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24章 王都はいつも
魔国の王妃
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トモエとオユキが慌ただしく準備を整え、先触れがあった以上はと忙しないものではあるのだがどうにかシェリアとナザレアの助けを借りて準備が終われば、見計らったかのように隣国の王妃が王都の屋敷に足を運んでくる。
随分と慌ただしいと、そうは思うのだが今日はあと少しもすれば狩猟に出かける予定がある。そちらも、既に方々に声を掛けて大々的な物になる事は決まっており、その予定を考えての事だろうか。こうして席に着くことなく玄関先でオユキではなくトモエが相手を迎えて。
「ファンタズマ子爵家当主は、やはり。」
「はい。本来であれば、御身を当主自らが迎えるのが礼節と存じては居りますが、生憎と昨日から体調を著しく崩しておりまして。」
「ええ。一応、少し話は聞きました。そして、私なればこそとそう思ってこうして足を運んだ事もあるのですよ。」
トモエにしてみれば、成程とそう思う反面やはりよくわからない事柄でもある。立場を考えれば、高々一子爵家の当主に対して何故わざわざと、そう思ってしまうのだ。特に今回の事は、特別この人物の所属に対して利する事ではない。実際には、オユキの観点からオユキの持っている情報から見れば、色々と分かる事もあるのだが。現状トモエの分かる事と言うのは、先ほどオユキに言われた近々魔国へ暫く赴くことが決まったのだとその程度。
「分からぬようですね。」
「恥ずかしながら。」
「いえ、説明をしようにもこの場では。」
分かりますねと。その後を口にすることなく、ただ仕草で示す。確かに、何も軒先でこうしてトモエが警戒心をあらわにしながらでは、この人物も色々とやりにくいには違いない。護衛にしても、恐らく魔国からついてきたであろう見るからに手弱女と分かる者達が数人程度。恐らくではなく、間違いなく強力な魔術を使う者達ではあるのだろうが、それにしてもこうも近寄ってしまえばトモエであればどうにでもできると、シェリアとナザレアであれば瞬きの間にどうとでもできる相手。ならば、まぁいいだろうと。
「では。ご案内させて頂きます。」
「ええ、良しなに。ですが、この者達は、そうですね。別室を用意した抱けるのであれば、一人だけ。」
随分と意外な申し出ではあるのだが、少しシェリアに目線でだけ確認を取れば直ぐに頷きが返ってくるため、そちらはシェリアに任せるとしてトモエはただ王妃を連れてオユキの待つ客間に向かう。マナの枯渇によって、今は一応少しの時間歩くことができる程度でしかない。
客室に入ってみれば、いつものようにと言う事は無くやはり背もたれにもたれるようにして座っているのだが、それにしても何処か辛そうに。今はまだ汗が浮いたりという事は無いが、それでも後少しもすればそのような状態になっていくだろう。
「かなり、酷いようですね。」
「お恥ずかしながら、御身をお迎えさせて頂くにもこうして座らねばならぬほどには。」
「マナの枯渇と聞いています。ですが、それだけでもない様子。」
「ご慧眼、恐れ入ります。」
オユキを一瞥して、眉をすぐに顰める。つまりは、それほど深刻な状態であるらしい。生憎と、これまで身の回りと言えばいいのか、頼んでいたカナリアからも当然色々と言われてはいるのだがその辺りは彼女の自信のなせる技なのだろう、どうにかなると、どうにかして見せるとそうした言動であったため深刻さと言うのは、軽減されていたのだが。
「全く、本当に分かっているのやら。」
「一応は、専属と言う程ではありませんが、御身の庭にて学びを得た相手に頼んでおりますれば。」
「確か、翼人種のカナリアと言うのだったかしら。」
そして、王妃がオユキの対面に座るのではなく一言、オユキの側に近寄るとそう告げて。
「どうにも、種族差と言うのを理解していないようですね。」
「種族差の、理解、ですか。」
「かの種族は、体内を巡るマナすら視認できるとそのように聞いています。」
そして、オユキの側に寄った王妃が軽くオユキの腕を取りそしてそのままオユキの顔を覗き込む。
「形質としては確かに人ですか。しかし、精霊の気配も随分と色濃い。」
「そう、なのですか。カナリアさんからは、どちらかと言えば物質寄りだと。」
「ええ、発現形質、それに基本的には依ります。しかし、継いだものが無いわけでは無いのです。」
その辺りは、確かに知識と魔を主として崇める国らしいと言えばいいのだろうか。今の神国では、まともに語られることも無い内容を、本来であれば知らぬ者達であれば、聞き取れぬ様な内容であるはずなのに。
「少し、疑問が。」
「ええ。私たちに許された奇跡の一つ、それがこれです。正しく言葉を、知識を伝えねばなりません。」
「さて、その辺りを判断しているのは法と裁きの神と考えていましたが。」
「勿論、そちらにも関連はありますが、やはり基本の判断は知識と魔の神がなさる事です。」
そして、一つの咳払いの後、そのまま話が続く。
要は発現形質、それはあくまで見える物として、この世界に器として得た物の形、その由来が一体何のかでしかなく器に満たされる物の形はまさに様々だという事らしい。つまるところは、他の種族、獣精や花精、そうした身近な種族が己と同族かどうかを判断できるのはそうした物を見分けているからなのだと。そして、王妃の眼から見て、トモエもオユキも人としての形を持っているのは今ここにある器。中身に関しても、トモエは少し人の気配があるがオユキに至ってはそれが全く無いという事であるらしい。では一体どの種族かと言えば、王妃にしても流石に分からぬという事らしいのだが。
「それにしても、よもやと言いますか、なんと言えば良いのやら。」
「知らぬ以上は、確かにそのような物でしょう。」
そうした話を、奇跡を願った上で行った王妃にしてもかなりの疲労を得ているのだろう。今はオユキの方は枯渇している。負担を、情報を受け取る側として求められる負担も、決して支払えるものではない。
「それにしても、正直な所。」
「何故、此処までするのかという事でしたら、これまでのお礼と言うしかないのですよ。」
そして、王妃が軽く指を折りながら。
「あの子の事。孫の事。我が国と、この国の間に新しい奇跡が。また、往来を簡単にするための大掛かりな奇跡も。」
「何も私ばかりという訳では。」
「切欠は、確かに貴方からなのでしょう。ならば、ええ、私は礼をもって返しましょう。恩に報いるためにと遇しましょう。」
特に裏は無いと、折った指を広げて見せる。
特段、疑ってはいないのが事実。単純に立場のある人間なのだから、己の行動に対して見返りを求めるのが当然だとオユキはそう考えているだけ。どうにも、そうした視線がのっていたらしい。こうして見ず知らずの場に足を踏み入れるというのに、供回りには一人だけ。それも、何やらオユキの様子を、トモエ相手にも随分と好意的と言えばいいのか微笑ましげに見ているだけの相手だ。それこそ、まともな侍女であれば、こうして話をすること自体を変わって然るべきとオユキも考えている。事実、神国の王妃に関しては、直答を許されるまでは確かにそうではあったのだ。
「それは、御身の庭でも。」
「ええ。勿論です。既に貴方からの良い返答は得たと聞いています。我が国は、歓迎しましょう。生活の場は、流石に私が戻ってから整えなければなりませんが。」
「でしたら、そうですね。」
オユキがそのままシェリアに視線で確認を取れば、心得た物とばかりに頷きが返ってくる。どうやら、彼女にしても他国に迄ついてくることを是としているらしい。随分と、甘やかされていると感じながらも、やはり嬉しく、心強く思えるものだ。勿論、彼女にしても魔国で交流を持つことを考えているのだろうが、それでもしばらくの間は慣れたものに任せられるというのはやはり有難い。
「こちらも、そうですね。今は別室ですが。」
「畏まりました。そちらは、後程。」
そして、改めて。
