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15章 這いよるもの
疑念
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分からない点が、あまりにも多い。オユキの感想など、それ以上の物はない。
「ここを狙う、その動機自体はわかるのですが。」
始まりの町、創造神の分霊とて存在する。この町を害する事が出来れば、確かに大いに勢いを得られるのだろうが。
「何と言いますか、あまりに稚拙、悪意を煮詰めた割に、そう感じてしまいますね。」
「それは、オユキ様達だからこそでしょう。」
「異邦とこちら、その差ですか。そう言えば、以前伺いましたね。」
こちらで暮らす者達、初めからこちらで生を得た相手は、基本的に汚染に対して抵抗するのが難しい。
「しかし、町の中で暮らすのであれば。」
「力を持つものは、どうしても。」
「成程、そこまでを考えれば、確かに悪辣ですね。」
魔物を狩るため、生活を支えるため。色々な理由を抱えて、安息の守りの外に出る者達。そう言った者達をまずは狙い、町の中に汚染をという事なのだろう。そう言った行為を行えるものであるからこそ、力がある。近くに集まる人間も多いのだろう。そして、結果として、加護の弱い、ただ町で暮らすだけの者達が、汚染に晒され続けるという事であるらしい。
そして、それを為すために、ある程度そういった仲間を増やしながら集まり、領都で起こったように拠点を切り取りと、そう言った流れに繋がっていくのだろう。魔物を狩る、それを職務とする者達、それが持ち帰った汚染が王城で広がる。内部に、ただただ静かに。まさしく汚染だと言うかのように。
「厄介な事です。」
そうして話しながらも、オユキは手を止めない。読むべき手紙に書類は既に小山を作っており、それを切り崩していかなければならないのだ。そして、それに対して何かの返事を出せばまた戻って来るという物だ。
「全くです。」
そうして、側に控えているシェリアにしても憤懣やるかたないと、そう言った様子で頷いている。
「ただ、そうなるとタルヤ様もそうなのですが、神々からの加護すら得ている方を汚染することができる、そちらについて考えたくもなりますね。」
オユキの理解では、それこそこちらの神々に対して与えられた試練として、理解はしている。ではこちらで暮らす者達はと。
「タルヤも話していましたが、マナに依った相手ですから。」
「世界全体にという訳ではないと考えれば、ある程度の浄化作用があるという事ですか。」
いや、そもそも創造神に奇跡を始めとしたマナの扱い。それに興味を持てと言われていたのは、今後の仕事についてかと考えていたオユキとしては、その視点が無かった。
「とすれば、魔術、マナに親しんでいない者達は、その能力が低いという事になるのでしょうね。」
「はい、現在はそのように。」
「私も、直接興味を持てと言われました、その辺りの強化も含めてという事なのでしょう。」
「オユキ様は、やはり武技や魔術には。」
「興味はあるのですが、戦うとなればやはり。」
オユキは生前から興味のある分野ではあるのだ。ただ、向いていなさそうだと早々に諦めた事柄だ。トモエにしても興味を持っている。ただ、日々の糧を得る、己の向上を求める、そういった時間の中で、自身の身体で行えること、過去から今まで磨き続けた物ではないそれらをむしろ邪魔だと考えてしまう。
「恐らく、そう言った私達の考え方というのが、習得の妨げになっているのでしょう。」
「トモエ様は特にですが、理由がなければ武技もお使いになられませんからね。」
「はい。やはり武を、技を磨くと考えたときに。」
少年たちに与えられている加護、それが身体能力の向上に大いに働き、武技の習得が未だに叶っていない、それと同じことが当然教え導く側に起こらないはずもない。使ってみたい、それこそ生前は出来る訳も無い事であったから好奇心も大いにある。では実際にそれが使える場で、トモエとオユキがどう考えているかと言えば、言葉を濁さなければ邪魔以外の何物でもない。
そういったあり方であるからこそ、戦と武技に気に入られ、その自由を認める神々たちから、やんわりと諭される。
「こう、日々の生活を豊かにする範囲であれば。」
「戦と武技の巫女様に、生活用の物を教えるのは、どうなのでしょうか。」
「カナリアさんに頼んで、習おうとも考えてはいますが。なんにせよ私は快復が先ですが。トモエさんは、料理に使える物などは習いたいと考えていると思いますよ。」
「魔術を習う、その目的に置くとしてはあまりにも。」
戦闘に使うつもりも、大規模な何かを求める気もない。そんな言葉にシェリアからは苦笑いだ。
「さて、話が逸れましたね。今後起こりうることですが、出発までにまずはもう一度溢れを起こすでしょう。」
「起こせる、それは既に証明が。」
「はい。トラノスケさんについては、既に問題が無いとされていますので、他の方でしょう。魔物に狙われないとも聞いています。ならば、まぁ、難しくはありませんから。」
オユキは、逸れた話を大幅に戻す。
相手の目的を考え、では出来る事をと考えれば自ずと結論も見えて来る。そして、これまでの相手から間違いも無いだろうと予測できる。自由を許す神々とは異なる相手、それに汚染された物は、何処か機械的と言えばいいのか。大本に近いところに向かい、そこにいる相手に向き合えば多少は違うのだろうが、現状は何処までも単純だ。
「現状の戦力を考えれば、何程の事も無いでしょう。個人的な興味としては、変異種の発生、それをどう叶えているかと言った所ですが。」
「王都に向かった後は、そちらを狙うと考えれば。」
「ええ、この町の戦力は現状で十分以上です。メイ様からの書簡にも、傭兵ギルドからの物にも河沿いの町までの道中、それを害するといった旨の記載がありません。」
寧ろそちらを狙えば、よほど効果的ではあるのだが。盲目的に今予定を勧め、汚染の元凶の存在が許される時間をただひたすらに狙っているのだろう。向こうにも、それこそ予定を考えるものが、等とはオユキも多少は考えるのだがそもそも千年あって隣にある国をどうにか。それを考えればという物でもある。
「野党の類の存在は聞いた事が有りますが。」
「彼らの拠点でしょうか。」
「はい、魔物に襲われないとはいえ、以前ルイスさん、傭兵ギルドでアベルさんに頼まれるほどの方です、その方からはマナを扱う術は残らないと聞きました。しかしながら、大本はマナに依っているとのことですが。」
「魔道具は、やはり魔石があれば利用ができます。」
それについては、オユキも納得できる範囲だ。しかし、タルヤが汚染された時に何が起こるか、その説明を聞いた時に明らかにマナを使っての振る舞い、それを示唆する言葉もあった。その時は、種族の違いとして流したが。魔物を集め、誘導する。魔物に狙われないとしても、雨も降らない、放って置けば人が手を入れた場所も元に戻る。そう言った場があるにしてはという物だ。
「長じれば、汚染された物を糧とすることができるそうです。」
「そういう仕組みになりますか。」
「オユキ様は、創造神様の言葉をメイ様が頂いた、その場に居合わせたとも。」
「はい。最低限手伝いはするのですが、私は私で、今回のようにどうにもならない事が有りますから。」
手伝うことも吝かではない。そもそもこの憧れた世界、過去にしても辟易とした相手が、今もまたというのであればそれの排除に手を貸すことにオユキは積極的ではある。
だが、現実の問題を告げれば、シェリアも質問が的外れであったと軽くオユキに頭を下げる。
「どうした所で、一所に留まれるわけでもありません。今回の橋、それにしても戦力の糾合という理屈がありますから。」
架橋を急ぐ理由というのも、それを前提に考えれば実にわかりやすい。
そこまで考えて、オユキは他の問題についても思いつくところがある。
「アルゼオ公、こちらにしても、何か手がありそうですね。今も隣接している場所、そことの取引は続くでしょう。加えて、他国との行き来を楽にする、そこに何か仕掛けがありそうですね。」
「と、言いますと。」
「少々謁見となるのでしょうが、陛下に書簡を用意しましょうか。恐らくマリーア公では伏せている情報も多いのでしょう。それを伝え、まずは魔国に向けた用意として、協力して事に当たって頂くようにと。」
「畏まりました、直ぐにご用意いたします。」
シェリアの疑問に答えるための言葉ではないが、オユキからはっきりと動くと告げたため、まずはそちらをシェリアが行う。このあたりはまさに権力構造が堅い世界らしい振る舞いだ。
それを待っている間に、改めて文章の内容を頭で組み立て、用意された紙、他とははっきりと違う上質な物とわかるそれに書きつけていきながら、シェリアの疑問に答える。これについては、マリーア公爵も超えてとなるため、そちらに対する断りや、背景にあるオユキの中の理屈などは別途説明しなければならない。本来であれば、そちらの判断を先にとしたいものではあるが、今回についてはそうしないだけの物もあるのだ。
オユキの子の振る舞いをミズキリが見れば、またかと、苦笑いと共に言いそうなものだが。
「確か、アルゼオ公の領は他にも隣接していたはずです。それと、神々の厳しさを考えたときに、距離を全く無視して移動を叶える、そうなるとも思えません。」
毎度毎度神殿経由、それでは信心深いものたちの顰蹙とて買う事になる。静かに祈りを捧げたい、そう考える人々の横を、ただ退路湯に荷物を積んで、行列を為して通り過ぎるだけというのも、やはり褒められた物では無い。
であれば、どうするのが良いか。細かく作ればよい。神殿だけでなく、この町の教会と同じように。始まりの町、最古の教会、その特別があり最初になったとそう言う事であろう。だとすれば、公爵の領、そこから近いところは何処になるのか、何処と繋げるのかという話も出てくるが。
「今度の旅路、そこで私たちが最も手を頂くのはアルゼオ公です。多少の調整は考えますが、であれば、この度神々より頂くであろう物、そちらをお渡しするのも悪くないでしょう。」
それにしても、空手形でしかないが、無いよりは良い。
口にしてしまえば、王妃からの人員であるシェリアがもの言いたげにはするのだが。国に対しては既に十分なものがある。他国、その神殿と今後も直接つながるための門という物が。
主を超えて、欲深さを、それを控える慎みはシェリアにしても持っているのだが。既にその所属をオユキに伝えているため、何か配慮をと、そう言った視線はしっかりと。
「ここを狙う、その動機自体はわかるのですが。」
始まりの町、創造神の分霊とて存在する。この町を害する事が出来れば、確かに大いに勢いを得られるのだろうが。
「何と言いますか、あまりに稚拙、悪意を煮詰めた割に、そう感じてしまいますね。」
「それは、オユキ様達だからこそでしょう。」
「異邦とこちら、その差ですか。そう言えば、以前伺いましたね。」
こちらで暮らす者達、初めからこちらで生を得た相手は、基本的に汚染に対して抵抗するのが難しい。
「しかし、町の中で暮らすのであれば。」
「力を持つものは、どうしても。」
「成程、そこまでを考えれば、確かに悪辣ですね。」
魔物を狩るため、生活を支えるため。色々な理由を抱えて、安息の守りの外に出る者達。そう言った者達をまずは狙い、町の中に汚染をという事なのだろう。そう言った行為を行えるものであるからこそ、力がある。近くに集まる人間も多いのだろう。そして、結果として、加護の弱い、ただ町で暮らすだけの者達が、汚染に晒され続けるという事であるらしい。
そして、それを為すために、ある程度そういった仲間を増やしながら集まり、領都で起こったように拠点を切り取りと、そう言った流れに繋がっていくのだろう。魔物を狩る、それを職務とする者達、それが持ち帰った汚染が王城で広がる。内部に、ただただ静かに。まさしく汚染だと言うかのように。
「厄介な事です。」
そうして話しながらも、オユキは手を止めない。読むべき手紙に書類は既に小山を作っており、それを切り崩していかなければならないのだ。そして、それに対して何かの返事を出せばまた戻って来るという物だ。
「全くです。」
そうして、側に控えているシェリアにしても憤懣やるかたないと、そう言った様子で頷いている。
「ただ、そうなるとタルヤ様もそうなのですが、神々からの加護すら得ている方を汚染することができる、そちらについて考えたくもなりますね。」
