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17章 次なる旅は
それも一つの旅の形
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「その、ニーナ様は。」
「どうぞ、ニーナとトモエ卿。」
体感できる揺れは確かに無いが、馬車がどの程度揺れているのかについては、視線を動かせばすぐに分かる。拡張されていない空間はどうした所で振動が起こっている物だ。そして、揺れぬ場に続いてそのようなところがあれば、見れば嫌でも分かる。視覚から来る疲労を避けようと、カーテンというには非常に厚手ではあるが、布をかけているのはそれが理由だ。ただ、なんだかんだと広い馬車の中、移動があればそれが開けられ、いやでも目に入るのだが。
「では、ニーナさんと。」
魔道具というのは便利なもので、ガスも水道も無いというのに、こうして今はナザレアが用意したお茶に口を付けながら暢気に話に興じている。シェリアからの申し送りとして、側にいる為にはこうした時間を過ごさねばならなぬと、共有されているからというのが、大きな理由なのだろうが。
「身の証も立てられたわけですし。」
「であればこそ、一連のお礼にと言われれば。おそばにという気持ちがある事は、やはり否定はできませんが。」
見の証を立てるためにと、そうした人物に対してトモエから。
「こうして、お借りできることはやはり嬉しいのですが。」
「今度ばかりは、信頼があるからこそ。それは理解していますので。王太子妃様のお生まれになった国、そちらとの関係を任せるとまで言われれば、そこにある信頼というのは、疑うべくもありません。」
「無理が、無ければよいのですが。やはり申し訳なさばかりは。」
オユキが我儘に振舞う事を良しとしているとはいえ、それに関することで不利益を得る事までトモエは許容するわけでもない。だからこそ、今後の町で暮らす人々がどうなるのか、それについてオユキに質す。配慮はあるのかと。いよいよ武器を手に、手に持っていなく意図も対峙するそぶりを見せれば、勿論そこに容赦ないが、そうでないうちは。
「申し訳なさという意味であれば、私どもの方こそ、ですね。」
最初、二人は固辞する構えを見せた物だが、今となっては四人そろって一つの机に座ってとなっている。始まりの町の屋敷に比べれば、過去の世界の家に比べてもというものではあるが、その程度の人数が座っても問題が無い机というのは運び込まれている。何となれば、先代アルゼオ公爵夫妻が利用できる程度にはというものだ。近衛だけでなく、そちらにも難色を示されたこととして、寝台が目に入るというものがあるが、そればかりは空間の都合としか言いようもない。
「王太子妃様付きの近衛一同、確かな感謝を。私にしても、今回の任を得るにあたり、同僚たちから強く言われていますから。」
彼女たち自身ではどうにもならぬ事、それを力技で解決した相手に対して感謝を持っている。だからこそ、全員という訳にもいかず、送り出すのが一人だけだと決まれば、近衛一同、その言葉がこのニーナに。
「その、間違いなく色々と手間を頂く事にはなりますが。」
「前任者からも、簡単には聞いていますが。」
「ニーナ。それにしてもあなたではなく、私がそちらは行います。」
ナザレアが、あまりにはっきりとそれを言い切る。役割分担という事であろう。アイリスから、ナザレア、優美な曲線を持つ大きく長い角、この特徴を持つ種族の簡単な性質は聞いている。
「アベルさんとの兼ね合いも考えた上で、という事でしょう。ニーナさんは。」
「家名の知識は無いと伺っていますが。」
「簡単な単語であれば、理解は及びますから。」
アベルの食の嗜好、随分とアルノーと食事や家庭料理、果たして公爵家の子息が口にするものが家庭料理と言えるのかはさておき、そこで話が盛り上がっていたこともある。何となれば、客人として扱っていたため、要望に応えようとアルノーが用意したかつての南仏の料理を散々に口にし楽しんだこともある。その辺りは、いちいち口にせずに。プチ、クレール、その言葉の由来を考えれば実にわかりやすい。
