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19章 久しぶりの日々
鍛錬を終えれば
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ルイスとの立ち合いは、端的に言えばやはり遊ばれて終わったと、トモエは己に対してそれ以上の評価は出来ない。
流石に必殺を期した術理までは、見せるべき相手もいないため使っていないが、隙をついて仕掛けた極め技にしても正式な外し方を知りもしないだろうに、その通りに返された。剛能く柔を制す、まさにその言葉通りの結果をトモエはしっかりと見せつけられたことになる。
「相も変わらず、人相手だと勝負にならんわな。」
「こちらの技が尽く意味が無い、その現実をどう評するのがいいかと、それに尽きるのでしょう。」
それこそ、オユキがアベルに対して仕掛けた交差技、まだ優しいそれでもアベルに対して場が整っていれば十分な威力を発揮したというのに、いざ加護が存分に発揮される場で、より危険度の高い技を、練達のトモエが使ったところで意味が無い。
「どういえばいいのでしょう。打った感触として、人を打った、その感触は確かにあるのですが。」
このあたり、実に不思議な物で。
当身や極め技を仕掛けたとして、効果が無い。しかし、確かに馴染んだ感触として返ってくる。胴に向けて貫き手を放てば、確かに肉を抉る独特の感触が。極め技にしても、骨と腱を感じさせる抵抗、軋み、そうした物が確かに己の手を返して帰ってくるのだ。そして、慣れているからこそ、十分と考えた次の瞬間に、触れた場所から理外の力で押し返されるため、トモエとしても随分と懐かしく感じるほどに、心地よい疲労を覚える立ち合いとなる。
「楽しそうだよな、あんちゃん。魔物相手してる時よりも。」
「ね。」
顔なじみ以上、もはやそう呼んでも構わない相手に、そう評される程度にはトモエの振る舞いにも表れているという事だ。
「貴方達は、好意的に見ているけれど、オユキよりもトモエの方が大概よ。」
「そうなんですか。」
「手札を伏せて、負けてもいいなんて、そんな事早々割り切れる訳ないじゃない。」
「えっと、見てわかる物なんですか。」
「私相手にしたことを、ほとんどやってないわよ。」
さて、手ひどくあしらったアイリスが、何やら恨み節交じりに肩を並べて立木と横木を打っている相手に話しているが、確かにそういった側面はある。しかし、トモエにしてみれば、あくまで遊びであり、鍛錬でしかない。
「ま、あいつの言う事も一理あるか。」
「ルイスさんが、正式にと望まれれば。」
「それは無いな。流石に、弱者をなぶるような趣味は無い。お前もそうだろ。」
「よもや、己を評して弱者などと呼ばれるとは、夢にも思いませんでした。」
ただ、ルイスの言葉は何処までも核心をついたものだ。
オユキも、トモエも。この世界で長く研鑽を続けた、加護を頼んだだけだと、そこに本来あるものを無視し続けた手合いだと断じた相手から見たとしても、塵芥。人という種の中で、まぎれもない上位の上澄みである者達から見れば、シグルド達と比べて、まぁ、見どころはあるのではないか、確かに見知らぬ技術を修めているらしい。それ以上の評価が生まれる事は無い。それを如実に表しているのが、アベルという人間の振る舞いではあるだろう。
「加護が無いんだったか。まぁ、それなら大会で他に並ぶものがないってんなら、そうなんだろうな。」
「さて、説得力を求めるのなら、言外にそう聞こえるものです。ただ、そうですね。」
時間があれば、そちらを目指すのも良いだろうと、トモエも何とはなしにそうした誘惑を感じる事がある。この世界に確かに存在する、かつては無かった力。それを組み込んで作った理合いというのはさて、何処までを見る事が出来るのだおるかと。欲深いと己の事ながら考えるものだが、どちらの道も進めるための手助けは確かにある。
