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22章 祭りを終えて
新しい生命
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アイリスに言われたことが果たして本当なのかと、ローレンツとの間で互いに憎からず思っていた以上は遠くない先にそうしたこともあるかと考えていたのだが、あまりにも早すぎると。確かに、花精という存在がどのようなものかは分からないのだが、流石に昨日の今日でよもやと思ってシェリアに頼んで呼んできてもらえば。
「お呼びでしょうか。」
実にしれっとした様子で、確かに生まれたばかりと思しき子供を抱えたタルヤが現れる。
今は何やら健やかに眠っている様子ではあるのだが、目を覚ませばどうなるかも分からないし、目が空いているのかもこうして寝ている状態では分からない。流石に寝た子を起こすわけにもいかず、隣に立つローレンツにトモエがどことなく白い目を向けている気配もあるが、オユキとしてはまずは確認しておくべきだろうと。
「その、不躾な質問である事は重々承知なのですが。」
「はい。私とローレンツ様の間に生まれた子です。」
さて、どうやら予想は正しく、確かに新しく生まれた生命であるらしい。
タルヤの言葉に、ローレンツが心当たりなどないと言わんばかりにタルヤの方を見たりもしているし、少々女性陣から厳しい目がその様子に向いたりもしているのだが、人の常識で考えればまぁ彼の様子も分からないでもない。オユキとしては、過去の己の経験を振り返ってみても、そもそも気が付くのとてそれなりに時間が経ってから。実感を得るには、猶の事時間が必要であったものだ。
「その、流石に昨日の今日というのは。」
ローレンツは一先ず居心地の悪い視線に晒されたままになりながら、それでもどうにか気を取り直してトモエがそんな事を。オユキとしても、トモエの言葉でどうやら昨夜オユキの知らぬ場ではそうした流れがあったのだと。
「そう言えば、異邦からの方はご存知ではありませんか。」
「生憎と、私も花精の生体には詳しくないわね。」
何をそこまで不思議がっているのかと、タルヤから自明な事であるのに何を言っているのかと実に不思議だと言わんばかりに。その様子に、アイリスが直ぐに言葉を返すし、色々と知識をため込んでいるはずのカナリアにしても、アイリスの言葉に頷いている。どうやら、彼女の頭にある花精というのも流石に此処まで無理が効く生き物ではないらしい。
「そうでしたか。」
知らぬとあれば仕方が無いと、そう言わんばかりにタルヤの口から簡単な説明が行われる。
実に意外なとでも言えばいいのだろうか、彼女が言うにはそもそも原種に近い花精というのはそもそも妊娠という過程を得る存在では無いという事らしい。
要は、原初に産めよ増やせよとそう望まれた種族だけあり、他種族から魂であったり身体の一部を取り込むことで次代を生むことができるのだと。その際、発現する形質がどちらに依るかに関しては四代ほど下っていけば半々になるのだが、そこまでの間は確実に母親の種族になるという事であるらしい。まぁ、そうした説明を聞きながら抱いた感想というのは種族それぞれ。当事者同士の間では、何やら同意のない行為がなされたらしいので、まずはオユキがそちらの仲裁と言えばいいのだろうか。
少なくともこの屋敷の主であり、人員を借り受けているわけでもあるため、そちらの対応に。
「どう、しましょうか。」
ただ、どうにかせねばとはオユキ自身も考えるところではあるのだが、やはり病に浮かされた頭では陸な解決策も浮かんでは来ない。一先ず、各々が現状をどう考えているのか、何か方策があるのかとそう若干縋るような気持ちで尋ねてみるのだが。
「我としても、流石に妻に一筆書こうとは考えていましたが。」
「間に合っていないと。」
「ローレンツはどうぞお気になさらず。花精の子育てというのは、余程の事が無ければ花精達だけで行うものですし。万一人の特徴が出た時には、人里に預けたりすることもままありますが。」