「小さな光。大きな光は、どちらに。」
「はい。私の両親は確かに戦と武、それを冠する国でユニエス公爵家に取り立てていただきました。」
「成程。屋内を確かに明るくする強すぎない明り、そう言った由来ですか。」
「元々は、こちらで。」
「ええ、そうでしょうとも。」
王兄が他国に己を移すにあたって、ある程度の人員を連れて行った。その中で、流石にオユキとトモエでは想像するのも難しいが、まったく知らぬ他国へと向かってでもとした者達、それに対してという事であろう。事実、まだ年若いと読んでも問題が無く、忠義に篤い人物としての教育が行き届いていると簡単に分かるニーナをこうして送り出しているのだ。
「ただ、そうなると。」
「いえ、アベル様については、十分な人がいますから。」
「そう言えば、王都であれば準備があるとそのような話でしたか。」
どうした所で体調をしっかりと崩しているオユキではなく、トモエが主体となって進める会話、そこにオユキもようやく言葉を挟む。
昨晩は、話の向きとしてオユキが行わなければならないものばかりであった。しかし、近衛、身の回りという意味では、やはりトモエが主体となる。
オユキ自身、前夜の話し合い、その場では気を張っていたが、どうした所で王都の新年祭、そこで追加された催しでしっかりと削られたものがある。当初の予定では、やはり柱の数は少なく考えていた。木々と狩猟については、祭りの場を整える為、忙しいからまず無いだろうと考えていたこともある。しかし、蓋を開けてみればというものだ。
事前に言われていた、トモエが気が付いていたことについても特に何があるわけでもない、それに疑念を持っていたものだが。人と神、これまで遠かったそれが近くなる機会がある。そして、そう言った行為を良しとする異邦から訪れ巫女としての資質を持つものがいる。得難い機会であるからと、これ幸いと。そこに、過度な負担をかけている、その理解は間違いなくある。だからこそ、最も近しい神が遊ぶ時間を用意すると、早々に公言している。実際の在り方ではなく、枠組みとしての部分で近しい相手からは、これまで許可できないとされていたことを許すと。それにしても、思惑というのはそれぞれにあるものだろうが、こうして相応に長い旅、閉塞的な環境に長くいなければいけない状況、それに対する配慮の要因としてきちんと働いている。それこそ、恐らくはという前置きをオユキがしたものだが、トモエの憂慮、それに対する配慮というのも間違いなくされるだろうと。
今回の国王の宣言、生憎とオユキは早々に退場したため、祭りの終わりが近づいたときにされた物は聞いていない。トモエにしても調理の忙しさに疲れたため、その場を辞してから聞いた、広く民衆に向けられた宣言。これまでは門を超えられなかった者達にしても、今一度、方々を巡ってというのはやはり許可できないが、居を移すことを認めるという宣言。壁の内にいたトモエですら聞くとの叶った、その宣言は、間違いなくこの国土全体に向けられた事であろう。だからこそ、トモエがそれを許したくない支配者と、逃れたいも達の間でと不安を覚えて。
「そう言えば、結局互いに忙しく。」
何となれば王都についてから、カレンともまともに話をする時間が取れていなかったこともある。オユキにしろトモエにしろ。為すべきことにある程度追われていたという事もあるが、カレンにしても同様に。互いに、たまの休日程度は確かにあったものだが、それが揃う事などまず無かった。
「アベル様からは、目録を預かってはいますね。」
王都でこなした、あれこれの仕事。加えてマリーア公爵が選別をするにしても、実際に断りの文言というのは、オユキが用意しなければならない。定型文であろうとも。そして、その多くはカレンが、ファンタズマ子爵家に正式に所属している家宰であるカレンが届ける必要が生まれてしまう。そういった雑役を任せられる相手にしても、現状いないのだから。
始まりの町では、代官を経由、メイを使う事で省略できた手間、それにしてもゲラルドの存在があってこそだが、王都ではそれも出来ない。過剰にならない範囲に、公爵の方で下位の者には配慮を求めただろうが、それでも限界はある。そう言った諸々が積み重なって、今はカナリアとメリルが使う馬車、そちらでカレンも療養中だ。カナリアは、色々と話が纏まり切る時間は無かったのだが、結局はオユキとトモエと同じくマリーア公爵の麾下として。また、オユキから新たな魔術を預けられた物として国使の中に組み込まれている。荷物の撤去に時間がかかった、それが魔術ギルドから籍を抜くという行為に時間をかける要因になった、更には、王都までの移動が前倒しになった結果として、未だ国に属する身分を持っているからと。だからこそ、先代アルゼオ公爵に預けた新たな魔術、その恩恵を大いに使えているという事もある。
「それは、私が確認させて頂いても。」
「ナザレアさんは、どうでしょうか。」
内向きの事、その職務を言われているナザレアからの言葉に、オユキは首をかしげる。
「始まりの町、そこに戻る時にはご同行いただくと思いますが。」
「ニーナは隣国迄。私は、少なくとも翌年までは。」
「そこまで、不安視されていますか。」
オユキが思わずと、そう零せば、ナザレアからはため息とともに。
「今となっては、正式に登録もされましたので。まったく、シェリアはともかくタルヤは何をしていたのか。」
そのタルヤという人物については、どちらかと言えば近衛というよりも、長く王家に使えた者として、目の代わりにとそう置かれていたに過ぎない。そちらが仕事の大部分であり、他に手が空いたときに、シェリアの監督と、護衛を行ってというものだ。何かある、その予測に対して対応できるであろう戦力としてという事もあったのだろうが。
「そう言えば、タルヤ様は。」
「お客様を迎えるまで、王都の安全を。」
「単独でそれが叶うというのは、聞くにつけても凄まじいものですね。」
揺れの無い馬車の籠の中。外ではそれこそ立ちはだかる魔物を蹴散らして、そういった事もあるのだろう。しかし、何処までも窓もない内部は、室内と違いなどない。今後、それこそ魔国につくまでの間。こうして身の回りを任せる予定がある者達と、会話を重ねて、また気の休まる時間を増やしていくことだろう。仲がいい、そればかりではなく中を深めるために、それも旅の目的の一つではある。
「どうぞ、ニーナとトモエ卿。」
体感できる揺れは確かに無いが、馬車がどの程度揺れているのかについては、視線を動かせばすぐに分かる。拡張されていない空間はどうした所で振動が起こっている物だ。そして、揺れぬ場に続いてそのようなところがあれば、見れば嫌でも分かる。視覚から来る疲労を避けようと、カーテンというには非常に厚手ではあるが、布をかけているのはそれが理由だ。ただ、なんだかんだと広い馬車の中、移動があればそれが開けられ、いやでも目に入るのだが。
「では、ニーナさんと。」
魔道具というのは便利なもので、ガスも水道も無いというのに、こうして今はナザレアが用意したお茶に口を付けながら暢気に話に興じている。シェリアからの申し送りとして、側にいる為にはこうした時間を過ごさねばならなぬと、共有されているからというのが、大きな理由なのだろうが。
「身の証も立てられたわけですし。」
「であればこそ、一連のお礼にと言われれば。おそばにという気持ちがある事は、やはり否定はできませんが。」
見の証を立てるためにと、そうした人物に対してトモエから。
「こうして、お借りできることはやはり嬉しいのですが。」
「今度ばかりは、信頼があるからこそ。それは理解していますので。王太子妃様のお生まれになった国、そちらとの関係を任せるとまで言われれば、そこにある信頼というのは、疑うべくもありません。」
「無理が、無ければよいのですが。やはり申し訳なさばかりは。」
オユキが我儘に振舞う事を良しとしているとはいえ、それに関することで不利益を得る事までトモエは許容するわけでもない。だからこそ、今後の町で暮らす人々がどうなるのか、それについてオユキに質す。配慮はあるのかと。いよいよ武器を手に、手に持っていなく意図も対峙するそぶりを見せれば、勿論そこに容赦ないが、そうでないうちは。
「申し訳なさという意味であれば、私どもの方こそ、ですね。」
