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始まりの大地編
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ミスティアリオスは歌が好きだった。
いつも秘密の箱庭で、己の魔力を分け与え、株分けをした植物の魔物達の為に歌を歌っては、穏やかなひとときを過ごしていた。
彼の株分けした魔物達は、実に魔物らしくない。ミスティアリオスがその庭に訪れれば、マンドラゴラは白い根のような手足を目一杯広げて喜び、食肉草はその美しい花を咲かせて歓迎する。
木の魔物はその身から樹液を出し、珍しい蝶を誘い、ミスティアリオスの目を楽しませる。
その箱庭の魔物は、皆魔物らしい見た目をしていたが、決してミスティアリオスを襲うようなことはなく、皆一様に彼のことを好いていた。
「可愛い僕の子供達、いつも土からしか養分を与えてあげられなくてすまないね。」
ミスティアリオスは自身の魔力を土への栄養として与えていた。血を好むものには自らの血を与えることもあったが、そのような者たちはミスティアリオスに負担がかからないようにと少量のみ。逆にその遠慮を心配されるといった形が多かった。
「ナターシャ、君、少し葉の艶が良くないね、僕の魔力を多めにあげよう。」
ナターシャと呼ばれた青い花を咲かせる食肉植物は、その葉に手を添えられるとみるみるうちに葉艶を良くし、花弁を模した口からぽこんと種を吐き出した。
食肉草の種子は貴重だ。そして、生態も解明されていない彼らの出産風景は謎に包まれていたのだが、この箱庭の中ではあらゆる植物の魔物達が気を許し、伸び伸びと育まれている。
ミスティアリオスもまた、大袈裟に驚くようなこともなく種を両手で受け止めると、その愛らしい顔をバラ色に染めながらナターシャを見上げた。
「ええ!君、孕んでいたのか。おめでとう…、この子は君の側に植えようか。」
粘液にまみれた種子も厭わずに微笑むと、ナターシャの根付く隣の土に触れた。ここでいいか確認するように見上げれば、シュルリと伸びた蔓で手前に誘導された。
母としての一面を見せるナターシャに微笑むと、ミスティアリオスはそれに応えるように、足元の土に種を植えた。
狭い箱庭だ。産み落とした種子が壊されることも、奪われることもない。ナターシャもそれがわかっているから側に植えて欲しいのだと、ミスティアリオスは正しく理解している。
苗床が決まったら、必要なのは水だった。ミスティアリオスはマンドラゴラのライスに手伝って貰い、ナターシャとその子供のために水を汲みに行く。
ナターシャは食肉草の素質のせいか、無精なところがあった。本当なら根を動かして歩けるはずなのに、移動が出来ないふりをして甘やかされるのが好きなのだ。
ミスティアリオスは手のかかる彼らが可愛く、おめでたいことがあれば、こうしてお供を連れて近くの川辺まで水を汲みに行っていた。
エルフの住まう幻惑の森に流れる小川は細い。普段ならそれでも事足りるのだが、先日降った雨で少しばかし濁っていた。
せっかくあげるなら綺麗な水がいいよね。そうライスに語りかけながら、森の入口に近い川辺りまで歩く。
コロコロとした石が気になるらしい。ライスは小さな手に小石を乗せながら、ミスティアリオスにひょこひょことついていく。まるで小さい子のような身長のライスは、マンドラゴラだというのに叫ぶこともせずに大人しい。
「ライス、次の子の名前はどうしよう。花の色を見て決めたほうがいいかな。」
その野菜のような葉を震わして飛び跳ねる。意思の疎通はできなくても、話しかけられることが好きなのだ。その根菜のような頭を撫でてやり、水を汲んだ桶を抱え来た道を戻ろうとした、その時だった。
「う、っ」
かくんとミスティアリオスの体が崩折れた。ライスに覆いかぶさるようにして川辺に倒れ込む。唐突な衝撃にバランスを保つことができなかったのだ。
細い体は簡単に崩れ、手にしていた桶の中身は川辺の砂利に全て吸われてしまった。
一体何が起きたのだ。ミスティアリオスは、脇腹を襲った痛みに呻くようにして蹲った。
