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02 - 一学年 二学期 秋 -
01
しおりを挟む「大倉くん好きです!付き合って下さい!」
「………」
デジャヴだ、デジャヴ。
なんでまた…こんなところで告白されてるんだ、大倉。
2学期が始まって早1ヶ月。
季節は既に秋になっている今日この頃。
寒いけど、ここでの一人の時間は止められない。
ここと言うのは、俺のお気に入りの場所で、屋上の出入り口の脇の、ちょっと物陰になってる場所。
夏は涼しく、冬も涼しく。と言うか寒い。
けど、ここに来る事は止められない。
そもそも、屋上に人が来る事があまりなくて、ちょっとした隠れスポットだったりするんだけど、こうしてたまに、告白スポットにもなってたりする。
だから、大倉以外にも色んな奴らの告白現場を見てしまう事が多々あって、その度に心の中でごめんなさいとめんどくさいが共存してる。
特に今は、告白ラッシュの時期でもある。
ここの学校は珍しく、11月に学園祭が行われる。
それに向けて、みんな恋だの愛だの現を抜かし、告白が盛んに行われてると言う訳だ。
恋かぁ…恋って何?オイシイノ?状態の俺には、関係ない事だけど。
「おるんやろ」
「げ、」
寝そべりながら、秋空をじっくり眺めながら早くいなくならないかなぁ…と思ってたら、また声かけられた。大倉に。
ここ1ヶ月で、大倉とはかなり仲良くなった。と思う。
普通に話すし、何だったら勉強教えてもらったりしちゃってるし。
まぁ、帰り道は逆方向だから放課後遊ぶとかはした事ないけど。
「…よ、」
「…何で毎回おんねん」
「そんなん言われてもさぁ」
俺だって毎回覗きたい訳じゃねぇし…そっちが勝手に来てるだけだし…。
て言うか、大倉って本当にモテるんだなぁ。
これで何回目だ?もう片手じゃ数え切れないくらい告白されてるんじゃね?すげぇな。
「付き合わねぇの?」
「え?」
「さっきの子。学年一のマドンナって言われてる子だろ?」
「知らん」
「知らんって…」
「興味ない」
「ふーん」
イケメンなのに恋しないとか。もったいないなぁ。
俺が大倉くらいにイケメンだったら、取り敢えず付き合っちゃう?的なノリになりそう。
…いや、ならねぇな。
例え、学年一のマドンナでも、年上の綺麗なお姉さんでも、慎重になるかもしんない。
て事は、大倉もそうなのかな?そう言う話した事ねぇから分かんないけど。
「相澤は?」
「え?」
「彼女。作らへんの?」
「あー…そう言うの興味ないんだよね」
「へぇ」
「なんか、めんどくさくねぇ?」
「めんどくさい…」
「そう。好きとか嫌いとか。なんかめんどくさい」
「ほんまにめんどくさがりなんやな」
「まぁね」
なんかさ。好きだの嫌いだの、考えるだけでめんどくさいんだよね。
好きだから何?嫌いだから何?みたいな。
クラスの奴ら見てると特に思う。
彼女がどうとか、彼氏がどうとか。
それで喧嘩しただの、別れただの。
聞いてるだけでめんどくさい。
だったら友達のままでよくね?とか思っちゃう。やっぱ俺って冷めてるんだろうな。
「んー…っ!」
「戻る?」
「うん。学祭の準備手伝わないと真琴に怒られる」
「確かに」
グッて伸びをしてから、大倉と一緒に教室に戻った。
いい加減、準備手伝わないと真琴に怒られる。
あいつ怒ると怖いんだ、まじで。
俺のクラスは、無難に喫茶店をやる事になって、これも真琴が決めたんだけど、大倉がメインの喫茶店らしい。
真琴曰く、「大倉くんの顔面を活かさない手はない!大倉くんの顔面で客集めて学年一位を取るぞ!」って珍しく熱くなってた。
確かに、大倉のイケメンを使えばお客さんは多く来るだろう。
特に喫茶店って事は、服装がそういったものになって、きっとシュッとしててカッコいいだろうとは想像がつく。
だからか、大倉は衣装合わせに忙しく(何種類も着せられてる)、喫茶店の準備が手伝えなくて、それはそれで大変そう。
俺は、真琴にこき使われまくりで、やれ看板作れ、やれ暗幕借りてこいとかもうそれは色々。
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