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だから
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安藤智慧はつるんとした顔をしていた。まるでゆで卵みたい。
「狭いけど適当に座って」
「お邪魔します」
薄々勘づいていたけど。雉真匠には最近彼女が出来た。この卵女がきっとそうなんだろう。
雉真匠は台所で何やら支度をしている。卵女はずうずうしくも部屋の中をうろつきまわっている。雉真匠が座ってと言ったのを聞いていなかったのか?
その時、安藤智慧とサボテンの目が合った。サボテンに目はないんだけれど。頭の芽はもうずいぶん大きく成長している。
「あ、サボテンあるんだ」
可愛いね、と安藤智慧は続ける。その言葉につい気を許しそうになるが、サボテンは油断しない。
「うん、結構買ってから経つかな?可愛いでしょ」
可愛いと言われてサボテンは少し赤くなる。表面の緑色には現れなかったが。
なぜか安藤智慧はむっとした。
「あ、ここに芽も出てるね。ぷっくりしてる」
安藤智慧はサボテンの芽に触れようとしたが寸前でやめた。女の勘が働いたのだ。サボテンはキラリと光るトゲを閉まった。この卵女、なかなかやるな。
「ほら、お茶淹れたよ」
雉真匠に言われて「ありがとう」と机のほうに戻っていく安藤智慧。
雉真匠は全く気づかないが、女の戦いが静かに繰り広げられていたのだった。
「狭いけど適当に座って」
「お邪魔します」
薄々勘づいていたけど。雉真匠には最近彼女が出来た。この卵女がきっとそうなんだろう。
雉真匠は台所で何やら支度をしている。卵女はずうずうしくも部屋の中をうろつきまわっている。雉真匠が座ってと言ったのを聞いていなかったのか?
その時、安藤智慧とサボテンの目が合った。サボテンに目はないんだけれど。頭の芽はもうずいぶん大きく成長している。
「あ、サボテンあるんだ」
可愛いね、と安藤智慧は続ける。その言葉につい気を許しそうになるが、サボテンは油断しない。
「うん、結構買ってから経つかな?可愛いでしょ」
可愛いと言われてサボテンは少し赤くなる。表面の緑色には現れなかったが。
なぜか安藤智慧はむっとした。
「あ、ここに芽も出てるね。ぷっくりしてる」
安藤智慧はサボテンの芽に触れようとしたが寸前でやめた。女の勘が働いたのだ。サボテンはキラリと光るトゲを閉まった。この卵女、なかなかやるな。
「ほら、お茶淹れたよ」
雉真匠に言われて「ありがとう」と机のほうに戻っていく安藤智慧。
雉真匠は全く気づかないが、女の戦いが静かに繰り広げられていたのだった。
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