ライスがもぞもぞとミスティアリオスの下から這い出る。その、ライスの白い体に付着した赤い血液に目を見開くと、恐る恐る己の脇腹に触れた。
「え、っ…」
「見つけた!!エルフだ!!」
「っ、」
ミスティアリオスは、飛んできた粗野な声に動揺し、慌てて見つからないうちにライスを抱き込んだのだ。
自分なんかよりも、マンドラゴラであるライスが攻撃されて、人を殺してしまうことを恐れたのだ。
薄い腹を貫いた鏃に、その美しい顔を歪める。対岸にいたらしい、川をバシャバシャと渡ってきた野蛮な男達が背後に迫ってくると、ミスティアリオスは細腕に抱き込んだライスに言い聞かせた。
「おねがい、僕の下から土に潜って、箱庭へ帰って。君が捕まらないためにも、お願い!」
ライスは、その葉を震わして返事をした。一刻を争う事態に、正しく己の身の振り方を理解したのだ。
そのまま、ライスは根っこにも見える手で腹の下の小石を掻き分け土を露出させると、葉擦れを起こしながらも、慌ててその身を土中に潜り込ませる。
よかった、これで彼は人を殺さない。土に潜っていったライスを見届けるミスティアリオスが、ホッとしたのも束の間であった。
川辺の砂利を踏み分けるような二人分の足音が近付き、あ、と思った頃には、ミスティアリオスの枯葉色の美しい髪は乱暴に鷲掴まれていた。
無理矢理に顔を挙げさせられる。その唐突な暴力に、美しい顔はわかりやすく怯えの色を宿す。
ミスティアリオスのラブラドライトの瞳が揺れる。なんだこれ、と。
フッ、とよぎった既知感がなんだかはわからない。しかし、ミスティアリオスの戸惑う様子を見た男はにたりと笑うと、まるで、功績は己のものと言うように声高々に叫んだ。
「捕まえたぞ!!これで賞金は俺のものだ!!」
「なんの、こと…」
「知らんのか、なら教えてやろう!エルフの血は妙薬でなあ、死んだ者でも蘇らすことが出来るんだよ!!」
愚かな。小さく呟いた。ミスティアリオスは、その話を知っていた。エルフは歳を取らぬ容姿から、不死の妙薬としてその体が有効であるという。
こちら側からしてみたら、とんでもない話だ。そんな眉唾物の話を信じる者なんているわけがない。ミスティアリオスはその話が出回っていることを耳にしていたが、気にもしていなかった。
同じ姿形をしたものを食べる文化はないに決まっている。そんな、倫理に反することなど起こるわけがない。ミスティアリオスはずっとそう信じてきた。しかし、今まさにその思い込みは覆されようとしている。
まさかこうして、自分がエルフ狩りに会うだなんて、思いもよらなかったのだ。
「や、め…!!」
粗暴な男の手が、ミスティアリオスの口を塞ぐ。乱暴な振る舞いに美しいラブラドライトの瞳を見開けば、その様子を満足げに見つめた男は、河原の砂利の上、華奢な体を叩きつけるかのようにして組み敷いた。
大人の男だ。ミスティアリオスよりも随分と体つきがしっかりとしている。そんな体格のいい男二人に拘束をされ、華奢な体は分かりやすくこわばった。
「ああ、綺麗だなあ。エルフってえのは皆こうなのか?殺すんなら、試してからだっていいよなあ。」
「血だけ貰うなら殺さなくてもいいんじゃねえか?飼うってのも出来んだろう。」
「何いってんだ。血だけが価値じゃねえ。こいつのモツ抜いて、剥製にしたいっつー変態貴族もいるんだぞ。なんにせよ、金のなる木にはちげえねえ。」
「ああ、なるほど。そりゃあ確かに死ななきゃ無理だなあ。」
何を言っているのか、わからなかった。剥製?あまりの言葉の数々に、理解したくないとミスティアリオスの思考は緩慢になっていく。
ゆるゆると首を振る。ミスティアリオスのその様子は、男の加虐心を煽るだけであった。
その細い手首をきつく縛ると、男がその腕を抑えるように跨いで座る。その手が躊躇なく着ていたチュニックの裾を捲くり上げると、もう一人の男はミスティアリオスの足を引き寄せ、己の腰を挟むように押さえ込んだ。
「や、やめ…や、っ…」
「別に逃げたっていいんだぜ?だがな、俺はお前のことを追いかけるぞ。血を辿ってな。そうしたら、俺は里の者を殺す。」
「出来はしない…!!僕らの森は悪意を拒む、お前たちが入ることなんて出来ない!」
「く、はは、あっははは!!」
