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三章 メグリ

七十二話 メグリと旧友

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「ふう、とりあえず今日は終わりね…、何か聞きたいことはある?」

「じゃあユメちゃん、一つだけ…。どうして魔王軍に?国の役人になったって聞いたんだけど」

「ああ、それはね…。結構上の位についたんだけど、そこで例の事を知っちゃって」

「例の事?」

「王が人間を殺害して、例の術を使おうとしてるかもってことだよ」

「あ、その事を知らせたのってユメちゃんなの?」

「うん。でも術の内容は分からないんだ」

「大きな力を手に入れる、じゃないのか?」

「うん、それはそうなんだけど、でも大きな力ってなんだと思う? 魔力を使わない術で魔力が手に入るとは考えづらいし」

「でも国王はその内容を知ってるんだよな?」

「それは…わからない。自分でも少し調べたんだけど、これまでの術の歴史資料が無くて。でもね」

ユメが少し口角を上げる。

「あのミズリケルンの古城にその記録があるかもしれないの。何しろ…」
「ってそうだ、この話はまだ言えないんだ」

「ええっ、気になるよお」

「ごめんねー、でもツバキさん、あなたはじきに魔王さんから伝えられると思うよ」

「…?ああ」

「まだ何かある?」

「ううん、また今度ゆっくり話そ」

「うん。お大事にね、メグ。じゃあね」

「またねユメちゃん」

ユメがドアから出ていき、それをメグリは手を振って送り出す。ユメは少し名残惜しそうな顔をしていた。

「お前にも友達いたんだな」

「友達くらいいますよ…」

「メグリ、あの人の前だと敬語じゃないんだね」

「ユメちゃん、敬語を直せってうるさくって…あはは」

「メグリさん、お夕食はこちらに持ってきましょうか?」

クルトが入ってきて、メグリがいるのを確認すると近付いてきて言った。

「はい、ありがとうございますクルトさん」

「みなさんもこっちで食べますか? メグリさんも1人で食べたくはないでしょうし」

「ああ、構わない」

「いいよ」

「わかりました。すぐにお持ちしますね。ツバキさん、運ぶのを手伝って頂けますか?」

「わかった」

クルトと連れ立って階段を降り、キッチンに入ってお盆に乗せた皿を抱えた。
運ぼうとしたところでクルトに声を掛けられた。

「ツバキさん」

「ん?」

「後遺症こそありませんが、メグリさんの身体への負荷は相当なものです。この先こういう事が相次ぐとメグリさんの命にも関わります」
「メグリさんを、守ってあげて下さいね」

「…わかってる」
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