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【第4章理不尽賢者と魔導皇国グリムズガーデン】
【理不尽賢者と魔剣士Ⅴ】
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ノースマンサは緑豊かな農業都市だった。いたるところであらゆる食料が売られていた。カーヴァインは見慣れた景色のように、ローズマリーは初めての街を興味津々で歩みを進めていた。しかしローズマリーはカーヴァインが目を少し話した隙をついて路地裏に行ってみた。どんなに外面が良くても中身は下衆な街は大体勘で分かるようになっていたからだ。この街にはゲロ臭い匂いがプンプンしていた。
「奴隷まで扱っているのかよ……」大通りを一本抜けただけでこの街の印象は最悪になった。
「やあ、そこのお嬢さん、エルフの美形がいるよ! 今なら安くしとくから見ておくれよ」奴隷商人のババアが言った。
「助けてくれ……腹が減った」ヒュームの爺さんが嘆いている。
「黙りな! 3日前に食わせてやっただろうに! 今は大事な商談中なんだよ!」
「おい! ババア! 殺されたくなかったら今すぐ奴隷たちを解放しな!」
相手のババアはこちらを値踏みするように見つめてきた。足先から髪の毛の先まで。
「あんた、上物だね。あんたが奴隷になるなら全員解放してやっても良いよ」
「魔力で買うってのは駄目なのか?」
「この街では麦でモノのやり取りをするんだよ、ただあんたなら爵位持ちの貴族様に見初められてもおかしくは無いよ」
「分かっ……ムグッ⁈」
「他人の言葉を信用し過ぎだ。おい糞ババア、魔力一ヶ月30人分で奴隷を解放してやれ」
「ちっ、もう少しで呪いをかけてやられたのに……」奴隷商人のババアは恨みがましくカーヴァインを見ると道に痰を吐いてどこかへと消え失せた。
「馬鹿な真似はよせ。解放された奴隷も魔力はギリギリだ。すぐに『不老人』になるぞ」
「それならあたしが魔力を分けてやるよ」
「よい、代わりに俺がやる。おい奴隷共こちらに来い。純度100%の魔法石がある。砕いて持ってそれぞれの故郷へ帰れ。くれぐれも人狩りには捕まらないように用心しろ」
奴隷たちは感謝の言葉も言わずに散っていった。ローズマリーはこの国の人間のおかしさに疑問を抱いた。皆何かに縛られて生きている。籠の中の鳥のように。何かに絡めとられている気がする。それが『原初』の仕業か? あたし自身も地面から生える蔓に絡めとられているような気分の悪さを感じていた。
「なあ、カーヴァインもしも『原初』を封じることができたらこの国の人間たちは解放されるのか?」
「変わると言うと?」
「心から人にありがとうって言えるようになるのかな?」
「さあな、だが……少なくとも今よりはマシな生き方ができるようになるだろう」
「なら早くグリムズエルデンに行こう。少なくともここよりはましな場所に行きたい」
魔力のもととなる食物が売られる一方で、食物が食べれず干からびそうな奴隷たち……こんな場所見たくない。あの奴隷商のババアでさえ哀れに見えた。この国の主は腐った野郎だと思い、必ずぶっ飛ばしてやろうと決めたローズマリーだった。
「この都市にはいたくない」とローズマリーが言う為カーヴァインは古いテントを買ってきた。そして次の街へ向かう為に森の開けた場所でキャンプをすることになった。焚火も消えた頃もう1つのテントからガサッという音がしこちらのテントの幕が開いた。
「お前に見せたいものがある……」そう言って寝ぼけ眼のローズマリーを伴って森の中を進んでいく。突然崖に出て、星々の中に投げ込まれたような気分になった。
「うは―――――綺麗だな!」都市も魔力を消費するのを防ぐため真っ暗になっているおかげもあるが、それ以上に空一面が天の川のように光り輝いている。
「ここはな……俺だけの秘密の場所だったのだが、落ち込む貴様を見て考えを変えた。この広い星空は独り占めにするには勿体ない。貴様は能天気に大きく構えてれば良いのだ。細かいことで気にするな。明るく考えていれば良い未来がやって来るさ、と言ってのけたのは誰だったかな?」
カーヴァインなりの配慮だということか……。有り難い。やはりあたしは仲間がいないと戦えないタイプなんだろう……。
「まだ足りんのか、仕方ないお前にこれを託す。善良で魔法の才に長けた者に託せ。その者がこの指輪をつけた時、時期が来ればお前が注ぎ込んだ絶大な魔力が継承されるだろう……」指輪は虹色の光を放っていた。星々の光を吸収したみたいに光り輝く。
「あんがとな、カーヴァイン」
「馴れ馴れしく名を呼ぶな、貴様がいれば『原初』を封滅することができる可能性が見えたからパーティ―を組んだだけだ」
「そ……か、お前やっぱりツンデレだな。良いヤツと旅ができてうれしいよ」
「またわけのわからんことを言うな、このたわけ者が……」
その時一筋の流れ星が見えた。ローズマリーは願った。この国の連中が普通に生きられますように、と。
「奴隷まで扱っているのかよ……」大通りを一本抜けただけでこの街の印象は最悪になった。
「やあ、そこのお嬢さん、エルフの美形がいるよ! 今なら安くしとくから見ておくれよ」奴隷商人のババアが言った。
「助けてくれ……腹が減った」ヒュームの爺さんが嘆いている。
「黙りな! 3日前に食わせてやっただろうに! 今は大事な商談中なんだよ!」
「おい! ババア! 殺されたくなかったら今すぐ奴隷たちを解放しな!」
相手のババアはこちらを値踏みするように見つめてきた。足先から髪の毛の先まで。
「あんた、上物だね。あんたが奴隷になるなら全員解放してやっても良いよ」
「魔力で買うってのは駄目なのか?」
「この街では麦でモノのやり取りをするんだよ、ただあんたなら爵位持ちの貴族様に見初められてもおかしくは無いよ」
「分かっ……ムグッ⁈」
「他人の言葉を信用し過ぎだ。おい糞ババア、魔力一ヶ月30人分で奴隷を解放してやれ」
「ちっ、もう少しで呪いをかけてやられたのに……」奴隷商人のババアは恨みがましくカーヴァインを見ると道に痰を吐いてどこかへと消え失せた。
「馬鹿な真似はよせ。解放された奴隷も魔力はギリギリだ。すぐに『不老人』になるぞ」
「それならあたしが魔力を分けてやるよ」
「よい、代わりに俺がやる。おい奴隷共こちらに来い。純度100%の魔法石がある。砕いて持ってそれぞれの故郷へ帰れ。くれぐれも人狩りには捕まらないように用心しろ」
奴隷たちは感謝の言葉も言わずに散っていった。ローズマリーはこの国の人間のおかしさに疑問を抱いた。皆何かに縛られて生きている。籠の中の鳥のように。何かに絡めとられている気がする。それが『原初』の仕業か? あたし自身も地面から生える蔓に絡めとられているような気分の悪さを感じていた。
「なあ、カーヴァインもしも『原初』を封じることができたらこの国の人間たちは解放されるのか?」
「変わると言うと?」
「心から人にありがとうって言えるようになるのかな?」
「さあな、だが……少なくとも今よりはマシな生き方ができるようになるだろう」
「なら早くグリムズエルデンに行こう。少なくともここよりはましな場所に行きたい」
魔力のもととなる食物が売られる一方で、食物が食べれず干からびそうな奴隷たち……こんな場所見たくない。あの奴隷商のババアでさえ哀れに見えた。この国の主は腐った野郎だと思い、必ずぶっ飛ばしてやろうと決めたローズマリーだった。
「この都市にはいたくない」とローズマリーが言う為カーヴァインは古いテントを買ってきた。そして次の街へ向かう為に森の開けた場所でキャンプをすることになった。焚火も消えた頃もう1つのテントからガサッという音がしこちらのテントの幕が開いた。
「お前に見せたいものがある……」そう言って寝ぼけ眼のローズマリーを伴って森の中を進んでいく。突然崖に出て、星々の中に投げ込まれたような気分になった。
「うは―――――綺麗だな!」都市も魔力を消費するのを防ぐため真っ暗になっているおかげもあるが、それ以上に空一面が天の川のように光り輝いている。
「ここはな……俺だけの秘密の場所だったのだが、落ち込む貴様を見て考えを変えた。この広い星空は独り占めにするには勿体ない。貴様は能天気に大きく構えてれば良いのだ。細かいことで気にするな。明るく考えていれば良い未来がやって来るさ、と言ってのけたのは誰だったかな?」
カーヴァインなりの配慮だということか……。有り難い。やはりあたしは仲間がいないと戦えないタイプなんだろう……。
「まだ足りんのか、仕方ないお前にこれを託す。善良で魔法の才に長けた者に託せ。その者がこの指輪をつけた時、時期が来ればお前が注ぎ込んだ絶大な魔力が継承されるだろう……」指輪は虹色の光を放っていた。星々の光を吸収したみたいに光り輝く。
「あんがとな、カーヴァイン」
「馴れ馴れしく名を呼ぶな、貴様がいれば『原初』を封滅することができる可能性が見えたからパーティ―を組んだだけだ」
「そ……か、お前やっぱりツンデレだな。良いヤツと旅ができてうれしいよ」
「またわけのわからんことを言うな、このたわけ者が……」
その時一筋の流れ星が見えた。ローズマリーは願った。この国の連中が普通に生きられますように、と。
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