必死なミスティアリオスの言葉に、二人の男は声を出して大笑いをする。異様な光景を前に、ラブラドライトの瞳は不安げにその瞳を揺らした。
困惑するミスティアリオスの髪を、不躾な手がそっと撫でた。いやらしい手付きでその細い首筋へと手を這わすと、その細腕を片手で押さえた男が優しく囁いた。
「なあ、エルフの森には一箇所だけ揺らぎのある場所がある。知っているか坊や。」
「揺らぎ…?」
「一箇所。そこには魔物の吹き溜まりのような場所があってなあ。そこの結界が緩んでるんだよ。」
「え、…っ?」
ミスティアリオスの頬を指先で擽りながら、心底愉快だとくつくつと笑う。
魔物の吹き溜まり、それは、もしかして箱庭のことか。男の言葉にミスティアリオスは目を見開いた。全身の血が引いていく。
その様子は心当たりがあると言っているようなものであった。
いくら手懐けられた理性のある魔物だとしても、エルフの住む幻惑の森を守っているのは聖属性の結界だ。勿論、それはミスティアリオスだってわかっている。しかし、相対する魔物をその内側に招き入れ、愛しみ育んできたミスティアリオスの手によって、その結界の一部が歪んでしまった。
わざとではない。そう告げたとしても許されないであろう己の冒した過ちを突きつけられ、ミスティアリオスは己の周りの酸素だけが無くなってしまったかのような心地になった。
「そ、んな…ば、ばかな…」
「ああ、お馬鹿な奴がいるよなあ。お陰様で俺たちがこうして招き入れられる。任務としてな。」
「にん、む…」
「ああ、魔物によって緩んだ結界の修復及び討伐。きちんとギルド宛に届いた正式依頼だ。ほうら、」
かさりと音を立てて、男は懐から依頼書を取り出した。そこには、確かに男の行った通りの内容が書かれていた。
そして依頼者の名前には、見慣れた筆跡でミスティアリオスの父親の名前が書かれていた。
「父さま、っ…!!」
「なんだ、肉親に裏切られたのか。可哀想に、慰めてやろうなあ…」
「ひ、い、いやだ、あ、あにうえ!!あにうえたすけてええ!!」
悲鳴を上げ、身を捩りながら抵抗する。しかし体格差があまりにも違いすぎた。
河原のほとりで、砂利をその身に擦り付けるようにしながら抵抗した。大きな手のひらが声を奪うかのように口を覆う。
身動きが取れぬままのミスティアリオスの抵抗を、いやらしい笑みを浮かべて容易くいなすと、その薄い胸に吸い付いた。
ーいやだ、っ…!
ミスティアリオスの見開いた目から、涙が溢れた。まるで、己の招いた愚かに身を蝕まれているかのような心地であった。
乱暴に衣服を剝かれたせいで、ミスティアリオスの白い太腿に赤い線が走る。
頭上で飛び交う心のない言葉に晒され、まだ行為の意味もわからぬまま、混乱を極めるミスティアリオスの下肢に手を這わす。
身に纏っていた下履きを奪うように取り去ると、男は細い両足を抱え上げるようにして、その中心部を晒すように押し開いた。
「ん、んん…っ!?」
ミスティアリオスは、羞恥に顔を染め上げた。己の性器を人前で晒すことに抵抗を覚えたのだ。しかし、あろうことか男は割ひらいた足の間に腰を進めてきた。
かちゃかちゃと軽い金属の擦れあう音がして、滑る何かが己の蕾に押しつけられる。そうして、次いできた肉を割り開かれる強い痛みに、ミスティアリオスの細い足はびくんと跳ね上がった。
「っーーーー!!!」
体が引き裂かれたかのようたった。ミスティアリオスはその背を弓なりに逸らすと、声のない悲鳴を上げる。
全身の血が引いてしまったのではないかと思う程の、激しい悪寒。下腹部に何かが埋め込まれた気持ち悪さに、ごぷりと胃液を零す。
「うわ、吐いちまった。お前でけえんだから慣らしてやらねえと。あーあー、かっわいそ…」
「良いんだよ、どうせ中身はこの穴から抜き出すんだ。少しくらい広げときゃ、クライアントの手間も省けんだろ。」
「う、ぉぇ…っ、」
「汚えなあ。人の服汚すんじゃねえよ。」
全身が寒い。視界が明滅したかと思えば、視覚情報は赤と青が入り混じったかのようなものに塗り替わる。
このまま意識を飛ばせたら、どれほど良かっただろう。しかし、異様な痛みはそれを許さない。
突然、慣らしもせずに挿入されたのだ。ぐったりとした様子で四肢を投げ出し、肩で呼吸を繰り返す。
