6 / 10
伯爵の家
しおりを挟む
伯爵家は街の西側にあった。
門の柵から広い庭が見える。
ここまで来たが、どうやって伯爵に会おうかリズは考える。
待ち伏せか強行突破か。
「こんにちは。リズ・ハーベットさん」
後ろから不意に声をかけられた。
リズは飛び退き身構える。
相手は敵意がないとばかりに両手をあげても掌を見せる。
黒い服の見覚えのある顔。
「こんにちは。クリスさん」
警戒したままリズは挨拶をする。
クリスの体格は華奢な方だ。学生という者は体力には自信がない印象がある。
ーー万が一戦いになっても勝てるかも
リズは呼吸を整える。
「驚かしてごめん。君に危害を加えるつもりはないよ」
「前も気になったんだけど、その右手の怪我はなに?」
「ああ、ちょっとナイフで切ってね」
リズは警戒を強める。
「他の誰かには危害を加えるの?」
「それは君の家にいる誰かのことかい?」
クリスは目を細めた。
ゆっくりと手を下ろすと、右手の包帯をほどき傷口を見せた。
ざっくりと斜めに走ったナイフの跡だ。
「これは、そいつにやられた」
「反撃されたの?」
「反撃したのは僕だよ」
クリスは再び包帯を巻き直す。
リズは警戒を緩めない。
しかし、クリスから敵意を感じないのも事実で困惑してた。
「彼は此処の息子さんね」
リズの言葉にクリスは顔を歪めた。
「残念だけど、あの話はそんな美談じゃないよ。ここの息子はもう亡くなってるよ。恐らく、ね」
そう言うと、クリスは伯爵家の門のベルを鳴らした。
中から出てきた召し使いが門をあける。
「アレクスはいるかな。アレクスの叔父さんは?」
「アレクス様はいらっしゃいます。伯爵様は外出しております」
「それは良かった。さぁ、ハーベットさんも入って」
リズは呆気に取られた。
頭が混乱してる。
「説明するよ」
その言葉に頷き、屋敷の中へと入った。
門の柵から広い庭が見える。
ここまで来たが、どうやって伯爵に会おうかリズは考える。
待ち伏せか強行突破か。
「こんにちは。リズ・ハーベットさん」
後ろから不意に声をかけられた。
リズは飛び退き身構える。
相手は敵意がないとばかりに両手をあげても掌を見せる。
黒い服の見覚えのある顔。
「こんにちは。クリスさん」
警戒したままリズは挨拶をする。
クリスの体格は華奢な方だ。学生という者は体力には自信がない印象がある。
ーー万が一戦いになっても勝てるかも
リズは呼吸を整える。
「驚かしてごめん。君に危害を加えるつもりはないよ」
「前も気になったんだけど、その右手の怪我はなに?」
「ああ、ちょっとナイフで切ってね」
リズは警戒を強める。
「他の誰かには危害を加えるの?」
「それは君の家にいる誰かのことかい?」
クリスは目を細めた。
ゆっくりと手を下ろすと、右手の包帯をほどき傷口を見せた。
ざっくりと斜めに走ったナイフの跡だ。
「これは、そいつにやられた」
「反撃されたの?」
「反撃したのは僕だよ」
クリスは再び包帯を巻き直す。
リズは警戒を緩めない。
しかし、クリスから敵意を感じないのも事実で困惑してた。
「彼は此処の息子さんね」
リズの言葉にクリスは顔を歪めた。
「残念だけど、あの話はそんな美談じゃないよ。ここの息子はもう亡くなってるよ。恐らく、ね」
そう言うと、クリスは伯爵家の門のベルを鳴らした。
中から出てきた召し使いが門をあける。
「アレクスはいるかな。アレクスの叔父さんは?」
「アレクス様はいらっしゃいます。伯爵様は外出しております」
「それは良かった。さぁ、ハーベットさんも入って」
リズは呆気に取られた。
頭が混乱してる。
「説明するよ」
その言葉に頷き、屋敷の中へと入った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】ヒトリぼっちの陰キャなEランク冒険者
コル
ファンタジー
人間、亜人、獣人、魔物といった様々な種族が生きる大陸『リトーレス』。
中央付近には、この大地を統べる国王デイヴィッド・ルノシラ六世が住む大きくて立派な城がたたずんでいる『ルノシラ王国』があり、王国は城を中心に城下町が広がっている。
その城下町の一角には冒険者ギルドの建物が建っていた。
ある者は名をあげようと、ある者は人助けの為、ある者は宝を求め……様々な想いを胸に冒険者達が日々ギルドを行き交っている。
そんなギルドの建物の一番奥、日が全くあたらず明かりは吊るされた蝋燭の火のみでかなり薄暗く人が寄りつかない席に、笑みを浮かべながらナイフを磨いている1人の女冒険者の姿があった。
彼女の名前はヒトリ、ひとりぼっちで陰キャでEランク冒険者。
ヒトリは目立たず、静かに、ひっそりとした暮らしを望んでいるが、その意思とは裏腹に時折ギルドの受付嬢ツバメが上位ランクの依頼の話を持ってくる。意志の弱いヒトリは毎回押し切られ依頼を承諾する羽目になる……。
ひとりぼっちで陰キャでEランク冒険者の彼女の秘密とは――。
※この作品は「小説家になろう」さん、「カクヨム」さん、「ノベルアップ+」さん、「ノベリズム」さん、「ネオページ」さんとのマルチ投稿です。
俺の旅の連れは美人奴隷~俺だって異世界に来たのならハーレムを作ってみたい~
藤
ファンタジー
「やめてください」「積極的に行こうよ」「ご主人様ってそういう人だったんだ」様々な女の子とイチャイチャしながら異世界を旅して人生を楽しんでいこう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる