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1章 懐かしく新しい世界
撃破
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オユキは、鋭く息を吐きながら、軸足に残していた重さを使い、足を滑らせながら上体をそらし、体を新たにとびかかってくるグレイハウンド、その下にもぐりこむ、そんな位置に無理に滑り込ませる。
目測通り、自分の上を通り過ぎようとする、グレイハウンドの腹を滑らせた足を無理やり振り上げて、けり上げる。
悲鳴のようなものと同時に、足には無理な体勢がたたり、鈍い痛みが走る。
自身の頭上を通り過ぎるグレイハウンドをそのままに、オユキは体を地面に投げ出し、数回転がりながら、その反動で起き上がる。
オユキが蹴り足を地面につければ、そこに僅かな痛みが走る。
恐らくひねったのだろう、そう考えながらも、戦闘に支障はない、むしろ足よりも、ほどけ再び体にまとわりつく髪のほうがよほど邪魔になる。オユキはそう考えながらも、ナイフを構え、様子を見る。
3匹のグレイハウンドが、オユキを囲む様に、前足に顔を近づけ、じりじりと迫ってくる。
さて、元の体で合っても、獲物が無ければ対処できないだろう。そんなことを考えながらも、オユキは次はどう身を躱すかを考える。
最終的な解決は、どうしたところで、トモエか、トラノスケか、そのどちらかの手が必要になる。
今度は同時ではなく、1匹が先行して、オユキに向けて地を蹴る。
後ろに飛んで下がるとしても、そこには、トモエかトラノスケ、あるいは両方がいるだろう。
そう考えオユキは、最初の回避法と同じように、まずはとびかかってきた1匹をそらし、その体を立てにしたうえでもう1匹に対処することを選ぶ。
決めた後は、動くだけ。オユキは自らとびかかってくるグレイハウンドに近づく、その時、そのグレイハウンドが、笑った、そう見えてももう止まるわけにはいかない距離。ナイフで牙を払い、今度は蹴りではなく、体を回し、払ったナイフを握る手とは、逆の肘を打ち付ける。
地面への強い踏み込みが、体を伝い、肘から余すことなくその衝撃をグレイハウンドに与えた、そう思ったときに、残った1匹、新たに躍りかかる1匹が、オユキに迫る。
もう1匹は、今そらしたグレイハウンドが影になって確認はできないが、まだそこにいるのだろう。
新しく現れた1匹のほうが近い、そう判断し、そちらに跳ねよう、オユキはそう判断し地面を蹴り、体を投げ出す。
そこに足首の痛みが走り、オユキの想像よりも短い距離しか移動できず、あわてて起き上がろうとすれば、髪を巻き込み、それにも失敗する。
身にまとうのは、薄手の布でできた衣服と、胸部と膝から下を守る、そんな革製の防具のみ。
遅れてとびかかってきたグレイハウンドが、オユキに追いすがり、ブーツに牙を立て、引きずろうとする。
オユキはそれに、ナイフを投げつけ、離させ、すぐに立ち上がる。
そして、そこには別のグレイハウンドが、すでに飛び込んできていた。
オユキは何とか、身をそらし躱すことは叶ったが、衣服の一部がちぎられる。
そして、そのグレイハウンドは、地面に足をつける前に首をはねられた。
そして勢いをそのままに、トラノスケがオユキの前に出て、ナイフの当たり所が良く、目から血を流すグレイハウンドを続けざまに屠り、残ったものと対峙する。
どうにか切り抜けたかと、息をつくオユキの横には、トモエが武器を構えて立っている。
別々の方向を警戒し、互いに巻き込まぬように少し距離をとったのが裏目に出たのだろう。
それぞれが、襲い掛かった1匹に対処して、オユキの側に来るまでに、少しの時間がかかり、結果として、オユキが一度4匹を相手取ることとなったのだ。
加えてトラノスケとトモエが対峙したグレイハウンドが消極的な動きをし、オユキに数が向かっているのに気が付き、助けに動くそぶりを見せれば、それを邪魔する。
そういった、厄介な連携が行われた結果が、こうなった。
「トモエさん。助かりました。」
「いえ、こちらこそ、遅れてしまって申し訳ありません。」
「そんなことはありませんよ。私も助けが来ることを前提で、守勢に出ていましたから。」
「怪我はありませんか?」
「少し足をひねってしまって、流石にこの体で、蹴り技は無理がありましたか。
やはり、獲物は少し選ばないといけませんね、ナイフではあまりに対処が難しいですから。」
オユキはそういいながら、痛む足を少し回してみる。最後に嚙みつかれてしまった足でもあるため、今でははっきりと痛みを訴えている。
「そうですね。金額の調査と合わせて、良いものがあるか、一度見て回りましょう。」
そして、トラノスケがもう1匹を、やけになったのか、オユキとトモエに飛び掛かってきた1匹をトモエが叩き切り。
ようやく、襲撃は幕を下ろした。
「トラノスケさん。ありがとうございます。助かりました。」
襲い掛かってきた6匹、その中の過半数を任せてしまったトラノスケにオユキは頭を下げる。
「いや、こっちこそ、助けに入るのが遅れてすまなかった。直前までは、それぞれに2匹が向かってきていたのだがな。」
「まぁ、見た目に関しては、私は手ごろな獲物でしょうからね。」
「4匹を相手取って、立ち回れるなら、獲物だなんてことはないだろう。怪我はないか。」
トラノスケは、地面に転がる物を拾い上げ、それを袋に収めながら、オユキに尋ねる。
「恐らく、捻挫でしょう。少し痛みますが、2、3日あれば快復する程度のものです。」
「そうか、ならよかった。いや、良くはないか。まぁ、今日は戻ろう。
この3種類が、始まりの町、その周囲に生息する魔物だ。森を少し奥に入れば、また事情も変わるが、今のところは、こいつらを、いや、狼はやめたほうがいいか。」
「そうですね、私ももう少し取り回しのいい獲物を手に入れるまでは、グレイハウンドは難しいと思います。」
目測通り、自分の上を通り過ぎようとする、グレイハウンドの腹を滑らせた足を無理やり振り上げて、けり上げる。
悲鳴のようなものと同時に、足には無理な体勢がたたり、鈍い痛みが走る。
自身の頭上を通り過ぎるグレイハウンドをそのままに、オユキは体を地面に投げ出し、数回転がりながら、その反動で起き上がる。
オユキが蹴り足を地面につければ、そこに僅かな痛みが走る。
恐らくひねったのだろう、そう考えながらも、戦闘に支障はない、むしろ足よりも、ほどけ再び体にまとわりつく髪のほうがよほど邪魔になる。オユキはそう考えながらも、ナイフを構え、様子を見る。
3匹のグレイハウンドが、オユキを囲む様に、前足に顔を近づけ、じりじりと迫ってくる。
さて、元の体で合っても、獲物が無ければ対処できないだろう。そんなことを考えながらも、オユキは次はどう身を躱すかを考える。
最終的な解決は、どうしたところで、トモエか、トラノスケか、そのどちらかの手が必要になる。
今度は同時ではなく、1匹が先行して、オユキに向けて地を蹴る。
後ろに飛んで下がるとしても、そこには、トモエかトラノスケ、あるいは両方がいるだろう。
そう考えオユキは、最初の回避法と同じように、まずはとびかかってきた1匹をそらし、その体を立てにしたうえでもう1匹に対処することを選ぶ。
決めた後は、動くだけ。オユキは自らとびかかってくるグレイハウンドに近づく、その時、そのグレイハウンドが、笑った、そう見えてももう止まるわけにはいかない距離。ナイフで牙を払い、今度は蹴りではなく、体を回し、払ったナイフを握る手とは、逆の肘を打ち付ける。
