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18章 魔国の下見
馬車に揺られて
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「成程。そのような話をしたわけですか。」
トモエからの助言。それは結論付けてしまえば、オユキの信頼を勝ち取るには時間を使え、とにかくそれに尽きる。オユキが言葉を省略し、相手の動きを見た上で己もとする。そういった振る舞いが何に由来しているのかと言われれば、過去の仕事による習い性だ。互いに常の業務があり、生活があり、時間が限られている。そこで物事を円滑に進めるためには、やはり省略できるものはそうせざるを得ない。そして、こちらの世界でオユキと時間をしっかりとれるものが誰かと言えば、これまでは少年達程度しかいなかった、それだけだ。
「まぁ、それについちゃ、俺も反省しているな、正直。」
「いえ、対外的に信頼を得ている以上、アベルさんには護衛の統括という職務が回るのは仕方ない事ですから。」
そして、アベルがどうしてオユキ達とこの度の間時間が垂れないのかと言えば、彼に与えられた職責があまりにも多忙を極めたからというものがある。護衛の全体を、馬車の外が職場になっているものと、守られる対象であり、輸送する荷物でもあるオユキ達とは、基本的に生活圏が違う。そして、安全が確保できる、魔物がいない場所という意味でしかない、町に移動した所で、今度はここまでの道中の報告を纏め明日からの移動に備えと、それはもう愉快な仕事量だと慣れない身でも直ぐに分かる。
「ま、それはそうだ。だが、まぁ、出来る事もあったとな。」
「オユキさん。」
「その、信頼していないわけではありません。しかし、アベルさんは未だに。」
トモエから見て、線を引いたようにアベルに対して話すオユキに。しかし、オユキとしてもそれには言い分がある。それをぼかして口にすれば、今度はアベルも頭を抱える。
「俺の希望はあるんだがなぁ。」
アベルほどの背景を抱えた物の希望が全て即座に通るのなら、オユキやトモエがこうして厄介毎を抱え込んでなどいはしない。
「ま、祭りまでは、俺ものんびりしたいとは考えちゃいるが。」
「神国の陛下は、流石に一度戻られているでしょうし。」
「どう、だろうな。案外色々と試すのを口実に、そんな気もしちゃいるんだよなぁ。」
「それならば、そのように。寧ろ話が早いというものです。魔国の王妃様は、一緒にとそう考えておられるようですから。」
離宮の一つでしかないが、同じ王城内で、それも生活の場に近い所で生活をしていれば、外の様子が少し伺える場所にいる事が出来れば、そこにある明らかに常の事と思えない忙しなさというものがそこにはあった。大荷物を運んでいると、実にわかりやすい作業風景。入れ替えという訳でもない。まさか、他国とつながる門まで置かれた国からさらに遷都などという事もない。では、それらの荷物を何処に運ぶつもりかと言われれば、まぁ、決まっている。
「というか、流石に大荷物過ぎると思うがね。確か、ミズキリの話だと、積み荷の量でも変わるんだろ。」
「華と恋の神より頂いたものもあります。その功績を本来与えられるべき相手が、王太子妃様である以上、王太子妃様が望んだ品くらいは問題なく、そのようには思いますが。」
まぁ、試しも含めて、そう言う事なのだろうとオユキからは言うしかない。魔石が潤沢ではない。試行回数を重ねるだけの土壌が、神国と違って育っていない。ならば、まぁ機会は逃すまいと考えるのは、実にわかりやすい。
「で、今度は流石に少しは時間を置く気はあるんだよな。」
「トモエさんも豊饒祭が楽しみでしょうし、はい。ただ、どうしましょうか。」
そう言えば、その辺りまだ確認していなかったとオユキは軽く寝返りを打って、改めて視線をトモエに向ける。後数時間もすれば、目的地である魔国における河沿いの拠点、そこに到着するだろう。生憎と、こちらには十分な人がいる訳でも、威を示す必要ながある相手が多くいる訳でもない。魔国の国王その人も同行しているため、簡単に何かあるだろうが、簡略化された物になる。要は、そこまでの間、しっかりと休めばオユキの体力も持つだろうと、例によって馬車に乗せられた寝台の上にオユキは転がされている。
