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19章 久しぶりの日々
語るに及ばず
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「何と言いましょうか。」
「見誤っていた、ともまた違うのが難しいですね。」
本当であれば、オユキから話したいことは未だ残っている。何となれば、本題は伝えられていない。
しかし、魔物を一度討伐してしまえば追加で現れる事は無いとはいえ、やはり安全ではない場所。要らぬ耳も多い場の事ではある。シェリアとカナリアの手により、対応はされているようであるし、オユキとトモエの口元の動きを見たところで、こちらで暮らす人々とは言語体系が全く異なるため役には立つまい。
そうしたことが分かっていながらも、あまり時間を使う事を良しと出来ないし、重要な話をする気にもなれない場であることには違いない。
一先ずの事を終えれば、では早速とばかりに変異種の待つ扉を開けようという話になった。
「流石に、役不足ですね。」
「うむ。肩慣らしにもならぬ相手ではある。」
周囲にいたものたちが、如何なるやり取りがあったのかと気に欠けるそぶりは見せていたが、その視線や意識にはまったく答えずではと思えば、シェリアが護衛の一人から一声を掛けた上で武器を取り上げた。
そして、此処で、何やら過剰な熱が入っているなとトモエとオユキがようやく感じた。
他方、ローレンツにしても、護衛という立場を崩さなかったはずの人物が、何故自ら扉に手をかけているのかと。
「いや、すげーな。」
「ああ。」
「いっつもこの部屋よりだいぶ前で待っているように言われてるから、見たことなかったけど。」
そして、敵の姿を同行者の全てが目にしたのと事が起こったのと。果たしてどちらが早かったのか。
シェリアが存在しない裾を軽く持ち上げる様なそぶりで、オユキに礼を取った。ローレンツは、オユキの前で改めて剣を立てて、以前イマノルが儀礼的な意味が強いと語った構えを取った。背後には変異種、災害に数えられる事もある相手がいるというのに、然も当然だと、それだけの余裕があるのだと思えるほどに、常のようにそうした。
その直後、振り返ったと思ったときには、見覚えのない魔物、鋼で身体を構成されている中型種に数えられる人形が、手入れがされていないからだろう、くすんだ輝きを返す金と銀の人形が。このダンジョンに入った事で、初めて見る事になった木で出来た人形たちが。それも、この部屋には初めて見る人形もあったのだ。鋼人形と並んで、全く見劣りしないほどに古い年月を感じさせる独特の光沢を讃えた暗い色合いの木目。不細工な人型と言っても構わないだろう、腕と脚部が肥大した形状。二の腕までは、ただ巨人と呼んでも済むが、前腕は誇張した防具を身に着けているかのように二の腕よりも遥かに太く、鋭利な部分、肘にまで伸びる箇所もある。脚部もその肥大した重量を支える為だと言わんばかりに、実にたくましく、古来より変わらぬ彫像に比べてもより肉付けが施されていた。
そう、見るからに強そうな相手ではあった。
初見の魔物でもあった。
警戒が必要な敵であったはずなのだ。
「変異種との事ですから、オユキ様の望む四阿の素材にと考えれば、やり過ぎでしょうか。」
「この程度で砕けるようであれば、所詮はその程度。強度は考慮するほどでもないのであれば、後は加工を行って如何に優美にするかが焦点になるのではないか。」
振り向いた、そう思ったときには、魔物が揃って壁に叩きつけられていた。
そこで響いた轟音に、神の名迄持ち出して引いてはトモエの、手段としては己の代わりを任せる相手の安全を願った事で、しっかりと削られる物が削られているオユキがふらりと体を揺らすほどの、大音声がその場には響き渡った。
カナリアの護衛として、しっかりとついて来ていたイリアにしても、身体の構造によるものだろう。流石に顔を歪ませ、数度頭を振りながらもどうにかオユキを支えたトモエがいないイリアは、しっかりと地面に倒れ伏している。
