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19章 久しぶりの日々
朝食の場では確認を
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狩猟者ギルドで現状確認を終えた後は、早々に屋敷に取って返してその日は休むこととした。
別れ際だからという訳でもないが、始まりの町で羽を休める間にいくらかの協力は打診されたがもとよりオユキとトモエが作った流れでもあるため否やは無い。休日であることは優先する、それは宣言したうえでオユキは特に調べたいこと、始めた大掛かりな事柄もあるためそれを中心に。トモエにしても、連れ回すのはよほどの事が無ければと前置きをした上で。
「ゲラルド様、後程メイ様宛の手紙を預けます。」
「畏まりました。」
「機能の狩猟者ギルドで出た話をまとめた物、それから今後の予定をいくらか。後は、お誘いをお願いするといった物です。」
「成程。最期の者はリース伯子女も気がせいておりますからな。」
オユキの方で招いても良いのだが、生憎とそれも今はままならない。
家宰を頼んでいる相手だからこそ、そう言った内情も誰より詳しい為どうにも苦笑いが隠せていない。
「それから、シェリア様。材料は私どもで用意しますので。」
「畏まりました。木工ギルド、石工ギルドで斡旋を依頼しておきます。」
「私としては四阿は木造という印象があるのですが。」
オユキの頭の中には、そのような完成系しかない。石造りも悪くはないし、屋敷との調和も考えればと食事の手を止めて思わず考え込んでしまう。
「その辺り、慣れた方に相談するのも良いのではないかと。木造とはいえ、四阿だけでなく庭園もと考えれば。」
「それも、そうですか。いっそ全体を整える事を頼むのも。」
ただ、そうなると今後の屋敷の増築といった見通しもあるため、さてどうした物かと。
「オユキ様に考えがあるのでしたら、職人たちを交えて一度話されるのが良いかと。」
元より食事量に不安を抱えるオユキ、それが手を止めればやはり気にするものも多い。自身の思考に没頭する癖については、トモエが悪癖と言い切ることもありこれまでの経験から周囲もよく理解している。早々に別の手立てを、他に任せた方がいいのだと婉曲に伝えてそこから引き戻す。
「それもそうですね。庭園の一角として作るつもりはありますし、完成すればメイ様をお呼びしようとも思いますから。」
「成程、成程。そちらも併せてリース伯子女には伝えておきます。」
「付き合いは、大事にしますよ。」
さて、ゲラルドが何やらそうした考えがあって何よりと、そのように頷いている姿にオユキとしても言いたいこともある。
「ではオユキ様、その場でどういった話題を出すおつもりで。」
「ええ、それは勿論。」
勿論、次に控えている事。それ以外に主題となるべきものなどない。
「あまり時間はありませんでしたが、他国を見る機会もありました。持ち帰った物のいくらかもありますので。」
ただ、トモエが僅かに目を細めた事もあり、直ぐに軌道修正を行う。
「では、カレンにもそのように伝えておきましょう。」
「カレンさんも忙しくさせていますから、少し間をおいていただくのが良いでしょう。」
「畏まりました。調整はリース伯子女と私で。」
さて、オユキとしても口にしてしまった以上は、それに向けた用意もしなければならない。後程カレンを呼んで、魔国で買い込んだであろう品の中から、メイに渡すものを選んだりとそう言った事をしなければならないだろう。トモエに普段であれば任せる事ではあるのだが、どうにも今度ばかりはそれも出来そうにない。要は前にトモエに言われた事、内向きの付き合いというものにもう少し目を向ける機会を持てと、そう言った事でもあるのだろう。
「オユキさんは、衣装を皆で揃えるために時間を使わなくてはいけませんし。」
「それこそカリンさんとヴィルヘルミナさんに頼んでと考えていましたが。」
「その、主導はオユキ様に。」
シェリアからもやんわりと釘を刺される。最もそれは口調だけ。
「布は、確か相応にため込んでいたはずですし、まぁ、まずはそこから選びましょうか。来歴として薄手の物としなければいけませんし。」
さて、都合の良いものがあったかと、オユキとしては全く興味を持っていなかった事でもあるためどうにも何があったかもまともに出て気はしないが。
「オユキさん、風綿、あったでしょう。」
「ああ。そう言えば。」
メイと縁を得た切欠、それは衣装の作成であったのだ。そして、そこで用意されていた生地見本の中で、唯一オユキが興味を示したものが、生前に着慣れていたものに質感の近いそれであった。確か水で透けるほどの生地であるとそのような特徴も近しいものであったため、確かに都合が良いものと考えても良いのだが。
「産地が遠いと、そのような話もあったかと。」
その折に、そう言えばそういった事ばもあったとオユキが口にすれば、ゲラルドが少し慌てる。
「オユキ様、予定されている祭りは、それほど余裕が。」
「いえ、時期を考えれば豊饒祭の前後でしょうか。」
豊穣という言葉には、まぁ、含まれるものが多い。
「であれば、公爵様を頼ることもできますので。」
「確かに、そうですね。生憎と衣装の詳細は私の物とメイ様の物では、大きく異なるでしょうが。そちらは後でカリンさんと話しましょうか。」
「舞であるなら、確かに優美なお二方はオユキ様の助けになるでしょうが。」
異邦人だから相談しやすいのだろう。そうした理解をゲラルドが見せながらも、メイの屋敷を使うのなら、そちらに対しても配慮を見せて欲しい。そういった不満を伝えて来る。
「ゲラルド様。」
そして、それは混同しているのではないかとシェリアが僅かに気配を鋭くするのを、オユキが手を上げて止める。どうにも前提に差があるようだからと。
「その、私に舞を期待されても無理です。神前での行いでとなれば、流石に今からとしても期間に不足があります。」
「しかし、オユキ様は前提とされているようですが。」
「ええ。舞にも種類はあります。ゲラルド様と言いますか、皆さまが想像されている物とは異なる形で。」
カリンとオユキが同じ舞台で舞うとして、それがどのような舞台かなど決まっている。黒鉄が躍り、研がれた刃が煌めくそういった物でしかない。生憎と食卓に武器を持ち込む趣味は無い為、分かりやすい装備が無いからとただただそうした意志を乗せればゲラルドは圧され、シェリアは意を得たとばかりに頷いている。
「さぞ優美な舞台となるのでしょうね。」
「オユキさんはどうでしょうか。カリンさんに比べると、少々不足が。」
「トモエさんから少々と言われるのであれば、自身も少しは持てますか。」
相手はその生涯を賭したのだ。如何に先に環境に慣れているという経験があるとはいえ、及ぶようなものでは無い。実際に試合として、立ち合いとしての事であればまだどうにでもできるというのは事実だが、今回の舞台に掛けられる制限を思えば、やはりカリンの後塵を拝することになるのが当然でもある。
「はい。やはり持て余していますから、カリンさんも。」
「お互いに、過去の経験があるのだからとも考えてしまいますが。」
「経験があるからこそ、なのでしょうね。」
ゲラルドを置き去りに進む話に、そこにある流れに彼の理解も得られる。勿論、納得は別だが。
「くれぐれも。」
「ええ。」
要はメイをその舞台にあげるような真似はしてくれるなと、そう釘を刺されるだけだ。
「ただ、当日は私も不安が。」
「トモエ様から、ですか。」
オユキとしては、何か他に懸念があるかとトモエに改めて視線を向けもするが。
「付き物として、葡萄酒は避けられませんから。」
そして、告げられた言葉に改めて思い至る。
「口に含んでしまえば、ええと、私は流石に。」
「そうですね。その場では大丈夫でも、動けば周りも早くなりますから。」
「オユキ様は、この旅の間に。」
「流石にあの日程で酒類を積んで移動したりはしませんから。」