互いに口にはしていないが、これまで時間を取れなかった理由の一つとして、オユキの現状というのもあるのだ。流石に寝台に横になっているオユキ、それと話をしたいとアベルが望んだところで、まぁ易々と許す相手ばかりという訳でもない。現に、アベルはナザレアとニーナが開ける事は許さぬとばかりに構えている薄布一枚向こう。散々に揺れている馬車の本体に座り込んで話をしている。
「領都と、王都。どちらも楽しそうではありますね。」
「その辺りは、それこそ招待状も来ているだろうからな。マリーア公爵と諮ってくれとしか言えんな、俺からは。」
「アイリスさんの予定は。」
「本人が言うには、魔国は別だが、神国における社は始まりの町に置かれた物が起点になるらしい。」
「だとすれば、アイリスさんは始まりの町ですか。そうですね、久しぶりにあの子たちも見なければなりませんし、移動が続いて私たちもなまっています。しっかりと体を動かすついでにため込んで、アイリスさんに係わりのある方を、王都からお誘いしましょうか。」
「アルノーはアイリスが残してくれと言いそうなもんだが。」
ただ、そればかりはどうなるとも分かる物ではない。
そして、ゆるゆるとそんな事を話していれば、馬車の速度も落ちて来る。数日の距離と言われてはいたが、それはいよいよこれまでに使う事が出来た道具、それに合わせた物。てっきり魔道具としての馬車なのだから、こちらでは更なる工夫があったのではないかと考えていたものだが、やはり魔石の不足、それによるものがあったらしい。既に十分な機能を持っている、そう判断された物の改良は後に回され、それよりも人々の生活を豊かに、便利に。そういった方向に腐心していたものらしい。実際には、待つ一日程度の距離。今回は余裕をもって、前日に一度休んで、昼前に到着するようにとしたため、二日を使っている。
「結局、自分で見て回れはしませんでしたが。」
「ああ、それか。一応カレンがサキとアルノーを連れて、魔国からの礼品の相談に出向いてたが。」
「はい。一応、このような、そう言った要望は伝えていますが、まずはこの馬車に入るだけ。冷蔵用の物を除いてですが。」
そして、これが終われば、いよいよオユキ達は神国に戻る。ファルコ達については、先代アルゼオ公爵が己の係累を使って行った成果、そこで得た知己の内幾人かとは良好な関係が始まっている。そして、そちらについてはオユキから神国でもそういった向きがあり、始まっている、魔国からもどうかと誘いの手紙は出している。恐らく、互いに互いの暮らした地を見て、そう言ったらしい交流は始まる事だろう。
では、そろそろオユキさんの用意もありますから。
アベルはいよいよそう言われて馬車からさっさと降りろと促される。トモエにしても、着替えがいる。如何に広がったとはいえそれぞれに一室という程ではないため、まずはオユキ、それからトモエ。
「ああ。そうだな。頼むから、今度は何もなければいいのだがな。」
「いよいよ架橋だけでしょう。と、言いますか。」
下手をすれば、最も悪い形の予想として、オユキは次に意識を取り戻せば始まりの町に用意されている屋敷、そこでの事になるのではないのか、そう言った予想もある。
「そう言えば、こちらにいる方は。」
「本人が望めばと言った所でしょうか。アマギさんと今後についての相談もあるでしょうから、同行を望まれれば、そのように。」
だからこそ、今後の予定として早々に戻ると決め、信頼のできぬフォンタナ公爵の手が届かないところへ身を一度移した。そして、元々そうした多忙というのも体調不良の予定というのもおかしな話だが、それがあるため向後の事については、既に方針を決めて伝えている。
「ま、そのあたりは任せておけ。必要な事は一応終わっちゃいる。後はまぁ、他の連中の仕事だからな。」
「ええ。顔見世と、派手な事は済んでいますから。勿論今後また何かあるでしょうが。」
「橋に関しては、数度試したうえで改めて公表だろうからな、河沿いの町は暫く出入りが統制される。」
「今頃、教会まではどうにか覆われている頃でしょうか。」
「いや、橋の位置というか、橋の周囲にそれなりの場所を作らなければいけないとかでな。」
計画して橋を架ける訳ではなく、かけられた橋に合わせなければいけないため、どうにも決まっていない事があるという事であるらしい。それは、魔国側も同様。同じ馬車ではないが、既にこちらにしても神職たちから手を願って、今回の道行きに同行してもらっている。こちらにも、新たな教会を置かなければならないのだから。
「ああ、そういや聞いておきたいことがあってな。」
布越しでも分かるであろう視線の圧に押されてアベルが速度が落ちているとはいえ、未だに動いている馬車から当たり前のように降りようとする中、ふとそんな事を口にする。
「マリーア公には随分と早くから気を許していたようだが。」
「早く、と言われるとまた難しいですし、確信を得たのは、それこそ相応に時がたってからですが。」
狩猟者ギルドも疑った。とはいっても、それはこちらに置ける異邦人、その存在がどのようにとられているのか、そこに起因するものでしかなかった。離れた場所への移動の際、情報の引継ぎが行われている事、些細な相談にも、それこそ少々の問題でも対応してくれるらしいこと、後は都合よく守るべき者達を連れ回して、それに対する対応を見る事が出来た事。最初はそう言ったところから。要は、始まりの町、そこで狩猟者たちを束ねる相手への信頼から始まっている。恐らく、その人物が話しを伝えただろうと。
「初代マリーア公爵は、信頼していますから。」
「ま、流石にそれにも気が付くか。」
国に属する組織、その長。それが何ら相応しい階級を持たないかと言われれば、当然そんなはずもないだろう。ブルーノの語った言葉、それから他にいくつか。想像をするには十分な物があった。
「どうやら、その理念は正しく継がれているようでしたから。」
町で暮らす者達に安息を。そう声を枯らすほどに声を上げ続けた人物。その願いが安息を冠する相手から許されるだけの確かを。
トモエからの助言。それは結論付けてしまえば、オユキの信頼を勝ち取るには時間を使え、とにかくそれに尽きる。オユキが言葉を省略し、相手の動きを見た上で己もとする。そういった振る舞いが何に由来しているのかと言われれば、過去の仕事による習い性だ。互いに常の業務があり、生活があり、時間が限られている。そこで物事を円滑に進めるためには、やはり省略できるものはそうせざるを得ない。そして、こちらの世界でオユキと時間をしっかりとれるものが誰かと言えば、これまでは少年達程度しかいなかった、それだけだ。
「まぁ、それについちゃ、俺も反省しているな、正直。」
「いえ、対外的に信頼を得ている以上、アベルさんには護衛の統括という職務が回るのは仕方ない事ですから。」
そして、アベルがどうしてオユキ達とこの度の間時間が垂れないのかと言えば、彼に与えられた職責があまりにも多忙を極めたからというものがある。護衛の全体を、馬車の外が職場になっているものと、守られる対象であり、輸送する荷物でもあるオユキ達とは、基本的に生活圏が違う。そして、安全が確保できる、魔物がいない場所という意味でしかない、町に移動した所で、今度はここまでの道中の報告を纏め明日からの移動に備えと、それはもう愉快な仕事量だと慣れない身でも直ぐに分かる。
「ま、それはそうだ。だが、まぁ、出来る事もあったとな。」
「オユキさん。」
「その、信頼していないわけではありません。しかし、アベルさんは未だに。」
トモエから見て、線を引いたようにアベルに対して話すオユキに。しかし、オユキとしてもそれには言い分がある。それをぼかして口にすれば、今度はアベルも頭を抱える。
「俺の希望はあるんだがなぁ。」
アベルほどの背景を抱えた物の希望が全て即座に通るのなら、オユキやトモエがこうして厄介毎を抱え込んでなどいはしない。
「ま、祭りまでは、俺ものんびりしたいとは考えちゃいるが。」
