220 / 228
第九章 俺様、ダンジョンに潜る
24、考えようによってはそう悪い状況じゃない
しおりを挟む
『ここまで来て、速度が落ちるなど!』
「道がわかっているのはどこまでだ?」
「次の階層は最後まで行けるぞ。その次の階層に入る前の広間でやられた」
憤慨している俺と違い、アルベルトが落ち着いた調子で1号に問いただす。
あれ? もしかして、焦ったのって俺だけ?
1号もいつもより少し真面目な調子で答えている。
「敵は?」
「ミノタウロスってわかるか?」
「「!」」
1号の情報に、レガメのメンバーが息を呑む。
ミノタウロス。このダンジョンの深層の階層ボスで、レガメにとってはパーティーメンバーを殺した因縁の相手。俺が手助けしてやって、仇はその場で討ったけど。
あの時大苦戦した相手に今の自分たちがどれだけ戦えるかと闘志を燃やし始めている。
「これまでの敵とは桁違いの強さだ。中層ボスのバジリスクもいたんだが、一瞬で真っ二つにされてた」
敵同士共闘するってことはないのか。
バジリスクはオークキングと共闘してたのにな。
まぁ、モンスターの考えなんて俺にはわからんよ。
「黒モンスターの群れもいて、潰し合っている間にすり抜けようとしたんだが無理だった」
分体たちは巻き込まれてしまったらしい。
フィールドを埋め尽くすほどの黒いうねりの中ミノタウロスが大暴れ。
黒モンスターは黒モンスターで、ミノタウロスを無視して奥へ行くことを優先しているのか他の黒モンスターがやられてる隙をついて駆け抜けていったらしい。
『おぉ、黒モンスターに追いつけそうだな』
ミノタウロスが多少は足止めになってくれたようだ。
急げば、ミノタウロスにやられた黒モンスターの結晶も回収できるかもしれん。
ミノタウロスに倒されたぶんアミールの下にたどり着く黒モンスターの数も減ってるし。考えようによってはそう悪い状況じゃないぞ。
「ミノタウロスはミノタウロスで、進路上にいるやつだけ倒してまっすぐにこっちに向かってきてるように見えた」
なるほど? ならば、早ければ次の階層に向かう途中で遭遇する可能性もあるか。
「どうする?」
1号が全員に問う。
どこかに身を潜めてやり過ごすか、罠を張って迎え撃つか、遭遇したら戦うというこれまでのスタンスを維持して突き進むか。
アルベルト達は万全を期して戦いたいみたいだが、俺としては倒された黒モンスターの結晶を回収するためにもここはやり過ごして先へ急ぎたいところ。
『決まっておろう。このまま進む』
「だが、ミノタウロスに対する備えは」
『レベルも上がった。装備も新調した。何より一度倒した相手だ』
待ち伏せるなんて、時間の無駄だ。
一度戦ったことがあるからミノタウロスが強いのは知っている。
やっと骨ある奴が出てきたというワクワク感はある。だが。
あれからだいぶレベルも上がったし、黒結晶も取り込んで強くなった。
負ける気がしないんだよな。
「まぁ、リージェだしな」
「リージェらしいな」
「さすが、リージェ様ですわ」
おいこら。
キラキラした目で俺を見つめてくるルシアちゃんはともかく。その呆れたような笑い顔はなんだ。
俺が無鉄砲の考えなしとでも言いたいのか。失礼な。
『ともかく、急ぐぞ』
休憩は終わりだ、とルシアちゃんと1号、ベルナルド先生を担ぐ。
進みだすと、他のメンバーも慌てて追いかけてきた。
『ルシア、作って欲しいものがある。ベルナルド先生はMP回復のために休んでいろ』
「はい」
「わかった」
ミノタウロスを軽視するわけじゃないが、アミールと偽女神対策も進めなければならない。
ルシアちゃんが俺に頼まれたものの作成に集中し始めたのを邪魔しないよう気を付けながら、アルベルト達とミノタウロス戦の作戦会議。
封印の鈴を使ってガチンコ対決となったら、ミノタウロスと膂力で渡りあえるのは俺くらいだろう。実際のステータスを見てみないとどうとも言えないが。