一度神の名の下に開かれ、得られる物も、あまりに明確な奇跡が得られると分かっているからこそ、加護をすべて封じた大会も今後続けられるだろう。差し当たってオユキが、今後その景品に預かっている家名がかからないようにと、今も腐心していたりもするが、何となれば代わりにとばかりにファンタズマ子爵家を置いても良い。継ぐ価値があるのかは、まぁ、正直トモエにしても首をかしげたくなるが。
「ええ。こう一握りの方から評される私に届かぬ方々は、是非己を省みていただきたいものです。」
アベルにしろ、ルイスにしろ。間違いなくこの国にいる者達の中で、人であり、理外の存在ではないという制限を欠ければ、上澄みからさらに選りすぐったような存在だ。
「ま、正直傭兵の中だと少しは慣れてきた連中じゃなきゃ勝てんだろうな。」
「とすれば、そこが私の斬撃を無力化できるかどうか、その線引きですか。」
武器の違いがあるにしても、加減が確かにあったにせよ、アイリスの祖霊が携えていた剣ですら欠けさせた。回避が必要だと、そう判断させたトモエの斬撃だというのに、アベルは確かに防いで見せた。あの場が試練として成り立っていたからこそ、それはオユキから既にトモエに語られているがだとすればと思うところも出てくるというものだ。
「実際の所、アイリスさんは。」
「傭兵になって一年もたってないからな。」
「よくもまぁ、他の国から。」
「聞こえているわよ。」
戦闘能力としては、確かに高い。加護を込みで考えれば、トモエもオユキも手足が出る相手ではない。未だにアイリスが全力で、与えられた加護をすべて余すことなく使っている状態で戦う姿というのを見た事が無い。金に輝く毛並みを顕して制限のない場で向き合った事は無い。そもそも、アイリスにしてもあくまで刀を使ってと意固地になっていることもあり、種族として祖から与えられた中で、間違いなく強力な札のいくつもを使っていないのだ。
「やりようはあるもの。とはいっても、長距離の移動は貴方達と同じよ。対象についてとかそんな感じね。日に一時間は寝ないと、流石に一月もすれば動けなくなるもの。」
「その辺りも、特徴はそちらからですか。」
「私たちからすれば、貴方達が寝過ぎよ。そんな無防備な時間を長くなんて、よくもまぁと、どうしても考えてしまうわよ。」
「アイリスさんにしても、きちんと同様の特徴は持っている以上、同じだけの不利は背負って欲しいものではあるのですが。」
実際には、それこそ解剖学などを専門とする相手に尋ねなければならないが、同じく二本足で歩き、頭部が大きいという事も変わらない。だというのに、きっちりと比較して有利となる部分は獣からというのは、はなはだ不条理に感じるものだ。
「その代わり成長の方向性は広いし、マテリアルに依っているから変調が少ないじゃない。」
「変調、ですか。」
「トモエも少しは混ざっているのだから、自覚はあるでしょう。肉を食べなければ、私だと、そうね三日すれば立ち上がれなくなるわよ。」
確かに、トモエにしても一日に一度も肉類を口にしなければ、だるさは覚える。要は、そちらの特質をより強く持つ者達はだるさどころでは済まないと、そう言う事であるらしい。
「流石に、試したものはいないけれど、一週間も持たないらしいわよ。」
「そう言う制限もあるからこそ、ですか。」
「それにしたって、俺らが物質よりだからってだけでも無いと思うが。」
「さぁ。一応そういった話を聞いているというだけよ、私にしても。実感はあるけれど、それ以上がというのなら、詳しい相手に聞くしか無いわよ。」
まぁ、そちらに関しては、トモエも俎上に上がれば己も疑問を覚えた事を口にする程度。今聞いたことにしても、明日にはもはや興味も薄れているような、そう言った事でしかない。こうして話、情報を集めているのは、後で話せばオユキが喜ぶからでもあるし、刃が役に立たぬ相手、そうした過去オユキから聞かされた相手が本当にいるのか、それを探っているだけだ。
「お前の考えてることはわかるが、それこそ加護があればどうにでもなるからな。」
「やはり、無理を通すには、そもそも道理を超えた力でとなりますか。」
全く、不服極まりない。