少年達の方は、騎士の振る舞いに対する慣れがあったのか。嫌な予感がしたとばかりに耳をすぐさま抑えたため、難を逃れている。距離があったというのも幸いしたのか。それとも、似たような事を行ったであろうパウが側にいたからか。
「オユキ様、配慮を欠き申し訳ございませんでした。」
「ぬ。これは、我としたことが。叱責は後程。」
そして、簡単に互いが引き起こした惨状、完全に独立した空間であり、小動もしないはずのダンジョンという存在を、間違いなく単位としてトンなどというものが用いられるだろう重量級の相手、そんな相手であるはずなのにそれが当然とばかりに薙ぎ払い、何となればシェリアが取り上げた槍は今も鋼で出来た人形を壁に叩きつけると同時にそのまま壁に縫い留めている。では順番として、どういった事があったかと言われると、恐らく同行している騎士の一部だけが理解している事だろう。
「いえ、そこまでの事ではありませんから。」
トモエにしても、音に対する防御が間に合っていない。そんな相手から、シェリアがオユキを軽々と取り上げ、オユキが決めた事を喜んでいるトモエが、それを当然として預ける。これまでであれば、時には、相手によってはかなりの警戒をもってそれを行うのだが。つまりは、トモエもその程度はシェリアに対して気を許しているのだ。
これまで、何度もその機会はあった。トモエと入れ代わり立ち代わり、オユキの身だしなみを整えているのだから。そして、オユキが暗器を仕込む事にも協力的である。その辺り、どうにも共感を得やすい人間性を備えていることもある。その辺り、どういった情報の流れがあるのかと、オユキとしては興味があるのだが。
「その方ら、何を呆けて居る。事は終わった。ならば為すべきことなど一つしか無かろう。」
そして、動きのない周囲に対して、ローレンツの叱責が響けば、あまりにあまりな結果が引き起こされたことにどこか呆けていた者達が速やかに動き出す。呆けていたというのか、突如響き渡った轟音に、己の調整を行う事に終始していた者達もそれをきっかけに。
「いよいよ鍛えようの無い事とは思うのですが。」
「どういえば良いのでしょう。確かに鍛錬が浅いうちはそうなのですが。」
「うむ。聞かねばならぬ小さな音、それをかき消すための音。それらに幾度も相対しておれば、やはりそれに応じて得られるものがあるとしか。」
「近衛であるシェリア様が、何故、とはいよいよ不思議に思いますが。」
まぁ、そちらに関しては過去の異邦人が屋内戦における非致傷兵器の話を持ち込み、その価値が認められたという事もあるのだろうが。
「オユキさんは、先に戻りますか。」
「いえ、確かに少々音に当てられてはいますが、久しぶりの事でしたし、帰りはゆっくりと戻りましょうか。」
これで急ききって、体調を崩したオユキの姿がダンジョンから出てくることを見られれば、そこには要らぬ憶測を生むに違いなく、避けるべき事態ではある。オユキがというよりも、護衛を担当する者達がという意味で。実態はと言えば、過剰な戦力であるからこそ、被害が出たともいえるのだから。
「ダンジョンの中には、加護に対して上限がかかると、そのように纏まっていたのですが。」
「ふむ。確かに、体が重くはあったが。」
「そう言えば、そうですね。どうにも普段通りに動けないはずでしたが。」
これまで起きなかったのは、ファルコの言葉にある通り、明確な上限がダンジョンごとに設けられていたから。
だというのに、この結果は明らかに道理に合わぬと。
「その辺りは、オユキ様の手によるものでしょうか。」
「相応に負担を感じていますので、正直些細な事で頼まれるつもりはありませんが。」
ぐったりと、という程ではない。今は。身内から止めを刺されたために、隠せぬ状況にはなっているが。いつぞやと違い、まだ軽口をたたくだけの余裕はある。
事これに関しては、オユキが己も確かな負荷を得たのだという自覚が必要である事柄だ。だからこそ、容赦が無いという事もあるだろう。初めての事であり、加減が解らぬという事もあったのだろう。
「全く、我が身の事ながら、何度もこのような有様。」
