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大きさ=男としての魅力度。という問題は、一応、僕の中では着地点を見つけました。
マーシーの言う通り大きさについては各々の役割によって重要度が違ってくるからです。
それに攻めだからといって、やたらと大きいだけなのも芸がないとか。
つまり、大きさもそれなりに大切な要素だけど、それよりもテクニックがないとダメだということ。これは攻めにも受けにも言えることです。
「大きさだけでは、相手を満足させることはできないのですよ。それに私たちのような受け入れる側の者は、相手が自分好みの動きになるよう調教……いえ、導くことでより愛情を感じることができるようになるのです」
いつになく真剣な顔で僕に諭したマーシーは、旦那さんがとっても不器用な人らしくて、マーシー好みになるまでとっても大変だったそうです。
ぼそりと聞こえた「全く……大きいだけの下手くそが。仕上げるまでに子供が四人もできるとは思わなかったよ」というマーシーの呟きは、聞こえなかったことにしました。
もしかして、あの優しくて包容力のあるマザーは隠れドSだったのでしょうか……ちょっと怖くなったので、この件に関しては触れないことにしておきます。
ドSなマーシーが旦那さんを調教……じゃなくて導くところを想像して、ちょっとゾクゾクしたけど、僕は決してそっちの趣味はないですからね!
そして僕は前世の記憶にあった「くっ……なんて締めつけだ。これではもたない」と言われるように頑張ろうと思います。まずは、鍛え方がわからないので、今度図書館に行って調べてみることにします。
「受け……あの人も受け、あっちは攻めかな」
「ニコ様?」
「あ、ユーリは攻めで、メイナードお兄さんは受けだよ」
今日は午前中に図書館に行きました。今はお昼ご飯も兼ねて街のカフェに来ていて、テラス席でロンド兄弟と同じテーブルに着いています。
二人とも、僕と同じテーブルには座れませんと遠慮していたけど、それでは僕が寂しいからと一緒に席に座ってくれるようお願いしました。
「私は受け? ですか。ところで、その受けとか攻めとかいうのはなんなのでしょう?」
「ああ、えっと……僕の目から見た、その人の印象を表す言葉、かな?」
「なるほど」
メイナードお兄さんが「さすがニコル様です」と、よくわからない褒め言葉で納得している隣では、ユーリが口を閉ざして難しい顔をしています。
長年、僕と行動を共にしてきたユーリ。きっと何かを察したのか、余計な口を挟まないことにしたようです。
「それでニコル様はどちらなのですか?」
「僕? 僕は受けだよ。そしてちょっとでも理想の受けに近づけるよう勉強中なんだ」
「それで図書館ですか。ニコル様は勉強熱心ですね」
「残念ながら、今日は参考になりそうな本は見つからなかったけど、人にも色々聞いてみようと思ってるんだ」
「そうですね。時に他の人の意見もとても参考になります。私でよければなんでも聞いてください」
「そう? それじゃあ……」
「ニコ様」
「ユーリ、なに?」
「おそらく兄では参考にならないかと思います。それにニコ様の勉強している内容については、あまり人に聞かない方がいいです」
いつになく真剣な顔のユーリ。
「ユーリ、ニコル様に失礼だよ? それに俺だと参考にならないってどういうこと?」
「兄さんは黙ってて」
おや?兄弟喧嘩勃発かな?
「まず、おそらくニコ様が聞きたいであろうことは兄は未経験です。それと内容については人それぞれですので、いろんな人に聞いても余計に混乱するだけです」
「俺が未経験なこと? じゃあ、そんな風に言えるならユーリには経験があるのか?」
「えっ……まあ……それなりに」
「ーーそうなんだ。なら、仕方がないか。ニコル様、すみません。よくわかりませんが私では参考にならないようです」
すまなそうに頭をさげるメイナードお兄さん。
いえいえ、それはいいのです。そんな気はしていたので。
そ れ よ り も !
ユーリ、それなりにってなに!?
いつの間に!?
ちょっと早い……ん?来年には成人になるから、今世ではそこまで早くないのかな?
ていうか相手誰さ!?