「あの、タルヤ様。その子がそうした子では無いという事は分かりますが。」
頼むから、親が子を捨てる様な、そのような言葉は口にしてくれるなという思いを込めてオユキがタルヤに注意をすれば、そこにある感情に気が付いたのか軽く目を伏せて謝罪をされる。ただ、彼女にしても言い分はあるようで、後に続く言葉には確かに考えさせられるものがある。
要は、生き物としての時間間隔が違いすぎるのだと。聞けば、一月も立つ頃には人の子で言えば4歳程になるのだと。そこからは種族としての特性を大いに振るい、大地から、水からそれぞれに己の体の栄養になる物を摂取し始めると言われれば、然も有りなんとオユキも思いはする。そのような成長速度を持つ者達が、そうでは無い者達と共に暮らすのはさぞ難しかろうと。
「とすると、こちらに最近引っ越してきた方々は。」
「あちらは、そうですね。基本的に代を経ている者達ばかりですし、どちらかと言えばヒトの子の特徴がよく現れるでしょうね。」
「そして、花精としては、そうした者達の育て方がわからぬと。」
近々訪れるかもしれない問題に思わず目が行きかけるのだが。
「いえ、話が逸れました。その、ローレンツ様はタルヤ様との間の子を認知されるという認識で間違いは無いでしょうか。」
「ふむ。それについては、違いない。確かに我が子だと、同意が無かった事についてはこの後タルヤと話をせねばならんが、それに間違いが無いというのであれば我も我が子と認めよう。」
ローレンツとしても、随分と一方的な現状に多少思うところはあるという事らしいのだが、腹をくくり確かに己が愛を伝えた相手がその証をという事であれば認めるだけの度量はあるらしい。それは確かに喜ばしい事ではある。喜ばしい事ではあるのだが。
「では、王都で良いのでしょうか。必要とあれば私からメイ様に。その、あまりお勧めしたくはありませんが。」
「ふむ。」
報告に王都に戻るのかと尋ねてみれば、やはりそこはローレンツも思案顔。
生まれたばかりの子供をいきなり連れ回すのは、流石にどうなのかというここまでで培った常識というものが彼の中にもやはり存在している。しかし、彼にしても勤め人。報告義務というのは、存在しているに違いなく。
「ええと、その。進退が決まりましたら、また改めてお伝えください。先にもお伝えしましたが、ローレンツ様とその係累の方でしたら、問題なく抱えることは出来ますので。」
家名を聞いていないため、少々不足が出るかもしれないが、それこそあれこれとまた働いて稼げばいいだけというものでもある。何となれば、それこそこれまでに培ったコネを使って無理を通して見せても良い。少なくとも、オユキと関わった相手、それも身近な相手が路頭に迷ってなど認める気はない。そのために出来る事なら、オユキとてやって見せようという気概くらいはあるのだ。
「オユキ様。お心遣い真に有難く。しかしながら。」
「それについては、トモエさんが白紙に戻したこともあります。箱も、今は一つだけです。」
「それは、そうなのかもしれませんが。」
本来であれば、それこそローレンツに頼んで隣国の何処かにまずは運んでもらい、その先で門を開いてもらおうかなどという腹案があったのだ。しかし、こうして乳飲み子を抱いている、少なくともその齢には見える相手をタルヤが抱えている以上、トモエもオユキもそんな相手に離れろと、遠方に行けなどと言う気が無い。
「私も生前はやむを得ぬ事情があった時には、どうしようもありませんでしたが今はそうではありません。お二人で話し合うときには、必ず私たちがそれを良しとはせぬのだという事を念頭に。」
「畏まりました。ご配慮、真に有難く。しかしながら、一度報告に行かざるを得ないでしょうな。我も、タルヤも。」
ローレンツとしては、王都への報告に行かねばならないと考えているらしい。
「一月でしたか、その間にそこまで成長するというのなら。」
「そうですな。ただ、それはそれで、要らぬ憶測を生みそうなものではあるのですが。」
「邪推は私も望みませんが、その頃でしたらこの子を連れて転移をしても大丈夫でしょうか。」
異空と流離の力が使われている門。それをくぐる事に、どういった負荷がかかるのかは流石にマナの扱いに疎い者達が分かるようなものではない。揃って視線をカナリアに向ければ。
「門は、そうですね。」
しかし、こちらも少々難しそうな顔をするばかり。
「その、何か問題が。」
「問題と言えば、問題ですね。その、私達の祖から力を受けて離れた地へと向かう事になりますが、やはり通る場所は通常の界とは異なりますから。自己が安定しなうちにくぐるとなると、相応に。マナに酔うだけで済むかとは思うのですが。」
「私からは、その状態をだけとは呼びたくない物ですね。」
オユキが類似の症状で、今このような有様になっているのだ。加えて、前回トモエまでもが目を覚まさずに寝込んだ理由というのが門に在るのだとすれば、確かに幼子を連れて通るのに問題もある事だろう。少年たちは特にそうしたこともなかったらしいが、それこそフスカから預かった羽を使って、そこから得られた加護のおかげという事もあるだろう。そうした話をしてみれば、タルヤも少々憂いを表情に。
「ローレンツ様には、少々の不名誉を受けていただくことになりそうですね。」
「已むを得まい。」
苦渋の決断と、まさにそのような様子でローレンツが。そして、流石にその様子を見れば少々早まったと言わんばかりにタルヤの方も申し訳なさそうな顔をする。
家族計画等いうのは、こちらの世界でも大事なのだなとオユキはついつい要らぬ事を考えてしまうのだがそれよりも。
「トモエさん。」
屋外に出て、こうして話していれば流石にそれなりに疲労がたまってくる。体を自力で支えているのも、流石に難しくなってきたと名前を呼べば、トモエも直ぐにオユキの様子に気が付く。
「では、屋敷に戻りましょうか。」
「話の最中で申し訳ありませんが。」
呼び出して話を聞いたというのに、中座しなければならない。それをオユキが詫びてみればローレンツとタルヤからは気にするなと返ってくる。てっきり、そうこうしているうちにマルコが追加の薬を持ってくるかとも思っていたのだが、そちらはそちらで何かあったのだろう。一先ずトモエに抱えられて、オユキは屋敷へと。
「お呼びでしょうか。」
実にしれっとした様子で、確かに生まれたばかりと思しき子供を抱えたタルヤが現れる。
今は何やら健やかに眠っている様子ではあるのだが、目を覚ませばどうなるかも分からないし、目が空いているのかもこうして寝ている状態では分からない。流石に寝た子を起こすわけにもいかず、隣に立つローレンツにトモエがどことなく白い目を向けている気配もあるが、オユキとしてはまずは確認しておくべきだろうと。
「その、不躾な質問である事は重々承知なのですが。」
「はい。私とローレンツ様の間に生まれた子です。」
さて、どうやら予想は正しく、確かに新しく生まれた生命であるらしい。
タルヤの言葉に、ローレンツが心当たりなどないと言わんばかりにタルヤの方を見たりもしているし、少々女性陣から厳しい目がその様子に向いたりもしているのだが、人の常識で考えればまぁ彼の様子も分からないでもない。オユキとしては、過去の己の経験を振り返ってみても、そもそも気が付くのとてそれなりに時間が経ってから。実感を得るには、猶の事時間が必要であったものだ。
「その、流石に昨日の今日というのは。」
ローレンツは一先ず居心地の悪い視線に晒されたままになりながら、それでもどうにか気を取り直してトモエがそんな事を。オユキとしても、トモエの言葉でどうやら昨夜オユキの知らぬ場ではそうした流れがあったのだと。
「そう言えば、異邦からの方はご存知ではありませんか。」
「生憎と、私も花精の生体には詳しくないわね。」
何をそこまで不思議がっているのかと、タルヤから自明な事であるのに何を言っているのかと実に不思議だと言わんばかりに。その様子に、アイリスが直ぐに言葉を返すし、色々と知識をため込んでいるはずのカナリアにしても、アイリスの言葉に頷いている。どうやら、彼女の頭にある花精というのも流石に此処まで無理が効く生き物ではないらしい。
「そうでしたか。」
知らぬとあれば仕方が無いと、そう言わんばかりにタルヤの口から簡単な説明が行われる。
実に意外なとでも言えばいいのだろうか、彼女が言うにはそもそも原種に近い花精というのはそもそも妊娠という過程を得る存在では無いという事らしい。
要は、原初に産めよ増やせよとそう望まれた種族だけあり、他種族から魂であったり身体の一部を取り込むことで次代を生むことができるのだと。その際、発現する形質がどちらに依るかに関しては四代ほど下っていけば半々になるのだが、そこまでの間は確実に母親の種族になるという事であるらしい。まぁ、そうした説明を聞きながら抱いた感想というのは種族それぞれ。当事者同士の間では、何やら同意のない行為がなされたらしいので、まずはオユキがそちらの仲裁と言えばいいのだろうか。
少なくともこの屋敷の主であり、人員を借り受けているわけでもあるため、そちらの対応に。
「どう、しましょうか。」
ただ、どうにかせねばとはオユキ自身も考えるところではあるのだが、やはり病に浮かされた頭では陸な解決策も浮かんでは来ない。一先ず、各々が現状をどう考えているのか、何か方策があるのかとそう若干縋るような気持ちで尋ねてみるのだが。
「我としても、流石に妻に一筆書こうとは考えていましたが。」
「間に合っていないと。」
「ローレンツはどうぞお気になさらず。花精の子育てというのは、余程の事が無ければ花精達だけで行うものですし。万一人の特徴が出た時には、人里に預けたりすることもままありますが。」
「あの、タルヤ様。その子がそうした子では無いという事は分かりますが。」
頼むから、親が子を捨てる様な、そのような言葉は口にしてくれるなという思いを込めてオユキがタルヤに注意をすれば、そこにある感情に気が付いたのか軽く目を伏せて謝罪をされる。ただ、彼女にしても言い分はあるようで、後に続く言葉には確かに考えさせられるものがある。
要は、生き物としての時間間隔が違いすぎるのだと。聞けば、一月も立つ頃には人の子で言えば4歳程になるのだと。そこからは種族としての特性を大いに振るい、大地から、水からそれぞれに己の体の栄養になる物を摂取し始めると言われれば、然も有りなんとオユキも思いはする。そのような成長速度を持つ者達が、そうでは無い者達と共に暮らすのはさぞ難しかろうと。
「とすると、こちらに最近引っ越してきた方々は。」
「あちらは、そうですね。基本的に代を経ている者達ばかりですし、どちらかと言えばヒトの子の特徴がよく現れるでしょうね。」
「そして、花精としては、そうした者達の育て方がわからぬと。」
近々訪れるかもしれない問題に思わず目が行きかけるのだが。
「いえ、話が逸れました。その、ローレンツ様はタルヤ様との間の子を認知されるという認識で間違いは無いでしょうか。」
「ふむ。それについては、違いない。確かに我が子だと、同意が無かった事についてはこの後タルヤと話をせねばならんが、それに間違いが無いというのであれば我も我が子と認めよう。」
ローレンツとしても、随分と一方的な現状に多少思うところはあるという事らしいのだが、腹をくくり確かに己が愛を伝えた相手がその証をという事であれば認めるだけの度量はあるらしい。それは確かに喜ばしい事ではある。喜ばしい事ではあるのだが。
「では、王都で良いのでしょうか。必要とあれば私からメイ様に。その、あまりお勧めしたくはありませんが。」
「ふむ。」
報告に王都に戻るのかと尋ねてみれば、やはりそこはローレンツも思案顔。
生まれたばかりの子供をいきなり連れ回すのは、流石にどうなのかというここまでで培った常識というものが彼の中にもやはり存在している。しかし、彼にしても勤め人。報告義務というのは、存在しているに違いなく。
「ええと、その。進退が決まりましたら、また改めてお伝えください。先にもお伝えしましたが、ローレンツ様とその係累の方でしたら、問題なく抱えることは出来ますので。」