理解をしての事ではある。他にある選択肢、オユキに対して直接暴として対峙するというトモエにとって悲劇と呼んでもいい事柄を回避するための事ではある。ただ、そこで晒されるのは、事こういう面に関してのオユキの能力不足。それに対して不甲斐無さを感じるだけの気概をオユキはやはり失ってはいない。
「いい加減に、方策を考えねば共、ええ、そう考えますとも。」
「では、オユキ様が回復された時にでも。」
「想像はあるのでしょう。時間もいる事ですから、改めて今夜にでも。」
周囲は、既に慌ただしく動き始めている。
差異さ断っての問題としては、シェリアが放り投げたらしいやりが、壁から抜けぬと奮闘している一団。形状から考えて、もとより突きを放つことが目的でもあるため根元が太く、引き抜くときにかかる労力が低い造りではあるはずなのだが、その程度の工夫ではどうにもならぬ様子。かなり深く突き刺さっており、空いた穴に対して崩れ押さえつけようとする重量は相応の物ではあるのだから。
「信頼に応えるだけです。ええ、それだけの物を既にオユキ様は示してくださいました。」
「問題としては、実現の可能性ですが。」
「それこそ、あの子たちにも見せようと、聞かせようと考えたのであれば。」
「ええ。頼めば、あの子たちは間違いなく受けてくれます。ただ。」
次に向かう先は、月と安息と決めている。
そして、見習いとは言え巫女がいるのだ。ならば、頼めることが多くなると考えても問題は無い。試しで行う分には、負荷が少ないものであることが望ましい。
「流石に、聊かどころでは無く。」
「教会の内部の事であればとも思いますが。」
「受け取る側として、その作法であればとは思いますが。」
それについては、かつてあっているところを探す方が難しいなどと評されてもいた。勿論改善のために、あれこれと言われているのだろうが、それにしてもダンジョンで得た糧を、その中でも少々貴重な物に限られている事だろう。オユキが見逃されているのは、やはり位を頂く神が、その辺り頓着しないからであり、それを冠するにふさわしい事は他で示しているからに過ぎない。
「良い機会ではないか。シェリア、其の方にしても実際に想定が無ければ身が入らぬと。」
「伯父さま。」
「見誤っていた、ともまた違うのが難しいですね。」
本当であれば、オユキから話したいことは未だ残っている。何となれば、本題は伝えられていない。
しかし、魔物を一度討伐してしまえば追加で現れる事は無いとはいえ、やはり安全ではない場所。要らぬ耳も多い場の事ではある。シェリアとカナリアの手により、対応はされているようであるし、オユキとトモエの口元の動きを見たところで、こちらで暮らす人々とは言語体系が全く異なるため役には立つまい。
そうしたことが分かっていながらも、あまり時間を使う事を良しと出来ないし、重要な話をする気にもなれない場であることには違いない。
一先ずの事を終えれば、では早速とばかりに変異種の待つ扉を開けようという話になった。
「流石に、役不足ですね。」
「うむ。肩慣らしにもならぬ相手ではある。」
周囲にいたものたちが、如何なるやり取りがあったのかと気に欠けるそぶりは見せていたが、その視線や意識にはまったく答えずではと思えば、シェリアが護衛の一人から一声を掛けた上で武器を取り上げた。
そして、此処で、何やら過剰な熱が入っているなとトモエとオユキがようやく感じた。
他方、ローレンツにしても、護衛という立場を崩さなかったはずの人物が、何故自ら扉に手をかけているのかと。
「いや、すげーな。」
「ああ。」
「いっつもこの部屋よりだいぶ前で待っているように言われてるから、見たことなかったけど。」
そして、敵の姿を同行者の全てが目にしたのと事が起こったのと。果たしてどちらが早かったのか。
シェリアが存在しない裾を軽く持ち上げる様なそぶりで、オユキに礼を取った。ローレンツは、オユキの前で改めて剣を立てて、以前イマノルが儀礼的な意味が強いと語った構えを取った。背後には変異種、災害に数えられる事もある相手がいるというのに、然も当然だと、それだけの余裕があるのだと思えるほどに、常のようにそうした。