「貴方の症状として、マナの枯渇であることはやはり違いがありません。快復の為には、そうですね色々とては尽くしているようですが、調整された魔石を使ってという方法も精霊に近い流れを持つあなたであれば良いでしょう。」
「魔石を、ですか。」
「こちらでは、あまり一般的では無いのでしょうが、調整された物を使いそれを吸い上げる。そうした方法もあるのです。」
魔道具向けに調整された魔石があると、そうした話は確かに聞いたことがある。しかし、魔国できちんと学んだはずのカナリアが、以前魔道具にマナの供給が出来る程であればそもそも魔術が使えるのだとそうした話をされた記憶もあるオユキとしては、今一つ納得がいかない。
「何やら納得がいかないといった様子ですが、今は良いでしょう。また、こちらで手配した物を。」
「その、一応は以前得意な属性なども調べはしたのですが。」
「先ほど触れた時に分かっています。見た所、自分で周囲のマナを取り込むときに変える事も出来ていない様子ですが、冬と眠りの女神に連なるマナは確かに少し珍しいものです。特にこの国では春と生命の女神の気配が濃い事もありより苦手を覚えているでしょう。」
魔国に行っても、それはあまり変わらないとそう王妃が呟くあたりなかなか根深いものではありそうだ。ただ、そうしたことも考えた上できちんと整えると、いまカナリアが行ってくれているものと同程度以上が用意されるには違いないらしい。そうであるならば、オユキの暮らす場を整える為に必要な物があればとトモエからシェリアに軽く目配せをすればそちらも心得た物とばかりにただ微笑みが返ってくる。いよいよ、魔国での生活の場も任せておけば問題はなさそうではある。
「さて、これからが本題ではあるのですが。」
「ええ、お伺いさせて頂けましたら。」
そして、これまでが前置きと言う事でも無いだろうが、改めて王妃からの頼みとして。
「今日、揃って狩猟に出られるとか。」
「確認を、と。」
「ええ。私たちが頼む戦力、それが如何程のものかと。オユキ、貴方も私と共にいれば見守る事くらいは出来るでしょう。」
「その、流石に枯渇状態では、と。」
「ですが、どうにも浮かない顔。参加できぬ事を、憂く思うのであれば。ええ、娘の恩人です。我が孫の恩人です。私も手を尽くしましょう。」
随分と慌ただしいと、そうは思うのだが今日はあと少しもすれば狩猟に出かける予定がある。そちらも、既に方々に声を掛けて大々的な物になる事は決まっており、その予定を考えての事だろうか。こうして席に着くことなく玄関先でオユキではなくトモエが相手を迎えて。
「ファンタズマ子爵家当主は、やはり。」
「はい。本来であれば、御身を当主自らが迎えるのが礼節と存じては居りますが、生憎と昨日から体調を著しく崩しておりまして。」
「ええ。一応、少し話は聞きました。そして、私なればこそとそう思ってこうして足を運んだ事もあるのですよ。」
トモエにしてみれば、成程とそう思う反面やはりよくわからない事柄でもある。立場を考えれば、高々一子爵家の当主に対して何故わざわざと、そう思ってしまうのだ。特に今回の事は、特別この人物の所属に対して利する事ではない。実際には、オユキの観点からオユキの持っている情報から見れば、色々と分かる事もあるのだが。現状トモエの分かる事と言うのは、先ほどオユキに言われた近々魔国へ暫く赴くことが決まったのだとその程度。
「分からぬようですね。」
「恥ずかしながら。」
「いえ、説明をしようにもこの場では。」
分かりますねと。その後を口にすることなく、ただ仕草で示す。確かに、何も軒先でこうしてトモエが警戒心をあらわにしながらでは、この人物も色々とやりにくいには違いない。護衛にしても、恐らく魔国からついてきたであろう見るからに手弱女と分かる者達が数人程度。恐らくではなく、間違いなく強力な魔術を使う者達ではあるのだろうが、それにしてもこうも近寄ってしまえばトモエであればどうにでもできると、シェリアとナザレアであれば瞬きの間にどうとでもできる相手。ならば、まぁいいだろうと。
「では。ご案内させて頂きます。」
