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17章 次なる旅は
急がない移動
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「先方の準備も考えれば、まぁ、そうですか。」
アルゼオ公爵が、王都に入る前に一度あれこれと整える為の宿場町。当初の予定では、利用する予定が無かったそこに一度とまり、今は食卓を共にしている。
旅の道連れはなんだかんだと数が多いのだが、今は選ばれた人員だけ。要は、アベルと先代アルゼオ公爵、そこにオユキとトモエといった顔ぶれだけとなっている。他の者達は、生憎と別の部屋どころでは無く別の屋敷で一夜を過ごし、また明日からの移動に備えている事だろう。どうにか簡単なあいさつ程度は行えるようになってきただけのサキについては、アベルの監督下ではあるものの。苦手な風貌というものがあり、結局オユキ達が引き取る流れが生まれている。馴染んだ少年たちも今は居らず、ファルコに預けようにも、彼の補佐をすることに慣れた少女二人がいないため、やはり色々と難しい。ではなぜ始まりの町に送り返さないのかと言えば、先のオユキの決定が響いている。
護衛の統括として、優先順位を徹底させることが出来なかった。その引責として与えられた職務でもあるため、投げ出すことは出来ない。今は、サキにしてもヴィルヘルミナの世話の手伝いなどをしている事だろう。あの憐れな少女は、このゲームの世界で、そこから現実に飛び出した歌姫の存在を知らなかった。ゲームの名前にしても。つまり、終わって暫くしてから、そのような相手であるらしい。
「分かっておられるようですな。」
「その辺りは、まぁ、そうですね。」
そして、のんびりと食事をとりながら、こうして予定を聞けばオユキとしても色々と勘繰る事が有る。
「マリーア公爵とも話がついているのでしょう。勿論、私どもは今お伺いした日程、それを記録したうえで己の行った業務、それぞれの場所で頼まれた事なども併せて報告するわけですから。」
そして、それに対しては、交渉が終わっているのかと。
「マリーア公爵からは、最終的にトモエ卿が頷けば、そうとだけ。」
「であれば、構いませんとも。」
ゆっくりとした移動というのは、まぁ危険地帯で休まらないという意味では、確かに短く有って欲しいとも思うが、そうでは無く、基本的に細かく町から町への移動を行い、そこできちんと休んで移動をするというのは喜ばしい事でもある。そもそも、本来のオユキの目的には沿っている。
「今後も、魔国との関係は抱える物ですし、ええ、変わらぬお付き合いを。」
「本当に、見た目に騙されそうになりますな。」
「そういった意図はないのですが、まぁ、利用は考えますとも。」
見た目と中身。その差ばかりはいよいよどうにもならない。
何となればそれに応じた物を、改めてとする事も出来たのだが、オユキからはかつて使っていたものをそのまま。トモエからは、色々と思いを込めた姿としてと。
「ただ、今後も変わらずと、そうするでしょう。」
アルゼオ公爵。既にさ以前から身を引いた相手か、現在家督を持つものか。どちらの考えかは分からない。しかし、マリーア公爵の麾下として叶わなかった事、それを良く調べているらしい。そして、珍しく何をねだったかについても。オユキとしては、管理をするものはかくあるべしと、そう評価は高くなるのだが、だからと言ってということもある。叶えられなかった事、その中でも分かりやすいものはどうした所で、生活の場の外に求める物でしかない。それを叶えるという事は、配慮をするという事は、今後また折に触れて訪れる。その選択肢に上がるだけだという事でもある。
「ええ。そうでしょうとも。」
「他の事については、何も私たちに示さずとも間違いはないと思いますが。」
「そちらは、魔国での事もありますからな。」
「先代アルゼオ公は、乗り気と考えても。」
「何、ビクトルとお呼び頂いて構いませんとも。」
そして、他の一点。
オユキとミズキリの意見としては一致を見ている事。たとえ、領地をレジス侯爵に渡すとして、明確な国境とするべき場所、魔国との最前線となる場所については、トモエの意見も受けて特区として別に管理者を設けるほうが良いだろうと、そう話しを纏めた。そして、この一帯の管理者でもあるマリーア公爵の説得も既に終わっている。
では、その場を誰に任せるの亜kと言えば、いよいよ人の手が足りない王家ではない。
「その、相応に忙しいですよ。」
「余生を費やすには、実に良い物でしょう。デリオ殿、ああ、先代マリーア公爵と呼ばねば分かりませんか、そちらがという話も聞いています。」
「これまでに詳しい方が、その案があれば実に円滑に進むものでしょうし、先方の納得も得やすいとは思いますが。」
先代アルゼオ公爵が考えている事、それはオユキもよくわかる。そして、あまりに明確な利点がそこにはある。しかし、それだけではどうなのだろうと、それ以外の思惑もオユキは既に知っている。何となれば、それ以外の選択を行う機運を作ったのはオユキでもある。
「その辺り、何か良い落としどころがあればとは私も思うのですが。」
河沿いの町。新しい教会を建て、隣国と隔てる大河に橋をかけてと。大いに手が加わり、これまでに無かったことが起こると分かっている町。そこを任せるのは、レジス侯爵家とラスト子爵家と決まっている。監督役として、魔国との調整役に、先代マリーア公爵を置くとも。そして、そこに先代アルゼオ公爵までとなれば、今度はマリーア公爵の統治能力、都合できる人材に不足があると、そう喧伝することになる。
そうした部分を、先代アルゼオ公爵は今回のトモエの要請にこたえた上で、魔国に門を運び、それを恙なく置いたうえで今後も変わらぬ付き合いを勝ち取るという功績で持ってという事なのだろう。
「それこそ、陛下からというのは。」
「生憎と、既に多くの譲歩を。」
「王都への加護、それについても、大本はマリーア公の領内の事ですから、そうなりますか。」
加えて、領内の事に対する裁量権、それを拡大する旨の発言が既にされている。であれば、少なくとも王位が継承されるまでは現王は強権を振るう事が出来ない。その辺りも、実に強かな事ではある。
「例えば、そうですね。」
そして、そう言った諸々の背景をオユキよりも詳しく知る相手が、こうしてわざわざ歓心を得て迄望みたい、そう考えているという事は、承知したうえで。アベルがどうした所で、国王陛下をその人を置き去りに話を進めようとする者達に、実に奥歯にものが挟まったようなという比喩がしっくりとくる顔をしているが、そちらは見なかった事として。
「私どもの次の目的地、それについては。」
「確か、月と安息を優先されたいのだとか。」
「はい。しかし、すでに手はあるとはいえ。」
オユキの考えている事、それは合議制を採用している国家とういうよりも、都市の、部族の集まりに対して、採択に時間がかかる事柄、アイリス自身の考えや、ではそちらに足を向けるとしてそちらでは十分な準備があるかを問う等の、会議そのものに時間を掛けさせる手法だ。何処まで行っても、テトラポダという国の仕組み、聞いた事しか無いその制度を前提に考えている。万が一果断な相手がいれば、破綻する程度の方法しか思いついていないともいう。
「先日の王太子妃様の事もありますからな。」
いよいよ、同席している顔ぶれもいるというのに、話しているのはオユキとビクトル先代公爵ばかり。トモエと先代公爵夫人は、また政治闘争に使うための手札で遊んでいるとばかりに、呆れを僅かに含みながらもそれが楽しいのでしょうと、そう言った表情を浮かべるばかり。
咳の主役がどうしても決まってしまっているため、今は他の話題を持ち込めないが、それが叶うのならそんな話をするよりも今後のアルゼオ公爵領の観光であったり、持ち帰る手宮での話であったり。もっと他にするべきことがあるだろうと、それよりも先にしなければならないほどに、遊ぶのが楽しいのでしょうねと。
オユキにしても、ビクトル先代公爵にしても。アベルが口を挟めない位置、それを既にそれぞれ持っている。そして、そこまでを互いに見落としはお互い無いだろうと、自身が相手をどのように考えているのか、それが過大評価では無いだろうと、それを確かめているだけに過ぎない。その中で、互いに過小評価であったと、そう思える事があれば驚きながらも、喜んで。