そして寄った先でも次に控えている移動があるからと、基本的に酒宴の類は無かった。それこそ、魔国の王都で時間を使う事があれば招かれもしたのだろうが、今度は早々に帰るという姿勢を崩さなかったのだ。加えて、一仕事を終えれば、主賓は意識不明の重体。誘おうにも術などない。トモエはどうにか帰還まで意識を保っていたという話ではあるが、教会と橋を立てた二日後には早々にという話でもあったのだ。そのような物を受ける時間など当然ない。
「結局その辺りの話は聞きませんでしたが、魔国からは王妃様以外には。」
そういえば、起きてからこちらという訳でもなく国交にまで口を挟む気はないからと気にしていなかったが、さて、どういった相手がこちらに来たのかとオユキが気にすれば、それについては間違いなく受け入れを行ったであろうメイの側についていた相手から。
「王妃様と、数人の貴族だけですな。生憎と、簡単な紹介も時間を取る事が出来ず。」
「その時には陛下も居られたわけですから、そうなるでしょう。」
要地の管理者ではあるし、代官でもある。しかし所詮は代理の管理者。それよりも遥かに高位の者が顔を付き合わせている場面では、流石に出る幕など無いというものだ。何となれば、オユキに情報を与えぬようにと、功労者への配慮を任せるとして厄介払いに近い形をとるような相手でもある。それに対してオユキもトモエも特段不満を覚える訳でもない。寧ろ望んでいる事でもあるし、それを出来るだけの相手でもある。
「さて、あの厄介な方が同行していないとなると、いよいよフォンタナ公爵はその席を追われますか。」
「それは、私もまだ聞いていない話ですな。」
「詳細は、そうですね、マリーア公爵に諮った上でとなるでしょう。」
事これについては、アルゼオ公爵に対して補填を求めなければならない話でもある。如何に先代マリーア公爵の縁者とはいえ、今ここでゲラルドに話すような事でもない。
「オユキさん。」
「ええ。今暫くは休みを主体に。ただ、この機会だからこ改めてあちこちを見て回るつもりもありますから。」
先の休みとは違い、今度の休みはオユキにも多少の余裕がある。勿論、次に控え得る月と安息、そちらに向かうためにあれこれと負担はある事に違いは無いと考えているのだが。
「次に定めているのが、ええ、安息を名に持つのですから。」
そうであるなら休日、安息日を奪うような真似はしないだろうと。
別れ際だからという訳でもないが、始まりの町で羽を休める間にいくらかの協力は打診されたがもとよりオユキとトモエが作った流れでもあるため否やは無い。休日であることは優先する、それは宣言したうえでオユキは特に調べたいこと、始めた大掛かりな事柄もあるためそれを中心に。トモエにしても、連れ回すのはよほどの事が無ければと前置きをした上で。
「ゲラルド様、後程メイ様宛の手紙を預けます。」
「畏まりました。」
「機能の狩猟者ギルドで出た話をまとめた物、それから今後の予定をいくらか。後は、お誘いをお願いするといった物です。」
「成程。最期の者はリース伯子女も気がせいておりますからな。」
オユキの方で招いても良いのだが、生憎とそれも今はままならない。
家宰を頼んでいる相手だからこそ、そう言った内情も誰より詳しい為どうにも苦笑いが隠せていない。
「それから、シェリア様。材料は私どもで用意しますので。」
「畏まりました。木工ギルド、石工ギルドで斡旋を依頼しておきます。」
「私としては四阿は木造という印象があるのですが。」
オユキの頭の中には、そのような完成系しかない。石造りも悪くはないし、屋敷との調和も考えればと食事の手を止めて思わず考え込んでしまう。
「その辺り、慣れた方に相談するのも良いのではないかと。木造とはいえ、四阿だけでなく庭園もと考えれば。」
「それも、そうですか。いっそ全体を整える事を頼むのも。」
ただ、そうなると今後の屋敷の増築といった見通しもあるため、さてどうした物かと。
「オユキ様に考えがあるのでしたら、職人たちを交えて一度話されるのが良いかと。」
元より食事量に不安を抱えるオユキ、それが手を止めればやはり気にするものも多い。自身の思考に没頭する癖については、トモエが悪癖と言い切ることもありこれまでの経験から周囲もよく理解している。早々に別の手立てを、他に任せた方がいいのだと婉曲に伝えてそこから引き戻す。
