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同居人
しおりを挟む俺はカインと別れたあともといた町に戻っていた。またしばらくはこの町で何でも屋をやるつもりだ。それにしても不安だ。仕事はなくても貯金があるから大丈夫なのだが
「この2年間、誰かは側にいて人の側で暮らしていたよな。一人の生活に戻れるのか?」
「私がいるだろう。何を言っているんだキサマは」
「わ!ビックリした。きゅうに話しかけるなよ。セルは買い物帰りか?」
「いや、家の前にずっと人がいたから気になって来たんだ。」
考え事をして歩いていたらいつの間にか家に着いていたらしい。
そうだな、セルがいるから一人ではないな。セル、セルリアンは俺の従魔だ。普段は人の姿だが本来は蛇だ。俺が2年間家を留守に出来たのはセルが留守番してくれてからだ。
「ただいま」
「おかえり。仕事は終わったのか?リオ」
「終わったよ。俺の恋も。」
「?恋?お前は何をしていたんだ。仕事だったんじゃないのか?」
「仕事だったよ。家に入ってから話すよ。」
セルに抱きつきながら言うとセルはなにかを察したのか黙ってうなずいてくれた。
俺たちは家に入った。
俺はこの2年間のことをセルに話した。話を聞いたセルは困惑した顔をした。
「好きだったのならなぜ離れる?相手もフィルが好きだったのだろう?」
「最後に告白されたけど俺じゃああいつと釣り合わないんだよ。」
「釣り合わない?なぜ?」
「俺は殺しもやるんだ。この手だって血を何回浴びたことか。」
「?人間は理解できないな。好きなら離れなければいいではないか。」
セルはまったく理解できないと言う。俺が普通だったらカインと別れることもなかったのにな。あーホントにこの身体がいやになる。
「俺はあいつに隠していることが多すぎる。だからどんなにあいつが好きでも別れるしかないんだ。あいつにもきっといいい相手がそのうちできるさ。俺以外の。」
「………………ダメだ。私にはわからない世界だ。」
セルはけっきょく理解できなかったらしい。まー普通は分かんないよな。
「あ、そういえばお前に依頼がたくさん来てるぞ。裏の」
マジかよ。しばらくはやりたくねぇな。うーんもう暗殺業やめよっかな。うん、そうしよう。辞めよう。
「俺暗殺者辞めるわ。」
「は?急だな。でもそろそろ辞めたほうがいいかもな。たぶんあと少しでお前の正体がバレる。」
「あーやっぱり?じゃあちょうどいいタイミングだったな。」
「ああそうだな…………なんでお前は私にくっついてるんだ?」
「え?今さら?」
俺は家に入ってからずっとセルに抱きついていた。セルは蛇だからひんやりしていて気持ちいい。
「いや、気になっていたんだがお前の話のほうが気になってな。」
「まーたしかにな。」
「で、なんでくっついてるんだ?」
「セルの体温低くて触ってると気持ちいんだもん。ダメ?」
「だもんってなんだだもんって。まぁいいぞ。お前は私の主だしな。」
「そういえば俺ってセルの主だったな。なんか感覚的にセルは嫁って感じだった。」
「おい忘れるな。私はお前の嫁ではないぞ。」
家に帰ったらご飯の用意してくれてお風呂の準備もしてくれて俺を癒してくれるってもう嫁じゃん。嫁でいいじゃん。
「だって俺を癒してくれるんだからもう嫁でいいじゃん。仕事と恋に疲れた俺を癒してー」
「ハイハイ、夜な。」
やったー。家に帰るときは一人で大丈夫か不安だったけどセルがいるから大丈夫そう。俺ホントにいい従魔もったな~
ーーーーーーー
「最低。リーダーの心をもてあそんどいて本命がいるとかマジ最低。」
俺は知るよしもなかった。俺とセルの会話を聞いていた奴があんな面倒事を起こすなんて。
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