僕がユーリを見つめると、さりげなく目を逸らされました。
これは今度、詳しく聞き出さないといけません。
「あれ? あの人ーー」
僕がどうやってユーリにこの世界のお作法を聞き出そうかと策を練っていると、向かい側に座っているメイナードお兄さんが誰か知っている人を見つけたようです。ユーリも知っている人なのかな?一瞬顔をこわばらせたところを見ると、仲の良い人ではなさそうだね。
ちょっと気になった僕は後ろを振り返り、そして動きを止めた。
そこにいたのは僕の婚約者のアンソニー様。
忙しいって聞いていたのに、なんで街中をうろうろしてるんだろう。
なんでピンク頭の人と並んで歩いているんだろう。
そしてーーなんで、笑ってるの?アンソニー様。
その時、僕の視界から色がなくなった。
ユーリとメイナードお兄さんがなにか言ってるけど、ごめん、僕、よく聞こえないや。
マーシーの言う通り大きさについては各々の役割によって重要度が違ってくるからです。
それに攻めだからといって、やたらと大きいだけなのも芸がないとか。
つまり、大きさもそれなりに大切な要素だけど、それよりもテクニックがないとダメだということ。これは攻めにも受けにも言えることです。
「大きさだけでは、相手を満足させることはできないのですよ。それに私たちのような受け入れる側の者は、相手が自分好みの動きになるよう調教……いえ、導くことでより愛情を感じることができるようになるのです」
いつになく真剣な顔で僕に諭したマーシーは、旦那さんがとっても不器用な人らしくて、マーシー好みになるまでとっても大変だったそうです。
ぼそりと聞こえた「全く……大きいだけの下手くそが。仕上げるまでに子供が四人もできるとは思わなかったよ」というマーシーの呟きは、聞こえなかったことにしました。
もしかして、あの優しくて包容力のあるマザーは隠れドSだったのでしょうか……ちょっと怖くなったので、この件に関しては触れないことにしておきます。
ドSなマーシーが旦那さんを調教……じゃなくて導くところを想像して、ちょっとゾクゾクしたけど、僕は決してそっちの趣味はないですからね!
そして僕は前世の記憶にあった「くっ……なんて締めつけだ。これではもたない」と言われるように頑張ろうと思います。まずは、鍛え方がわからないので、今度図書館に行って調べてみることにします。
「受け……あの人も受け、あっちは攻めかな」
「ニコ様?」
「あ、ユーリは攻めで、メイナードお兄さんは受けだよ」
今日は午前中に図書館に行きました。今はお昼ご飯も兼ねて街のカフェに来ていて、テラス席でロンド兄弟と同じテーブルに着いています。
二人とも、僕と同じテーブルには座れませんと遠慮していたけど、それでは僕が寂しいからと一緒に席に座ってくれるようお願いしました。
「私は受け? ですか。ところで、その受けとか攻めとかいうのはなんなのでしょう?」
「ああ、えっと……僕の目から見た、その人の印象を表す言葉、かな?」
「なるほど」
メイナードお兄さんが「さすがニコル様です」と、よくわからない褒め言葉で納得している隣では、ユーリが口を閉ざして難しい顔をしています。
長年、僕と行動を共にしてきたユーリ。きっと何かを察したのか、余計な口を挟まないことにしたようです。
「それでニコル様はどちらなのですか?」
「僕? 僕は受けだよ。そしてちょっとでも理想の受けに近づけるよう勉強中なんだ」
「それで図書館ですか。ニコル様は勉強熱心ですね」
「残念ながら、今日は参考になりそうな本は見つからなかったけど、人にも色々聞いてみようと思ってるんだ」
「そうですね。時に他の人の意見もとても参考になります。私でよければなんでも聞いてください」
「そう? それじゃあ……」
「ニコ様」
「ユーリ、なに?」
「おそらく兄では参考にならないかと思います。それにニコ様の勉強している内容については、あまり人に聞かない方がいいです」
いつになく真剣な顔のユーリ。
「ユーリ、ニコル様に失礼だよ? それに俺だと参考にならないってどういうこと?」
「兄さんは黙ってて」
おや?兄弟喧嘩勃発かな?
「まず、おそらくニコ様が聞きたいであろうことは兄は未経験です。それと内容については人それぞれですので、いろんな人に聞いても余計に混乱するだけです」
「俺が未経験なこと? じゃあ、そんな風に言えるならユーリには経験があるのか?」
「えっ……まあ……それなりに」
「ーーそうなんだ。なら、仕方がないか。ニコル様、すみません。よくわかりませんが私では参考にならないようです」
すまなそうに頭をさげるメイナードお兄さん。
いえいえ、それはいいのです。そんな気はしていたので。
そ れ よ り も !
ユーリ、それなりにってなに!?
いつの間に!?
ちょっと早い……ん?来年には成人になるから、今世ではそこまで早くないのかな?
ていうか相手誰さ!?
僕がユーリを見つめると、さりげなく目を逸らされました。
これは今度、詳しく聞き出さないといけません。
「あれ? あの人ーー」
僕がどうやってユーリにこの世界のお作法を聞き出そうかと策を練っていると、向かい側に座っているメイナードお兄さんが誰か知っている人を見つけたようです。ユーリも知っている人なのかな?一瞬顔をこわばらせたところを見ると、仲の良い人ではなさそうだね。
ちょっと気になった僕は後ろを振り返り、そして動きを止めた。
そこにいたのは僕の婚約者のアンソニー様。
忙しいって聞いていたのに、なんで街中をうろうろしてるんだろう。
なんでピンク頭の人と並んで歩いているんだろう。
そしてーーなんで、笑ってるの?アンソニー様。
その時、僕の視界から色がなくなった。
ユーリとメイナードお兄さんがなにか言ってるけど、ごめん、僕、よく聞こえないや。
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