「それもそうですね。庭園の一角として作るつもりはありますし、完成すればメイ様をお呼びしようとも思いますから。」
「成程、成程。そちらも併せてリース伯子女には伝えておきます。」
「付き合いは、大事にしますよ。」
さて、ゲラルドが何やらそうした考えがあって何よりと、そのように頷いている姿にオユキとしても言いたいこともある。
「ではオユキ様、その場でどういった話題を出すおつもりで。」
「ええ、それは勿論。」
勿論、次に控えている事。それ以外に主題となるべきものなどない。
「あまり時間はありませんでしたが、他国を見る機会もありました。持ち帰った物のいくらかもありますので。」
ただ、トモエが僅かに目を細めた事もあり、直ぐに軌道修正を行う。
「では、カレンにもそのように伝えておきましょう。」
「カレンさんも忙しくさせていますから、少し間をおいていただくのが良いでしょう。」
「畏まりました。調整はリース伯子女と私で。」
さて、オユキとしても口にしてしまった以上は、それに向けた用意もしなければならない。後程カレンを呼んで、魔国で買い込んだであろう品の中から、メイに渡すものを選んだりとそう言った事をしなければならないだろう。トモエに普段であれば任せる事ではあるのだが、どうにも今度ばかりはそれも出来そうにない。要は前にトモエに言われた事、内向きの付き合いというものにもう少し目を向ける機会を持てと、そう言った事でもあるのだろう。
「オユキさんは、衣装を皆で揃えるために時間を使わなくてはいけませんし。」
「それこそカリンさんとヴィルヘルミナさんに頼んでと考えていましたが。」
「その、主導はオユキ様に。」
シェリアからもやんわりと釘を刺される。最もそれは口調だけ。
「布は、確か相応にため込んでいたはずですし、まぁ、まずはそこから選びましょうか。来歴として薄手の物としなければいけませんし。」
さて、都合の良いものがあったかと、オユキとしては全く興味を持っていなかった事でもあるためどうにも何があったかもまともに出て気はしないが。
「オユキさん、風綿、あったでしょう。」
「ああ。そう言えば。」
メイと縁を得た切欠、それは衣装の作成であったのだ。そして、そこで用意されていた生地見本の中で、唯一オユキが興味を示したものが、生前に着慣れていたものに質感の近いそれであった。確か水で透けるほどの生地であるとそのような特徴も近しいものであったため、確かに都合が良いものと考えても良いのだが。
「産地が遠いと、そのような話もあったかと。」
その折に、そう言えばそういった事ばもあったとオユキが口にすれば、ゲラルドが少し慌てる。
「オユキ様、予定されている祭りは、それほど余裕が。」
「いえ、時期を考えれば豊饒祭の前後でしょうか。」
豊穣という言葉には、まぁ、含まれるものが多い。
「であれば、公爵様を頼ることもできますので。」
「確かに、そうですね。生憎と衣装の詳細は私の物とメイ様の物では、大きく異なるでしょうが。そちらは後でカリンさんと話しましょうか。」
「舞であるなら、確かに優美なお二方はオユキ様の助けになるでしょうが。」
異邦人だから相談しやすいのだろう。そうした理解をゲラルドが見せながらも、メイの屋敷を使うのなら、そちらに対しても配慮を見せて欲しい。そういった不満を伝えて来る。
「ゲラルド様。」
そして、それは混同しているのではないかとシェリアが僅かに気配を鋭くするのを、オユキが手を上げて止める。どうにも前提に差があるようだからと。
「その、私に舞を期待されても無理です。神前での行いでとなれば、流石に今からとしても期間に不足があります。」
「しかし、オユキ様は前提とされているようですが。」
「ええ。舞にも種類はあります。ゲラルド様と言いますか、皆さまが想像されている物とは異なる形で。」
カリンとオユキが同じ舞台で舞うとして、それがどのような舞台かなど決まっている。黒鉄が躍り、研がれた刃が煌めくそういった物でしかない。生憎と食卓に武器を持ち込む趣味は無い為、分かりやすい装備が無いからとただただそうした意志を乗せればゲラルドは圧され、シェリアは意を得たとばかりに頷いている。
