」
「はい」
飲み薬の類は、マルコが用意する薬は今は無いのだが、カナリアが一度町に出てらしい薬を買ってきた。食事の後に、それをオユキに飲ませればいよいよまた眠気に負けつつある。
「トモエさん」
「はい。どうされましたか」
そして、眠る前に、実にそれらしいさらにぼそぼそと、もごもごとした口調で。
「明日から、暫くは休めるでしょう」
「そうなのでしょうね」
「王都の観光、見て回りたいところ、色々と」
「ええ、楽しみです」
トモエが、ただそう応えれば安心したのだろう。そのまま静かにオユキは目を閉じる。
「楽しみ、ですね。見せたい景色が、色々と」
「ええ、お待ちしています」
「確か、王都の北側だったでしょうか、鉱山に続く道が」
かつての、ゲームとしての世界を思い出しているのだろう。今は夢現という状態で、トモエに過去はなした景色のいくつかを少し呟いたかと思えば寝息を立てはじめる。
トモエにしても、過去に聞いた話それを思い返して。ああ、トモエにした話を、トモエが楽しんで聞いていた話を今もオユキも変わらずにと。
その事実がやはり嬉しく、オユキに対して募る思いが重さを増すのを感じる。
「本当に、オユキさんは私の事をよく考えてくれますね」
食事の最中にも、簡単に拭いたりはしていたのだが改めてオユキの口周りを拭いて、室内の温度はだいぶ下がっているのに汗ばむオユキの額を別の布に変えて軽く拭う。長い髪が首元にも張り付いてはいるが、その辺りは流石に今は置いておく。食事を終えたオユキの、トモエも使う寝台を整える為にまずはナザレアがベッドテーブルごと食器を下げる。トモエとしては、これから自分の食事をとろうかと考えているのだが、どうにもオユキの側から離れ難い。以前のように、オユキがトモエの袖を掴んでと言う事も無いのだが。
「トモエ様」
「いえ、そうですね」
「こちらで、お召し上がりになりますか」
「オユキさんは、私の好む料理の匂いは苦手ですから」
普段で有れば、互いに我慢してどうにかすることもできる。それに、なんだかんだと家財も大きなものが用意されており、距離を開ける事も出来る。他人の食事にはあまり口を出すような事は無いのだが、やはり焼けて肉の脂が香る料理というのは今もオユキが苦手としているものになる。
魔国の王妃の話では、体の作りと言えばいいのか今ここにある肉体は人の者であるには違いないが、そこに満たされているものがオユキはまた色々と違うのだとそう言う話。トモエの方も一度見てもらおうかとそんな話もあったのだが、流石に色々と時間が無かったため後に回している。
「アイリスさんの話では、私にも獅子の血が混じっていると聞いていましたので、今回の使者の方々から何かを言われるかと思っていたのですが」
正直、トモエとしてはその辺りも気になっている。オユキと話をしたいこととして、間違いなくそうした項目もあるにはある。だが、やはり色々と時間が不足している。夫婦として、他愛もない話を楽しみたい。オユキの内に積もる疲労を少しでもと、そう願うトモエとしてもそうした時間を切り捨てる事は望んでいない。では、どのような頃合いで話をすることができるかと考えてはいるのだ。オユキの方でも、そうしたことに間違いなく感づいてはいるはず。口に出さぬのは、さて、どういった考えがあっての事か。
「少し、オユキ様から伺った事ではあるのですが」
そうして、眠るオユキの傍らで悩んでいるトモエにシェリアから。
「トモエ様に手を出すような事があれば、その時は容赦できないと、そのように」
「オユキさんは、随分と」
そう、トモエを守ろうと本当に。過去もそうであったように、今も誠心を尽くしてくれている。恐らくアイリスかアベルかにそうした話をしたのだろう。若しくは直接、半ば脅迫ともとれる手紙を書いて持たせたのか。文面としても、文言としても、ある程度の想像は付く。
「脅しに使える手札は、一つだけでしょうに。得られぬかもと、そのように話していたはずですが」
何とはなしに、眠るオユキの頬を軽くつねる。オユキは、二つ得られるかは分からぬとそうした話を確かにしていた。しかし、一つは確実に得る心算であったのだろう。今回の件、少なくともテトラポダからの使者が来ると分かったその時から。若しくは、その前から。
「私は私で、色々と考えて動いている心算ではあるのですが」
オユキが、己はミズキリの掌の上だとそう語るのと同じように。トモエとしても、オユキの掌中で珠のように扱われているというのがよくわかる。傍から見れば、逆に見えるだろう。少し踏み込んだものであれば、直ぐに気が付くだろう。互いにはっきりと依存しているのだと。
「トモエ様」
呼ばれる声に、トモエもようやくオユキの傍らから腰を上げる。
オユキは、トモエを連れ回すことをやはり変わらず楽しみにしている。既にトモエの体調はある程度回復しているのだが、今後の予定もありトモエの分からぬ厄介をオユキは恐らくまた考えている。ならば、トモエとしては先に名乗りを上げた言葉が嘘にならないように、己を万全にしておかなければならない。
「ええ、食事にしましょうか」
名残惜しい。確かにトモエはそう感じる。だが、何も今日で終わりでは無いのだと、こうした時間を守るために己もなさねばならない事があるのだと言い聞かせて。
「オユキ様は、トモエ様を頼りにされています」
「勿論、それは分かっています」
シェリアに、何処か悪戯気にそのように言われるのだが、やはりそれも理解はしているのだ。オユキがトモエを己の前に置く時、戦場で、魔物が跋扈する壁の外、そこでは間違いなくオユキはトモエの判断をこそ優先する。来たばかりの時、変異種などを知らなかったとき、その時にはオユキがトモエに促したこともあるのだが、それで終わり。以降はトモエの知らぬ何かがあるとオユキが判断した時でも無ければ、口を差し挟む事は無い。
「もう少し、頼って欲しいとも思うのですが」
「そうでしょうか」
トモエとしては、そうした場面以外でもと。しかし、ナザレアからはまた違うのではないかと。
「オユキ様は、トモエ様がいなければ」
「それは、勿論分かっているのですが」
「だからこそ、己の存在を守るために、そのために必要なトモエ様だからこそ」
「ええ、それはお互いに」
本当に、お互いにお互いがいなければと、よくもまぁここまで歪な形が上手くはまったものだ。つくづく、運命的な出会いと、トモエとしては生前から変わらず有難く思う。
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