トモエ自身、己が追い求めたのは合理性の極致であり、過去に存在した誰もが縛られる法則に則った術理。だからこそ、それがどうした所で役に立たぬこの世界では軽視されるという事に、歯がゆさを感じる。
「そういや、あんちゃん川斬ったこととかないって言ってたけど、近場にできたし試さないのか。」
「いえ、流石に町の発展計画に組み込まれているでしょうから、あまり無体な真似は出来ませんし。」
「おい。」
過去には滝を割るとか、斬るだとか。そうしたことを試してみたいという欲求も、確かに。
「岩くらいなら、過去にも何度も試したのですが。」
「あんちゃんがどうしてもっていや、ねーちゃんも嫌とは言わない気がするけどな。」
「おい、シグルド。頼むからあまり無茶を勧めてくれるなよ。」
それこそ、うっかり武技などが発動してしまえば、川を切るという事も実現できそうなものだ。そして、その結果がどうなるのかは、まさに武技がどう働くのか、それが解らぬ以上はトモエも試したいなどとは言えない。
「やはり、手ごろな所で言えば、ダンジョンですか。いえ、その前に森で試せるわけですから。」
「頼むから、事前に何をするきかは説明してくれよ。」
「いえ、切り拓いても構わないという事ですから、少々派手にと言いますか、現状の己を試す意味を込めてと言いますか。」
確かに、反乱を起こした一団を纏めて撫で斬りにしたこともある。ただ、それにしても位置が悪く、周囲には木って良い相手ばかりではなかった。ある程度の加減というのは、少年たちに常々話しているように戦場に応じて求められるのだ。
「おー、あんちゃんの本気か。」
「それともまた違いますが。」
では、それを行ったとして本気で事に当たったかと言われれば、トモエとしてもまぁ首をかしげる事になる。
「花精は、嫌な顔をしそうね。」
「オユキさんが、アイリスさんの得た物を使うには、受け入れろとそう纏めるでしょう。」
そこについては、やはりトモエも信頼しているのだ。
「ああ。それと、これだけは約束しておいてください。」
「おう、どうした。」
「サキさんには、全てが終わるまで、何を行うのか話すことのないように。」
トモエから少年たちに対して、初めてだろう。武に関わること以外で、口外するなというのは。
流石に必殺を期した術理までは、見せるべき相手もいないため使っていないが、隙をついて仕掛けた極め技にしても正式な外し方を知りもしないだろうに、その通りに返された。剛能く柔を制す、まさにその言葉通りの結果をトモエはしっかりと見せつけられたことになる。
「相も変わらず、人相手だと勝負にならんわな。」
「こちらの技が尽く意味が無い、その現実をどう評するのがいいかと、それに尽きるのでしょう。」
それこそ、オユキがアベルに対して仕掛けた交差技、まだ優しいそれでもアベルに対して場が整っていれば十分な威力を発揮したというのに、いざ加護が存分に発揮される場で、より危険度の高い技を、練達のトモエが使ったところで意味が無い。
「どういえばいいのでしょう。打った感触として、人を打った、その感触は確かにあるのですが。」
このあたり、実に不思議な物で。
当身や極め技を仕掛けたとして、効果が無い。しかし、確かに馴染んだ感触として返ってくる。胴に向けて貫き手を放てば、確かに肉を抉る独特の感触が。極め技にしても、骨と腱を感じさせる抵抗、軋み、そうした物が確かに己の手を返して帰ってくるのだ。そして、慣れているからこそ、十分と考えた次の瞬間に、触れた場所から理外の力で押し返されるため、トモエとしても随分と懐かしく感じるほどに、心地よい疲労を覚える立ち合いとなる。
「楽しそうだよな、あんちゃん。魔物相手してる時よりも。」
「ね。」
顔なじみ以上、もはやそう呼んでも構わない相手に、そう評される程度にはトモエの振る舞いにも表れているという事だ。
「貴方達は、好意的に見ているけれど、オユキよりもトモエの方が大概よ。」
「そうなんですか。」
「手札を伏せて、負けてもいいなんて、そんな事早々割り切れる訳ないじゃない。」
「えっと、見てわかる物なんですか。」
「私相手にしたことを、ほとんどやってないわよ。」
