箱庭のエデン

だいきち

文字の大きさ
上 下
40 / 42

後日譚 二人の恋愛事情 5 *

しおりを挟む
「っどこ触って、ぇ……っ……」
「ん、言ったでしょ」
「ぁ、そんな、とこっ、ま、まって、っ」
「男同士でできるって」
「ぃや、アッん、んむ……っ」
 
 由比都のなけなしの抵抗も、夜見は容易く口付けで塞ぐ。拒む言葉は舌で押し込められ、薄い手のひらで夜見の肩を押し返そうにも難しい。ベットを軋ませて、夜見の濡れた手が由比都の左足を抱えるように持ち上げ、覆い被さってくる。厚みのある体で、押さえ込まれてしまうのだ。
 唇の隙間から、わずかな呼吸のみを許される。味蕾を摩擦するようないやらしい口付けに、夜見の腹で押し潰された性器から白濁が漏れた。
 
「ちゅ、ふ……っ」
「もうちょい、……頑張れる?」
「ぅ、夜見……ゃだ……」
「後でいくらでも殴っていいから、今だけ……お願い」
「っ、ん……」
 
 由比都を見下ろす夜見の顔が、切なそうに笑みを浮かべる。また、由比都の見たことのない顔だ。
 夜見の性器は、由比都のお尻の肉に埋まるように存在を主張してくる。下半身は全然可愛くないのに。夜見はずるい。
 由比都が甘やかしたくなる表情を、きっと理解しているに違いない。
 鼻先が触れ合って、甘えるように何度も唇を啄まれる。結局、ダメだった。由比都が答えるように夜見の唇を啄んでしまったから、調子に乗らせてしまったのだ。
 
「気持ちいって言って、どこが好きか、俺に教えて」

 そう言って、夜見の手が由比都の蕾に触れた。
 出すところで、入れるところじゃない。こんなところで気持ちよくなれるわけがないのに。夜見の頬に擦り寄るように、開かされた足の間へと目を向ける。濡れた夜見の手首に持ち上げられるように、慎ましく勃ち上がった由比都の性器があった。もちりとした袋を、時折手首が押し上げる。無骨な手が由比都の蕾に先走りを塗り込むたび、媚びるように性器が夜見の手首に懐くのだ。
 その、もどかしい性感にまた性器が硬くなって、羞恥を煽る。
 
「きもち、ぃ……」
「いいこ」
「あ、っ……それ、くすぐった、ぃ……っ」
「くすぐったいだけ……?」
「っ……きもち、ぃっ」
 
 夜見の指先が、にゅくりと由比都の蕾に侵入してくる。指の形を覚えるようにちゅうちゅうと吸い付いてしまうから、勝手に腰が持ち上がってしまう。
 太腿に力が入って、指を締め付ける。先程の排泄感とはまた違った感覚が、下腹部に重だるく溜まっていく。
 
「よ、み……っょみ、こぁ、い……っ」
「首に腕回して、くっついてていいから。ん、いいこだね」
「っぁ……い、ぃこ……っ」
「ちゃんと、気持ちいいって言えていいこ」
 
 薄い腹が震えて、夜見の指を締め付ける。
 甘やかすように頬に口付けられ、由比都はいいこだと誉めそやされる。
 胸の奥の、柔らかいところが甘く鳴いて、夜見の熱い体温が嬉しい。尻に押し付けられた太い性器が、由比都の尻を先走りで汚すのだ。
 男の体で、ここまで夜見が興奮している。その事実が、由比都の体を素直にさせる。
 
「っ、ぁ……そ、そこ、っ」
「ここ?」
「ぅあ、っン……っきもち、ぃ……っ」
 
 股の間で、手首を由比都の先走りで汚しながら指を動かす。夜見の鍛えられた胸の谷間を汗が流れて、由比都のお腹にぽたりと落ちる。奥を暴かれるのは慣れなくて怖い。けれど、夜見の頬に己の頬を重ねるようにして抱きつけば、夜見が宥めるように首筋に口付けてくる。
 そうするとすんなりと力が抜けて、また指の挿入が深くなるのだ。

「ぁ……開いちゃ、ぁ、あ」
「二本入ったよ、お腹平気?」
「ぅ……じゅ、うじゅする……ぁ、っ」
「ン、俺のお腹でオナニーしないの」
「腰、がっ、勝手に、っ」
「ああ、じゃあここが由比都の、」
 
 気持ちいところだ。
 夜見が、そう口にした瞬間。由比都の性器は夜見の腹で弾むようにして精液を吹きこぼした。
 かくん、と腰が揺れて、ねばつく白が熱を伴って夜見の割れた腹を汚す。頭に血が上ったように何も考えられない。藍色の瞳を曇らせながら、だらしない顔で荒い呼吸を繰り返す。
 