「神国の陛下は、流石に一度戻られているでしょうし。」
「どう、だろうな。案外色々と試すのを口実に、そんな気もしちゃいるんだよなぁ。」
「それならば、そのように。寧ろ話が早いというものです。魔国の王妃様は、一緒にとそう考えておられるようですから。」
離宮の一つでしかないが、同じ王城内で、それも生活の場に近い所で生活をしていれば、外の様子が少し伺える場所にいる事が出来れば、そこにある明らかに常の事と思えない忙しなさというものがそこにはあった。大荷物を運んでいると、実にわかりやすい作業風景。入れ替えという訳でもない。まさか、他国とつながる門まで置かれた国からさらに遷都などという事もない。では、それらの荷物を何処に運ぶつもりかと言われれば、まぁ、決まっている。
「というか、流石に大荷物過ぎると思うがね。確か、ミズキリの話だと、積み荷の量でも変わるんだろ。」
「華と恋の神より頂いたものもあります。その功績を本来与えられるべき相手が、王太子妃様である以上、王太子妃様が望んだ品くらいは問題なく、そのようには思いますが。」
まぁ、試しも含めて、そう言う事なのだろうとオユキからは言うしかない。魔石が潤沢ではない。試行回数を重ねるだけの土壌が、神国と違って育っていない。ならば、まぁ機会は逃すまいと考えるのは、実にわかりやすい。
「で、今度は流石に少しは時間を置く気はあるんだよな。」
「トモエさんも豊饒祭が楽しみでしょうし、はい。ただ、どうしましょうか。」
そう言えば、その辺りまだ確認していなかったとオユキは軽く寝返りを打って、改めて視線をトモエに向ける。後数時間もすれば、目的地である魔国における河沿いの拠点、そこに到着するだろう。生憎と、こちらには十分な人がいる訳でも、威を示す必要ながある相手が多くいる訳でもない。魔国の国王その人も同行しているため、簡単に何かあるだろうが、簡略化された物になる。要は、そこまでの間、しっかりと休めばオユキの体力も持つだろうと、例によって馬車に乗せられた寝台の上にオユキは転がされている。
互いに口にはしていないが、これまで時間を取れなかった理由の一つとして、オユキの現状というのもあるのだ。流石に寝台に横になっているオユキ、それと話をしたいとアベルが望んだところで、まぁ易々と許す相手ばかりという訳でもない。現に、アベルはナザレアとニーナが開ける事は許さぬとばかりに構えている薄布一枚向こう。散々に揺れている馬車の本体に座り込んで話をしている。
「領都と、王都。どちらも楽しそうではありますね。」
「その辺りは、それこそ招待状も来ているだろうからな。マリーア公爵と諮ってくれとしか言えんな、俺からは。」
「アイリスさんの予定は。」
「本人が言うには、魔国は別だが、神国における社は始まりの町に置かれた物が起点になるらしい。」
「だとすれば、アイリスさんは始まりの町ですか。そうですね、久しぶりにあの子たちも見なければなりませんし、移動が続いて私たちもなまっています。しっかりと体を動かすついでにため込んで、アイリスさんに係わりのある方を、王都からお誘いしましょうか。」
「アルノーはアイリスが残してくれと言いそうなもんだが。」
ただ、そればかりはどうなるとも分かる物ではない。
そして、ゆるゆるとそんな事を話していれば、馬車の速度も落ちて来る。数日の距離と言われてはいたが、それはいよいよこれまでに使う事が出来た道具、それに合わせた物。てっきり魔道具としての馬車なのだから、こちらでは更なる工夫があったのではないかと考えていたものだが、やはり魔石の不足、それによるものがあったらしい。既に十分な機能を持っている、そう判断された物の改良は後に回され、それよりも人々の生活を豊かに、便利に。そういった方向に腐心していたものらしい。実際には、待つ一日程度の距離。今回は余裕をもって、前日に一度休んで、昼前に到着するようにとしたため、二日を使っている。
「結局、自分で見て回れはしませんでしたが。」
「ああ、それか。一応カレンがサキとアルノーを連れて、魔国からの礼品の相談に出向いてたが。」