助けてほしかった。これは、己の愚かが招いた罰だと言うのだろうか。ミスティアリオスの瞳から光が消えていく。
怖い、痛い、だれか、助けて。
ゆらゆらと腰を揺らめかせ始めた男に合わせて、ぷらぷらと情けなく足が揺れた。鏃がささった脇腹からは、腹を突かれる度に鮮血が吹き上げる。
どれくらい揺さぶられ続けていたのだろう。ミスティアリオスの体は傷だらけのまま、失血で意識を朦朧とさせていた。
男たちは楽しそうにその未成熟の体を翫び、鏃の刺さった脇腹には小瓶をあてがい、その血を受け止めた小瓶をいくつか作り上げている。
妙薬というわりに、雑に転がされた瓶たちを横目で見つめる。ミスティアリオスの心は、すでに閉じていた。
「まだ、やっとるのかね。」
その声に、乾いた心に罅が走る。朦朧とした意識を呼び覚ますほどの衝撃に小さく息を呑んだ。聞き慣れた声だ。そして、このはしたない姿を晒していても、声の主はなんの動揺もしない、淡々とした様子であった。
「ああ、あんたも人が悪いぜ、こんなこと俺が言うのもなんだが、なんで俺たちを手引した?」
「金が必要だと言っていたからな。それに、息子は二人もいらん。こいつを連れて帰ったのは失敗だった。お陰で俺は異端者扱いだ。」
ミスティアリオスは、己の父親の声を地べたで聞いていた。粗野な男に犯される己を見る父親の目は、侮蔑を含んだものだった。
父親は、兄のサジタリウスよりも才能に恵まれていたミスティアリオスを疎んでいた。半分しかエルフの血を引かない、人間の血もその身に宿した異端な弟。
妻が死んでから、父親は森を出て食い扶持を稼ぐためにとある貴族の家庭教師として雇われた。そして一夜の過ちを犯した。
「誤算だった。まさか人間があそこまで繁殖力が高いとは知らなかった。それに、サジタリウスが魔女に指名された今、もうミスティアリオスは必要ないのだ。」
耳に入ってくる父親の言葉の数々は、ミスティアリオスを絶望の淵へと立たせる。愛してくれていると、疑いもしなかった。無邪気にその手をねだった、なんてことない家族としての当たり前の日々。それが、根底から覆されてしまったのだ。
父親の心無い言葉を止めるものはいない。ミスティアリオスは耳を塞ぐことを許されなかった。
「ああ、あんたの息子か。しかし可哀想になあ、実の親にそんなこと言われて…おいおい、泣きもしねえよこいつ。」
「ミスティアリオスは駄目だ。サジタリウスを誑かす。やはり高潔なるエルフに人の血が交じるのは良くないな。」
「ヤっといてよく言うぜ、あんただって孕ますくらい楽しんだのだろう?」
「所詮性欲処理程度だ。我らは血筋を重んじる。やはり連れて帰ってくるべきではなかったのだ。魔物を育てるなど、気が狂っているとしか思えんしな。」
耳の奥で、聞こえる。知らない人の声だ。
ミスティアリオスはまるで、水の中にいるようにくぐもって聞こえる大人たちの会話を、他人事のように聞いていた。
涙は出なかった。どうやら、己を愛してくれたのは兄上だけらしい。その事実を前に、やはりそうかと納得した。
兄であるサジタリウスは知らないだろう。父親の、己へと向ける唾棄すべき者を見る顔など。
ーサジ、
「あ、にうえ…」
掠れた声を漏らす。ミスティアリオスの唇は震えていた。
サジタリウス兄上は、生きてくださいと祈るように目を瞑った。長い睫毛の隙間を縫うように、一筋の涙がまろい頬を伝う。
透き通った声の主が、脳内に語りかけるように囁く愛称は、ミスティアリオスが兄に甘えるときによく使うものだった。
「じゃあ、可哀想だけーーー、」
男の声が不自然な途切れ方をした。それは唐突で、なんの前触れもなかった。
ミスティアリオスの薄い胸の上で、重いなにかがゴトリと落ちた。なんだ、と目を開けると、ばしゃりと生ぬるい物がミスティアリオスの白磁の肌に降り注いだ。
「う、う、う、うわあああああ!!!!」
「な、なんっ…!?」
ぽたりとぬるつく雫が、小さな顎から滴る。どしゃりと胸に崩れた首の無い体は、ズルリ、と摺りれるようにしてミスティアリオスの腹の上から降ろされた。
ふわりと香った甘やかな蜜の香りがした。ミスティアリオスの腕を拘束していた男が悲鳴を上げる。そして死体は、その身を持ち上げられるように、ミスティアリオスの上から離れると、静かになった空間で気泡を弾くような軽い音を立てて、食われてしまった。