「はい。王城に確かな、次代の王だけでは無く、場を整える為にお力添えを頂いたのは、間違いなく。加えて、私たちがこちらへと訪れる、その差異にお選びいただいたのは、彼の神によるものであるようですから。」
「何と、そのような事が。」
それについては、アベルにしても、報告した先の相手も驚いていた。てっきり、一律で創造神が選んだものかと思えば、オユキについては間違いなく月と安息であるらしい。トモエは一括りの中に含まれるかは大いに疑問ではあるが、こうして食卓に華を添える料理を添えたアルノーにしても、今は王都でのあれこれを改めて思い返しながら創作に励むヴィルヘルミナにしても、己が過去の難易度と比べてまだ不足があるとして、今回は同行を遠慮したカリンにしても。
ただ、驚いたふり、それを行うこの人物にしても、それを知らぬわけがない。
これまでの成果、そこで確かに築いた隣国との信頼関係、それに罅を入れぬために配置された人材がいる。これまでを使ってアベルが王家に報告しただろう、その情報を請求したことだろう。こうして、どういった事を好むのか。マリーア公爵では、色々と理由はあるが不足していたことを提供する代わりに、アルゼオ公爵領として、この人物が欠かせない要素であるとしている物、それに配慮をしてくれと。
トモエから呆れが混じっているのは、既にそれは予測として話しただろうに、何をもったいぶっているのかと。
ただ、オユキにしてみれば、こういう手順を踏んだうえで譲歩を互いにしたのだという形が大事なのだと、そう言うしかないものだが。
「ええ。ですから、此度は仕方がないとはいえ、次、それがあることもおおよそ決まっていますが、次については。」
「成程。確かに、まずは魔国。そして次は自国内となれば。」
「そちらに、何かいいお知恵を頂けないものでしょうか。」
それがあれば、何かオユキの方でもこの先代アルゼオ公爵を川沿いの町に配置する、その言い訳が思いつきそうだとそんな事を匂わせながら。
アルゼオ公爵が、王都に入る前に一度あれこれと整える為の宿場町。当初の予定では、利用する予定が無かったそこに一度とまり、今は食卓を共にしている。
旅の道連れはなんだかんだと数が多いのだが、今は選ばれた人員だけ。要は、アベルと先代アルゼオ公爵、そこにオユキとトモエといった顔ぶれだけとなっている。他の者達は、生憎と別の部屋どころでは無く別の屋敷で一夜を過ごし、また明日からの移動に備えている事だろう。どうにか簡単なあいさつ程度は行えるようになってきただけのサキについては、アベルの監督下ではあるものの。苦手な風貌というものがあり、結局オユキ達が引き取る流れが生まれている。馴染んだ少年たちも今は居らず、ファルコに預けようにも、彼の補佐をすることに慣れた少女二人がいないため、やはり色々と難しい。ではなぜ始まりの町に送り返さないのかと言えば、先のオユキの決定が響いている。
護衛の統括として、優先順位を徹底させることが出来なかった。その引責として与えられた職務でもあるため、投げ出すことは出来ない。今は、サキにしてもヴィルヘルミナの世話の手伝いなどをしている事だろう。あの憐れな少女は、このゲームの世界で、そこから現実に飛び出した歌姫の存在を知らなかった。ゲームの名前にしても。つまり、終わって暫くしてから、そのような相手であるらしい。
「分かっておられるようですな。」
「その辺りは、まぁ、そうですね。」
そして、のんびりと食事をとりながら、こうして予定を聞けばオユキとしても色々と勘繰る事が有る。
「マリーア公爵とも話がついているのでしょう。勿論、私どもは今お伺いした日程、それを記録したうえで己の行った業務、それぞれの場所で頼まれた事なども併せて報告するわけですから。」
そして、それに対しては、交渉が終わっているのかと。
「マリーア公爵からは、最終的にトモエ卿が頷けば、そうとだけ。」
「であれば、構いませんとも。」
