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24章 王都はいつも
少し話がずれて
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この世界、実に色々とある物だと。オユキは少し、ぼんやりとそんな事を考える。
「一先ず、明日の参加者に関しては、良しとしておきましょう。」
「そうか。」
「となると、次の話題ですが。」
次は、どちらがいいのだと。一先ずオユキからアベルに対して選択肢を投げる。
「次と言われてもな。うちの一つは、そうだな、テトラポダからの客人の話になるのだが。」
「では、そちらから聞きましょうか。先ほども、そちらからの流れで二人とお伺いしましたが。」
「まぁ、流石に紹介は明日だが少し、な。」
「ああ、祖霊を降ろそうと考える方ですか。流石に、私の力添えと言う事はありませんが。」
それをオユキに求めるのは、お門違いと言うしかない。アイリスの祖に関しては、はっきりと事故と言う他なく、巻き込まれたとそう言うしかない物であり、何もオユキがそう考えて動いていたわけでもない。フスカに関しては、多少考えた上で巻き込んだものだが、現状こちらに来ている者達に対して特段というものがオユキには無いのだ。
「一応、先方からはトモエに関してな。」
「とは言われましても、私達はあくまで異邦人ですから。」
「それはそうなんだがな。獅子の部族に連なりがあるらしい。細かくはわからんのだが、確かめさせろとな。」
「トモエさんがそれを望めば、私がどういう事もありませんので、そこはまた聞いてくださいというしか。」
その辺りは、オユキが流石にどうこう言うのはお門違いではないかと。
「言わんとしてるこてゃ分かるんだがな。一応は、配偶者だ。で、お前が家格を持っている以上は。」
「ああ。そうした理屈ですか。そうですね、先ほども申し上げましたが、私はトモエさんが良しとすれば確かめる事に関しては構いませんよ。」
ただ、そこまで行ってふと思いつくことがあり、流石に確認だけは取っておく。
「その、確かめる方法と言うのは。以前アイリスさんが、匂いで分かるとそのような話をしていたので。」
「ああ、そう言えば俺も確認していなかったな。」
「あの、確認の上、こう、人道にもとると言いますか。」
「いや、流石に無いとは思うが、そうだな、その辺りの確認も必要か。」
アベルの方でも、よくわからぬ事ではあるらしい。
「これまでは、ええと、街中でも相応の数を見かけたように思いますが。」
「こう、こっちに流れてきているのは、そういった部分がとにかくなくてな。」
「まぁ、群れを離れてとそうした気質を持った方ばかりでしょうから。」
ただ、例外もそこにいるのだがとオユキはナザレアに視線を向ける。
「アイリスの話も含めて考えると、こうした種族と言えばいいのか。確かに、群れから離れる相手について行って、その先にまた群れをつくる種族もいるという話だが。」
「その辺りは、祖が草食か肉食かの差かとは思うのですが。」
ただ、こちらの物たちはあくまで好みの差でしかないとそう聞いている事もあり、どうにも判然としない。
「いえ、ともかく一先ずの事ですね。」
そうして話を振ってみたところで、どこかナザレアは茫としたまま。そちらからも、また何かあるのかとオユキとしては考えてしまうものだが、そればかりは事が進んで見なければやはり分かる物ではない。祖たる獣たちは、確かにこの世界で名を持つ柱として存在している。主たる神とは違い、そちらに使われることには違いないのだが、それでも。そもそも異空と流離にしても、どうしてそういった名を得たのかも今一つ理解が出来ていないのだ、オユキには。その名は確かに存在の由来としては正しい。こちらに流れて来るにあたって、かつての世界で手ごろな神性を与えたのだろうと、そうしたことも理解は出来る。
此処までの、オユキの持っている情報の中で考えられる事として、崩壊した世界と言うのはあくまで準備段階の世界だと考えていたのだ。どうにも、違和感ばかりがここ暫くは募っている。勿論、両親が遺していた物は過去であり、それからいくらでも変更が重ねられただろうというのは理解が出来ているのだが。