その直後、振り返ったと思ったときには、見覚えのない魔物、鋼で身体を構成されている中型種に数えられる人形が、手入れがされていないからだろう、くすんだ輝きを返す金と銀の人形が。このダンジョンに入った事で、初めて見る事になった木で出来た人形たちが。それも、この部屋には初めて見る人形もあったのだ。鋼人形と並んで、全く見劣りしないほどに古い年月を感じさせる独特の光沢を讃えた暗い色合いの木目。不細工な人型と言っても構わないだろう、腕と脚部が肥大した形状。二の腕までは、ただ巨人と呼んでも済むが、前腕は誇張した防具を身に着けているかのように二の腕よりも遥かに太く、鋭利な部分、肘にまで伸びる箇所もある。脚部もその肥大した重量を支える為だと言わんばかりに、実にたくましく、古来より変わらぬ彫像に比べてもより肉付けが施されていた。
そう、見るからに強そうな相手ではあった。
初見の魔物でもあった。
警戒が必要な敵であったはずなのだ。
「変異種との事ですから、オユキ様の望む四阿の素材にと考えれば、やり過ぎでしょうか。」
「この程度で砕けるようであれば、所詮はその程度。強度は考慮するほどでもないのであれば、後は加工を行って如何に優美にするかが焦点になるのではないか。」
振り向いた、そう思ったときには、魔物が揃って壁に叩きつけられていた。
そこで響いた轟音に、神の名迄持ち出して引いてはトモエの、手段としては己の代わりを任せる相手の安全を願った事で、しっかりと削られる物が削られているオユキがふらりと体を揺らすほどの、大音声がその場には響き渡った。
カナリアの護衛として、しっかりとついて来ていたイリアにしても、身体の構造によるものだろう。流石に顔を歪ませ、数度頭を振りながらもどうにかオユキを支えたトモエがいないイリアは、しっかりと地面に倒れ伏している。
少年達の方は、騎士の振る舞いに対する慣れがあったのか。嫌な予感がしたとばかりに耳をすぐさま抑えたため、難を逃れている。距離があったというのも幸いしたのか。それとも、似たような事を行ったであろうパウが側にいたからか。
「オユキ様、配慮を欠き申し訳ございませんでした。」
「ぬ。これは、我としたことが。叱責は後程。」
そして、簡単に互いが引き起こした惨状、完全に独立した空間であり、小動もしないはずのダンジョンという存在を、間違いなく単位としてトンなどというものが用いられるだろう重量級の相手、そんな相手であるはずなのにそれが当然とばかりに薙ぎ払い、何となればシェリアが取り上げた槍は今も鋼で出来た人形を壁に叩きつけると同時にそのまま壁に縫い留めている。では順番として、どういった事があったかと言われると、恐らく同行している騎士の一部だけが理解している事だろう。
「いえ、そこまでの事ではありませんから。」
トモエにしても、音に対する防御が間に合っていない。そんな相手から、シェリアがオユキを軽々と取り上げ、オユキが決めた事を喜んでいるトモエが、それを当然として預ける。これまでであれば、時には、相手によってはかなりの警戒をもってそれを行うのだが。つまりは、トモエもその程度はシェリアに対して気を許しているのだ。
これまで、何度もその機会はあった。トモエと入れ代わり立ち代わり、オユキの身だしなみを整えているのだから。そして、オユキが暗器を仕込む事にも協力的である。その辺り、どうにも共感を得やすい人間性を備えていることもある。その辺り、どういった情報の流れがあるのかと、オユキとしては興味があるのだが。
「その方ら、何を呆けて居る。事は終わった。ならば為すべきことなど一つしか無かろう。」
そして、動きのない周囲に対して、ローレンツの叱責が響けば、あまりにあまりな結果が引き起こされたことにどこか呆けていた者達が速やかに動き出す。呆けていたというのか、突如響き渡った轟音に、己の調整を行う事に終始していた者達もそれをきっかけに。
「いよいよ鍛えようの無い事とは思うのですが。」
「どういえば良いのでしょう。確かに鍛錬が浅いうちはそうなのですが。」
「うむ。聞かねばならぬ小さな音、それをかき消すための音。それらに幾度も相対しておれば、やはりそれに応じて得られるものがあるとしか。」
