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23章 ようやく少し観光を
王城に
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王都でそれぞれの用事を片付ける一日を終えれば、オユキの方は公爵夫人もいる場で王妃からファンタズマ子爵家揃ってと言われて、翌日は王城に呼び出されることとなった。呼び出される理由としては、非常に分かりやすいものがある。隣国へ新しい奇跡を運んだ、その報告を理由に一度城に上がれと改めて言われ、表向きの理由としてはそれを使って、実際には色々と話すべきこともあるからと。
特に、隣国から訪れている王妃、その娘でもある王太子妃から是非とも一度会って直接礼をいう位はと、そんな話をされれば然も有りなんと。オユキも頷いたのならば予定が来まる。勿論、一子爵家如きが単独で城に上がってどうこうというのも難しい為、後見としてのマリーア公爵を頼むことにもなる。その辺りの確認と言えばいいのか、予定の調整に関しては王妃と公爵夫人が手早く決めたため、実に恙なく事を終えて今は以前も訪れた離宮に案内されている。
「もう少し、手間がかかるかとも思ったのだがな。」
「隣国の王妃様も来られているわけですし、事実として陛下が利用されて以降、何度か既にという事もあったのでしょう。」
「ふむ。確かに既に目にしたというのならば、疑いようもあるまいか。」
離宮に向かう馬車の中、今度ばかりは隠れてという訳でもなくきちんと招かれての事として。
「と、言いますか。公爵様も、なのですね。」
「我は、お飾りという程でもないが、どちらかと言えばバンサンゾと話さねばならぬ事もあってな。」
「おや。」
一体、何を公爵と王太子の間で話すことがあるのかと。
「聞かせても構わんが、其の方が聞くというのなら先にトモエの許可を取ってくれ。」
「トモエさんの、ですか。」
「うむ。その方が聞いたのなら、巻き込まねばならん。」
トモエも、公爵夫人も、同じ馬車に乗っているというのに。公爵が、此処で初めてと言ってもいいだろう。オユキという個人に向けて、己の寄子に対して義務を求めるのではなく、十分な物を行っているのだからと配慮を。
「その方は、そうだな、近々開かれる大会の予選でも負荷を得る事になる。そして、その結果がどうなるかなど、此処までを見ていれば疑問の余地もない故な。さて、そこで次の新年祭で国王から譲位される者と、現公爵の中では生憎と最年長でもある我。その間で行われる話し合いに、其の方が混じるというのならば、相応の責務を負ってもらう事になる。」
公爵は、ただまっすぐにオユキを見て。
「トモエにも警告された故、我は考えを改めた。その方は、我の、我らの意を汲み過ぎる。」
それが嬉しくないかと言えば、当然そんな事は無いのだと。そうした溜息を、マリーア公爵が。
「どうにも、言葉が上手く伝わらぬのだと、それを我にしてもその方らといる間は忘れてしまう。仕事を頼まねばならぬ時は、今後は正式に依頼としよう。」
今更とはなるが、そう考えるようになったのだと公爵がそんな事を零す。
「その、それだけで回らぬ事も多いでしょうから。」
「何、異邦から来た者達、加えて神々からの覚えがめでたいとはいえだからこそ多く使命を持つその方らだ。それに頼ってばかりでは、公爵という方が来も何のために維持しているのかと、そう言う話にもなる。」
この、残酷な世界で。どうにか、ただひたすらにつなげる事だけを考えて生きてこなければならなかった、そんな重しとしての存在であるために。己が摩耗して、役職としての時分しか見る事が出来なくなりそうな、それほどの時を経てきた中でも。だからこそ、確かに積み上げた誇りがあるのだと。
「故に、うむ。こうして少し話した事で、其の方の中で予想も立つだろう。助力をとそう考えさせてしまうだろう。勿論、我らだけでは難しい事があれば、巫女としての其の方を、使徒が両親でもある其の方を頼むこともある。しかし、今は不要だ。」