『ミノタウロスの姿が見えたら、接敵する前にルシアを下ろす。エミーリオとジルベルタは攻撃がルシアに届かないよう守ってやってくれ』
「私だって戦える!」
「悪いが足手まといだ」
開口一番、指示に異を唱えるジルベルタ。
はっきりと言い切ったアルベルトの言葉に、気分を害したのが表情の変化でわかる。
「だ「ジルベルタが役に立たないとか、作戦に加わるなと言っているわけじゃないよ」
反論しようと口を開いたジルベルタの言葉を遮り、ドナートが言う。
その言葉に、他のメンバーも頷きで返す。
「当時レベル90を超えてた俺たちでさえ、仲間を死なせてしまった相手だ。言い方が悪いのは認めるが、ミノタウロスと戦わせるわけにはいかない」
「それに、君の一番重要な役目はルシアの警護だろう?」
「焦らなくても、お前が頑張ってるってのは俺たちも認めてるよ」
言い直すアルベルトに、バルトヴィーノとチェーザーレも言葉を重ねる。
なんか、このやり取りも懐かしいな。
まだ旅を始めたばかりの頃、戦闘に自分も参加すると言って聞かないルシアちゃんを皆で宥めてた。もっと重要な役目があるだろうって。
「わかりました。ジルベルタ、こっちはこっちで役割を決めよう」
「あ、ああ。わかった」
何となくだが、ジルベルタが頬を染めている気がする。
認められてるってわかって嬉しいんだろう。
俺の指示に異論はないらしいエミーリオに呼ばれると、大人しく俺の後方に回った。
雑魚敵が来ないから、歩きながらでも作戦会議は問題なく終わる。
1号が指し示す方向へ進み、地下へと続く洞穴を見つけた時。
俺の索敵に強烈な殺意の塊が反応した。
「道がわかっているのはどこまでだ?」
「次の階層は最後まで行けるぞ。その次の階層に入る前の広間でやられた」
憤慨している俺と違い、アルベルトが落ち着いた調子で1号に問いただす。
あれ? もしかして、焦ったのって俺だけ?
1号もいつもより少し真面目な調子で答えている。
「敵は?」
「ミノタウロスってわかるか?」
「「!」」
1号の情報に、レガメのメンバーが息を呑む。
ミノタウロス。このダンジョンの深層の階層ボスで、レガメにとってはパーティーメンバーを殺した因縁の相手。俺が手助けしてやって、仇はその場で討ったけど。
あの時大苦戦した相手に今の自分たちがどれだけ戦えるかと闘志を燃やし始めている。
「これまでの敵とは桁違いの強さだ。中層ボスのバジリスクもいたんだが、一瞬で真っ二つにされてた」
敵同士共闘するってことはないのか。
バジリスクはオークキングと共闘してたのにな。
まぁ、モンスターの考えなんて俺にはわからんよ。
「黒モンスターの群れもいて、潰し合っている間にすり抜けようとしたんだが無理だった」
分体たちは巻き込まれてしまったらしい。
フィールドを埋め尽くすほどの黒いうねりの中ミノタウロスが大暴れ。
黒モンスターは黒モンスターで、ミノタウロスを無視して奥へ行くことを優先しているのか他の黒モンスターがやられてる隙をついて駆け抜けていったらしい。
『おぉ、黒モンスターに追いつけそうだな』
ミノタウロスが多少は足止めになってくれたようだ。
急げば、ミノタウロスにやられた黒モンスターの結晶も回収できるかもしれん。
ミノタウロスに倒されたぶんアミールの下にたどり着く黒モンスターの数も減ってるし。考えようによってはそう悪い状況じゃないぞ。
「ミノタウロスはミノタウロスで、進路上にいるやつだけ倒してまっすぐにこっちに向かってきてるように見えた」
なるほど? ならば、早ければ次の階層に向かう途中で遭遇する可能性もあるか。
「どうする?」
1号が全員に問う。
どこかに身を潜めてやり過ごすか、罠を張って迎え撃つか、遭遇したら戦うというこれまでのスタンスを維持して突き進むか。