「近衛であるシェリア様が、何故、とはいよいよ不思議に思いますが。」
まぁ、そちらに関しては過去の異邦人が屋内戦における非致傷兵器の話を持ち込み、その価値が認められたという事もあるのだろうが。
「オユキさんは、先に戻りますか。」
「いえ、確かに少々音に当てられてはいますが、久しぶりの事でしたし、帰りはゆっくりと戻りましょうか。」
これで急ききって、体調を崩したオユキの姿がダンジョンから出てくることを見られれば、そこには要らぬ憶測を生むに違いなく、避けるべき事態ではある。オユキがというよりも、護衛を担当する者達がという意味で。実態はと言えば、過剰な戦力であるからこそ、被害が出たともいえるのだから。
「ダンジョンの中には、加護に対して上限がかかると、そのように纏まっていたのですが。」
「ふむ。確かに、体が重くはあったが。」
「そう言えば、そうですね。どうにも普段通りに動けないはずでしたが。」
これまで起きなかったのは、ファルコの言葉にある通り、明確な上限がダンジョンごとに設けられていたから。
だというのに、この結果は明らかに道理に合わぬと。
「その辺りは、オユキ様の手によるものでしょうか。」
「相応に負担を感じていますので、正直些細な事で頼まれるつもりはありませんが。」
ぐったりと、という程ではない。今は。身内から止めを刺されたために、隠せぬ状況にはなっているが。いつぞやと違い、まだ軽口をたたくだけの余裕はある。
事これに関しては、オユキが己も確かな負荷を得たのだという自覚が必要である事柄だ。だからこそ、容赦が無いという事もあるだろう。初めての事であり、加減が解らぬという事もあったのだろう。
「全く、我が身の事ながら、何度もこのような有様。」
理解をしての事ではある。他にある選択肢、オユキに対して直接暴として対峙するというトモエにとって悲劇と呼んでもいい事柄を回避するための事ではある。ただ、そこで晒されるのは、事こういう面に関してのオユキの能力不足。それに対して不甲斐無さを感じるだけの気概をオユキはやはり失ってはいない。
「いい加減に、方策を考えねば共、ええ、そう考えますとも。」
「では、オユキ様が回復された時にでも。」
「想像はあるのでしょう。時間もいる事ですから、改めて今夜にでも。」
周囲は、既に慌ただしく動き始めている。
差異さ断っての問題としては、シェリアが放り投げたらしいやりが、壁から抜けぬと奮闘している一団。形状から考えて、もとより突きを放つことが目的でもあるため根元が太く、引き抜くときにかかる労力が低い造りではあるはずなのだが、その程度の工夫ではどうにもならぬ様子。かなり深く突き刺さっており、空いた穴に対して崩れ押さえつけようとする重量は相応の物ではあるのだから。
「信頼に応えるだけです。ええ、それだけの物を既にオユキ様は示してくださいました。」
「問題としては、実現の可能性ですが。」
「それこそ、あの子たちにも見せようと、聞かせようと考えたのであれば。」
「ええ。頼めば、あの子たちは間違いなく受けてくれます。ただ。」
次に向かう先は、月と安息と決めている。
そして、見習いとは言え巫女がいるのだ。ならば、頼めることが多くなると考えても問題は無い。試しで行う分には、負荷が少ないものであることが望ましい。
「流石に、聊かどころでは無く。」
「教会の内部の事であればとも思いますが。」
「受け取る側として、その作法であればとは思いますが。」
それについては、かつてあっているところを探す方が難しいなどと評されてもいた。勿論改善のために、あれこれと言われているのだろうが、それにしてもダンジョンで得た糧を、その中でも少々貴重な物に限られている事だろう。オユキが見逃されているのは、やはり位を頂く神が、その辺り頓着しないからであり、それを冠するにふさわしい事は他で示しているからに過ぎない。
「良い機会ではないか。シェリア、其の方にしても実際に想定が無ければ身が入らぬと。」
「伯父さま。」
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