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カルテNo.1 約四百歳、女性、エルフ、金髪。全身擦過傷、栄養失調
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「お大事に」
「ありがとね。また来るよ」
そうやって送り出す背中はどこか弱々しい。患者を見送る医者は、ぎこちなく微笑んだ。
消えた背中の名残を感じつつ、医者は手元に広げられたカルテに目を向ける。自らが刻んだ汚い字に数行を付け加えると、無造作に診察済みの箱へと投げ入れた。
診察を待っている患者はもういない。残った仕事は、片付けと明日の診療の準備だけ。いつの間にか、外は薄暗くなっていた。
「はぁ、やっと終わった」
大きなため息をつきながら、身体を伸ばす。バキボキと関節を鳴らしながら腕を回すと、多少なりとも肩がほぐされて軽くなった。
誰かの苦しみを背負っているからだろうか。医者の職業病は、肩こり、腰痛だ。
そんな医者の後ろから唐突に声がかかる。
「今日もお疲れ様です、ユーマ様」
そう言いながら、冷たいお茶を差し出すのは銀髪の妙齢の女だった。
スタッフの一人として女性がいるのは当たり前だが、女の容貌はことさら目を引いた。端的に言うと美しい。その中でも、一番目を引くのは銀髪だろう。腰近くまで垂れる銀髪は蛍光灯の光を浴びる度にきらめき、彼女が動くたびに揺れる髪はしなやかに翻る。髪に溶け込むような白い肌、大きな青い瞳、細くしなやかな体、どれをとっても神秘的という言葉が似合いすぎるくらいである。
そんな彼女がユーマへと微笑みかけていた。その微笑みは吸い込まれそうなほど美しく、男であるのなら例外なく心を奪われるに違いない。
だが、ユーマは女の微笑みを軽く受け流し、差し出されたお茶を当然のように受け取った。
「ああ。ありがとな、リファエル。今日も忙しかったろ? お疲れさん」
労いの言葉に、リファエルは満面の笑みだ。
「そんなの当然です。私はユーマ様のためにここにいるんですから。もし迷惑だったら、こんな恰好、していないでしょう?」
そういってくるりとその場で回るリファエルの恰好は、白いワンピースだ。それもただのワンピ―スではない。世間ではナース服と呼ばれるそれを、まるでドレスのように見せつける様は正に白衣の天使だ。
そして、ここはナース服を着ていても違和感のない場所。診療所なのだ。
小さな町の診療所である秦野医院。ここの院長を務める秦野悠馬(はたのゆうま)は今日も診療業務に追われ、一日の仕事を終えたところだった。
診療の補助を行うリファエルは看護師である。だからナース服でいいのだ。コスプレなどではない。断言しておかなければならないのは誰かの趣味で少しだけスカートが短いだとか、今では廃れたナースキャップを付けさせているとか、そんなことはない。決して、ない。
「それでも感謝の気持ちってのは大事だろ? それに、ここにくるじいさん達の半分くらいはリファエル目当てだからな」
「そんなことありません。ユーマ様が体を治してくださるから来ているんですよ。ユーマ様あっての秦野医院です。先代よりも腕がいいって評判なんですから」
「はは、だといいけど。まあ、そんなのはいいや。腹減ったな。早めに仕事を切り上げて、飯にするか、飯に」
悠馬はそう言いながら机に広がっている筆記用具やら聴診器やらを脇にどけるとおもむろに立ち上がった。
「はい。では、着替えてきますね」
そう言って更衣室へと向かうリファエルの後ろ姿を見ながら、もう少し時間がかかるか、と一人ごちる。そして、あせることはないと思い再び椅子へと身体をあずけた。
ぎしりと軋む音は診察室に響く。もう一度、大きく伸びをしながら悠馬は天井を見上げていた。
しみだらけの天井、古びた机と椅子、傷だらけのカルテ棚。そのどれをとっても、自らそろえたものは何もない。すべては前院長であった父親の残したものだ。だからだろうか。悠馬はこの診察室が、いや、この診療所全体がとても居心地がよかった。目をつぶると、幼いころのセピア色の情景がいやがおうにも蘇ってくる。
腰が痛いと週に何度も来るおばあちゃんがくれる煮っ転がしが悠馬は好きだ。
仏頂面したおじいさんは、悠馬がこの病院を継いだ時、心配してくれたのか毎日のように顔を出してくれた。
子どものころから来ているの、と小学生の子どもを連れてくる母親の笑顔が忘れられない。