ゆっくりとした移動というのは、まぁ危険地帯で休まらないという意味では、確かに短く有って欲しいとも思うが、そうでは無く、基本的に細かく町から町への移動を行い、そこできちんと休んで移動をするというのは喜ばしい事でもある。そもそも、本来のオユキの目的には沿っている。
「今後も、魔国との関係は抱える物ですし、ええ、変わらぬお付き合いを。」
「本当に、見た目に騙されそうになりますな。」
「そういった意図はないのですが、まぁ、利用は考えますとも。」
見た目と中身。その差ばかりはいよいよどうにもならない。
何となればそれに応じた物を、改めてとする事も出来たのだが、オユキからはかつて使っていたものをそのまま。トモエからは、色々と思いを込めた姿としてと。
「ただ、今後も変わらずと、そうするでしょう。」
アルゼオ公爵。既にさ以前から身を引いた相手か、現在家督を持つものか。どちらの考えかは分からない。しかし、マリーア公爵の麾下として叶わなかった事、それを良く調べているらしい。そして、珍しく何をねだったかについても。オユキとしては、管理をするものはかくあるべしと、そう評価は高くなるのだが、だからと言ってということもある。叶えられなかった事、その中でも分かりやすいものはどうした所で、生活の場の外に求める物でしかない。それを叶えるという事は、配慮をするという事は、今後また折に触れて訪れる。その選択肢に上がるだけだという事でもある。
「ええ。そうでしょうとも。」
「他の事については、何も私たちに示さずとも間違いはないと思いますが。」
「そちらは、魔国での事もありますからな。」
「先代アルゼオ公は、乗り気と考えても。」
「何、ビクトルとお呼び頂いて構いませんとも。」
そして、他の一点。
オユキとミズキリの意見としては一致を見ている事。たとえ、領地をレジス侯爵に渡すとして、明確な国境とするべき場所、魔国との最前線となる場所については、トモエの意見も受けて特区として別に管理者を設けるほうが良いだろうと、そう話しを纏めた。そして、この一帯の管理者でもあるマリーア公爵の説得も既に終わっている。
では、その場を誰に任せるの亜kと言えば、いよいよ人の手が足りない王家ではない。
「その、相応に忙しいですよ。」
「余生を費やすには、実に良い物でしょう。デリオ殿、ああ、先代マリーア公爵と呼ばねば分かりませんか、そちらがという話も聞いています。」
「これまでに詳しい方が、その案があれば実に円滑に進むものでしょうし、先方の納得も得やすいとは思いますが。」
先代アルゼオ公爵が考えている事、それはオユキもよくわかる。そして、あまりに明確な利点がそこにはある。しかし、それだけではどうなのだろうと、それ以外の思惑もオユキは既に知っている。何となれば、それ以外の選択を行う機運を作ったのはオユキでもある。
「その辺り、何か良い落としどころがあればとは私も思うのですが。」
河沿いの町。新しい教会を建て、隣国と隔てる大河に橋をかけてと。大いに手が加わり、これまでに無かったことが起こると分かっている町。そこを任せるのは、レジス侯爵家とラスト子爵家と決まっている。監督役として、魔国との調整役に、先代マリーア公爵を置くとも。そして、そこに先代アルゼオ公爵までとなれば、今度はマリーア公爵の統治能力、都合できる人材に不足があると、そう喧伝することになる。
そうした部分を、先代アルゼオ公爵は今回のトモエの要請にこたえた上で、魔国に門を運び、それを恙なく置いたうえで今後も変わらぬ付き合いを勝ち取るという功績で持ってという事なのだろう。
「それこそ、陛下からというのは。」
「生憎と、既に多くの譲歩を。」
「王都への加護、それについても、大本はマリーア公の領内の事ですから、そうなりますか。」
加えて、領内の事に対する裁量権、それを拡大する旨の発言が既にされている。であれば、少なくとも王位が継承されるまでは現王は強権を振るう事が出来ない。その辺りも、実に強かな事ではある。
「例えば、そうですね。」
そして、そう言った諸々の背景をオユキよりも詳しく知る相手が、こうしてわざわざ歓心を得て迄望みたい、そう考えているという事は、承知したうえで。アベルがどうした所で、国王陛下をその人を置き去りに話を進めようとする者達に、実に奥歯にものが挟まったようなという比喩がしっくりとくる顔をしているが、そちらは見なかった事として。
「私どもの次の目的地、それについては。」
「確か、月と安息を優先されたいのだとか。」
「はい。しかし、すでに手はあるとはいえ。」
オユキの考えている事、それは合議制を採用している国家とういうよりも、都市の、部族の集まりに対して、採択に時間がかかる事柄、アイリス自身の考えや、ではそちらに足を向けるとしてそちらでは十分な準備があるかを問う等の、会議そのものに時間を掛けさせる手法だ。何処まで行っても、テトラポダという国の仕組み、聞いた事しか無いその制度を前提に考えている。万が一果断な相手がいれば、破綻する程度の方法しか思いついていないともいう。
「先日の王太子妃様の事もありますからな。」
いよいよ、同席している顔ぶれもいるというのに、話しているのはオユキとビクトル先代公爵ばかり。トモエと先代公爵夫人は、また政治闘争に使うための手札で遊んでいるとばかりに、呆れを僅かに含みながらもそれが楽しいのでしょうと、そう言った表情を浮かべるばかり。
咳の主役がどうしても決まってしまっているため、今は他の話題を持ち込めないが、それが叶うのならそんな話をするよりも今後のアルゼオ公爵領の観光であったり、持ち帰る手宮での話であったり。もっと他にするべきことがあるだろうと、それよりも先にしなければならないほどに、遊ぶのが楽しいのでしょうねと。
オユキにしても、ビクトル先代公爵にしても。アベルが口を挟めない位置、それを既にそれぞれ持っている。そして、そこまでを互いに見落としはお互い無いだろうと、自身が相手をどのように考えているのか、それが過大評価では無いだろうと、それを確かめているだけに過ぎない。その中で、互いに過小評価であったと、そう思える事があれば驚きながらも、喜んで。
「はい。王城に確かな、次代の王だけでは無く、場を整える為にお力添えを頂いたのは、間違いなく。加えて、私たちがこちらへと訪れる、その差異にお選びいただいたのは、彼の神によるものであるようですから。」
「何と、そのような事が。」
それについては、アベルにしても、報告した先の相手も驚いていた。てっきり、一律で創造神が選んだものかと思えば、オユキについては間違いなく月と安息であるらしい。トモエは一括りの中に含まれるかは大いに疑問ではあるが、こうして食卓に華を添える料理を添えたアルノーにしても、今は王都でのあれこれを改めて思い返しながら創作に励むヴィルヘルミナにしても、己が過去の難易度と比べてまだ不足があるとして、今回は同行を遠慮したカリンにしても。
ただ、驚いたふり、それを行うこの人物にしても、それを知らぬわけがない。
これまでの成果、そこで確かに築いた隣国との信頼関係、それに罅を入れぬために配置された人材がいる。これまでを使ってアベルが王家に報告しただろう、その情報を請求したことだろう。こうして、どういった事を好むのか。マリーア公爵では、色々と理由はあるが不足していたことを提供する代わりに、アルゼオ公爵領として、この人物が欠かせない要素であるとしている物、それに配慮をしてくれと。
トモエから呆れが混じっているのは、既にそれは予測として話しただろうに、何をもったいぶっているのかと。
ただ、オユキにしてみれば、こういう手順を踏んだうえで譲歩を互いにしたのだという形が大事なのだと、そう言うしかないものだが。
「ええ。ですから、此度は仕方がないとはいえ、次、それがあることもおおよそ決まっていますが、次については。」
「成程。確かに、まずは魔国。そして次は自国内となれば。」
「そちらに、何かいいお知恵を頂けないものでしょうか。」
それがあれば、何かオユキの方でもこの先代アルゼオ公爵を川沿いの町に配置する、その言い訳が思いつきそうだとそんな事を匂わせながら。
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