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教会にて薄緑色に発光する聖女…。え?薄緑?
しおりを挟む「んあー!ひーまーだー!」
唐突ですが、私はとても暇なんです。
ここ1ヶ月はレイとヴェルと3人で互いの事を話し合ったり、カードゲームをしたり、頂きあったりと怠惰な生活...もとい蜜月みたいな毎日を過ごしていた。
だが、もうトランプは見たくないしチェスも見たくない。
「部屋からでたぁーい!お外!お外に行きたいー!」
布団の上でバタバタと駄々をこね出した私を見て、2人は顔を見合せていた。
「優里様、商人を呼んでお買い物でもしますか?」
「結局部屋から出てないっ!」
「では、王都にある教会にでもいってみますか?」
「教会?部屋から出れるならどこでも行くっ!」
レイの教会に行かないかと言う案に対し、二つ返事で行くとかえした私を見たヴェルは眉を下げて笑っていた。
この笑みは完全に我儘を言う妹を見る目だ。
でも、いいんだ。部屋から出られるのならその目で見られようと良いんだ!
メイド達によって歩きやすい服装にしてもらった私は、レイとヴェルから離れないと言う約束を交わし、教会へと行けることになった。
「ふーふーん、ふふん、ふふーん」
私の適当な鼻歌が馬車の中に響く。
馬車がガタガタと煩いのだが、私の鼻歌も負けていない。
レイは私と出掛ける事が楽しいのか、ニコニコと機嫌が凄くいい
ヴェルは私と出掛ける事に緊張している様で、その瞳が忙しなく動いている。
「教会に行ったら何したらいいんだろう?」
ふと、私が疑問に思いそう呟くと、レイが教えてくれた。
どうやら歴代聖女様が教会に行くと、不思議な事が起こる様な事例があるとの事らしい。なので特に何かをしないといけない訳ではなく、教会に行く事が大切だと言うのだ。
私はそれを聞いて『へー?』とは思ったが、いまいち理解できないままだった。
まぁ、教会に行ったら『この世界に召喚されて嬉しい!ありがとう!』って祈ろう。
そんな事を考えながら、王都の街並みをぼーっと見ていた。
...気付けば馬車は教会に到着していて、私が馬車の中でレイの肩に頭を乗せて寝ていた。
「優里様、優里様、教会につきましたよ」
そういうレイの声に目を開けると、目の前に私を見つめているヴェルの顔があり、なんだか嬉しくなってしまいつい笑ってしまった。
二人がそんな私を見て顔を赤くするが、私は二人のそんな表情を見れて嬉しいなと思った。
この顔で産まれたことを呪った時期も過去に少しだけあったが…それがこの二人の為だったと思えば全て許せる様な気がした。
そして私はレイとヴェルにエスコートされながら教会へと向かったのだった。
「今日はお越しくださりありがとうございます」
そう言って私たちを迎えてくれたのはとても背の高い綺麗な女性だった。
(あ、でもこの世界で言うと不細工になっちゃうのか?)
少し気の強そうな顔をしている(前世で言うとパリコレモデルの様な)女性のオーラに圧倒されていると、その女性は一瞬顔を顰めた後に笑顔で教会の中を案内してくれた。
「本当は神官長がご案内する筈だったのですが...諸事情によりここへ来ることが叶わなくなってしまった為、僭越ながら私が神官長の代わりを努めさせて頂くことになりました。」
道中そう言いながら謝ってきた女性だが、あれから1度も私と目を合わせてくれなくなってしまった。
レイやヴェルとは目線を合わせている事から、私の事が好きじゃないのだと何となくだが察してしまったのだ。
そう言った女性の声色はとても申し訳なさそうにしていたが、ちらりと見たその横顔は無表情で…少し怖かった。
(こんな綺麗な人と友達になれたら良かったけど無理そうだぁ~)
そう思った私の眉が少し下がったのは仕方がないと思う。
男の人でも女の人でも綺麗な人を見ると幸せな気分になるのは世の常だと思う。
(神官長の諸事情って何だろう?)
少しだけ気になったが、私はこの女性が私を何故嫌いなのかが気になってしまい、その事はあまり深く考えなかった。
☆
祈りの場に到着した私は女神様の像の目の前までゆき、ゆっくりと跪いて目を瞑り祈りを捧げた。
目をつぶっていてもわかる程に、何処かから激しい光を感じた。
私は驚いて目を開けようとしたが、その前に異変に気づいて驚いた。
『再生、暴力、愛、何を望む?』
それは、私の耳元で誰かがそう問いかけてきたからだった。
私が動揺しているとまた、先程の問いが耳元で繰り返された。
私はその三択で悩んだが、相手が何を前提にしてその問いを私にしてきているのかが分からない為、一番無難そうな『再生』を選択することに。
愛も少しは考えたのだが、今私は十分愛を注いでいるし注がれているから不要だと考えたのだ。
『再生でお願いします。』
私が頭の中でそう伝えると、お腹の奥から何かが広がってゆくような感じがした。
例えるならば熱い飲み物を飲んだ時に胃の中がじわりと暖かくなるような...なんとも言えないそんな感じだ。
私がその感覚に驚き目を開けると、私の体が薄緑色に光っていた。
掌を見てみると、薄緑色に淡く光っていて...何だか微妙な気持ちになった。
(なんで薄緑?!金色とか黄色とか...普通そうじゃないの?!なんか...なんというか...微妙何だけど?!)
私が掌を眺めながらなんとも言えない気持ちになっていると、やけに周りが静かな事が気になった。
私が周囲を見渡すと、この場にいる皆が私を見て唖然としていた。
(あー...全身薄緑色に発光してたらそんな顔にはなるよね)
私は苦笑いしつつ、納得したのだった。
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