「私の助けが、いらぬと。」
何処か、オユキとしては拍子抜けと言えばいいのだろうか。
此処までの己の振る舞いが、まるで意味の無かった事だとそう言わんばかりの公爵の言葉に、それなりに長く生きてきたがゆえに、こちらも持っていたはずの自尊心が僅かにくすぐられる。先ごろ、トモエにも気が付かれたこともあり、どうにも隠し事が下手になっているとそんな自覚をさせられたこともあり、何やら政治の場に仕事の話をする場には同席させたくないほどに己は既に相応しくないのだろうかと、そんな不安すら覚えてしまう。
「正直な所、無論助けて欲しいとも。しかし、頼るのは、神々に今となっては近すぎる其の方らを頼るのは最後なのだ。」
しかし、公爵は再度深いため息をついたうえで。
「神々に頼るばかりでは、そうではならぬとその方らが示した。我が民たちも、既にそれを止めたのだ。」
己の元で暮らす領民たちが、既に神々に頼るだけというこれまでにあったその習慣を止めたのだと、そう公爵は語る。
「なればこそ、民の範となるべき我が頼ってばかりという訳にもいくまいよ。」
「その、たとえそうであったとしても。」
「何、甘やかしてくれるな。無論、我とて休みは取るとも。我が伴侶も居る。その方が頼む相手と比べれば、何、武という意味では到底及ぶものではないが、政治という意味では交渉という意味ではこれ程頼りになる相手も居らぬ。」
「確かに、それはそうなのでしょうが。」
公爵夫人は、ともすれば公爵その人よりも政治力というのが高い。王妃が、然も当然とばかりに一子爵家が公爵の寄子でしかなかった狩猟者、そんな者たちと茶会の席を持つという情報を何処からともなく仕入れて見せたように。公爵夫人も、王妃が突然にどうやって調べたのか、公爵から与えられた屋敷に襲撃を仕掛けた時には直ぐに対応をして見せたのだ。それだけでも情報を手に入れるために、常に手を伸ばしているのだとその手腕を伺える。オユキが人を遣るよりも早く気が付いており、助けがいるのだと聞いてすぐに動いて見せたのは間違いなくその手腕がなせる技なのだから。
「何、気遣いばかりは有難く受け取るとも、今後とも変わらずな。正直、ファルコの事、リヒャルトの事、それらに関しては我らよりも側にいるその方が見える事も多かろう。」
「それは、確かにそうでしょうが。」
「我としては、実務の部分で少々依存しすぎとも見える故、其の方が警戒していたことも事実なのだと確かに感じてはいるのだがな。」
己の孫が、他の誰かに判断の基準を預けてしまう。それに危機感を覚えるというのは、まぁ、正しい感情ではある。特に為政者として、管理を行う者としての振る舞いを身に着けさせるためにとそうした考えが公爵にはある。だが、そこで他者を頼ることが前提となってしまえばどうなるのか、勿論目論見からはずれる。それに対して警戒心を覚えぬというのであれば、問題だと認識できないのだというのであれば、そんな人間がやはり上に立つべきでは無いのだ。
「何分、まだまだどちらも経験が不足していますから。」
「始まりの町、あの場を任せているのは、それを積ませるためなのだがな。」
始まりの町は、円熟している。周囲の拠点に関しても、拠点などとはいう物の、十分すぎるほどに安定している。道中は少々厄介な手合いがこれまでは確かに存在していたのだが、先の一件で既に最たる不安は無くなった。位置関係だけで言えば、森の中、周囲の拠点とされていた場所にほど近い位置に新しい拠点が、採取拠点にという話に現状はなっているのだがそうした者が出来上がりつつある。完成してしまえば、あのあたり一帯は、少なくとも汚染を引き起こす者達が入り込む隙は無くなるだろうと、そうした立地にはなるのだ。トモエも、オユキも、その辺りの仕組みに気が付いてはいないのだが。
「何、其の方らの言では無いのだがな。」
ただ、それすらも、今となっては楽しいのだと。
「後から来る者達の成長を楽しむというのは、まぁ、悪い気分ではないとも。」
「然様、ですか。」
そう口にして呵々と笑う公爵にオユキから言える事は、それをされる後進としてはたまったものでは無いと。
「何、故にその方には我が孫たちをしかと頼むこととするとも。一先ずは、それだけで十分。」
「改めて、その辺りは何処までが差し出口になるかもわからぬのですが。」
「その方の思うように、それで構わぬとも。正直な所、我も、我が妻も、既にあれらに手をかけることは叶わぬ。」
公爵からは、少しどころでは無く、その事実がただ悲しいのだと。
「我らがまず行うべきは、時間を使うべきは、孫たちではなく我らの異なる故な。」
「どちらに問題があったかは、傍から見ていても分かる物ではありましたが。」
「うむ。しかし、認めたのだ。我らがな。故に、改めて言い聞かせるとも。」
公爵子息が迎えた相手、その人物には確かに問題があった。
表面化しなかったという事は、恐らく本人としてはいよいよ最低限は修めていたのだろう。それこそ、例えばラスト子爵家令嬢であるはずのクララが、長くイマノルだけを追いかけていたからすっかりと淑女としての教育が抜けてしまったように。マリーア伯爵夫人も、きちんと教育を受けていたはずだったのだ。しかし、そうした教育で受けたせいかというのは、使わねば錆びつくのだ。どうにもならぬほどに。
そんな話をしていれば、全く同じ敷地内だというのにどうしてこうも時間がかかるのかと思う程に時間が経って、漸く離宮へと。随分と不便に感じはするものだが、オユキとしては己がかつて通勤に費やした時間を考えれば、確かにこうして移動するのも悪くはないとそう感じてしまう距離だ。
仕事場と、己の基本的な生活の場が離れている。その時間で自身の思考を切り替えるのだ。それだけの時間が用意できているのならば、正しくそのようにとするだけなのだと。
「さて、正直な所、我が領も今後は少々版図が狭くなるのでな。」
「それは。」
「何、悪い事ばかりではない。寧ろ喜ぶべきことでもある。」
これまで、貴族と呼ばれる管理階級に対して、一体神々によって言われた領地の拡張、それがどれほどの物であったのか。
「流石に、人口も増えぬ中でただ拠点を増やすのは、我としても不条理に感じていたのでな。」
特に、隣国から訪れている王妃、その娘でもある王太子妃から是非とも一度会って直接礼をいう位はと、そんな話をされれば然も有りなんと。オユキも頷いたのならば予定が来まる。勿論、一子爵家如きが単独で城に上がってどうこうというのも難しい為、後見としてのマリーア公爵を頼むことにもなる。その辺りの確認と言えばいいのか、予定の調整に関しては王妃と公爵夫人が手早く決めたため、実に恙なく事を終えて今は以前も訪れた離宮に案内されている。
「もう少し、手間がかかるかとも思ったのだがな。」
「隣国の王妃様も来られているわけですし、事実として陛下が利用されて以降、何度か既にという事もあったのでしょう。」
「ふむ。確かに既に目にしたというのならば、疑いようもあるまいか。」
離宮に向かう馬車の中、今度ばかりは隠れてという訳でもなくきちんと招かれての事として。
「と、言いますか。公爵様も、なのですね。」
「我は、お飾りという程でもないが、どちらかと言えばバンサンゾと話さねばならぬ事もあってな。」
「おや。」
一体、何を公爵と王太子の間で話すことがあるのかと。
「聞かせても構わんが、其の方が聞くというのなら先にトモエの許可を取ってくれ。」
「トモエさんの、ですか。」
「うむ。その方が聞いたのなら、巻き込まねばならん。」
トモエも、公爵夫人も、同じ馬車に乗っているというのに。公爵が、此処で初めてと言ってもいいだろう。オユキという個人に向けて、己の寄子に対して義務を求めるのではなく、十分な物を行っているのだからと配慮を。