いつも秘密の箱庭で、己の魔力を分け与え、株分けをした植物の魔物達の為に歌を歌っては、穏やかなひとときを過ごしていた。
彼の株分けした魔物達は、実に魔物らしくない。ミスティアリオスがその庭に訪れれば、マンドラゴラは白い根のような手足を目一杯広げて喜び、食肉草はその美しい花を咲かせて歓迎する。
木の魔物はその身から樹液を出し、珍しい蝶を誘い、ミスティアリオスの目を楽しませる。
その箱庭の魔物は、皆魔物らしい見た目をしていたが、決してミスティアリオスを襲うようなことはなく、皆一様に彼のことを好いていた。
「可愛い僕の子供達、いつも土からしか養分を与えてあげられなくてすまないね。」
ミスティアリオスは自身の魔力を土への栄養として与えていた。血を好むものには自らの血を与えることもあったが、そのような者たちはミスティアリオスに負担がかからないようにと少量のみ。逆にその遠慮を心配されるといった形が多かった。
「ナターシャ、君、少し葉の艶が良くないね、僕の魔力を多めにあげよう。」
ナターシャと呼ばれた青い花を咲かせる食肉植物は、その葉に手を添えられるとみるみるうちに葉艶を良くし、花弁を模した口からぽこんと種を吐き出した。
食肉草の種子は貴重だ。そして、生態も解明されていない彼らの出産風景は謎に包まれていたのだが、この箱庭の中ではあらゆる植物の魔物達が気を許し、伸び伸びと育まれている。
ミスティアリオスもまた、大袈裟に驚くようなこともなく種を両手で受け止めると、その愛らしい顔をバラ色に染めながらナターシャを見上げた。
「ええ!君、孕んでいたのか。おめでとう…、この子は君の側に植えようか。」
粘液にまみれた種子も厭わずに微笑むと、ナターシャの根付く隣の土に触れた。ここでいいか確認するように見上げれば、シュルリと伸びた蔓で手前に誘導された。
母としての一面を見せるナターシャに微笑むと、ミスティアリオスはそれに応えるように、足元の土に種を植えた。
狭い箱庭だ。産み落とした種子が壊されることも、奪われることもない。ナターシャもそれがわかっているから側に植えて欲しいのだと、ミスティアリオスは正しく理解している。
苗床が決まったら、必要なのは水だった。ミスティアリオスはマンドラゴラのライスに手伝って貰い、ナターシャとその子供のために水を汲みに行く。
ナターシャは食肉草の素質のせいか、無精なところがあった。本当なら根を動かして歩けるはずなのに、移動が出来ないふりをして甘やかされるのが好きなのだ。
ミスティアリオスは手のかかる彼らが可愛く、おめでたいことがあれば、こうしてお供を連れて近くの川辺まで水を汲みに行っていた。
エルフの住まう幻惑の森に流れる小川は細い。普段ならそれでも事足りるのだが、先日降った雨で少しばかし濁っていた。
せっかくあげるなら綺麗な水がいいよね。そうライスに語りかけながら、森の入口に近い川辺りまで歩く。
コロコロとした石が気になるらしい。ライスは小さな手に小石を乗せながら、ミスティアリオスにひょこひょことついていく。まるで小さい子のような身長のライスは、マンドラゴラだというのに叫ぶこともせずに大人しい。
「ライス、次の子の名前はどうしよう。花の色を見て決めたほうがいいかな。」
その野菜のような葉を震わして飛び跳ねる。意思の疎通はできなくても、話しかけられることが好きなのだ。その根菜のような頭を撫でてやり、水を汲んだ桶を抱え来た道を戻ろうとした、その時だった。
「う、っ」
かくんとミスティアリオスの体が崩折れた。ライスに覆いかぶさるようにして川辺に倒れ込む。唐突な衝撃にバランスを保つことができなかったのだ。
細い体は簡単に崩れ、手にしていた桶の中身は川辺の砂利に全て吸われてしまった。
一体何が起きたのだ。ミスティアリオスは、脇腹を襲った痛みに呻くようにして蹲った。
ライスがもぞもぞとミスティアリオスの下から這い出る。その、ライスの白い体に付着した赤い血液に目を見開くと、恐る恐る己の脇腹に触れた。
「え、っ…」
「見つけた!!エルフだ!!」
「っ、」
ミスティアリオスは、飛んできた粗野な声に動揺し、慌てて見つからないうちにライスを抱き込んだのだ。