「さぞ優美な舞台となるのでしょうね。」
「オユキさんはどうでしょうか。カリンさんに比べると、少々不足が。」
「トモエさんから少々と言われるのであれば、自身も少しは持てますか。」
相手はその生涯を賭したのだ。如何に先に環境に慣れているという経験があるとはいえ、及ぶようなものでは無い。実際に試合として、立ち合いとしての事であればまだどうにでもできるというのは事実だが、今回の舞台に掛けられる制限を思えば、やはりカリンの後塵を拝することになるのが当然でもある。
「はい。やはり持て余していますから、カリンさんも。」
「お互いに、過去の経験があるのだからとも考えてしまいますが。」
「経験があるからこそ、なのでしょうね。」
ゲラルドを置き去りに進む話に、そこにある流れに彼の理解も得られる。勿論、納得は別だが。
「くれぐれも。」
「ええ。」
要はメイをその舞台にあげるような真似はしてくれるなと、そう釘を刺されるだけだ。
「ただ、当日は私も不安が。」
「トモエ様から、ですか。」
オユキとしては、何か他に懸念があるかとトモエに改めて視線を向けもするが。
「付き物として、葡萄酒は避けられませんから。」
そして、告げられた言葉に改めて思い至る。
「口に含んでしまえば、ええと、私は流石に。」
「そうですね。その場では大丈夫でも、動けば周りも早くなりますから。」
「オユキ様は、この旅の間に。」
「流石にあの日程で酒類を積んで移動したりはしませんから。」
そして寄った先でも次に控えている移動があるからと、基本的に酒宴の類は無かった。それこそ、魔国の王都で時間を使う事があれば招かれもしたのだろうが、今度は早々に帰るという姿勢を崩さなかったのだ。加えて、一仕事を終えれば、主賓は意識不明の重体。誘おうにも術などない。トモエはどうにか帰還まで意識を保っていたという話ではあるが、教会と橋を立てた二日後には早々にという話でもあったのだ。そのような物を受ける時間など当然ない。
「結局その辺りの話は聞きませんでしたが、魔国からは王妃様以外には。」
そういえば、起きてからこちらという訳でもなく国交にまで口を挟む気はないからと気にしていなかったが、さて、どういった相手がこちらに来たのかとオユキが気にすれば、それについては間違いなく受け入れを行ったであろうメイの側についていた相手から。
「王妃様と、数人の貴族だけですな。生憎と、簡単な紹介も時間を取る事が出来ず。」
「その時には陛下も居られたわけですから、そうなるでしょう。」
要地の管理者ではあるし、代官でもある。しかし所詮は代理の管理者。それよりも遥かに高位の者が顔を付き合わせている場面では、流石に出る幕など無いというものだ。何となれば、オユキに情報を与えぬようにと、功労者への配慮を任せるとして厄介払いに近い形をとるような相手でもある。それに対してオユキもトモエも特段不満を覚える訳でもない。寧ろ望んでいる事でもあるし、それを出来るだけの相手でもある。
「さて、あの厄介な方が同行していないとなると、いよいよフォンタナ公爵はその席を追われますか。」
「それは、私もまだ聞いていない話ですな。」
「詳細は、そうですね、マリーア公爵に諮った上でとなるでしょう。」
事これについては、アルゼオ公爵に対して補填を求めなければならない話でもある。如何に先代マリーア公爵の縁者とはいえ、今ここでゲラルドに話すような事でもない。
「オユキさん。」
「ええ。今暫くは休みを主体に。ただ、この機会だからこ改めてあちこちを見て回るつもりもありますから。」
先の休みとは違い、今度の休みはオユキにも多少の余裕がある。勿論、次に控え得る月と安息、そちらに向かうためにあれこれと負担はある事に違いは無いと考えているのだが。
「次に定めているのが、ええ、安息を名に持つのですから。」
そうであるなら休日、安息日を奪うような真似はしないだろうと。
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