「っは、ぁ……はあ、あっ、ぁ……っ
「えっち」
「ン、ぃ……っぅあ、あっや、ンめ、っ」
「なんで。上手に体の力抜けてるから、今しかないでしょ」
「ひゃ、あ、ああ、あ、あ、あっそこダメ、えっ」
 
 瞳を大きく見開いて天井を仰ぐ。夜見の楽しげな声が聞こえているのに、体に縋るだけで必死だった。口からは、ひっきりなしにだらしない声が漏れている。全身へと鋭い性感が走り、夜見が指を動かすたびに腰が跳ねる。
 夜見の腹に塗りつけるように先端で精液をかき混ぜながら、聞くに耐えない音を作り出す。
 グチュグチュという内臓をかき混ぜる音が、夜見よって侵されているのだと記憶させる。
 腹の内側でしこったそこを、より一層強く押し潰される。薄い腹が震えて、ガクンと腰が跳ねて、膝から力が抜けた。ベットを軋ませながら身を落とせば、夜見の指が体液を纏いながら引き抜かれた。
 
「頑張れば、中でイけそうだね」
「からだ……っ、変……」
「変じゃないだろ」
 
 夜見の手が胸元に伸びて、ふくりと腫れた胸の突起を摘まれる。鋭い疼痛が胸に走り、かふりと空気を漏らした。
 
「いいこは、なんていうんだっけ」
「っ……きもち、ぃ……」
「可愛い、上手に言えたね」
「っン……」
 
 柔らかく目元を緩ませて、夜見が笑みを浮かべる。素直になった由比都を見て、嬉しそうに笑うのだ。
 夜見の手のひらが頬を撫で、指先が唇に触れて、紋の刻まれた舌を愛でる。
 だらしなく身を投げ出しているのに、体液に塗れた由比都を見下ろして、愛でられる。
 これは、すごくいけない。勘違いをしてしまいそうになる。
 由比都は可愛いんだ。素直で、いい子にしていれば。夜見がいっぱい嬉しいを見せてくれるんだ。
 じゃあ、今だけは、こうして肌を重ねている時だけは、バカになるのもいいかもしれない。
 そんな具合に、おつむが緩くなってしまう。
 
「お……」
「なあに」
「お腹、きもち、ぃ……」
「可愛いね」
「だ、から……、も、もっと、してほし……」

 言葉にするのは、だいぶ気力がいるけど。それでも、呆気にとられた夜見の顔が、額まで赤く染まって悔しそうに歪む。そんな可愛い表情を見れるのなら。由比都は矜持を捨ててはしたなくなれる。
 うるり、と獣みたいに喉を鳴らして、夜見の額が由比都の額と重なる。震える手で頬を包み込むと、顔を傾けるようにして口付ける。
 
「ン、ゆい」
「ふ、ンぅ」
「ゆ、いと」
「ぁ、よ、み」
「ン、待って」
「ゃだ、ほし……」
「~~~~っ」
 
 夜見の言葉を奪うように、啄む口付けを繰り返した。精一杯の甘えたは、効果覿面だったらしい。由比都に体重をかけまいと体を支えていた夜見の腕に力が入る。太い血管が手の甲に浮かび上がり、キツく握り込まれると、夜見は声を絞り出すように宣った。
 
「優しく、したいんだってば……っ」
「ぅ……」
 
 こめかみに血管を浮かび上がらせて、信じられないくらい治安の悪い顔を晒す。大きな獣が、由比都からのを待つように、腹を空かせてお利口にしているのだ。
 火傷しそうなほど熱い性器が、由比都の袋を持ち上げるようにして擦り寄る。重量感のあるそれは先走りをこぼしていた。ぬるつく先端が、指を飲み込んでいた蕾へと当てがわれる。まるで媚を売るように蕾が性器へ吸い付いて、由比都の足は勝手にだらしなくなった。




しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

完結・虐げられオメガ妃なので敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【完結】嘘はBLの始まり

紫紺
BL
現在売り出し中の若手俳優、三條伊織。 突然のオファーは、話題のBL小説『最初で最後のボーイズラブ』の主演!しかもW主演の相手役は彼がずっと憧れていたイケメン俳優の越前享祐だった! 衝撃のBLドラマと現実が同時進行! 俳優同士、秘密のBLストーリーが始まった♡ ※番外編を追加しました!(1/3)  4話追加しますのでよろしくお願いします。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

花いちもんめ

月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。 ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。 大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。 涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。 「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

処理中です...