自分なんかよりも、マンドラゴラであるライスが攻撃されて、人を殺してしまうことを恐れたのだ。
薄い腹を貫いた鏃に、その美しい顔を歪める。対岸にいたらしい、川をバシャバシャと渡ってきた野蛮な男達が背後に迫ってくると、ミスティアリオスは細腕に抱き込んだライスに言い聞かせた。
「おねがい、僕の下から土に潜って、箱庭へ帰って。君が捕まらないためにも、お願い!」
ライスは、その葉を震わして返事をした。一刻を争う事態に、正しく己の身の振り方を理解したのだ。
そのまま、ライスは根っこにも見える手で腹の下の小石を掻き分け土を露出させると、葉擦れを起こしながらも、慌ててその身を土中に潜り込ませる。
よかった、これで彼は人を殺さない。土に潜っていったライスを見届けるミスティアリオスが、ホッとしたのも束の間であった。
川辺の砂利を踏み分けるような二人分の足音が近付き、あ、と思った頃には、ミスティアリオスの枯葉色の美しい髪は乱暴に鷲掴まれていた。
無理矢理に顔を挙げさせられる。その唐突な暴力に、美しい顔はわかりやすく怯えの色を宿す。
ミスティアリオスのラブラドライトの瞳が揺れる。なんだこれ、と。
フッ、とよぎった既知感がなんだかはわからない。しかし、ミスティアリオスの戸惑う様子を見た男はにたりと笑うと、まるで、功績は己のものと言うように声高々に叫んだ。
「捕まえたぞ!!これで賞金は俺のものだ!!」
「なんの、こと…」
「知らんのか、なら教えてやろう!エルフの血は妙薬でなあ、死んだ者でも蘇らすことが出来るんだよ!!」
愚かな。小さく呟いた。ミスティアリオスは、その話を知っていた。エルフは歳を取らぬ容姿から、不死の妙薬としてその体が有効であるという。
こちら側からしてみたら、とんでもない話だ。そんな眉唾物の話を信じる者なんているわけがない。ミスティアリオスはその話が出回っていることを耳にしていたが、気にもしていなかった。
同じ姿形をしたものを食べる文化はないに決まっている。そんな、倫理に反することなど起こるわけがない。ミスティアリオスはずっとそう信じてきた。しかし、今まさにその思い込みは覆されようとしている。
まさかこうして、自分がエルフ狩りに会うだなんて、思いもよらなかったのだ。
「や、め…!!」
粗暴な男の手が、ミスティアリオスの口を塞ぐ。乱暴な振る舞いに美しいラブラドライトの瞳を見開けば、その様子を満足げに見つめた男は、河原の砂利の上、華奢な体を叩きつけるかのようにして組み敷いた。
大人の男だ。ミスティアリオスよりも随分と体つきがしっかりとしている。そんな体格のいい男二人に拘束をされ、華奢な体は分かりやすくこわばった。
「ああ、綺麗だなあ。エルフってえのは皆こうなのか?殺すんなら、試してからだっていいよなあ。」
「血だけ貰うなら殺さなくてもいいんじゃねえか?飼うってのも出来んだろう。」
「何いってんだ。血だけが価値じゃねえ。こいつのモツ抜いて、剥製にしたいっつー変態貴族もいるんだぞ。なんにせよ、金のなる木にはちげえねえ。」
「ああ、なるほど。そりゃあ確かに死ななきゃ無理だなあ。」
何を言っているのか、わからなかった。剥製?あまりの言葉の数々に、理解したくないとミスティアリオスの思考は緩慢になっていく。
ゆるゆると首を振る。ミスティアリオスのその様子は、男の加虐心を煽るだけであった。
その細い手首をきつく縛ると、男がその腕を抑えるように跨いで座る。その手が躊躇なく着ていたチュニックの裾を捲くり上げると、もう一人の男はミスティアリオスの足を引き寄せ、己の腰を挟むように押さえ込んだ。
「や、やめ…や、っ…」
「別に逃げたっていいんだぜ?だがな、俺はお前のことを追いかけるぞ。血を辿ってな。そうしたら、俺は里の者を殺す。」
「出来はしない…!!僕らの森は悪意を拒む、お前たちが入ることなんて出来ない!」
「く、はは、あっははは!!」
必死なミスティアリオスの言葉に、二人の男は声を出して大笑いをする。異様な光景を前に、ラブラドライトの瞳は不安げにその瞳を揺らした。
困惑するミスティアリオスの髪を、不躾な手がそっと撫でた。いやらしい手付きでその細い首筋へと手を這わすと、その細腕を片手で押さえた男が優しく囁いた。
