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犬系彼氏

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私の彼氏はかわいい。いつも笑顔で明るく、周りの人との距離感を掴むのが上手い。だからたくさんの人たちに囲まれて楽しそうに話しているのを毎日のように見かける。それに対して私は真逆。口下手で人と話すことにコンプレックスを感じていた私は人気者の彼に劣等感を持つようになっていった。彼は一切悪くないのにそんなことを思う自分がとても嫌だった。
「別れよう」
関口きってきっぱりと言った。意味がわからないといった様子で固まる彼に心が痛む。
「え、なんで?僕なんか嫌なことしちゃった?」
「他に好きな人がいるから。ごめん」
嘘をついていることに決まりが悪くなり彼から目を逸らし身をひるがえして逃げ出そうとした。
「やだ、待って見捨てないで」
彼にぎゅうっと抱きしめられる。
「離して」
その腕が震えているのに気づかないふりをしてわざと強い言い方で突き放す。
「もう好きじゃないの!」
「やだ。やだやだやだ!そんなこと言わないで…!絶対別れない、別れたくない…っ」
お腹に回された手が段々ときつくなっていく。少し焦りながらも冷静な様子を繕って訴える。
「ごめん。今までありがとう」
「な、にそれ。」
回された手を解こうとひっぱればひっぱるほど締め付ける強さは増すばかりだ。
「……ーない。」
「え?」
地を這うような低い声に嫌な汗が流れる。
「絶対に離さない。君は僕のものなんだから」
首に軽い衝撃が走ったあと私は呆気なく意識を手放してしまった。



「あ!おきた?」
「…え…?」
彼は人懐っこそうな顔でにこにこしながら問いかけた。
私、なにしてたんだっけ…。別れ話をしてて…。
本当だったらもうとっくに出るはずの家にいることと、別れ話のときの記憶が混濁する。


カチャ


金属が軽くぶつかり合う音がした。自分の手から。
「え?」
手錠。ベットサイドに繋がれた鎖。明らかに想定外なことに理解が追いつかない。
「僕ずーっと考えてたんだ」
彼の手が愛しむように鎖をなぞる。
「君を僕のものだけにする方法を」
目の前にいるのはいつもの彼だった。
「でももう分かったよ」
それなのに、違う。笑みを浮かべているのに、その目は仄暗い。



「こうすればよかったんだね」


【監禁エンド】
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