アネモネ

ぱる@あいけん風ねこ

文字の大きさ
上 下
32 / 79
06 - 一学年 三学期 冬 -

03

しおりを挟む



◇◆◇



やって来ました週末土曜日。
大倉に教えてもらった、大倉の家の最寄駅に着き、大倉に連絡しようとしたら目の前に居た。




「え、いつから居たの?」
「ん?電車乗ったって連絡来てからすぐ来た」
「そうなんだ」
「うん。行こ?」
「あ、うん」




やべー!めっちゃ緊張して来た…!!
これから、大倉の家に行くんだよ、な?
やべぇやべぇ。意を決して言ったけど、これってすごい事なのでは?!
だって、彼氏の家に遊びに行くって事じゃん。あ…うん、緊張がピークに達しそう。




「そんな緊張せんでも」
「え?!いやっ、だ、だってさ」
「航の家と変わらんよ」
「だ、だよな…」
「うん」




そうだよな…俺ん家に大倉が来るのと、変わんないよな。そうだよ、そう。なに変に緊張してんだ。




「んふ。そんなすぐに取って食わんよ」
「……っは!?」
「んはははっ」




前言撤回。違う。俺ん家に大倉が来るのと全然違う。




そうこうしてるうちに、大倉の家に着いたらしい。
いや、あのさ…、




「…でけぇ」
「普通やろ?」
「いや…家と全然違う…そしてめちゃくちゃ綺麗」
「そう?」
「うん…」




大倉の家は、俺の家よりはるかにデカく、外見からしてもめちゃくちゃ綺麗だった。
簡単に言ってしまえば、俺の家は本当に普通の一軒家なんだけど、大倉の家はモデルハウスか何か?と思わせるような家。
シュッとしてるんだ、シュッと。俺ん家はモッサリしてるけど、大倉ん家はシュッとしてるんだ。




「どうぞ」
「お、お邪魔します…」
「そんな緊張せんで。誰も居らんから」
「あ、うん…」




いやそれ、余計に緊張するんですけど?!
ここには俺と大倉しか居ないって事でしょ?!
余計に緊張するって!!



家の中にお邪魔して思ったのは、家の中も綺麗でシュッとしてる、だった。
俺ん家と比較するのは烏滸がましいけど、俺ん家は荷物がいっぱいある。父さんの趣味の釣り道具が玄関に置いてあったり、母さんの趣味の編み物の道具がリビングに起きっぱなしにしてあったり。
でも大倉の家は、荷物が全然なくて広い玄関に靴も置いてなくて(それは多分誰も居ないからだと思うけど)、俺なんかが本当にお邪魔してもいいんだろうか?と不安になるレベル。




「こっち」
「う、うん…」




大倉に手を引かれ、ニ階に上がって右側の奥が、大倉の部屋らしい。
「どうぞ」と言われて部屋に入ると、これまた綺麗。と言うかものが少なすぎる気がする。
あるのはベッドとサイドテーブル、ローテーブルだけ。勉強机はない。

 …ここが大倉の部屋か…あ…大倉の匂いがする。この匂い、好きなんだよな、俺。

前にカーディガン借りた時に香った匂いがした。




「適当に座ってて。飲み物とか持ってくるから」
「あ、うん。ありがと」




大倉が居なくなって、じっくりと部屋を見る。
いや、こんなことしちゃダメなのは分かってるけど、気になってしまう。

ここで大倉が暮らしてるのか…とか、このベッドでいつも寝てるのか…とか、勉強はどうしてるんだろ?このテーブル使ってるのかな?とか。
引っ越して来たばっかではあるから、もしかしたらそれでこんなに綺麗なのかな?とも思うけど、それにしても綺麗だ。




「座ってないやん」
「え?!あ、ごめん!」
「ええよ。なんか珍しいもんでもあった?」
「いやっ。逆になさすぎて驚いてる」
「そ?」
「うん」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

真冬の痛悔

白鳩 唯斗
BL
 闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。  ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。  主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。  むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。

身の程なら死ぬ程弁えてますのでどうぞご心配なく

かかし
BL
イジメが原因で卑屈になり過ぎて逆に失礼な平凡顔男子が、そんな平凡顔男子を好き過ぎて溺愛している美形とイチャイチャしたり、幼馴染の執着美形にストーカー(見守り)されたりしながら前向きになっていく話 ※イジメや暴力の描写があります ※主人公の性格が、人によっては不快に思われるかもしれません ※少しでも嫌だなと思われましたら直ぐに画面をもどり見なかったことにしてください pixivにて連載し完結した作品です 2022/08/20よりBOOTHにて加筆修正したものをDL販売行います。 お気に入りや感想、本当にありがとうございます! 感謝してもし尽くせません………!

思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった

たけむら
BL
思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった 大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

台風の目はどこだ

あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。 政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。 そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。 ✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台 ✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました) ✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様 ✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様 ✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様 ✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様 ✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。 ✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)

処理中です...