「なあ、エルフの森には一箇所だけ揺らぎのある場所がある。知っているか坊や。」
「揺らぎ…?」
「一箇所。そこには魔物の吹き溜まりのような場所があってなあ。そこの結界が緩んでるんだよ。」
「え、…っ?」
ミスティアリオスの頬を指先で擽りながら、心底愉快だとくつくつと笑う。
魔物の吹き溜まり、それは、もしかして箱庭のことか。男の言葉にミスティアリオスは目を見開いた。全身の血が引いていく。
その様子は心当たりがあると言っているようなものであった。
いくら手懐けられた理性のある魔物だとしても、エルフの住む幻惑の森を守っているのは聖属性の結界だ。勿論、それはミスティアリオスだってわかっている。しかし、相対する魔物をその内側に招き入れ、愛しみ育んできたミスティアリオスの手によって、その結界の一部が歪んでしまった。
わざとではない。そう告げたとしても許されないであろう己の冒した過ちを突きつけられ、ミスティアリオスは己の周りの酸素だけが無くなってしまったかのような心地になった。
「そ、んな…ば、ばかな…」
「ああ、お馬鹿な奴がいるよなあ。お陰様で俺たちがこうして招き入れられる。任務としてな。」
「にん、む…」
「ああ、魔物によって緩んだ結界の修復及び討伐。きちんとギルド宛に届いた正式依頼だ。ほうら、」
かさりと音を立てて、男は懐から依頼書を取り出した。そこには、確かに男の行った通りの内容が書かれていた。
そして依頼者の名前には、見慣れた筆跡でミスティアリオスの父親の名前が書かれていた。
「父さま、っ…!!」
「なんだ、肉親に裏切られたのか。可哀想に、慰めてやろうなあ…」
「ひ、い、いやだ、あ、あにうえ!!あにうえたすけてええ!!」
悲鳴を上げ、身を捩りながら抵抗する。しかし体格差があまりにも違いすぎた。
河原のほとりで、砂利をその身に擦り付けるようにしながら抵抗した。大きな手のひらが声を奪うかのように口を覆う。
身動きが取れぬままのミスティアリオスの抵抗を、いやらしい笑みを浮かべて容易くいなすと、その薄い胸に吸い付いた。
ーいやだ、っ…!
ミスティアリオスの見開いた目から、涙が溢れた。まるで、己の招いた愚かに身を蝕まれているかのような心地であった。
乱暴に衣服を剝かれたせいで、ミスティアリオスの白い太腿に赤い線が走る。
頭上で飛び交う心のない言葉に晒され、まだ行為の意味もわからぬまま、混乱を極めるミスティアリオスの下肢に手を這わす。
身に纏っていた下履きを奪うように取り去ると、男は細い両足を抱え上げるようにして、その中心部を晒すように押し開いた。
「ん、んん…っ!?」
ミスティアリオスは、羞恥に顔を染め上げた。己の性器を人前で晒すことに抵抗を覚えたのだ。しかし、あろうことか男は割ひらいた足の間に腰を進めてきた。
かちゃかちゃと軽い金属の擦れあう音がして、滑る何かが己の蕾に押しつけられる。そうして、次いできた肉を割り開かれる強い痛みに、ミスティアリオスの細い足はびくんと跳ね上がった。
「っーーーー!!!」
体が引き裂かれたかのようたった。ミスティアリオスはその背を弓なりに逸らすと、声のない悲鳴を上げる。
全身の血が引いてしまったのではないかと思う程の、激しい悪寒。下腹部に何かが埋め込まれた気持ち悪さに、ごぷりと胃液を零す。
「うわ、吐いちまった。お前でけえんだから慣らしてやらねえと。あーあー、かっわいそ…」
「良いんだよ、どうせ中身はこの穴から抜き出すんだ。少しくらい広げときゃ、クライアントの手間も省けんだろ。」
「う、ぉぇ…っ、」
「汚えなあ。人の服汚すんじゃねえよ。」
全身が寒い。視界が明滅したかと思えば、視覚情報は赤と青が入り混じったかのようなものに塗り替わる。
このまま意識を飛ばせたら、どれほど良かっただろう。しかし、異様な痛みはそれを許さない。
突然、慣らしもせずに挿入されたのだ。ぐったりとした様子で四肢を投げ出し、肩で呼吸を繰り返す。
助けてほしかった。これは、己の愚かが招いた罰だと言うのだろうか。ミスティアリオスの瞳から光が消えていく。
怖い、痛い、だれか、助けて。
ゆらゆらと腰を揺らめかせ始めた男に合わせて、ぷらぷらと情けなく足が揺れた。鏃がささった脇腹からは、腹を突かれる度に鮮血が吹き上げる。
