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しーたん

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第十七話 -感傷-

03

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「当たり前だ…ッ! 処刑に使われたゼウスの雷霆を作っていた一族を皆殺しだぞ…ッ?! 八つ当たりにもほどがあるッ」
「あ…あー…」
 それは…一応息子のお前が可愛かったからではないかと、言いかけて絶対に言わない方がいいと思いケイは必死にその言葉を飲み込んだ。

「馬鹿じゃない? そうやってアポロンに真っ向から逆らってるのなんて星の数ほどいる奴の子供の中でもレピオスくらいだよ?」
 そりゃあ…あんな目に合うと知っていればどんなに最低な父親でも逆らう気を起こす子供などいないだろうと、言いかけて絶対に言わない方がいいと思いケイは必死にその言葉を飲み込んだ。

「奴の子供になった覚えはない」
「レピオスに覚えはなくても生まれた時から俺たちは奴の子供なの。いい加減諦めたら? アポロンはああ見えて自分の子供には優しいからね。逆らいさえしなければ後ろ盾になってくれるから、何かとみんなうまくやってるのに…」
 ならピラムもその一人になりたいのかと、言いかけて絶対に言わない方がいいと思いケイは必死にその言葉を飲み込んだ。

「冗談じゃない。昔からそれで俺がどれだけ苦労したと思ってる?」
「昔?」
 ようやく口をはさんだケイに、少しトーンを落ち着かせてからアスクレピオスは言った。
「子供のころ…俺はあまり周囲とうまくいかないことが多くてな。嫌がらせされることも多かったんだが…」

「ある日を境にぱったりとそれがなくなった。どころか、皆が俺を見て怯えて逃げるように去っていくようになった」
「…………ごめん。なんか、話の落ちが想像ついた」
 がっくりと肩を落として言ったケイに、ピラムが呆れたようにため息をつく。

「まぁ、俺もそれに関しては似たようなことがあったかな。そりゃ俺やレピオスの陰口一つでアポロンに殺されかねないと思えば周囲は関わりたくないって思うよね」
 つくづく迷惑な父親である。
 ため息をついてアスクレピオスがケイに言った。

「とにかく…。あいつの『愛情』とやらは狂っている。ケイももう二度とアポロンとは関わるな」
「………………」
 前に一緒にカラオケ行きました。とは言えない。
「…というか、ケイはホントに大丈夫なの?」

「どういう意味だ?」
 反応したアスクレピオスにピラムが説明する。
 一通り話を聞いてから、アスクレピオスが全身の空気が抜けるようなため息をつく。
「…すまん…。リュコスのことで頭がいっぱいで気が付かなかった。ケイの性格を考えればそういう行動に出るのは予測できたはずなのに…」

「ごめん…。なんか、色々面倒見てくれたのに結局こんなことになっちゃって…。まぁ…多分だけどアイムもこうなるのを最初から狙ってたんだと思う。だから俺の前にタイミングよく現れたんだ」


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