最初、二人は固辞する構えを見せた物だが、今となっては四人そろって一つの机に座ってとなっている。始まりの町の屋敷に比べれば、過去の世界の家に比べてもというものではあるが、その程度の人数が座っても問題が無い机というのは運び込まれている。何となれば、先代アルゼオ公爵夫妻が利用できる程度にはというものだ。近衛だけでなく、そちらにも難色を示されたこととして、寝台が目に入るというものがあるが、そればかりは空間の都合としか言いようもない。
「王太子妃様付きの近衛一同、確かな感謝を。私にしても、今回の任を得るにあたり、同僚たちから強く言われていますから。」
彼女たち自身ではどうにもならぬ事、それを力技で解決した相手に対して感謝を持っている。だからこそ、全員という訳にもいかず、送り出すのが一人だけだと決まれば、近衛一同、その言葉がこのニーナに。
「その、間違いなく色々と手間を頂く事にはなりますが。」
「前任者からも、簡単には聞いていますが。」
「ニーナ。それにしてもあなたではなく、私がそちらは行います。」
ナザレアが、あまりにはっきりとそれを言い切る。役割分担という事であろう。アイリスから、ナザレア、優美な曲線を持つ大きく長い角、この特徴を持つ種族の簡単な性質は聞いている。
「アベルさんとの兼ね合いも考えた上で、という事でしょう。ニーナさんは。」
「家名の知識は無いと伺っていますが。」
「簡単な単語であれば、理解は及びますから。」
アベルの食の嗜好、随分とアルノーと食事や家庭料理、果たして公爵家の子息が口にするものが家庭料理と言えるのかはさておき、そこで話が盛り上がっていたこともある。何となれば、客人として扱っていたため、要望に応えようとアルノーが用意したかつての南仏の料理を散々に口にし楽しんだこともある。その辺りは、いちいち口にせずに。プチ、クレール、その言葉の由来を考えれば実にわかりやすい。
「小さな光。大きな光は、どちらに。」
「はい。私の両親は確かに戦と武、それを冠する国でユニエス公爵家に取り立てていただきました。」
「成程。屋内を確かに明るくする強すぎない明り、そう言った由来ですか。」
「元々は、こちらで。」
「ええ、そうでしょうとも。」
王兄が他国に己を移すにあたって、ある程度の人員を連れて行った。その中で、流石にオユキとトモエでは想像するのも難しいが、まったく知らぬ他国へと向かってでもとした者達、それに対してという事であろう。事実、まだ年若いと読んでも問題が無く、忠義に篤い人物としての教育が行き届いていると簡単に分かるニーナをこうして送り出しているのだ。
「ただ、そうなると。」
「いえ、アベル様については、十分な人がいますから。」
「そう言えば、王都であれば準備があるとそのような話でしたか。」
どうした所で体調をしっかりと崩しているオユキではなく、トモエが主体となって進める会話、そこにオユキもようやく言葉を挟む。
昨晩は、話の向きとしてオユキが行わなければならないものばかりであった。しかし、近衛、身の回りという意味では、やはりトモエが主体となる。
オユキ自身、前夜の話し合い、その場では気を張っていたが、どうした所で王都の新年祭、そこで追加された催しでしっかりと削られたものがある。当初の予定では、やはり柱の数は少なく考えていた。木々と狩猟については、祭りの場を整える為、忙しいからまず無いだろうと考えていたこともある。しかし、蓋を開けてみればというものだ。
事前に言われていた、トモエが気が付いていたことについても特に何があるわけでもない、それに疑念を持っていたものだが。人と神、これまで遠かったそれが近くなる機会がある。そして、そう言った行為を良しとする異邦から訪れ巫女としての資質を持つものがいる。得難い機会であるからと、これ幸いと。そこに、過度な負担をかけている、その理解は間違いなくある。だからこそ、最も近しい神が遊ぶ時間を用意すると、早々に公言している。実際の在り方ではなく、枠組みとしての部分で近しい相手からは、これまで許可できないとされていたことを許すと。それにしても、思惑というのはそれぞれにあるものだろうが、こうして相応に長い旅、閉塞的な環境に長くいなければいけない状況、それに対する配慮の要因としてきちんと働いている。それこそ、恐らくはという前置きをオユキがしたものだが、トモエの憂慮、それに対する配慮というのも間違いなくされるだろうと。
今回の国王の宣言、生憎とオユキは早々に退場したため、祭りの終わりが近づいたときにされた物は聞いていない。トモエにしても調理の忙しさに疲れたため、その場を辞してから聞いた、広く民衆に向けられた宣言。これまでは門を超えられなかった者達にしても、今一度、方々を巡ってというのはやはり許可できないが、居を移すことを認めるという宣言。壁の内にいたトモエですら聞くとの叶った、その宣言は、間違いなくこの国土全体に向けられた事であろう。だからこそ、トモエがそれを許したくない支配者と、逃れたいも達の間でと不安を覚えて。
「そう言えば、結局互いに忙しく。」
何となれば王都についてから、カレンともまともに話をする時間が取れていなかったこともある。オユキにしろトモエにしろ。為すべきことにある程度追われていたという事もあるが、カレンにしても同様に。互いに、たまの休日程度は確かにあったものだが、それが揃う事などまず無かった。
「アベル様からは、目録を預かってはいますね。」
王都でこなした、あれこれの仕事。加えてマリーア公爵が選別をするにしても、実際に断りの文言というのは、オユキが用意しなければならない。定型文であろうとも。そして、その多くはカレンが、ファンタズマ子爵家に正式に所属している家宰であるカレンが届ける必要が生まれてしまう。そういった雑役を任せられる相手にしても、現状いないのだから。
始まりの町では、代官を経由、メイを使う事で省略できた手間、それにしてもゲラルドの存在があってこそだが、王都ではそれも出来ない。過剰にならない範囲に、公爵の方で下位の者には配慮を求めただろうが、それでも限界はある。そう言った諸々が積み重なって、今はカナリアとメリルが使う馬車、そちらでカレンも療養中だ。カナリアは、色々と話が纏まり切る時間は無かったのだが、結局はオユキとトモエと同じくマリーア公爵の麾下として。また、オユキから新たな魔術を預けられた物として国使の中に組み込まれている。荷物の撤去に時間がかかった、それが魔術ギルドから籍を抜くという行為に時間をかける要因になった、更には、王都までの移動が前倒しになった結果として、未だ国に属する身分を持っているからと。だからこそ、先代アルゼオ公爵に預けた新たな魔術、その恩恵を大いに使えているという事もある。
「それは、私が確認させて頂いても。」
「ナザレアさんは、どうでしょうか。」
内向きの事、その職務を言われているナザレアからの言葉に、オユキは首をかしげる。
「始まりの町、そこに戻る時にはご同行いただくと思いますが。」
「ニーナは隣国迄。私は、少なくとも翌年までは。」
「そこまで、不安視されていますか。」
オユキが思わずと、そう零せば、ナザレアからはため息とともに。
「今となっては、正式に登録もされましたので。まったく、シェリアはともかくタルヤは何をしていたのか。」
そのタルヤという人物については、どちらかと言えば近衛というよりも、長く王家に使えた者として、目の代わりにとそう置かれていたに過ぎない。そちらが仕事の大部分であり、他に手が空いたときに、シェリアの監督と、護衛を行ってというものだ。何かある、その予測に対して対応できるであろう戦力としてという事もあったのだろうが。
「そう言えば、タルヤ様は。」
「お客様を迎えるまで、王都の安全を。」
「単独でそれが叶うというのは、聞くにつけても凄まじいものですね。」
揺れの無い馬車の籠の中。外ではそれこそ立ちはだかる魔物を蹴散らして、そういった事もあるのだろう。しかし、何処までも窓もない内部は、室内と違いなどない。今後、それこそ魔国につくまでの間。こうして身の回りを任せる予定がある者達と、会話を重ねて、また気の休まる時間を増やしていくことだろう。仲がいい、そればかりではなく中を深めるために、それも旅の目的の一つではある。
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