「その方は、そうだな、近々開かれる大会の予選でも負荷を得る事になる。そして、その結果がどうなるかなど、此処までを見ていれば疑問の余地もない故な。さて、そこで次の新年祭で国王から譲位される者と、現公爵の中では生憎と最年長でもある我。その間で行われる話し合いに、其の方が混じるというのならば、相応の責務を負ってもらう事になる。」
公爵は、ただまっすぐにオユキを見て。
「トモエにも警告された故、我は考えを改めた。その方は、我の、我らの意を汲み過ぎる。」
それが嬉しくないかと言えば、当然そんな事は無いのだと。そうした溜息を、マリーア公爵が。
「どうにも、言葉が上手く伝わらぬのだと、それを我にしてもその方らといる間は忘れてしまう。仕事を頼まねばならぬ時は、今後は正式に依頼としよう。」
今更とはなるが、そう考えるようになったのだと公爵がそんな事を零す。
「その、それだけで回らぬ事も多いでしょうから。」
「何、異邦から来た者達、加えて神々からの覚えがめでたいとはいえだからこそ多く使命を持つその方らだ。それに頼ってばかりでは、公爵という方が来も何のために維持しているのかと、そう言う話にもなる。」
この、残酷な世界で。どうにか、ただひたすらにつなげる事だけを考えて生きてこなければならなかった、そんな重しとしての存在であるために。己が摩耗して、役職としての時分しか見る事が出来なくなりそうな、それほどの時を経てきた中でも。だからこそ、確かに積み上げた誇りがあるのだと。
「故に、うむ。こうして少し話した事で、其の方の中で予想も立つだろう。助力をとそう考えさせてしまうだろう。勿論、我らだけでは難しい事があれば、巫女としての其の方を、使徒が両親でもある其の方を頼むこともある。しかし、今は不要だ。」
「私の助けが、いらぬと。」
何処か、オユキとしては拍子抜けと言えばいいのだろうか。
此処までの己の振る舞いが、まるで意味の無かった事だとそう言わんばかりの公爵の言葉に、それなりに長く生きてきたがゆえに、こちらも持っていたはずの自尊心が僅かにくすぐられる。先ごろ、トモエにも気が付かれたこともあり、どうにも隠し事が下手になっているとそんな自覚をさせられたこともあり、何やら政治の場に仕事の話をする場には同席させたくないほどに己は既に相応しくないのだろうかと、そんな不安すら覚えてしまう。
「正直な所、無論助けて欲しいとも。しかし、頼るのは、神々に今となっては近すぎる其の方らを頼るのは最後なのだ。」
しかし、公爵は再度深いため息をついたうえで。
「神々に頼るばかりでは、そうではならぬとその方らが示した。我が民たちも、既にそれを止めたのだ。」
己の元で暮らす領民たちが、既に神々に頼るだけというこれまでにあったその習慣を止めたのだと、そう公爵は語る。
「なればこそ、民の範となるべき我が頼ってばかりという訳にもいくまいよ。」
「その、たとえそうであったとしても。」
「何、甘やかしてくれるな。無論、我とて休みは取るとも。我が伴侶も居る。その方が頼む相手と比べれば、何、武という意味では到底及ぶものではないが、政治という意味では交渉という意味ではこれ程頼りになる相手も居らぬ。」
「確かに、それはそうなのでしょうが。」
公爵夫人は、ともすれば公爵その人よりも政治力というのが高い。王妃が、然も当然とばかりに一子爵家が公爵の寄子でしかなかった狩猟者、そんな者たちと茶会の席を持つという情報を何処からともなく仕入れて見せたように。公爵夫人も、王妃が突然にどうやって調べたのか、公爵から与えられた屋敷に襲撃を仕掛けた時には直ぐに対応をして見せたのだ。それだけでも情報を手に入れるために、常に手を伸ばしているのだとその手腕を伺える。オユキが人を遣るよりも早く気が付いており、助けがいるのだと聞いてすぐに動いて見せたのは間違いなくその手腕がなせる技なのだから。
「何、気遣いばかりは有難く受け取るとも、今後とも変わらずな。正直、ファルコの事、リヒャルトの事、それらに関しては我らよりも側にいるその方が見える事も多かろう。」
「それは、確かにそうでしょうが。」