地面への強い踏み込みが、体を伝い、肘から余すことなくその衝撃をグレイハウンドに与えた、そう思ったときに、残った1匹、新たに躍りかかる1匹が、オユキに迫る。
もう1匹は、今そらしたグレイハウンドが影になって確認はできないが、まだそこにいるのだろう。
新しく現れた1匹のほうが近い、そう判断し、そちらに跳ねよう、オユキはそう判断し地面を蹴り、体を投げ出す。
そこに足首の痛みが走り、オユキの想像よりも短い距離しか移動できず、あわてて起き上がろうとすれば、髪を巻き込み、それにも失敗する。
身にまとうのは、薄手の布でできた衣服と、胸部と膝から下を守る、そんな革製の防具のみ。
遅れてとびかかってきたグレイハウンドが、オユキに追いすがり、ブーツに牙を立て、引きずろうとする。
オユキはそれに、ナイフを投げつけ、離させ、すぐに立ち上がる。
そして、そこには別のグレイハウンドが、すでに飛び込んできていた。
オユキは何とか、身をそらし躱すことは叶ったが、衣服の一部がちぎられる。
そして、そのグレイハウンドは、地面に足をつける前に首をはねられた。
そして勢いをそのままに、トラノスケがオユキの前に出て、ナイフの当たり所が良く、目から血を流すグレイハウンドを続けざまに屠り、残ったものと対峙する。
どうにか切り抜けたかと、息をつくオユキの横には、トモエが武器を構えて立っている。
別々の方向を警戒し、互いに巻き込まぬように少し距離をとったのが裏目に出たのだろう。
それぞれが、襲い掛かった1匹に対処して、オユキの側に来るまでに、少しの時間がかかり、結果として、オユキが一度4匹を相手取ることとなったのだ。
加えてトラノスケとトモエが対峙したグレイハウンドが消極的な動きをし、オユキに数が向かっているのに気が付き、助けに動くそぶりを見せれば、それを邪魔する。
そういった、厄介な連携が行われた結果が、こうなった。
「トモエさん。助かりました。」
「いえ、こちらこそ、遅れてしまって申し訳ありません。」
「そんなことはありませんよ。私も助けが来ることを前提で、守勢に出ていましたから。」
「怪我はありませんか?」
「少し足をひねってしまって、流石にこの体で、蹴り技は無理がありましたか。
やはり、獲物は少し選ばないといけませんね、ナイフではあまりに対処が難しいですから。」
オユキはそういいながら、痛む足を少し回してみる。最後に嚙みつかれてしまった足でもあるため、今でははっきりと痛みを訴えている。
「そうですね。金額の調査と合わせて、良いものがあるか、一度見て回りましょう。」
そして、トラノスケがもう1匹を、やけになったのか、オユキとトモエに飛び掛かってきた1匹をトモエが叩き切り。
ようやく、襲撃は幕を下ろした。
「トラノスケさん。ありがとうございます。助かりました。」
襲い掛かってきた6匹、その中の過半数を任せてしまったトラノスケにオユキは頭を下げる。
「いや、こっちこそ、助けに入るのが遅れてすまなかった。直前までは、それぞれに2匹が向かってきていたのだがな。」
「まぁ、見た目に関しては、私は手ごろな獲物でしょうからね。」
「4匹を相手取って、立ち回れるなら、獲物だなんてことはないだろう。怪我はないか。」
トラノスケは、地面に転がる物を拾い上げ、それを袋に収めながら、オユキに尋ねる。
「恐らく、捻挫でしょう。少し痛みますが、2、3日あれば快復する程度のものです。」
「そうか、ならよかった。いや、良くはないか。まぁ、今日は戻ろう。
この3種類が、始まりの町、その周囲に生息する魔物だ。森を少し奥に入れば、また事情も変わるが、今のところは、こいつらを、いや、狼はやめたほうがいいか。」
「そうですね、私ももう少し取り回しのいい獲物を手に入れるまでは、グレイハウンドは難しいと思います。」
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