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本編

19 エルの事情

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 俺がスプリンター御姉様と、何となく気まずい状態になっていると、娼館内のエルさんの仕事部屋のドアが小さく音を立ててゆっくりと開き、ゆらりという感じで、表情の暗いエルさんが廊下に出てきた。

 こちらのことには気がつかない、というか、濁った瞳の視界には映らないらしく、ふらふらとショーウインドウ室に向かおうとしていた。

「――エル姉!」

 スプリンター御姉様が、慌ててエルさんに駆けつけようとするが、右足が悪いのか、少しズリズリと床に引きずりながらの駆け足だった。

「……レイ?」

「大丈夫? エル姉? やっぱりあいつ「外出し」してきたの?」

「……ええ」

「……あの男!」

「でも、もう一人いるから、もう1回、頑張らないとね」

「ど、どうして、あんな客を受けるのよ!? きちんと拒否するべきよ!!」

「でも、もしかしたら、気を変えてくれるかもしれないでしょ? 私には明日を生きるための大事な可能性なの……、だから、頑張らないと」

 儚(はかな)く微笑むエルさん。

 きっと、幾度となく繰り返してきた問答なのかもしれない、レイと呼ばれたスプリンター御姉様は、悔しそうに壁を軽く拳で叩いた。

 エルさんがふらふらとショーウインドウ室に入ろうとするのを、レイがその腕を掴んで止めた。

「どうしたのレイ」

「もう、大丈夫なのエル姉」

「……ん?」

「もう、あいつらはいなくなったし、きっと、もう二度とエル姉を指名しに来ることもないわ」

「なにを……言っているの?」

 エルさんは意味が分からないという感じだった。

「さっきのエル姉を買ったクズ野郎は、あの黒髪の男が半殺しにしたよ。そしたら、もうひとりのやつが、倒れたそいつを担いで必死に逃げてった」

「半殺しって……え? シロスケさん!?」

 スプリンター御姉様が親指で廊下の先にいた俺を指し示したので、エルさんが俺に視線を向け、俺が娼館内に居ることをやっと認識したようだった。

 俺は、どこか引きつった微笑みを浮かべながら手を振った。

 すると、エルさんは口元に両手を当てると、声を殺してボロボロと泣き始めた。

 スプリンター御姉様のレイが、エルさんを優しく抱きしめると、その背中をぽむぽむと叩いてあげる。

 俺は、きっと複雑な表情を浮かべていることだろう。

 なにせ、今のエルさんの会話を聞いてしまったからだ。

 エルさんは、あいつらがクズな客達だと知っていてなお、それでも明日を生きるため、魔素排出の可能性を上げるために、歯を食いしばって頑張っていたのだ。

 つまり、俺は、安易な怒りで、エルさんの努力を無駄にしてしまったのだと思う。

 これで、エルさんを指名する客が、永久に2人、失われたことになる。

 例え、外出しをする無価値な客であっても、いつか、もしかしたら、という可能性を夢見る、それにすらすがらなければならないエルさんにとっては、ひとつの希望だったのかもしれない。

 だが、しかし、と俺は思う。

 それは、違うんじゃないのか、と。

 あいつらが、改心するなど、ありえないだろう。

 死にゆくエルさんを見下ろしながら、あいつらは楽しそうに笑うタイプだ。

 エルさんが命を落とした亡骸(なきがら)にすら、笑い、平気で、ツバを吐き捨てるタイプだ。

 事実、俺は、そういう輩を見たことがある。

 葬式の場で、故人を愚弄ぐろうする輩を見たことがある。

 そんなクズ共に、俺の北欧女神様たるエルさんがすがりつく姿など、見たくもない。

 それでは、北欧女神様を尊敬する俺まで惨(みじ)めではないか。

 俺は、いても立ってもいられず「ビシッ!」と力強く右手を上げた。


「――男シロスケ、ここに誓います!」


 急に大声を出した俺を、エルさんとレイがきょとんとした表情で見つめてくる。

「あのクズの二人分、俺が必ずエルさんを指名しますので、ご安心下さい!! 中出しも必ずしますので魔素排出は、ご安心下さい!!」

 俺の宣言の意味を理解したのか、エルさんは一瞬驚いた表情を見せたあと、両手を口に当てながら今度は声を出して泣き始めてしまう。

 ……あら?

 スプリンター御姉様のレイが、またもエルを優しく抱きしめると、エルさんの背中をぽむぽむと叩いてあげる。

「……ふん」

 スプリンター御姉様は何が気に入らないのか、俺を一瞬だけ睨んだ後、鼻を鳴らしながらそっぽを向くのだった。



「それじゃ、私も仕事があるし、後は任せるわよ」

 エルさんを優しく抱きしめて、背中をぽむぽむと叩いてあげていたスプリンター御姉様のレイが、落ち着いたエルさんを、俺の前に突き出してきた。

 レイは、振り返ることもなく、ショーウインドウ室の中へと消えていく。

 エルさんが、恥ずかしそうに苦笑いを浮かべる。

「ごめんね。情けない姿を見せちゃって。冷めちゃうよね」

「いえいえいえいえいえ」

 俺は「ぶんぶん」と顔を左右に振った。

 俺はいそいそと腰の道具袋から「ギルドカード」を取り出した。

「まあ、ギルドカード? 凄いのねシロスケさん!」

 北欧女神様が褒めてくれる。

 まー、確かに銀貨1枚もしやがりましたからね。

 ただ、機能を考えれば安いですけれども。

 俺は、「出金、銅貨2枚」と呟くと、手の平に銅貨2枚を取り出して、それをエルさんに渡す。

「さ、さささ、30分、お願い出来ますでしょうか?」

 エルさんは銅貨2枚を両手で握りしめると、それを胸前にそっと運んで祈りを捧げるようなポーズを取る。

「……ありがとう」

 透き通るような美しい声で、俺に対する感謝が呟かれる。

 そして、エルさんは優しい目で俺を見た。

「ねえ、シロスケさん。私は「逆払い」もしていますよ。何なら、私が銅貨2枚をお支払いしましょうか?」

「いえいえいえいえいえ」

 俺は、またも「ぶんぶん」と顔を左右に振った。

 他の娼婦さんからならば、そういう物を貰う時も、いずれはあるのかもしれない。

 でも、エルさん、貴方からは貰えない。

 もしも、今の俺にお金が無ければ、恥を忍んで甘えるかもしれませんが、今はお金があるので、さすがに甘えられません。

 払えるならば、きっちりと払わせて頂きますとも。

 それに、こう、娼婦を買う、というこの儀式めいた行為もまた、初心者の俺にとっては興奮すると言いますか、オツなものですので。

「でも、シロスケさん。私を二回分も買ってどうするの?」

 北欧女神様のエルさんが不思議そうに首を傾げてくる。

「え、それは、もちろん、セックスをさせて頂きたいと思っておりますが」

「え? でも、シロスケさん、お昼に3回も出しましたよね?」

「……」

 俺は、スプリンター御姉様レイの言葉を思い出した。


『男は1日1回出せば、大満足らしいわよ』


 そうだ、俺、今日はもう既に3回も出してた。

 しかも15分以内に。

 この異世界においては、この回数だけでも異常なのだが、時間もきっと異常だろう。

「もしかして、同情ですか?」

 エルさんが少し寂しそうに問いかけてくる。

「いえいえいえいえいえ」

 俺は、「ぶんぶん」と三度目の顔を左右に振った。

 さて、どうしたものか。

 とは、悩んではみるものの、既に俺の中には、何となく直感めいたものが浮かんでいた。

 たぶん、ここが、俺の異世界での生き方の分かれ道になるだろう、と。

 ここで、常人ぶれば、たぶん、きっと、エルさんとは深く付き合ってはいけないと思う。

 元の世界における20歳近くの体に若返らせた俺のお猿さんな性欲が、この異世界の男性達と同じなわけがない。

 たぶん38歳の肉体のままでも、本気を出せば勝てる自信があるほどに、どうやら、この異世界の男性達は性欲が薄いというか低い。

 だからこそ、格好をつけて常人ぶったが最後、俺はエルさんの元に通うことが、苦痛な行為へとなっていきかねない。

 今まではセックスゼロを保つ為の忍耐なので、欲望のコントロールもやりやすかった。

 しかし、楽園の快楽を覚えてしまった今、一人1日1回だけという分量の調整は、正直、厳しい。

 それなら、まだ、無いほうが正気を保てるかもしれない。

 でも、それでは魔素排出ができなくなる。

 そうなってしまえば、俺もエルさんも、お互いに不幸だ。

 ……ならば、行くしかあるまい。

 とことん、突っ切って行こうではないか!

 真面目で優しい北欧女神様のエルさんならば、きっと、大丈夫だ、と思う。

 もし、もしも、嫌われたり、怒られたりするのならば、その時は、きっぱりサッパリと諦めよう。

 良い出会いが欲しいのならば、カードは引き続けるしかないのだ。

 素直に爽やかに、次の女神様を探す旅に出よう。

「お、俺、実は、そのー、1日に何発でも出る体質でして……」

「……へ?」

 元、三ツ星娼館No1であり、娼婦として百戦錬磨の北欧女神様なエルさんでも、俺の言葉の意味を理解するには、少し時間がかかるらしかった。

「え、えーと……本当に?」

「本気を出せば朝昼晩と合計で10発ぐらいなら……」

 嘘です。
 たぶん回復チートも使えば、きっと発射数は無限かもしれません。
 まだ、試したことはないですが。

「ほ、本当に本当? 私のことをからかっていないのシロスケさん?」

「本当の本当です。エルさんに、こんなつまらない嘘はつきません。なので、これからの30分は本当にセックスをして、エルさんの中に出したいと思っています」

「確かにシロスケさんは、15分間で3発も出してましたものね。私の娼婦経験の中でも初めてでしたし、でも、それだけでも凄いのに、更に出る、というのは……、もし、それが本当ならば、実に素敵なことですね!」

 なんか、良い感じに褒められた。

「……ありがとうシロスケさん。今は、そういうことにしておきましょう」

 エルさんは少し頬を染めながら、俺の手を優しく握ってくれる。

「本当か嘘かなんて、どうせ、すぐにでも分かります。でも、それでも、今、そこまで言ってくれるシロスケさんの気持ちは、とても嬉しく思いますよ」

 エルさんが信じてくれたのかどうかは分からない、ただ、喜んではくれているようだ。

 女心は難しいなー。

 エルさんは優しく微笑むと、俺の手を引いて仕事部屋へと誘ってくれる。

 うはー、なんか、緊張するー。

 俺はとてとて、と誘われるままに手を引かれ、エルさんの仕事部屋と入っていくのだった。
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