「我としては、実務の部分で少々依存しすぎとも見える故、其の方が警戒していたことも事実なのだと確かに感じてはいるのだがな。」
己の孫が、他の誰かに判断の基準を預けてしまう。それに危機感を覚えるというのは、まぁ、正しい感情ではある。特に為政者として、管理を行う者としての振る舞いを身に着けさせるためにとそうした考えが公爵にはある。だが、そこで他者を頼ることが前提となってしまえばどうなるのか、勿論目論見からはずれる。それに対して警戒心を覚えぬというのであれば、問題だと認識できないのだというのであれば、そんな人間がやはり上に立つべきでは無いのだ。
「何分、まだまだどちらも経験が不足していますから。」
「始まりの町、あの場を任せているのは、それを積ませるためなのだがな。」
始まりの町は、円熟している。周囲の拠点に関しても、拠点などとはいう物の、十分すぎるほどに安定している。道中は少々厄介な手合いがこれまでは確かに存在していたのだが、先の一件で既に最たる不安は無くなった。位置関係だけで言えば、森の中、周囲の拠点とされていた場所にほど近い位置に新しい拠点が、採取拠点にという話に現状はなっているのだがそうした者が出来上がりつつある。完成してしまえば、あのあたり一帯は、少なくとも汚染を引き起こす者達が入り込む隙は無くなるだろうと、そうした立地にはなるのだ。トモエも、オユキも、その辺りの仕組みに気が付いてはいないのだが。
「何、其の方らの言では無いのだがな。」
ただ、それすらも、今となっては楽しいのだと。
「後から来る者達の成長を楽しむというのは、まぁ、悪い気分ではないとも。」
「然様、ですか。」
そう口にして呵々と笑う公爵にオユキから言える事は、それをされる後進としてはたまったものでは無いと。
「何、故にその方には我が孫たちをしかと頼むこととするとも。一先ずは、それだけで十分。」
「改めて、その辺りは何処までが差し出口になるかもわからぬのですが。」
「その方の思うように、それで構わぬとも。正直な所、我も、我が妻も、既にあれらに手をかけることは叶わぬ。」
公爵からは、少しどころでは無く、その事実がただ悲しいのだと。
「我らがまず行うべきは、時間を使うべきは、孫たちではなく我らの異なる故な。」
「どちらに問題があったかは、傍から見ていても分かる物ではありましたが。」
「うむ。しかし、認めたのだ。我らがな。故に、改めて言い聞かせるとも。」
公爵子息が迎えた相手、その人物には確かに問題があった。
表面化しなかったという事は、恐らく本人としてはいよいよ最低限は修めていたのだろう。それこそ、例えばラスト子爵家令嬢であるはずのクララが、長くイマノルだけを追いかけていたからすっかりと淑女としての教育が抜けてしまったように。マリーア伯爵夫人も、きちんと教育を受けていたはずだったのだ。しかし、そうした教育で受けたせいかというのは、使わねば錆びつくのだ。どうにもならぬほどに。
そんな話をしていれば、全く同じ敷地内だというのにどうしてこうも時間がかかるのかと思う程に時間が経って、漸く離宮へと。随分と不便に感じはするものだが、オユキとしては己がかつて通勤に費やした時間を考えれば、確かにこうして移動するのも悪くはないとそう感じてしまう距離だ。
仕事場と、己の基本的な生活の場が離れている。その時間で自身の思考を切り替えるのだ。それだけの時間が用意できているのならば、正しくそのようにとするだけなのだと。
「さて、正直な所、我が領も今後は少々版図が狭くなるのでな。」
「それは。」
「何、悪い事ばかりではない。寧ろ喜ぶべきことでもある。」
これまで、貴族と呼ばれる管理階級に対して、一体神々によって言われた領地の拡張、それがどれほどの物であったのか。
「流石に、人口も増えぬ中でただ拠点を増やすのは、我としても不条理に感じていたのでな。」
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