「ええ、良しなに。ですが、この者達は、そうですね。別室を用意した抱けるのであれば、一人だけ。」
随分と意外な申し出ではあるのだが、少しシェリアに目線でだけ確認を取れば直ぐに頷きが返ってくるため、そちらはシェリアに任せるとしてトモエはただ王妃を連れてオユキの待つ客間に向かう。マナの枯渇によって、今は一応少しの時間歩くことができる程度でしかない。
客室に入ってみれば、いつものようにと言う事は無くやはり背もたれにもたれるようにして座っているのだが、それにしても何処か辛そうに。今はまだ汗が浮いたりという事は無いが、それでも後少しもすればそのような状態になっていくだろう。
「かなり、酷いようですね。」
「お恥ずかしながら、御身をお迎えさせて頂くにもこうして座らねばならぬほどには。」
「マナの枯渇と聞いています。ですが、それだけでもない様子。」
「ご慧眼、恐れ入ります。」
オユキを一瞥して、眉をすぐに顰める。つまりは、それほど深刻な状態であるらしい。生憎と、これまで身の回りと言えばいいのか、頼んでいたカナリアからも当然色々と言われてはいるのだがその辺りは彼女の自信のなせる技なのだろう、どうにかなると、どうにかして見せるとそうした言動であったため深刻さと言うのは、軽減されていたのだが。
「全く、本当に分かっているのやら。」
「一応は、専属と言う程ではありませんが、御身の庭にて学びを得た相手に頼んでおりますれば。」
「確か、翼人種のカナリアと言うのだったかしら。」
そして、王妃がオユキの対面に座るのではなく一言、オユキの側に近寄るとそう告げて。
「どうにも、種族差と言うのを理解していないようですね。」
「種族差の、理解、ですか。」
「かの種族は、体内を巡るマナすら視認できるとそのように聞いています。」
そして、オユキの側に寄った王妃が軽くオユキの腕を取りそしてそのままオユキの顔を覗き込む。
「形質としては確かに人ですか。しかし、精霊の気配も随分と色濃い。」
「そう、なのですか。カナリアさんからは、どちらかと言えば物質寄りだと。」
「ええ、発現形質、それに基本的には依ります。しかし、継いだものが無いわけでは無いのです。」
その辺りは、確かに知識と魔を主として崇める国らしいと言えばいいのだろうか。今の神国では、まともに語られることも無い内容を、本来であれば知らぬ者達であれば、聞き取れぬ様な内容であるはずなのに。
「少し、疑問が。」
「ええ。私たちに許された奇跡の一つ、それがこれです。正しく言葉を、知識を伝えねばなりません。」
「さて、その辺りを判断しているのは法と裁きの神と考えていましたが。」
「勿論、そちらにも関連はありますが、やはり基本の判断は知識と魔の神がなさる事です。」
そして、一つの咳払いの後、そのまま話が続く。
要は発現形質、それはあくまで見える物として、この世界に器として得た物の形、その由来が一体何のかでしかなく器に満たされる物の形はまさに様々だという事らしい。つまるところは、他の種族、獣精や花精、そうした身近な種族が己と同族かどうかを判断できるのはそうした物を見分けているからなのだと。そして、王妃の眼から見て、トモエもオユキも人としての形を持っているのは今ここにある器。中身に関しても、トモエは少し人の気配があるがオユキに至ってはそれが全く無いという事であるらしい。では一体どの種族かと言えば、王妃にしても流石に分からぬという事らしいのだが。
「それにしても、よもやと言いますか、なんと言えば良いのやら。」
「知らぬ以上は、確かにそのような物でしょう。」
そうした話を、奇跡を願った上で行った王妃にしてもかなりの疲労を得ているのだろう。今はオユキの方は枯渇している。負担を、情報を受け取る側として求められる負担も、決して支払えるものではない。
「それにしても、正直な所。」
「何故、此処までするのかという事でしたら、これまでのお礼と言うしかないのですよ。」
そして、王妃が軽く指を折りながら。
「あの子の事。孫の事。我が国と、この国の間に新しい奇跡が。また、往来を簡単にするための大掛かりな奇跡も。」
