ホタルまつりで会おうね

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　ガラガラガラ。

　みのりちゃんが、ガラス戸をあけました。

　なんでも屋さんの中は、あいかわらず、足のふみ場もないくらいに、物がならんでいました。
　足元のダンボールの上には、フライパン。かと思うと、てんじょうから、竹ぼうきがぶらさがっています。

　しょうゆも、おさらも、体育着も、ペンケースも、たなにならんでいるすべてに、うっすらとほこりがかぶっています。

「あの、ホタルまつりにきました！」

　みのりちゃんが、お店の人をよびました。
　すると、おくから、しわしわの手がのぞきました。レジのほうに手まねきしています。

　もねと、みのりちゃんは、顔を見あわせました。

　みのりちゃんが、とりかごをかかえあげて、中に入っていきます。もねも、ゲージをたなにあてないように気をつけて、みのりちゃんにつづきます。


　レジのまわりには、ライターや、おりがみや、ノートがならんでいました。
　小さなおじいちゃんが、その中にうずもれています。しわしわのほおに、かぎ鼻で、おとぎ話にでてくる小人のようです。

「わたし、ここで、このチラシをもらったものです」

　みのりちゃんが、「ホタルまつり」のチラシをさしだしました。

「おぼえているよ。ぎゅうにゅうと、なふだを買った子だね」

　おじいさんは、もごもご口を動かして言いました。そして、みのりちゃんのとりかごと、もねのゲージを見ました。

「うん。ちゃんともってきたね」

　おじいさんは、すわったまま、レジの後ろにある、うら口のドアに、手をのばしました。
　銀色のドアノブをひねって、あけます。

　ひんやりとした風が、店の中に入ってきました。