258 / 325
第五章 大陸戦争編
第246話 古代浮遊遺跡編 奇襲
しおりを挟む
古代浮遊遺跡の森の中に、
ハイガー旅団の旗がたなびいている。
「全員が集まるのは久しぶりですね」
埋もれた瓦礫を覆うように下草が生え、
遺跡群を自然が飲み込もうとしている。
樹々には天幕が張られていた。
「ギュルダンはジョルテシアで?」
あごひげが立派な第二部隊の隊長ドルトロが、
ハイガーと話している。
「ああ、誰にやられたのかは分からん。
雷魔か、例の風使いか……」
古城の跡地で焚火を囲んで十人ほどが酒を飲んでいる。
ハイガー旅団の幹部たちだ。
「気づいたら死んでいた。
いい死に様だった」
ハイガーは当時を思い出し笑顔になる。
「第一部隊長、ギュルダンに」
二人は杯を掲げ、酒を煽った。
「嫌な奴だった」
「そうだな」
ドルトロの言葉にハイガーも答える。
二人は静かに笑った。
「俺も死ぬなら戦いの中で死にたい」
「俺もお前も何年も前から中々死ねないな」
ドルトロは苦笑する。
「殺される前に殺す術が身についちゃってますからね」
「だからこそ長く続けられる」
森の中には6部隊、
計300の部下たちが集まっていた。
森の奥には古代都市の跡地が広がっていた。
巨大な城と城下町だったことが伺える。
昔、ここに住み着いた一族の王国なのか、
今となっては知る由もない。
前方には平原が広がり、
川が光を反射して光っている。
細い石畳の道も数本見えた。
至る所に鳥や蝶が飛んでいた。
牧歌的な風景はとても雲の上とは思えない。
地上では見ることのできない固有種ばかりが生息していて、
独自の生態系が作られていた。
地下内部は何層にも古代文明遺跡があるが、
外側は土や岩がむき出しになっているところが大半で、
長い木の根や草で覆われているところもあった。
古代浮遊遺跡は今日も雲の上を人知れず移動している。
古代遺跡の城の上階、
浮遊遺跡全体を見渡せる部屋に、
南側勢力の主要メンバーが集まっていた。
朽ちかけた城は主にテアトラの資金で、
最低限の部分だけ修理保全されていた。
窓辺の椅子には【千夜の騎士団】カフカスが、
まどろみながら本を読んでいる。
「これはこれはますますお美しくなられまして……
まさかメキア家当主のジュールダン殿が、
直々に軍を率いてこられるとは……」
「久しぶりだなウィド。
その媚びへつらった笑みも、
その大きな腹も変わってなくて嬉しいよ」
長い赤髪のジュールダンは、
特注の黒い鎧に身を包み、
豪華な剣を腰に差している。
かなり高価な名剣だと誰でも分かる代物だ。
「ははは、相変わらず手厳しいですな」
ウィドは禿げ上がった頭をポリポリと掻いた。
……小娘が。調子乗るなよ。
心の内を悟られないように柔和な笑顔を返す。
「ブリムス連合の将軍なんて大した出世だな。
いくらはらったんだ?」
ジュールダンは、
ウィドの無駄に豪華な鎧を見下ろしながら冷笑する。
「ジュールダン殿、ご冗談が過ぎますぞ、はははっ。
それはそうと、あちらがホルダ王国のダキュラ国王です。
北側の侵攻に危機感を持ち、
新たに連合軍に参加してくれました」
「ほう、竜翼人の国だな……」
人の2倍はあろうかという巨体に大きな翼があるので、
圧迫感と迫力が凄い。
部屋がことさら狭く感じる。
「ジュールダン様、そろそろ……」
部下に促され、ジュールダンは全員を長机に集めた。
空中要塞は南側の各勢力が、
一定数の軍を派兵して共同運営していた。
今回、前任の軍の任期切れに伴い、
新たにテアトラとホルダ王国から交代で派兵された。
なお、総司令は常にテアトラ軍出身者が担う。
議題は各戦線への補給、援軍、奇襲などについてだった。
「セキロニア付近は主力軍が充実している。
この辺りからの要請はしばらくないと考えていいだろう」
本営の事情を知っているジュールダンの言葉には説得力があった。
「今はゴーレムが配備されているので、
攻め込まれているところは少ないですな」
ウィドは地図の上に置かれた、
ゴーレムの駒を指差す。
「しかし、半数は破壊されておる」
発言内容とは裏腹に、
カフカスの言い方に危機感はそれほどない。
「苦戦しているのはノクトリア共和国」
ジュールダンは短剣の先で地図を指す。
「獣人の国か……確かに厄介だ」
「キトゥルセンの援軍も来ている」
「誰ですか?」
ウィドがカフカスに訊く。
「七将帝バルバレスの軍だ」
ウィドは苦い顔をした。
「敵側の総大将ではないですか……」