「その、その方々は明日にも。」
「ああ。先ほども言ったが、お前が不安を示したからな。それを払拭しようと考えているようでな。」
「無為に逸る者達と、ともに動く気はないのですが。」
「お前が嫌うのは分かるし、俺も正直危険だと感じている。だが、受け入れるしかない。」
アベルからは、実に面倒だとオユキの懸念というのが、懸念どころでは無く厄介でしかないと実に苦々し気に。
「とすると、成程。そこで明確に差を示して、そうしなければ騎士団の派遣も受け入れませんか。」
「ああ。正直質が悪い事に、うちの連中が此処までを護衛してはいるのだが、そこまでの道はあの使者団単独で歩いてきたわけでもある。」
「その程度と言いたくはありませんが、それで自負を持ったうえで、ですか。」
軽視されているのかと、オユキとしては内心に苛立ちが。
「まぁ、そちらはいよいよ明日にでも思い知らせればいい。」
「それは、そうなのでしょうが。」
「色々とお察しの通りだ。あいつらにしても、加護が無ければ。」
「いえ、私はそれを否定しませんが。」
加護の有無、それとてこちらで得られる力には違いない。
オユキが一切の信頼を置いていないのは、単にこれまでのアイリスを見ているからだ。
「アイリスさんと、同じ系統の方となると。勿論、こう、種族由来の有利と言うのは認めているのですが。」
索敵、移動速度。そういったものに関しては、確かに優れていると認めているのだがどうにも短絡的と言えばいいのか、後先考えないと言えばいいのか。
「あいつが特別って訳でも無いのがなぁ。」
「一応、イリアさんはカナリアさんと仲良くできている事を考えれば。」
「いや、お前は知らないだろうが、あいつも相当だぞ。」
「そう言えば、あまり一緒させて頂く機会は無かったですね。」
ただ少し思い返してみれば、随分と食欲に忠実な者であったようにオユキは印象が残っている。その辺りは、獣としての特徴をかなり色濃く残しているからだろう。だが、それにしても何故森猫と呼ばれている彼女が、海産物に心惹かれるのか等分からない事が多すぎるのだ。
「本当に複雑と言いますか。」
「はっきりと、でたらめと言っても構わんだろ。」
「流石に、種族問題が起きそうなので。」
アベルは随分とはっきりと、ただそれでもかなり抑えた内容としてそう口にするのだが、オユキからは高々皮膚の色程度で生前にあった色々を知っているために、何とも言えない。いや、いっそのことここまで振り切れているからこそ、そうしたことが無いのだろうかとも。
「なんにせよ、また功名に逸るだろう方たちと肩を並べなければならないわけですか。そちらの統制は、お任せしても。」
「アイリスに頼めりゃいいんだが、あいつはお前らについて行くだろうからな。適材適所と言えば聞こえはいいが。」
「お互い、随分と貧乏くじを引かされるものですね。」
これは、もはやそう語るしか無い物であり。誰かが必ずひかなければならない物だ。
「ええと、そうですね。とりあえずそれも良しとしましょう。ともかく、人での手配などはカレン。」
すっと、一礼するカレンに、とりあえず急ぎだからそちらを優先するようにと言い置けば、部屋に残るのは先ほどまで何処か遠い所を見ていたナザレアと、オユキとアベル。
「アベル。」
「なんだ、藪から棒に。」
「我が祖から、言葉がありました。」
このあたり、位がどうなっているのかもやはり色々と怪しい物なのだ。王家の血を引き、他国の公爵令息を高々侍女如きが呼び捨てるなど。貴族社会であれば、それこそ無礼内と言った可能性もあるだろうに、だがそれが無いと分かっているように。
「神々の原初からの定めは、増えよ、地に満ちよと。」
「それは、まぁ、分かっちゃいるんだが。」
「既に魂の容量、その問題は解決されています。これまでに不満を覚えていた者達も、既にそれが無くなり始めています。あなた方の種族は、やはり時間がかかりすぎるので。」
「そちらを優先しろと言う事か。だが、それだとしても。」
