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04 - 一学年 二学期 冬 クリスマス篇 -
05
しおりを挟む会いたいなんて思うわけないじゃん。
てか、会わないようにしてたんだよ。
なんで、こんな日に会っちゃうのかな。
「うーわ。まじで相澤じゃん」
「……佐倉」
1番会いたくなかった奴。
会わないようにしてた奴。
なんて、こんな日に会っちゃうんだろう。
楽しかったのに。大倉と過ごせて楽しかったのに。
「全然変わってないね、お前」
「…まぁ」
「相変わらず陰気くせぇな、お前」
「っ、」
中学の時、率先していじめをしてた奴。
最初にいじめられてた清水に、最悪な事した奴。
俺の、1番大嫌いな奴。
大倉と一緒に居る時に、会いたくなかったな。
どうしよう?大倉から離れた方がいいよな?この感じ。
関係ない振りした方が、絶対にいいよな。
「……っ、」
「離れんで」
「ぇ、?」
大倉を巻き込みたくなくて、大倉に気づかれる前に離れようと思ったのに。
大倉に腕掴まれて離れなれなくなった。
「…誰?そいつ」
「ぁ、」
「…なんでお前に言わなあかんの?」
「は?」
俺の前に出て、佐倉から俺の姿が見えないようにしてくれる大倉の背中を、ただじっと見てるしか出来なかった。
その間、俺の腕はずっと大倉に掴まれたまま。
「何?相澤の彼氏とか?」
「ちがっ、」
ち、がう。違うんだよ…。
だから、大倉を巻き込みたくなかったのに。
大倉にだけは迷惑かけたくなかったのに。
なんでこうなっちゃうんだろう。こめん、大倉。
「だったら?」
「は?」
「俺たちが付き合ってたらあかんの?」
「…まじで言ってんの?」
「だったらあかんの?」
「キモっ。相澤ってホモだったんだ」
「っ、」
どうしよう。否定しないと。
でも声出ない。どうしよう。震えが止まらない。
「お前なんなん?」
「はぁ?」
「俺たちが付き合うてたって関係ないやん」
「は?」
「なん?お前も航の事好きなん?」
「なっ!」
…待って。大倉、何言ってんの?
てか、今名前呼ばなかった?気のせい?あれ?ん?あれ??
「ちょ、大倉」
「航は黙ってて」
「ええ…?」
やっぱり名前呼んだ…!
ごめん。なんか、佐倉ごめん。
今お前のことより、名前呼ばれたことの方が重要かも知れない。
多分、て言うか確実に大倉なりの機転なんだろうけど、名前呼ばれて嬉しいとか、ちょっと俺。どうしよう。
こんな状況で喜ぶとか、可笑しいって、俺。
「何処の誰だか知らんけど、航の名前呼ばんといて」
「っ、」
「虫唾が走るわ」
「っ、テメェ!」
「ダッサ」
「っ、はぁ?!」
「イキるしか脳ないんか」
「っ、」
どうしよう…ねぇ、どうしよう。
大倉がカッコ良すぎる。
なんなの、大倉。どれだけ俺の事好きにさせるの。
関西弁だからか分かんないけど、それもさらにカッコいいとか。やばいって。
「…今後一切、航に関わらんといてや」
「………、」
「関わったら、どうなるか分からへんで」
「っ、クソ」
大倉の迫力に負けたのか、佐倉は連れの人と一緒に何処かに消えた。
俺の心臓は、自分のものとは思えないくらいにドクドク言ってて、口から出てきそうだった。
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