オユキの理解では、それこそこちらの神々に対して与えられた試練として、理解はしている。ではこちらで暮らす者達はと。
「タルヤも話していましたが、マナに依った相手ですから。」
「世界全体にという訳ではないと考えれば、ある程度の浄化作用があるという事ですか。」
いや、そもそも創造神に奇跡を始めとしたマナの扱い。それに興味を持てと言われていたのは、今後の仕事についてかと考えていたオユキとしては、その視点が無かった。
「とすれば、魔術、マナに親しんでいない者達は、その能力が低いという事になるのでしょうね。」
「はい、現在はそのように。」
「私も、直接興味を持てと言われました、その辺りの強化も含めてという事なのでしょう。」
「オユキ様は、やはり武技や魔術には。」
「興味はあるのですが、戦うとなればやはり。」
オユキは生前から興味のある分野ではあるのだ。ただ、向いていなさそうだと早々に諦めた事柄だ。トモエにしても興味を持っている。ただ、日々の糧を得る、己の向上を求める、そういった時間の中で、自身の身体で行えること、過去から今まで磨き続けた物ではないそれらをむしろ邪魔だと考えてしまう。
「恐らく、そう言った私達の考え方というのが、習得の妨げになっているのでしょう。」
「トモエ様は特にですが、理由がなければ武技もお使いになられませんからね。」
「はい。やはり武を、技を磨くと考えたときに。」
少年たちに与えられている加護、それが身体能力の向上に大いに働き、武技の習得が未だに叶っていない、それと同じことが当然教え導く側に起こらないはずもない。使ってみたい、それこそ生前は出来る訳も無い事であったから好奇心も大いにある。では実際にそれが使える場で、トモエとオユキがどう考えているかと言えば、言葉を濁さなければ邪魔以外の何物でもない。
そういったあり方であるからこそ、戦と武技に気に入られ、その自由を認める神々たちから、やんわりと諭される。
「こう、日々の生活を豊かにする範囲であれば。」
「戦と武技の巫女様に、生活用の物を教えるのは、どうなのでしょうか。」
「カナリアさんに頼んで、習おうとも考えてはいますが。なんにせよ私は快復が先ですが。トモエさんは、料理に使える物などは習いたいと考えていると思いますよ。」
「魔術を習う、その目的に置くとしてはあまりにも。」
戦闘に使うつもりも、大規模な何かを求める気もない。そんな言葉にシェリアからは苦笑いだ。
「さて、話が逸れましたね。今後起こりうることですが、出発までにまずはもう一度溢れを起こすでしょう。」
「起こせる、それは既に証明が。」
「はい。トラノスケさんについては、既に問題が無いとされていますので、他の方でしょう。魔物に狙われないとも聞いています。ならば、まぁ、難しくはありませんから。」
オユキは、逸れた話を大幅に戻す。
相手の目的を考え、では出来る事をと考えれば自ずと結論も見えて来る。そして、これまでの相手から間違いも無いだろうと予測できる。自由を許す神々とは異なる相手、それに汚染された物は、何処か機械的と言えばいいのか。大本に近いところに向かい、そこにいる相手に向き合えば多少は違うのだろうが、現状は何処までも単純だ。
「現状の戦力を考えれば、何程の事も無いでしょう。個人的な興味としては、変異種の発生、それをどう叶えているかと言った所ですが。」
「王都に向かった後は、そちらを狙うと考えれば。」
「ええ、この町の戦力は現状で十分以上です。メイ様からの書簡にも、傭兵ギルドからの物にも河沿いの町までの道中、それを害するといった旨の記載がありません。」
寧ろそちらを狙えば、よほど効果的ではあるのだが。盲目的に今予定を勧め、汚染の元凶の存在が許される時間をただひたすらに狙っているのだろう。向こうにも、それこそ予定を考えるものが、等とはオユキも多少は考えるのだがそもそも千年あって隣にある国をどうにか。それを考えればという物でもある。
「野党の類の存在は聞いた事が有りますが。」
「彼らの拠点でしょうか。」
「はい、魔物に襲われないとはいえ、以前ルイスさん、傭兵ギルドでアベルさんに頼まれるほどの方です、その方からはマナを扱う術は残らないと聞きました。しかしながら、大本はマナに依っているとのことですが。」
「魔道具は、やはり魔石があれば利用ができます。」
それについては、オユキも納得できる範囲だ。しかし、タルヤが汚染された時に何が起こるか、その説明を聞いた時に明らかにマナを使っての振る舞い、それを示唆する言葉もあった。その時は、種族の違いとして流したが。魔物を集め、誘導する。魔物に狙われないとしても、雨も降らない、放って置けば人が手を入れた場所も元に戻る。そう言った場があるにしてはという物だ。
「長じれば、汚染された物を糧とすることができるそうです。」
「そういう仕組みになりますか。」
「オユキ様は、創造神様の言葉をメイ様が頂いた、その場に居合わせたとも。」
「はい。最低限手伝いはするのですが、私は私で、今回のようにどうにもならない事が有りますから。」
手伝うことも吝かではない。そもそもこの憧れた世界、過去にしても辟易とした相手が、今もまたというのであればそれの排除に手を貸すことにオユキは積極的ではある。
だが、現実の問題を告げれば、シェリアも質問が的外れであったと軽くオユキに頭を下げる。
「どうした所で、一所に留まれるわけでもありません。今回の橋、それにしても戦力の糾合という理屈がありますから。」
架橋を急ぐ理由というのも、それを前提に考えれば実にわかりやすい。
そこまで考えて、オユキは他の問題についても思いつくところがある。
「アルゼオ公、こちらにしても、何か手がありそうですね。今も隣接している場所、そことの取引は続くでしょう。加えて、他国との行き来を楽にする、そこに何か仕掛けがありそうですね。」
「と、言いますと。」
「少々謁見となるのでしょうが、陛下に書簡を用意しましょうか。恐らくマリーア公では伏せている情報も多いのでしょう。それを伝え、まずは魔国に向けた用意として、協力して事に当たって頂くようにと。」
「畏まりました、直ぐにご用意いたします。」
シェリアの疑問に答えるための言葉ではないが、オユキからはっきりと動くと告げたため、まずはそちらをシェリアが行う。このあたりはまさに権力構造が堅い世界らしい振る舞いだ。
それを待っている間に、改めて文章の内容を頭で組み立て、用意された紙、他とははっきりと違う上質な物とわかるそれに書きつけていきながら、シェリアの疑問に答える。これについては、マリーア公爵も超えてとなるため、そちらに対する断りや、背景にあるオユキの中の理屈などは別途説明しなければならない。本来であれば、そちらの判断を先にとしたいものではあるが、今回についてはそうしないだけの物もあるのだ。
オユキの子の振る舞いをミズキリが見れば、またかと、苦笑いと共に言いそうなものだが。
「確か、アルゼオ公の領は他にも隣接していたはずです。それと、神々の厳しさを考えたときに、距離を全く無視して移動を叶える、そうなるとも思えません。」
毎度毎度神殿経由、それでは信心深いものたちの顰蹙とて買う事になる。静かに祈りを捧げたい、そう考える人々の横を、ただ退路湯に荷物を積んで、行列を為して通り過ぎるだけというのも、やはり褒められた物では無い。
であれば、どうするのが良いか。細かく作ればよい。神殿だけでなく、この町の教会と同じように。始まりの町、最古の教会、その特別があり最初になったとそう言う事であろう。だとすれば、公爵の領、そこから近いところは何処になるのか、何処と繋げるのかという話も出てくるが。
「今度の旅路、そこで私たちが最も手を頂くのはアルゼオ公です。多少の調整は考えますが、であれば、この度神々より頂くであろう物、そちらをお渡しするのも悪くないでしょう。」
それにしても、空手形でしかないが、無いよりは良い。
口にしてしまえば、王妃からの人員であるシェリアがもの言いたげにはするのだが。国に対しては既に十分なものがある。他国、その神殿と今後も直接つながるための門という物が。
主を超えて、欲深さを、それを控える慎みはシェリアにしても持っているのだが。既にその所属をオユキに伝えているため、何か配慮をと、そう言った視線はしっかりと。
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