家名を聞いていないため、少々不足が出るかもしれないが、それこそあれこれとまた働いて稼げばいいだけというものでもある。何となれば、それこそこれまでに培ったコネを使って無理を通して見せても良い。少なくとも、オユキと関わった相手、それも身近な相手が路頭に迷ってなど認める気はない。そのために出来る事なら、オユキとてやって見せようという気概くらいはあるのだ。
「オユキ様。お心遣い真に有難く。しかしながら。」
「それについては、トモエさんが白紙に戻したこともあります。箱も、今は一つだけです。」
「それは、そうなのかもしれませんが。」
本来であれば、それこそローレンツに頼んで隣国の何処かにまずは運んでもらい、その先で門を開いてもらおうかなどという腹案があったのだ。しかし、こうして乳飲み子を抱いている、少なくともその齢には見える相手をタルヤが抱えている以上、トモエもオユキもそんな相手に離れろと、遠方に行けなどと言う気が無い。
「私も生前はやむを得ぬ事情があった時には、どうしようもありませんでしたが今はそうではありません。お二人で話し合うときには、必ず私たちがそれを良しとはせぬのだという事を念頭に。」
「畏まりました。ご配慮、真に有難く。しかしながら、一度報告に行かざるを得ないでしょうな。我も、タルヤも。」
ローレンツとしては、王都への報告に行かねばならないと考えているらしい。
「一月でしたか、その間にそこまで成長するというのなら。」
「そうですな。ただ、それはそれで、要らぬ憶測を生みそうなものではあるのですが。」
「邪推は私も望みませんが、その頃でしたらこの子を連れて転移をしても大丈夫でしょうか。」
異空と流離の力が使われている門。それをくぐる事に、どういった負荷がかかるのかは流石にマナの扱いに疎い者達が分かるようなものではない。揃って視線をカナリアに向ければ。
「門は、そうですね。」
しかし、こちらも少々難しそうな顔をするばかり。
「その、何か問題が。」
「問題と言えば、問題ですね。その、私達の祖から力を受けて離れた地へと向かう事になりますが、やはり通る場所は通常の界とは異なりますから。自己が安定しなうちにくぐるとなると、相応に。マナに酔うだけで済むかとは思うのですが。」
「私からは、その状態をだけとは呼びたくない物ですね。」
オユキが類似の症状で、今このような有様になっているのだ。加えて、前回トモエまでもが目を覚まさずに寝込んだ理由というのが門に在るのだとすれば、確かに幼子を連れて通るのに問題もある事だろう。少年たちは特にそうしたこともなかったらしいが、それこそフスカから預かった羽を使って、そこから得られた加護のおかげという事もあるだろう。そうした話をしてみれば、タルヤも少々憂いを表情に。
「ローレンツ様には、少々の不名誉を受けていただくことになりそうですね。」
「已むを得まい。」
苦渋の決断と、まさにそのような様子でローレンツが。そして、流石にその様子を見れば少々早まったと言わんばかりにタルヤの方も申し訳なさそうな顔をする。
家族計画等いうのは、こちらの世界でも大事なのだなとオユキはついつい要らぬ事を考えてしまうのだがそれよりも。
「トモエさん。」
屋外に出て、こうして話していれば流石にそれなりに疲労がたまってくる。体を自力で支えているのも、流石に難しくなってきたと名前を呼べば、トモエも直ぐにオユキの様子に気が付く。
「では、屋敷に戻りましょうか。」
「話の最中で申し訳ありませんが。」
呼び出して話を聞いたというのに、中座しなければならない。それをオユキが詫びてみればローレンツとタルヤからは気にするなと返ってくる。てっきり、そうこうしているうちにマルコが追加の薬を持ってくるかとも思っていたのだが、そちらはそちらで何かあったのだろう。一先ずトモエに抱えられて、オユキは屋敷へと。
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