どれくらい揺さぶられ続けていたのだろう。ミスティアリオスの体は傷だらけのまま、失血で意識を朦朧とさせていた。
男たちは楽しそうにその未成熟の体を翫び、鏃の刺さった脇腹には小瓶をあてがい、その血を受け止めた小瓶をいくつか作り上げている。
妙薬というわりに、雑に転がされた瓶たちを横目で見つめる。ミスティアリオスの心は、すでに閉じていた。
「まだ、やっとるのかね。」
その声に、乾いた心に罅が走る。朦朧とした意識を呼び覚ますほどの衝撃に小さく息を呑んだ。聞き慣れた声だ。そして、このはしたない姿を晒していても、声の主はなんの動揺もしない、淡々とした様子であった。
「ああ、あんたも人が悪いぜ、こんなこと俺が言うのもなんだが、なんで俺たちを手引した?」
「金が必要だと言っていたからな。それに、息子は二人もいらん。こいつを連れて帰ったのは失敗だった。お陰で俺は異端者扱いだ。」
ミスティアリオスは、己の父親の声を地べたで聞いていた。粗野な男に犯される己を見る父親の目は、侮蔑を含んだものだった。
父親は、兄のサジタリウスよりも才能に恵まれていたミスティアリオスを疎んでいた。半分しかエルフの血を引かない、人間の血もその身に宿した異端な弟。
妻が死んでから、父親は森を出て食い扶持を稼ぐためにとある貴族の家庭教師として雇われた。そして一夜の過ちを犯した。
「誤算だった。まさか人間があそこまで繁殖力が高いとは知らなかった。それに、サジタリウスが魔女に指名された今、もうミスティアリオスは必要ないのだ。」
耳に入ってくる父親の言葉の数々は、ミスティアリオスを絶望の淵へと立たせる。愛してくれていると、疑いもしなかった。無邪気にその手をねだった、なんてことない家族としての当たり前の日々。それが、根底から覆されてしまったのだ。
父親の心無い言葉を止めるものはいない。ミスティアリオスは耳を塞ぐことを許されなかった。
「ああ、あんたの息子か。しかし可哀想になあ、実の親にそんなこと言われて…おいおい、泣きもしねえよこいつ。」
「ミスティアリオスは駄目だ。サジタリウスを誑かす。やはり高潔なるエルフに人の血が交じるのは良くないな。」
「ヤっといてよく言うぜ、あんただって孕ますくらい楽しんだのだろう?」
「所詮性欲処理程度だ。我らは血筋を重んじる。やはり連れて帰ってくるべきではなかったのだ。魔物を育てるなど、気が狂っているとしか思えんしな。」
耳の奥で、聞こえる。知らない人の声だ。
ミスティアリオスはまるで、水の中にいるようにくぐもって聞こえる大人たちの会話を、他人事のように聞いていた。
涙は出なかった。どうやら、己を愛してくれたのは兄上だけらしい。その事実を前に、やはりそうかと納得した。
兄であるサジタリウスは知らないだろう。父親の、己へと向ける唾棄すべき者を見る顔など。
ーサジ、
「あ、にうえ…」
掠れた声を漏らす。ミスティアリオスの唇は震えていた。
サジタリウス兄上は、生きてくださいと祈るように目を瞑った。長い睫毛の隙間を縫うように、一筋の涙がまろい頬を伝う。
透き通った声の主が、脳内に語りかけるように囁く愛称は、ミスティアリオスが兄に甘えるときによく使うものだった。
「じゃあ、可哀想だけーーー、」
男の声が不自然な途切れ方をした。それは唐突で、なんの前触れもなかった。
ミスティアリオスの薄い胸の上で、重いなにかがゴトリと落ちた。なんだ、と目を開けると、ばしゃりと生ぬるい物がミスティアリオスの白磁の肌に降り注いだ。
「う、う、う、うわあああああ!!!!」
「な、なんっ…!?」
ぽたりとぬるつく雫が、小さな顎から滴る。どしゃりと胸に崩れた首の無い体は、ズルリ、と摺りれるようにしてミスティアリオスの腹の上から降ろされた。
ふわりと香った甘やかな蜜の香りがした。ミスティアリオスの腕を拘束していた男が悲鳴を上げる。そして死体は、その身を持ち上げられるように、ミスティアリオスの上から離れると、静かになった空間で気泡を弾くような軽い音を立てて、食われてしまった。
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