あんたのおやじさんはとてもいい医者だったんだよ、と先代の院長自慢をする皆が、悠馬は嫌いではない。
そんな診療所の院長である悠馬はまだ二十七歳。大学病院での研修医期間が終わろうというその時に、父親の訃報を聞いて飛んできてみれば、あれよあれよという間にこの秦野医院を継ぐことになっていた。
どたばたとしながら必死で仕事を覚えて始めて早三か月。すでに、五月は終わろうとしていた。
「ユーマ様?」
目を閉じ、想いを巡らせていた悠馬の思考は頭上から降り注いだ美しい響きにゆり起こされた。目を開けると、そこには悠馬を覗き込んだリファエルが迫っている。吐息さえ、重なり合うかのような距離に。
「ばっ――!?」
すぐさま、悠馬はもたれかかっていた椅子から滑り落ちる。打った腰に痛みを感じながらもすぐさま立ち上がり、リファエルへと詰め寄った。
「いきなり目の前にいるとびっくりするって何度も――」
「まぁ、ユーマ様。私はこれだけでは足りません。もっと……そうですね。ユーマ様風に言うと、粘膜と粘膜が重なり合うほどの――」
そう言いながら、リファエルは悠馬へと滑り寄る。咄嗟に振り払おうとする悠馬だったが、すでにリファエルは悠馬の腕をか細い両腕で包み込み、肩には頭を持たれかけている。
「そんな触れ合いは、お望みではないですか?」
甘く囁かれた言葉は吐息となり悠馬の耳元へ。その絶妙な力加減にぞわりと何かを感じる悠馬だったが、慌てて振り払うと、顔を真っ赤にしながら距離をとる。
「ねぇ……ユーマ様?」
リファエルはナース服からすでに着替えており、その姿は清楚なお嬢様といった様相だ。膝丈のプリーツのはいった水色のスカートに白いブラウス。そこに羽織っているカーディガンがリファエルの肌をうまく隠していたが、いつのまにかそれを脱ぎ捨てていた。
自然な動作で椅子にそれをかけると、リファエルは妖艶な笑みで悠馬へと歩を進める。
「おま……そんな冗談」
「冗談でこんなこと言いませんよ?」
一歩、もう一歩。徐々に近づいてくるリファエルの突然の変容に悠馬は対応しきれていなかった。
仕事で疲れていたのもあったのだろうか。珍しく父親のことを思い出していたからだろうか。大した理由が見つからないまま、悠馬は少しずつ後ずさりをして――。
ドンっ、ドン!
「ありがとね。また来るよ」
そうやって送り出す背中はどこか弱々しい。患者を見送る医者は、ぎこちなく微笑んだ。
消えた背中の名残を感じつつ、医者は手元に広げられたカルテに目を向ける。自らが刻んだ汚い字に数行を付け加えると、無造作に診察済みの箱へと投げ入れた。
診察を待っている患者はもういない。残った仕事は、片付けと明日の診療の準備だけ。いつの間にか、外は薄暗くなっていた。
「はぁ、やっと終わった」
大きなため息をつきながら、身体を伸ばす。バキボキと関節を鳴らしながら腕を回すと、多少なりとも肩がほぐされて軽くなった。
誰かの苦しみを背負っているからだろうか。医者の職業病は、肩こり、腰痛だ。
そんな医者の後ろから唐突に声がかかる。
「今日もお疲れ様です、ユーマ様」
そう言いながら、冷たいお茶を差し出すのは銀髪の妙齢の女だった。
スタッフの一人として女性がいるのは当たり前だが、女の容貌はことさら目を引いた。端的に言うと美しい。その中でも、一番目を引くのは銀髪だろう。腰近くまで垂れる銀髪は蛍光灯の光を浴びる度にきらめき、彼女が動くたびに揺れる髪はしなやかに翻る。髪に溶け込むような白い肌、大きな青い瞳、細くしなやかな体、どれをとっても神秘的という言葉が似合いすぎるくらいである。
そんな彼女がユーマへと微笑みかけていた。その微笑みは吸い込まれそうなほど美しく、男であるのなら例外なく心を奪われるに違いない。
だが、ユーマは女の微笑みを軽く受け流し、差し出されたお茶を当然のように受け取った。
「ああ。ありがとな、リファエル。今日も忙しかったろ? お疲れさん」
労いの言葉に、リファエルは満面の笑みだ。
「そんなの当然です。私はユーマ様のためにここにいるんですから。もし迷惑だったら、こんな恰好、していないでしょう?」
そういってくるりとその場で回るリファエルの恰好は、白いワンピースだ。それもただのワンピ―スではない。世間ではナース服と呼ばれるそれを、まるでドレスのように見せつける様は正に白衣の天使だ。
そして、ここはナース服を着ていても違和感のない場所。診療所なのだ。
小さな町の診療所である秦野医院。ここの院長を務める秦野悠馬(はたのゆうま)は今日も診療業務に追われ、一日の仕事を終えたところだった。
診療の補助を行うリファエルは看護師である。だからナース服でいいのだ。コスプレなどではない。断言しておかなければならないのは誰かの趣味で少しだけスカートが短いだとか、今では廃れたナースキャップを付けさせているとか、そんなことはない。決して、ない。
「それでも感謝の気持ちってのは大事だろ? それに、ここにくるじいさん達の半分くらいはリファエル目当てだからな」
「そんなことありません。ユーマ様が体を治してくださるから来ているんですよ。ユーマ様あっての秦野医院です。先代よりも腕がいいって評判なんですから」
「はは、だといいけど。まあ、そんなのはいいや。腹減ったな。早めに仕事を切り上げて、飯にするか、飯に」
悠馬はそう言いながら机に広がっている筆記用具やら聴診器やらを脇にどけるとおもむろに立ち上がった。
「はい。では、着替えてきますね」
そう言って更衣室へと向かうリファエルの後ろ姿を見ながら、もう少し時間がかかるか、と一人ごちる。そして、あせることはないと思い再び椅子へと身体をあずけた。
ぎしりと軋む音は診察室に響く。もう一度、大きく伸びをしながら悠馬は天井を見上げていた。
しみだらけの天井、古びた机と椅子、傷だらけのカルテ棚。そのどれをとっても、自らそろえたものは何もない。すべては前院長であった父親の残したものだ。だからだろうか。悠馬はこの診察室が、いや、この診療所全体がとても居心地がよかった。目をつぶると、幼いころのセピア色の情景がいやがおうにも蘇ってくる。
腰が痛いと週に何度も来るおばあちゃんがくれる煮っ転がしが悠馬は好きだ。
仏頂面したおじいさんは、悠馬がこの病院を継いだ時、心配してくれたのか毎日のように顔を出してくれた。
子どものころから来ているの、と小学生の子どもを連れてくる母親の笑顔が忘れられない。
あんたのおやじさんはとてもいい医者だったんだよ、と先代の院長自慢をする皆が、悠馬は嫌いではない。
そんな診療所の院長である悠馬はまだ二十七歳。大学病院での研修医期間が終わろうというその時に、父親の訃報を聞いて飛んできてみれば、あれよあれよという間にこの秦野医院を継ぐことになっていた。
どたばたとしながら必死で仕事を覚えて始めて早三か月。すでに、五月は終わろうとしていた。
「ユーマ様?」
目を閉じ、想いを巡らせていた悠馬の思考は頭上から降り注いだ美しい響きにゆり起こされた。目を開けると、そこには悠馬を覗き込んだリファエルが迫っている。吐息さえ、重なり合うかのような距離に。
「ばっ――!?」
すぐさま、悠馬はもたれかかっていた椅子から滑り落ちる。打った腰に痛みを感じながらもすぐさま立ち上がり、リファエルへと詰め寄った。
「いきなり目の前にいるとびっくりするって何度も――」
「まぁ、ユーマ様。私はこれだけでは足りません。もっと……そうですね。ユーマ様風に言うと、粘膜と粘膜が重なり合うほどの――」
そう言いながら、リファエルは悠馬へと滑り寄る。咄嗟に振り払おうとする悠馬だったが、すでにリファエルは悠馬の腕をか細い両腕で包み込み、肩には頭を持たれかけている。
「そんな触れ合いは、お望みではないですか?」
甘く囁かれた言葉は吐息となり悠馬の耳元へ。その絶妙な力加減にぞわりと何かを感じる悠馬だったが、慌てて振り払うと、顔を真っ赤にしながら距離をとる。
「ねぇ……ユーマ様?」
リファエルはナース服からすでに着替えており、その姿は清楚なお嬢様といった様相だ。膝丈のプリーツのはいった水色のスカートに白いブラウス。そこに羽織っているカーディガンがリファエルの肌をうまく隠していたが、いつのまにかそれを脱ぎ捨てていた。
自然な動作で椅子にそれをかけると、リファエルは妖艶な笑みで悠馬へと歩を進める。
「おま……そんな冗談」
「冗談でこんなこと言いませんよ?」
一歩、もう一歩。徐々に近づいてくるリファエルの突然の変容に悠馬は対応しきれていなかった。
仕事で疲れていたのもあったのだろうか。珍しく父親のことを思い出していたからだろうか。大した理由が見つからないまま、悠馬は少しずつ後ずさりをして――。
ドンっ、ドン!
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