さて、手ひどくあしらったアイリスが、何やら恨み節交じりに肩を並べて立木と横木を打っている相手に話しているが、確かにそういった側面はある。しかし、トモエにしてみれば、あくまで遊びであり、鍛錬でしかない。
「ま、あいつの言う事も一理あるか。」
「ルイスさんが、正式にと望まれれば。」
「それは無いな。流石に、弱者をなぶるような趣味は無い。お前もそうだろ。」
「よもや、己を評して弱者などと呼ばれるとは、夢にも思いませんでした。」
ただ、ルイスの言葉は何処までも核心をついたものだ。
オユキも、トモエも。この世界で長く研鑽を続けた、加護を頼んだだけだと、そこに本来あるものを無視し続けた手合いだと断じた相手から見たとしても、塵芥。人という種の中で、まぎれもない上位の上澄みである者達から見れば、シグルド達と比べて、まぁ、見どころはあるのではないか、確かに見知らぬ技術を修めているらしい。それ以上の評価が生まれる事は無い。それを如実に表しているのが、アベルという人間の振る舞いではあるだろう。
「加護が無いんだったか。まぁ、それなら大会で他に並ぶものがないってんなら、そうなんだろうな。」
「さて、説得力を求めるのなら、言外にそう聞こえるものです。ただ、そうですね。」
時間があれば、そちらを目指すのも良いだろうと、トモエも何とはなしにそうした誘惑を感じる事がある。この世界に確かに存在する、かつては無かった力。それを組み込んで作った理合いというのはさて、何処までを見る事が出来るのだおるかと。欲深いと己の事ながら考えるものだが、どちらの道も進めるための手助けは確かにある。
一度神の名の下に開かれ、得られる物も、あまりに明確な奇跡が得られると分かっているからこそ、加護をすべて封じた大会も今後続けられるだろう。差し当たってオユキが、今後その景品に預かっている家名がかからないようにと、今も腐心していたりもするが、何となれば代わりにとばかりにファンタズマ子爵家を置いても良い。継ぐ価値があるのかは、まぁ、正直トモエにしても首をかしげたくなるが。
「ええ。こう一握りの方から評される私に届かぬ方々は、是非己を省みていただきたいものです。」
アベルにしろ、ルイスにしろ。間違いなくこの国にいる者達の中で、人であり、理外の存在ではないという制限を欠ければ、上澄みからさらに選りすぐったような存在だ。
「ま、正直傭兵の中だと少しは慣れてきた連中じゃなきゃ勝てんだろうな。」
「とすれば、そこが私の斬撃を無力化できるかどうか、その線引きですか。」
武器の違いがあるにしても、加減が確かにあったにせよ、アイリスの祖霊が携えていた剣ですら欠けさせた。回避が必要だと、そう判断させたトモエの斬撃だというのに、アベルは確かに防いで見せた。あの場が試練として成り立っていたからこそ、それはオユキから既にトモエに語られているがだとすればと思うところも出てくるというものだ。
「実際の所、アイリスさんは。」
「傭兵になって一年もたってないからな。」
「よくもまぁ、他の国から。」
「聞こえているわよ。」
戦闘能力としては、確かに高い。加護を込みで考えれば、トモエもオユキも手足が出る相手ではない。未だにアイリスが全力で、与えられた加護をすべて余すことなく使っている状態で戦う姿というのを見た事が無い。金に輝く毛並みを顕して制限のない場で向き合った事は無い。そもそも、アイリスにしてもあくまで刀を使ってと意固地になっていることもあり、種族として祖から与えられた中で、間違いなく強力な札のいくつもを使っていないのだ。
「やりようはあるもの。とはいっても、長距離の移動は貴方達と同じよ。対象についてとかそんな感じね。日に一時間は寝ないと、流石に一月もすれば動けなくなるもの。」
「その辺りも、特徴はそちらからですか。」
「私たちからすれば、貴方達が寝過ぎよ。そんな無防備な時間を長くなんて、よくもまぁと、どうしても考えてしまうわよ。」
「アイリスさんにしても、きちんと同様の特徴は持っている以上、同じだけの不利は背負って欲しいものではあるのですが。」