アルベルト達は万全を期して戦いたいみたいだが、俺としては倒された黒モンスターの結晶を回収するためにもここはやり過ごして先へ急ぎたいところ。
『決まっておろう。このまま進む』
「だが、ミノタウロスに対する備えは」
『レベルも上がった。装備も新調した。何より一度倒した相手だ』
待ち伏せるなんて、時間の無駄だ。
一度戦ったことがあるからミノタウロスが強いのは知っている。
やっと骨ある奴が出てきたというワクワク感はある。だが。
あれからだいぶレベルも上がったし、黒結晶も取り込んで強くなった。
負ける気がしないんだよな。
「まぁ、リージェだしな」
「リージェらしいな」
「さすが、リージェ様ですわ」
おいこら。
キラキラした目で俺を見つめてくるルシアちゃんはともかく。その呆れたような笑い顔はなんだ。
俺が無鉄砲の考えなしとでも言いたいのか。失礼な。
『ともかく、急ぐぞ』
休憩は終わりだ、とルシアちゃんと1号、ベルナルド先生を担ぐ。
進みだすと、他のメンバーも慌てて追いかけてきた。
『ルシア、作って欲しいものがある。ベルナルド先生はMP回復のために休んでいろ』
「はい」
「わかった」
ミノタウロスを軽視するわけじゃないが、アミールと偽女神対策も進めなければならない。
ルシアちゃんが俺に頼まれたものの作成に集中し始めたのを邪魔しないよう気を付けながら、アルベルト達とミノタウロス戦の作戦会議。
封印の鈴を使ってガチンコ対決となったら、ミノタウロスと膂力で渡りあえるのは俺くらいだろう。実際のステータスを見てみないとどうとも言えないが。
『ミノタウロスの姿が見えたら、接敵する前にルシアを下ろす。エミーリオとジルベルタは攻撃がルシアに届かないよう守ってやってくれ』
「私だって戦える!」
「悪いが足手まといだ」
開口一番、指示に異を唱えるジルベルタ。
はっきりと言い切ったアルベルトの言葉に、気分を害したのが表情の変化でわかる。
「だ「ジルベルタが役に立たないとか、作戦に加わるなと言っているわけじゃないよ」
反論しようと口を開いたジルベルタの言葉を遮り、ドナートが言う。
その言葉に、他のメンバーも頷きで返す。
「当時レベル90を超えてた俺たちでさえ、仲間を死なせてしまった相手だ。言い方が悪いのは認めるが、ミノタウロスと戦わせるわけにはいかない」
「それに、君の一番重要な役目はルシアの警護だろう?」
「焦らなくても、お前が頑張ってるってのは俺たちも認めてるよ」
言い直すアルベルトに、バルトヴィーノとチェーザーレも言葉を重ねる。
なんか、このやり取りも懐かしいな。
まだ旅を始めたばかりの頃、戦闘に自分も参加すると言って聞かないルシアちゃんを皆で宥めてた。もっと重要な役目があるだろうって。
「わかりました。ジルベルタ、こっちはこっちで役割を決めよう」
「あ、ああ。わかった」
何となくだが、ジルベルタが頬を染めている気がする。
認められてるってわかって嬉しいんだろう。
俺の指示に異論はないらしいエミーリオに呼ばれると、大人しく俺の後方に回った。
雑魚敵が来ないから、歩きながらでも作戦会議は問題なく終わる。
1号が指し示す方向へ進み、地下へと続く洞穴を見つけた時。
俺の索敵に強烈な殺意の塊が反応した。
0
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
聖女にしろなんて誰が言った。もはや我慢の限界!私、逃げます!
猿喰 森繁
ファンタジー
幼いころから我慢を強いられてきた主人公。 異世界に連れてこられても我慢をしてきたが、ついに限界が来てしまった。 数年前から、国から出ていく算段をつけ、ついに国外逃亡。 国の未来と、主人公の未来は、どうなるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる