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四章 椿蓮

百十六話 特異型グロウリー

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簡易集会所として、大木のそばに魔王軍の幹部は集まっていた。人数が大きく欠けているのは見てすぐに分かる。

「…以上で、とりあえずは作戦決定。いい?」

グロウリーは謎が多く、知識のある者はほとんど居ない。そのため皆で意見を出し合い、討伐の為の作戦を立てていた。

「毒の広がりは想像以上に早く、現在第三都まで広がっている模様です」

イシマが皆に告げる。第三都はここから馬車で走り続けても丸二日かかる距離にある。
自体の深刻さが分かったようで、集まった者の中にざわめきが広がる。

「ということだからなるべく迅速に処理しないといけない。人々が活動を始める、日の出前には」
「今までの記録から、グロウリーを討伐すれば毒は消える…はず」

地下水路に毒が流れたと言う情報はすぐに他の街に伝えたが、それでも伝わっていない人は少なからずいるはずだ。

「えっと…暗いから気を付けてね。以上」


「じゃあ行きましょうか」

「はい」

他より一際大きい鎧を着た兵士団の後ろに着いて走り出した。まずはグロウリーがどういう性質であるか確かめなければならない。

崩れた場所から城壁へ数人で登り、様子を伝えた後場合によってはすぐに攻撃開始ということになっている。




「これは…」

城壁の上から見下ろすと、城下町は真っ黒だった。それは単に暗いからというだけではない。松明や火事の炎に照らされた真っ黒なそれは耐えず蠢いていた。

「大きい…」

城下町の半分を占める程の巨体、半球状の身体からは図太い尖った触手がぶんぶんと空を切っていた。

メグリはクロメの手を握る。体が震えているのが自分でも分かった。
ツバキさんと戦った地下水路のグロウリーを思い出す。あれの何十、何百倍という巨体と私は今から戦うんだ。

「大丈夫?」

「えっと…」

クロメさんに問われても、はっきりと「はい」と言えない。本当に私なんかでいいのだろうか。

「じゃあ、私は行くから」

「…はい。お気を付けて」

クロメは城壁を降りる階段へと向かっていった。これからクロメさんは、私とツバキさんが出会った洞窟に行くらしい。
つまり、魔王の剣を継承しに行くのだ。
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