さて、何やら複雑という訳でもない、ただカレンを先に部屋から出してよかったと、そう思える話が始まる。確かに始まりの町では既に兆候が出ており、こちらにマルコも薬の材料を仕入れに来ることになった。既に彼からは、手配が終われば直ぐに戻りたいとそうした話もされてしまったため、この後に控えている事、それが終わった後はいよいよカナリアに任せるしかない。困ったこと、と言えばいいのだろうか。彼女の腕も確かではあるし、一応は魔国を名乗る国から来ている相手もいる為、不安はないとは思うのだが。
「オユキ。お前も何を素知らぬ顔を。」
「いいえ、オユキはまだ早いのです。」
「そうですね。こちらで生きると、まだ決めているわけではありません。そこで、後に残る何かをとそれは考えませんから。」
「それは、トモエ卿に少し酷では。」
アベルの言葉に、オユキとしては一体何を指しているのか全く分からないと、そう返すしかない。生前で有ればそうした施設も間違いなくあったし、利用者が多かったことも記憶はしている。だが、こちらの世界でそうした物の存在をオユキは確認していない。
華と恋の神がこちらにいる以上は、勿論そうしたことも認めているのであれば認めているのであろうが。
「おい、まさか。」
「いえ、流石に生前にはトモエさんとの間に子供もいましたし。」
知識が無いのかと、そうした疑いを向けられたのだが、そちらに対しては当然知っているとそう返しておく。
「ただ、そうした施設があればと思う事もありますが。」
「ああ。お前に見せるのを避けているのか。」
「となると、所謂花を売る施設はあるわけですね。確かに、マルコさんが薬の用意を出来ていたことを考えれば、いえ、今回素材をと言っていたのはその辺りも含めてですか。」
ただ、その辺りはなかなか難しい話になりそうだなと。オユキが考えていると。
「まぁ、その通りと言えばその通りなんだが、トモエがお前に対して過保護なのか。お前が理解がありすぎるからなのか。」
「いえ、生前私は利用したことがありませんが、まぁ、それを望むのであればと言うところでしょうか。」
恐らく、トモエもそれを望みはしないだろうが。
「一先ず、明日の参加者に関しては、良しとしておきましょう。」
「そうか。」
「となると、次の話題ですが。」
次は、どちらがいいのだと。一先ずオユキからアベルに対して選択肢を投げる。
「次と言われてもな。うちの一つは、そうだな、テトラポダからの客人の話になるのだが。」
「では、そちらから聞きましょうか。先ほども、そちらからの流れで二人とお伺いしましたが。」
「まぁ、流石に紹介は明日だが少し、な。」
「ああ、祖霊を降ろそうと考える方ですか。流石に、私の力添えと言う事はありませんが。」
それをオユキに求めるのは、お門違いと言うしかない。アイリスの祖に関しては、はっきりと事故と言う他なく、巻き込まれたとそう言うしかない物であり、何もオユキがそう考えて動いていたわけでもない。フスカに関しては、多少考えた上で巻き込んだものだが、現状こちらに来ている者達に対して特段というものがオユキには無いのだ。
「一応、先方からはトモエに関してな。」
「とは言われましても、私達はあくまで異邦人ですから。」
「それはそうなんだがな。獅子の部族に連なりがあるらしい。細かくはわからんのだが、確かめさせろとな。」
「トモエさんがそれを望めば、私がどういう事もありませんので、そこはまた聞いてくださいというしか。」
その辺りは、オユキが流石にどうこう言うのはお門違いではないかと。
「言わんとしてるこてゃ分かるんだがな。一応は、配偶者だ。で、お前が家格を持っている以上は。」
「ああ。そうした理屈ですか。そうですね、先ほども申し上げましたが、私はトモエさんが良しとすれば確かめる事に関しては構いませんよ。」
ただ、そこまで行ってふと思いつくことがあり、流石に確認だけは取っておく。
「その、確かめる方法と言うのは。以前アイリスさんが、匂いで分かるとそのような話をしていたので。」
「ああ、そう言えば俺も確認していなかったな。」
「あの、確認の上、こう、人道にもとると言いますか。」
「いや、流石に無いとは思うが、そうだな、その辺りの確認も必要か。」
アベルの方でも、よくわからぬ事ではあるらしい。
「これまでは、ええと、街中でも相応の数を見かけたように思いますが。」
「こう、こっちに流れてきているのは、そういった部分がとにかくなくてな。」
「まぁ、群れを離れてとそうした気質を持った方ばかりでしょうから。」
ただ、例外もそこにいるのだがとオユキはナザレアに視線を向ける。
「アイリスの話も含めて考えると、こうした種族と言えばいいのか。確かに、群れから離れる相手について行って、その先にまた群れをつくる種族もいるという話だが。」
「その辺りは、祖が草食か肉食かの差かとは思うのですが。」
ただ、こちらの物たちはあくまで好みの差でしかないとそう聞いている事もあり、どうにも判然としない。
「いえ、ともかく一先ずの事ですね。」
そうして話を振ってみたところで、どこかナザレアは茫としたまま。そちらからも、また何かあるのかとオユキとしては考えてしまうものだが、そればかりは事が進んで見なければやはり分かる物ではない。祖たる獣たちは、確かにこの世界で名を持つ柱として存在している。主たる神とは違い、そちらに使われることには違いないのだが、それでも。そもそも異空と流離にしても、どうしてそういった名を得たのかも今一つ理解が出来ていないのだ、オユキには。その名は確かに存在の由来としては正しい。こちらに流れて来るにあたって、かつての世界で手ごろな神性を与えたのだろうと、そうしたことも理解は出来る。
此処までの、オユキの持っている情報の中で考えられる事として、崩壊した世界と言うのはあくまで準備段階の世界だと考えていたのだ。どうにも、違和感ばかりがここ暫くは募っている。勿論、両親が遺していた物は過去であり、それからいくらでも変更が重ねられただろうというのは理解が出来ているのだが。
「その、その方々は明日にも。」
「ああ。先ほども言ったが、お前が不安を示したからな。それを払拭しようと考えているようでな。」
「無為に逸る者達と、ともに動く気はないのですが。」
「お前が嫌うのは分かるし、俺も正直危険だと感じている。だが、受け入れるしかない。」
アベルからは、実に面倒だとオユキの懸念というのが、懸念どころでは無く厄介でしかないと実に苦々し気に。
「とすると、成程。そこで明確に差を示して、そうしなければ騎士団の派遣も受け入れませんか。」
「ああ。正直質が悪い事に、うちの連中が此処までを護衛してはいるのだが、そこまでの道はあの使者団単独で歩いてきたわけでもある。」
「その程度と言いたくはありませんが、それで自負を持ったうえで、ですか。」
軽視されているのかと、オユキとしては内心に苛立ちが。
「まぁ、そちらはいよいよ明日にでも思い知らせればいい。」
「それは、そうなのでしょうが。」
「色々とお察しの通りだ。あいつらにしても、加護が無ければ。」
「いえ、私はそれを否定しませんが。」
加護の有無、それとてこちらで得られる力には違いない。
オユキが一切の信頼を置いていないのは、単にこれまでのアイリスを見ているからだ。
「アイリスさんと、同じ系統の方となると。勿論、こう、種族由来の有利と言うのは認めているのですが。」
索敵、移動速度。そういったものに関しては、確かに優れていると認めているのだがどうにも短絡的と言えばいいのか、後先考えないと言えばいいのか。
「あいつが特別って訳でも無いのがなぁ。」
「一応、イリアさんはカナリアさんと仲良くできている事を考えれば。」
「いや、お前は知らないだろうが、あいつも相当だぞ。」
「そう言えば、あまり一緒させて頂く機会は無かったですね。」
ただ少し思い返してみれば、随分と食欲に忠実な者であったようにオユキは印象が残っている。その辺りは、獣としての特徴をかなり色濃く残しているからだろう。だが、それにしても何故森猫と呼ばれている彼女が、海産物に心惹かれるのか等分からない事が多すぎるのだ。
「本当に複雑と言いますか。」
「はっきりと、でたらめと言っても構わんだろ。」
「流石に、種族問題が起きそうなので。」
アベルは随分とはっきりと、ただそれでもかなり抑えた内容としてそう口にするのだが、オユキからは高々皮膚の色程度で生前にあった色々を知っているために、何とも言えない。いや、いっそのことここまで振り切れているからこそ、そうしたことが無いのだろうかとも。
「なんにせよ、また功名に逸るだろう方たちと肩を並べなければならないわけですか。そちらの統制は、お任せしても。」
「アイリスに頼めりゃいいんだが、あいつはお前らについて行くだろうからな。適材適所と言えば聞こえはいいが。」
「お互い、随分と貧乏くじを引かされるものですね。」
これは、もはやそう語るしか無い物であり。誰かが必ずひかなければならない物だ。
「ええと、そうですね。とりあえずそれも良しとしましょう。ともかく、人での手配などはカレン。」
すっと、一礼するカレンに、とりあえず急ぎだからそちらを優先するようにと言い置けば、部屋に残るのは先ほどまで何処か遠い所を見ていたナザレアと、オユキとアベル。
「アベル。」
「なんだ、藪から棒に。」
「我が祖から、言葉がありました。」
このあたり、位がどうなっているのかもやはり色々と怪しい物なのだ。王家の血を引き、他国の公爵令息を高々侍女如きが呼び捨てるなど。貴族社会であれば、それこそ無礼内と言った可能性もあるだろうに、だがそれが無いと分かっているように。
「神々の原初からの定めは、増えよ、地に満ちよと。」
「それは、まぁ、分かっちゃいるんだが。」
「既に魂の容量、その問題は解決されています。これまでに不満を覚えていた者達も、既にそれが無くなり始めています。あなた方の種族は、やはり時間がかかりすぎるので。」
「そちらを優先しろと言う事か。だが、それだとしても。」
さて、何やら複雑という訳でもない、ただカレンを先に部屋から出してよかったと、そう思える話が始まる。確かに始まりの町では既に兆候が出ており、こちらにマルコも薬の材料を仕入れに来ることになった。既に彼からは、手配が終われば直ぐに戻りたいとそうした話もされてしまったため、この後に控えている事、それが終わった後はいよいよカナリアに任せるしかない。困ったこと、と言えばいいのだろうか。彼女の腕も確かではあるし、一応は魔国を名乗る国から来ている相手もいる為、不安はないとは思うのだが。
「オユキ。お前も何を素知らぬ顔を。」
「いいえ、オユキはまだ早いのです。」
「そうですね。こちらで生きると、まだ決めているわけではありません。そこで、後に残る何かをとそれは考えませんから。」
「それは、トモエ卿に少し酷では。」
アベルの言葉に、オユキとしては一体何を指しているのか全く分からないと、そう返すしかない。生前で有ればそうした施設も間違いなくあったし、利用者が多かったことも記憶はしている。だが、こちらの世界でそうした物の存在をオユキは確認していない。
華と恋の神がこちらにいる以上は、勿論そうしたことも認めているのであれば認めているのであろうが。
「おい、まさか。」
「いえ、流石に生前にはトモエさんとの間に子供もいましたし。」
知識が無いのかと、そうした疑いを向けられたのだが、そちらに対しては当然知っているとそう返しておく。
「ただ、そうした施設があればと思う事もありますが。」
「ああ。お前に見せるのを避けているのか。」
「となると、所謂花を売る施設はあるわけですね。確かに、マルコさんが薬の用意を出来ていたことを考えれば、いえ、今回素材をと言っていたのはその辺りも含めてですか。」
ただ、その辺りはなかなか難しい話になりそうだなと。オユキが考えていると。
「まぁ、その通りと言えばその通りなんだが、トモエがお前に対して過保護なのか。お前が理解がありすぎるからなのか。」
「いえ、生前私は利用したことがありませんが、まぁ、それを望むのであればと言うところでしょうか。」
恐らく、トモエもそれを望みはしないだろうが。
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