実際には、それこそ解剖学などを専門とする相手に尋ねなければならないが、同じく二本足で歩き、頭部が大きいという事も変わらない。だというのに、きっちりと比較して有利となる部分は獣からというのは、はなはだ不条理に感じるものだ。
「その代わり成長の方向性は広いし、マテリアルに依っているから変調が少ないじゃない。」
「変調、ですか。」
「トモエも少しは混ざっているのだから、自覚はあるでしょう。肉を食べなければ、私だと、そうね三日すれば立ち上がれなくなるわよ。」
確かに、トモエにしても一日に一度も肉類を口にしなければ、だるさは覚える。要は、そちらの特質をより強く持つ者達はだるさどころでは済まないと、そう言う事であるらしい。
「流石に、試したものはいないけれど、一週間も持たないらしいわよ。」
「そう言う制限もあるからこそ、ですか。」
「それにしたって、俺らが物質よりだからってだけでも無いと思うが。」
「さぁ。一応そういった話を聞いているというだけよ、私にしても。実感はあるけれど、それ以上がというのなら、詳しい相手に聞くしか無いわよ。」
まぁ、そちらに関しては、トモエも俎上に上がれば己も疑問を覚えた事を口にする程度。今聞いたことにしても、明日にはもはや興味も薄れているような、そう言った事でしかない。こうして話、情報を集めているのは、後で話せばオユキが喜ぶからでもあるし、刃が役に立たぬ相手、そうした過去オユキから聞かされた相手が本当にいるのか、それを探っているだけだ。
「お前の考えてることはわかるが、それこそ加護があればどうにでもなるからな。」
「やはり、無理を通すには、そもそも道理を超えた力でとなりますか。」
全く、不服極まりない。
トモエ自身、己が追い求めたのは合理性の極致であり、過去に存在した誰もが縛られる法則に則った術理。だからこそ、それがどうした所で役に立たぬこの世界では軽視されるという事に、歯がゆさを感じる。
「そういや、あんちゃん川斬ったこととかないって言ってたけど、近場にできたし試さないのか。」
「いえ、流石に町の発展計画に組み込まれているでしょうから、あまり無体な真似は出来ませんし。」
「おい。」
過去には滝を割るとか、斬るだとか。そうしたことを試してみたいという欲求も、確かに。
「岩くらいなら、過去にも何度も試したのですが。」
「あんちゃんがどうしてもっていや、ねーちゃんも嫌とは言わない気がするけどな。」
「おい、シグルド。頼むからあまり無茶を勧めてくれるなよ。」
それこそ、うっかり武技などが発動してしまえば、川を切るという事も実現できそうなものだ。そして、その結果がどうなるのかは、まさに武技がどう働くのか、それが解らぬ以上はトモエも試したいなどとは言えない。
「やはり、手ごろな所で言えば、ダンジョンですか。いえ、その前に森で試せるわけですから。」
「頼むから、事前に何をするきかは説明してくれよ。」
「いえ、切り拓いても構わないという事ですから、少々派手にと言いますか、現状の己を試す意味を込めてと言いますか。」
確かに、反乱を起こした一団を纏めて撫で斬りにしたこともある。ただ、それにしても位置が悪く、周囲には木って良い相手ばかりではなかった。ある程度の加減というのは、少年たちに常々話しているように戦場に応じて求められるのだ。
「おー、あんちゃんの本気か。」
「それともまた違いますが。」
では、それを行ったとして本気で事に当たったかと言われれば、トモエとしてもまぁ首をかしげる事になる。
「花精は、嫌な顔をしそうね。」
「オユキさんが、アイリスさんの得た物を使うには、受け入れろとそう纏めるでしょう。」
そこについては、やはりトモエも信頼しているのだ。
「ああ。それと、これだけは約束しておいてください。」
「おう、どうした。」
「サキさんには、全てが終わるまで、何を行うのか話すことのないように。」
トモエから少年たちに対して、初めてだろう。武に関わること以外で、口外するなというのは。
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