「何も私ばかりという訳では。」
「切欠は、確かに貴方からなのでしょう。ならば、ええ、私は礼をもって返しましょう。恩に報いるためにと遇しましょう。」
特に裏は無いと、折った指を広げて見せる。
特段、疑ってはいないのが事実。単純に立場のある人間なのだから、己の行動に対して見返りを求めるのが当然だとオユキはそう考えているだけ。どうにも、そうした視線がのっていたらしい。こうして見ず知らずの場に足を踏み入れるというのに、供回りには一人だけ。それも、何やらオユキの様子を、トモエ相手にも随分と好意的と言えばいいのか微笑ましげに見ているだけの相手だ。それこそ、まともな侍女であれば、こうして話をすること自体を変わって然るべきとオユキも考えている。事実、神国の王妃に関しては、直答を許されるまでは確かにそうではあったのだ。
「それは、御身の庭でも。」
「ええ。勿論です。既に貴方からの良い返答は得たと聞いています。我が国は、歓迎しましょう。生活の場は、流石に私が戻ってから整えなければなりませんが。」
「でしたら、そうですね。」
オユキがそのままシェリアに視線で確認を取れば、心得た物とばかりに頷きが返ってくる。どうやら、彼女にしても他国に迄ついてくることを是としているらしい。随分と、甘やかされていると感じながらも、やはり嬉しく、心強く思えるものだ。勿論、彼女にしても魔国で交流を持つことを考えているのだろうが、それでもしばらくの間は慣れたものに任せられるというのはやはり有難い。
「こちらも、そうですね。今は別室ですが。」
「畏まりました。そちらは、後程。」
そして、改めて。
「貴方の症状として、マナの枯渇であることはやはり違いがありません。快復の為には、そうですね色々とては尽くしているようですが、調整された魔石を使ってという方法も精霊に近い流れを持つあなたであれば良いでしょう。」
「魔石を、ですか。」
「こちらでは、あまり一般的では無いのでしょうが、調整された物を使いそれを吸い上げる。そうした方法もあるのです。」
魔道具向けに調整された魔石があると、そうした話は確かに聞いたことがある。しかし、魔国できちんと学んだはずのカナリアが、以前魔道具にマナの供給が出来る程であればそもそも魔術が使えるのだとそうした話をされた記憶もあるオユキとしては、今一つ納得がいかない。
「何やら納得がいかないといった様子ですが、今は良いでしょう。また、こちらで手配した物を。」
「その、一応は以前得意な属性なども調べはしたのですが。」
「先ほど触れた時に分かっています。見た所、自分で周囲のマナを取り込むときに変える事も出来ていない様子ですが、冬と眠りの女神に連なるマナは確かに少し珍しいものです。特にこの国では春と生命の女神の気配が濃い事もありより苦手を覚えているでしょう。」
魔国に行っても、それはあまり変わらないとそう王妃が呟くあたりなかなか根深いものではありそうだ。ただ、そうしたことも考えた上できちんと整えると、いまカナリアが行ってくれているものと同程度以上が用意されるには違いないらしい。そうであるならば、オユキの暮らす場を整える為に必要な物があればとトモエからシェリアに軽く目配せをすればそちらも心得た物とばかりにただ微笑みが返ってくる。いよいよ、魔国での生活の場も任せておけば問題はなさそうではある。
「さて、これからが本題ではあるのですが。」
「ええ、お伺いさせて頂けましたら。」
そして、これまでが前置きと言う事でも無いだろうが、改めて王妃からの頼みとして。
「今日、揃って狩猟に出られるとか。」
「確認を、と。」
「ええ。私たちが頼む戦力、それが如何程のものかと。オユキ、貴方も私と共にいれば見守る事くらいは出来るでしょう。」
「その、流石に枯渇状態では、と。」
「ですが、どうにも浮かない顔。参加できぬ事を、憂く思うのであれば。ええ、娘の恩人です。我が孫の恩人です。私も手を尽くしましょう。」
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