「はい。一応、このような、そう言った要望は伝えていますが、まずはこの馬車に入るだけ。冷蔵用の物を除いてですが。」
そして、これが終われば、いよいよオユキ達は神国に戻る。ファルコ達については、先代アルゼオ公爵が己の係累を使って行った成果、そこで得た知己の内幾人かとは良好な関係が始まっている。そして、そちらについてはオユキから神国でもそういった向きがあり、始まっている、魔国からもどうかと誘いの手紙は出している。恐らく、互いに互いの暮らした地を見て、そう言ったらしい交流は始まる事だろう。
では、そろそろオユキさんの用意もありますから。
アベルはいよいよそう言われて馬車からさっさと降りろと促される。トモエにしても、着替えがいる。如何に広がったとはいえそれぞれに一室という程ではないため、まずはオユキ、それからトモエ。
「ああ。そうだな。頼むから、今度は何もなければいいのだがな。」
「いよいよ架橋だけでしょう。と、言いますか。」
下手をすれば、最も悪い形の予想として、オユキは次に意識を取り戻せば始まりの町に用意されている屋敷、そこでの事になるのではないのか、そう言った予想もある。
「そう言えば、こちらにいる方は。」
「本人が望めばと言った所でしょうか。アマギさんと今後についての相談もあるでしょうから、同行を望まれれば、そのように。」
だからこそ、今後の予定として早々に戻ると決め、信頼のできぬフォンタナ公爵の手が届かないところへ身を一度移した。そして、元々そうした多忙というのも体調不良の予定というのもおかしな話だが、それがあるため向後の事については、既に方針を決めて伝えている。
「ま、そのあたりは任せておけ。必要な事は一応終わっちゃいる。後はまぁ、他の連中の仕事だからな。」
「ええ。顔見世と、派手な事は済んでいますから。勿論今後また何かあるでしょうが。」
「橋に関しては、数度試したうえで改めて公表だろうからな、河沿いの町は暫く出入りが統制される。」
「今頃、教会まではどうにか覆われている頃でしょうか。」
「いや、橋の位置というか、橋の周囲にそれなりの場所を作らなければいけないとかでな。」
計画して橋を架ける訳ではなく、かけられた橋に合わせなければいけないため、どうにも決まっていない事があるという事であるらしい。それは、魔国側も同様。同じ馬車ではないが、既にこちらにしても神職たちから手を願って、今回の道行きに同行してもらっている。こちらにも、新たな教会を置かなければならないのだから。
「ああ、そういや聞いておきたいことがあってな。」
布越しでも分かるであろう視線の圧に押されてアベルが速度が落ちているとはいえ、未だに動いている馬車から当たり前のように降りようとする中、ふとそんな事を口にする。
「マリーア公には随分と早くから気を許していたようだが。」
「早く、と言われるとまた難しいですし、確信を得たのは、それこそ相応に時がたってからですが。」
狩猟者ギルドも疑った。とはいっても、それはこちらに置ける異邦人、その存在がどのようにとられているのか、そこに起因するものでしかなかった。離れた場所への移動の際、情報の引継ぎが行われている事、些細な相談にも、それこそ少々の問題でも対応してくれるらしいこと、後は都合よく守るべき者達を連れ回して、それに対する対応を見る事が出来た事。最初はそう言ったところから。要は、始まりの町、そこで狩猟者たちを束ねる相手への信頼から始まっている。恐らく、その人物が話しを伝えただろうと。
「初代マリーア公爵は、信頼していますから。」
「ま、流石にそれにも気が付くか。」
国に属する組織、その長。それが何ら相応しい階級を持たないかと言われれば、当然そんなはずもないだろう。ブルーノの語った言葉、それから他にいくつか。想像をするには十分な物があった。
「どうやら、その理念は正しく継がれているようでしたから。」
町で暮らす者達に安息を。そう声を枯らすほどに声を上げ続けた人物。その願いが安息を冠する相手から許されるだけの確かを。
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