「そうだ。だが仕留めれば……」
ジュールダンは不敵な笑みを浮かべた。
「ダキュラ殿にはここを制圧してもらいたい」
ずっと黙っていた竜翼人は
「よかろう」
と唸るような声で応えた。
「ジョルテシアの占領に、
この浮遊遺跡を使う案が上層部から出ている」
「あそこは陸から行けんからの」
紅茶を飲みながら、
のんびりとカフカスは合いの手を入れた。
「その場合は一旦ガルガンチュアに戻り、
3万ほどの兵を乗せ向かうことになっている」
「それはいつ頃ですか?」
「ひと月ほど先だ。
カフカス殿、古巣とて手加減無きよう……」
ジュールダンは冷たい視線をよこす。
「カフカス殿がいれば安心です」
ピリついた空気を和ませようと、
ウィドは努めて明るい声を出した。
「わしとて〝雷魔〟に瀕死の重傷を負わされた。
あそこには彼女の姉がいる。
襲撃がバレればきっとまた来るじゃろうな。
ほれ、そん時の傷じゃ」
カフカスは上着の前ボタンを外した。
上半身のほとんどが複数の大きな亀裂で埋まっていた。
肉が抉れて焼け焦げた跡に、
ウィドはおろかジュールダンさえも顔が引き攣る。
「我々【千夜の騎士団】にも既に犠牲者が出ておる。
敵を侮らない事じゃ」
「それは……ご自身でも勝てないと申されてるのか?」
ジュールダンは厳しい視線を向ける。
「そうではない。
勝負は時の運ということじゃな。
生きても死んでも楽しんだ者勝ちじゃ」
あっけらかんと笑うカフカスに、
ジュールダンは「呑気なジジイだ」と小さく呟いた。
窓辺に腰掛け、
いつの間にか眠ってしまったカフカスは、
昔の夢を見ていた。
「なんで、こんな力を私は与えられたの?」
隣を飛ぶ少女はよく泣く子だった。
「そう悪く捉えんでもいいんじゃよ。
他の人と違うということは、
他の人には出来ないことが出来るという事」
眼下には大きな街が広がり、
その先には砂漠が見えた。
「……他の人が出来ない事って?」
「例えばほら、
一番ありがたがられるのは魔物退治じゃな。
訓練した兵士だとて、
魔物一匹駆除できないこともままある。
後は敵国に侵攻されたとき、
わしら魔人が前線に立てば、
多くの味方を救えるぞ。
その兵士の両親や奥さんや子供も安心じゃ」
少女は複雑な顔をこちらに向ける。
「でもそれって人を殺すって事ですよね……」
この少女は能力の暴走で、
父親を殺めてしまった。
それを思い出したのか、
急に血の気が引いて、
身体中からバチバチと放電し始めた。
「……今の世では、何もしなければ、
ただ奪われるだけ。
最後は力を持っている人間が笑い、
嘘も真実となり、正しい歴史として残る。
それが残酷な事実なんじゃよ」
「力で解決なんて……
まるで動物……。何のために……」
放電は収まったが、納得していないようだった。
「まあ、わしの言った事は極論として、
わしらはその力を持っているということじゃ。
ただ、魔人の先輩として言える事は、
そんなに細かく考えない方がいいということじゃな。
心をやられてしまう。
魔人として生まれてしまったことはもう変えられん。
ならばこの力を、
何のために使うかを考えた方が良い」
少女はしばらく考え込んだ。
素直な子だと思った時、
「カフカスさんは?」と聞かれた。
「わしは祖国ジョルテシアのためと……
〝大義〟のためじゃな」
「大……義?」
「ネネル、お主は何のためにその力を使う?」
少女は再び考え込む。
「私……私は……」
唐突に爆発音が聞こえ、カフカスは目を覚ました。
更に複数の爆発音。続く振動。
グラスがカタカタと音を立てる。
しばらくして兵士が駆けこんできた。
「敵襲です!!!」
カフカスの目に生気が宿り、
自然と笑みが浮かぶ。
「……来たか、ネネル!」
ハイガー旅団の旗がたなびいている。
「全員が集まるのは久しぶりですね」
埋もれた瓦礫を覆うように下草が生え、
遺跡群を自然が飲み込もうとしている。
樹々には天幕が張られていた。
「ギュルダンはジョルテシアで?」
あごひげが立派な第二部隊の隊長ドルトロが、
ハイガーと話している。
「ああ、誰にやられたのかは分からん。
雷魔か、例の風使いか……」
古城の跡地で焚火を囲んで十人ほどが酒を飲んでいる。
ハイガー旅団の幹部たちだ。
「気づいたら死んでいた。
いい死に様だった」
ハイガーは当時を思い出し笑顔になる。
「第一部隊長、ギュルダンに」
二人は杯を掲げ、酒を煽った。
「嫌な奴だった」
「そうだな」
ドルトロの言葉にハイガーも答える。
二人は静かに笑った。
「俺も死ぬなら戦いの中で死にたい」
「俺もお前も何年も前から中々死ねないな」
ドルトロは苦笑する。
「殺される前に殺す術が身についちゃってますからね」
「だからこそ長く続けられる」
森の中には6部隊、
計300の部下たちが集まっていた。
森の奥には古代都市の跡地が広がっていた。
巨大な城と城下町だったことが伺える。
昔、ここに住み着いた一族の王国なのか、
今となっては知る由もない。
前方には平原が広がり、
川が光を反射して光っている。
細い石畳の道も数本見えた。
至る所に鳥や蝶が飛んでいた。
牧歌的な風景はとても雲の上とは思えない。
地上では見ることのできない固有種ばかりが生息していて、
独自の生態系が作られていた。
地下内部は何層にも古代文明遺跡があるが、
外側は土や岩がむき出しになっているところが大半で、
長い木の根や草で覆われているところもあった。
古代浮遊遺跡は今日も雲の上を人知れず移動している。
古代遺跡の城の上階、
浮遊遺跡全体を見渡せる部屋に、
南側勢力の主要メンバーが集まっていた。
朽ちかけた城は主にテアトラの資金で、
最低限の部分だけ修理保全されていた。
窓辺の椅子には【千夜の騎士団】カフカスが、
まどろみながら本を読んでいる。
「これはこれはますますお美しくなられまして……
まさかメキア家当主のジュールダン殿が、
直々に軍を率いてこられるとは……」
「久しぶりだなウィド。
その媚びへつらった笑みも、
その大きな腹も変わってなくて嬉しいよ」
長い赤髪のジュールダンは、
特注の黒い鎧に身を包み、
豪華な剣を腰に差している。
かなり高価な名剣だと誰でも分かる代物だ。
「ははは、相変わらず手厳しいですな」
ウィドは禿げ上がった頭をポリポリと掻いた。
……小娘が。調子乗るなよ。
心の内を悟られないように柔和な笑顔を返す。
「ブリムス連合の将軍なんて大した出世だな。
いくらはらったんだ?」
ジュールダンは、
ウィドの無駄に豪華な鎧を見下ろしながら冷笑する。
「ジュールダン殿、ご冗談が過ぎますぞ、はははっ。
それはそうと、あちらがホルダ王国のダキュラ国王です。
北側の侵攻に危機感を持ち、
新たに連合軍に参加してくれました」
「ほう、竜翼人の国だな……」
人の2倍はあろうかという巨体に大きな翼があるので、
圧迫感と迫力が凄い。
部屋がことさら狭く感じる。
「ジュールダン様、そろそろ……」
部下に促され、ジュールダンは全員を長机に集めた。
空中要塞は南側の各勢力が、
一定数の軍を派兵して共同運営していた。
今回、前任の軍の任期切れに伴い、
新たにテアトラとホルダ王国から交代で派兵された。
なお、総司令は常にテアトラ軍出身者が担う。
議題は各戦線への補給、援軍、奇襲などについてだった。
「セキロニア付近は主力軍が充実している。
この辺りからの要請はしばらくないと考えていいだろう」
本営の事情を知っているジュールダンの言葉には説得力があった。
「今はゴーレムが配備されているので、
攻め込まれているところは少ないですな」
ウィドは地図の上に置かれた、
ゴーレムの駒を指差す。
「しかし、半数は破壊されておる」
発言内容とは裏腹に、
カフカスの言い方に危機感はそれほどない。
「苦戦しているのはノクトリア共和国」
ジュールダンは短剣の先で地図を指す。
「獣人の国か……確かに厄介だ」
「キトゥルセンの援軍も来ている」
「誰ですか?」
ウィドがカフカスに訊く。
「七将帝バルバレスの軍だ」
ウィドは苦い顔をした。
「敵側の総大将ではないですか……」
「そうだ。だが仕留めれば……」
ジュールダンは不敵な笑みを浮かべた。
「ダキュラ殿にはここを制圧してもらいたい」
ずっと黙っていた竜翼人は
「よかろう」
と唸るような声で応えた。
「ジョルテシアの占領に、
この浮遊遺跡を使う案が上層部から出ている」
「あそこは陸から行けんからの」
紅茶を飲みながら、
のんびりとカフカスは合いの手を入れた。
「その場合は一旦ガルガンチュアに戻り、
3万ほどの兵を乗せ向かうことになっている」
「それはいつ頃ですか?」
「ひと月ほど先だ。
カフカス殿、古巣とて手加減無きよう……」
ジュールダンは冷たい視線をよこす。
「カフカス殿がいれば安心です」
ピリついた空気を和ませようと、
ウィドは努めて明るい声を出した。
「わしとて〝雷魔〟に瀕死の重傷を負わされた。
あそこには彼女の姉がいる。
襲撃がバレればきっとまた来るじゃろうな。
ほれ、そん時の傷じゃ」
カフカスは上着の前ボタンを外した。
上半身のほとんどが複数の大きな亀裂で埋まっていた。
肉が抉れて焼け焦げた跡に、
ウィドはおろかジュールダンさえも顔が引き攣る。
「我々【千夜の騎士団】にも既に犠牲者が出ておる。
敵を侮らない事じゃ」
「それは……ご自身でも勝てないと申されてるのか?」
ジュールダンは厳しい視線を向ける。
「そうではない。
勝負は時の運ということじゃな。
生きても死んでも楽しんだ者勝ちじゃ」
あっけらかんと笑うカフカスに、
ジュールダンは「呑気なジジイだ」と小さく呟いた。
窓辺に腰掛け、
いつの間にか眠ってしまったカフカスは、
昔の夢を見ていた。
「なんで、こんな力を私は与えられたの?」
隣を飛ぶ少女はよく泣く子だった。
「そう悪く捉えんでもいいんじゃよ。
他の人と違うということは、
他の人には出来ないことが出来るという事」
眼下には大きな街が広がり、
その先には砂漠が見えた。
「……他の人が出来ない事って?」
「例えばほら、
一番ありがたがられるのは魔物退治じゃな。
訓練した兵士だとて、
魔物一匹駆除できないこともままある。
後は敵国に侵攻されたとき、
わしら魔人が前線に立てば、
多くの味方を救えるぞ。
その兵士の両親や奥さんや子供も安心じゃ」
少女は複雑な顔をこちらに向ける。
「でもそれって人を殺すって事ですよね……」
この少女は能力の暴走で、
父親を殺めてしまった。
それを思い出したのか、
急に血の気が引いて、
身体中からバチバチと放電し始めた。
「……今の世では、何もしなければ、
ただ奪われるだけ。
最後は力を持っている人間が笑い、
嘘も真実となり、正しい歴史として残る。
それが残酷な事実なんじゃよ」
「力で解決なんて……
まるで動物……。何のために……」
放電は収まったが、納得していないようだった。
「まあ、わしの言った事は極論として、
わしらはその力を持っているということじゃ。
ただ、魔人の先輩として言える事は、
そんなに細かく考えない方がいいということじゃな。
心をやられてしまう。
魔人として生まれてしまったことはもう変えられん。
ならばこの力を、
何のために使うかを考えた方が良い」
少女はしばらく考え込んだ。
素直な子だと思った時、
「カフカスさんは?」と聞かれた。
「わしは祖国ジョルテシアのためと……
〝大義〟のためじゃな」
「大……義?」
「ネネル、お主は何のためにその力を使う?」
少女は再び考え込む。
「私……私は……」
唐突に爆発音が聞こえ、カフカスは目を覚ました。
更に複数の爆発音。続く振動。
グラスがカタカタと音を立てる。
しばらくして兵士が駆けこんできた。
「敵襲です!!!」
カフカスの目に生気が宿り、
自然と笑みが浮かぶ。
「……来たか、ネネル!」
0
お気に入りに追加
242
あなたにおすすめの小説
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
おまけ娘の異世界チート生活〜君がいるこの世界を愛し続ける〜
蓮条緋月
ファンタジー
ファンタジーオタクな芹原緋夜はある日異世界に召喚された。しかし緋夜と共に召喚された少女の方が聖女だと判明。自分は魔力なしスキルなしの一般人だった。訳の分からないうちに納屋のような場所で生活することに。しかも、変な噂のせいで食事も満足に与えてくれない。すれ違えば蔑みの眼差ししか向けられず、自分の護衛さんにも被害が及ぶ始末。気を紛らわすために魔力なしにも関わらず魔法を使えないかといろいろやっていたら次々といろんな属性に加えてスキルも使えるようになっていた。そして勝手に召喚して虐げる連中への怒りと護衛さんへの申し訳なさが頂点に達し国を飛び出した。
行き着いた国で出会ったのは最強と呼ばれるソロ冒険者だった。彼とパーティを組んだ後獣人やエルフも加わり賑やかに。しかも全員美形というおいしい設定付き。そんな人達に愛されながら緋夜は冒険者として仲間と覚醒したチートで無双するー!
※他サイトにて重複掲載しています
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
お妃さま誕生物語
すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。
小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる