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【第4章理不尽賢者と魔導皇国グリムズガーデン】
【理不尽賢者とカイザードラゴンⅡ】
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ローズマリーは久々に埃まみれの『大賢者の杖』を持って山を登っていた。登山用のステッキ代わりになると思ったからだ。しかし期待していたのが馬鹿だった。杖はデカすぎて却って邪魔なものになっていたからだ。途中で捨てちまおうかなという考えに至ったが、それはそれで勿体ないと思い仕方なく背中のバックに挟み込む形で『天の頂』を目指した。
しかし、ダチ公の1人も連れてくることを許さないとは器量の狭い奴なんだなと思っていた。予想通りの大きさなようだ。途中で祭壇のようなものが見えた。恐らくはリガイアの連中が捧げものを置いて儀式でもやっていたのだろう。普通の人間からしたら神としか言えない存在だろう。空気も今まであったどんな奴よりも強そうな雰囲気を持っている。今日は楽しい日になりそうだとローズマリーは握った拳を鳴らした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一方その頃、待機を命ぜられた他の3人はローズマリーの心配を募らせていた。
「ローズマリーは喧嘩っ早いから、大丈夫なのか心配だわ」
「確かに……な、でもアイツが堂々と喧嘩吹っ掛けてきた奴に苦戦したことあったか?」
「それは……そうだわね。それにまさかカイザードラゴンを相手にするような馬鹿な真似はしないだろうしね」
「ふっ、2人とも認識が甘いな。あの戦闘狂が強者相手にタイマンを張ろうとしないなどと考えられるか? 俺としてはそんなことはないと断言するがな……」
「でも相手は神だってセレーナが口を酸っぱくしていたじゃないか、ルーンよ……」
「ふっ、まあ何があっても死にはしまい」
「そう私も信じたいわ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
やっと『天の頂』の山頂までやって来れた。そこにいたのは白銀の鱗を付けた光輝くド級の大きさを誇る龍だった。髭も金色のものが立派についている。眼はアメジストのように透きとおっておりその眼で多くのものを見てきたことが分かる。神様って言うだけはあるなとローズマリーは思った。
「よお! あんたが神様カイザードラゴンか? こんちは! あたしの名前はローズマリー」ローズマリーはかしこまらず友人にでも挨拶する様な感じで声をかけた。すぐに反応がくるかと思ったが龍は何も言わなかった。代わりに猫のような瞳孔を広げたり狭めたりしてローズマリーのことを観察していた。まるで品定めをするようにじっくりとだ。
そしてフウ―――ッと息を吐くと初めて声を出した。
「……お主が古の予言者アダンの言っていた大賢者か……アダンも笑わせてくれるわ」
「あたしがそんなに面白おかしいかい?」アダン? 誰だそりゃ?
「珍妙な服を着た若いヒュームよ……分をわきまえよ……。吾輩が話してやっているだけでも感謝しても良いくらいなことなのだから……」
「……珍妙だと……?」それまで穏やかだった空気が一変し電流が流れ始めた。カイザードラゴンは気にせず言った。
「……吾輩に手を出してみろ、地獄の魔人イフリートすら消し飛ばす灼熱のブレスを放ちお主を真っ黒に焦がし、塵の一片も残さず殺してやろう……」
ローズマリーはこれでも我慢していた方だった。その証拠に手を出していない。いつもなら頭より体が先に動くローズマリーが、だ。
「……あたしは今頭にきている。今にもプッツン寸前だ……だからその言葉を取消してもらいたい……これはあたしからの最後通告だ」
「ふ……む、中々に強者だとは分かった。だがな吾輩は真実を言ったまで……そして貴様は真の名を隠しているな。吾輩と対等に話したいのならば偽りの名は名乗らないことだ……」
「訂正はしないんだな……じゃああたしの本気の魔力を見せてやるよ。これでもビビらずにいられるかな?」
ローズマリーのポニテールを縛っていた紐が外れ強風で空に消えていった。
しかし、ダチ公の1人も連れてくることを許さないとは器量の狭い奴なんだなと思っていた。予想通りの大きさなようだ。途中で祭壇のようなものが見えた。恐らくはリガイアの連中が捧げものを置いて儀式でもやっていたのだろう。普通の人間からしたら神としか言えない存在だろう。空気も今まであったどんな奴よりも強そうな雰囲気を持っている。今日は楽しい日になりそうだとローズマリーは握った拳を鳴らした。
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一方その頃、待機を命ぜられた他の3人はローズマリーの心配を募らせていた。
「ローズマリーは喧嘩っ早いから、大丈夫なのか心配だわ」
「確かに……な、でもアイツが堂々と喧嘩吹っ掛けてきた奴に苦戦したことあったか?」
「それは……そうだわね。それにまさかカイザードラゴンを相手にするような馬鹿な真似はしないだろうしね」
「ふっ、2人とも認識が甘いな。あの戦闘狂が強者相手にタイマンを張ろうとしないなどと考えられるか? 俺としてはそんなことはないと断言するがな……」
「でも相手は神だってセレーナが口を酸っぱくしていたじゃないか、ルーンよ……」
「ふっ、まあ何があっても死にはしまい」
「そう私も信じたいわ」
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やっと『天の頂』の山頂までやって来れた。そこにいたのは白銀の鱗を付けた光輝くド級の大きさを誇る龍だった。髭も金色のものが立派についている。眼はアメジストのように透きとおっておりその眼で多くのものを見てきたことが分かる。神様って言うだけはあるなとローズマリーは思った。
「よお! あんたが神様カイザードラゴンか? こんちは! あたしの名前はローズマリー」ローズマリーはかしこまらず友人にでも挨拶する様な感じで声をかけた。すぐに反応がくるかと思ったが龍は何も言わなかった。代わりに猫のような瞳孔を広げたり狭めたりしてローズマリーのことを観察していた。まるで品定めをするようにじっくりとだ。
そしてフウ―――ッと息を吐くと初めて声を出した。
「……お主が古の予言者アダンの言っていた大賢者か……アダンも笑わせてくれるわ」
「あたしがそんなに面白おかしいかい?」アダン? 誰だそりゃ?
「珍妙な服を着た若いヒュームよ……分をわきまえよ……。吾輩が話してやっているだけでも感謝しても良いくらいなことなのだから……」
「……珍妙だと……?」それまで穏やかだった空気が一変し電流が流れ始めた。カイザードラゴンは気にせず言った。
「……吾輩に手を出してみろ、地獄の魔人イフリートすら消し飛ばす灼熱のブレスを放ちお主を真っ黒に焦がし、塵の一片も残さず殺してやろう……」
ローズマリーはこれでも我慢していた方だった。その証拠に手を出していない。いつもなら頭より体が先に動くローズマリーが、だ。
「……あたしは今頭にきている。今にもプッツン寸前だ……だからその言葉を取消してもらいたい……これはあたしからの最後通告だ」
「ふ……む、中々に強者だとは分かった。だがな吾輩は真実を言ったまで……そして貴様は真の名を隠しているな。吾輩と対等に話したいのならば偽りの名は名乗らないことだ……」
「訂正はしないんだな……じゃああたしの本気の魔力を見せてやるよ。これでもビビらずにいられるかな?」
ローズマリーのポニテールを縛っていた紐が外れ強風で空に消えていった。
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