9 / 61
第一章 日常ラブコメ編
第7話 ファッションショー
しおりを挟む
今夜の晩飯は、豚カツだった。母ちゃんが近所のスーパーで買ってきた、お財布に優しい外国産の何とか豚。……はぁ、豚が胃袋の中に流れて行く。その表面にソースを付けられて、喉の奥に「うーん」と入って行くのだ。俺達家族は、その豚を問答無用に平らげた。
「ごちそうさま」と、俺の父親(以下、親父)。俺もそれに続いて、「ごちそうさま」と言い、キッチンの台所に食器類を持って行って、自分の食器を丁寧に洗った。「よし、終わり」
所定の場所に食器類を片づける。ご飯茶碗とかは後ろの食器棚に、箸は専用の場所に入れた。俺はテーブルの席に戻り(所謂、食休みだ)、風呂の順番が来るまで、テレビの映像をぼうっと眺めつづけた。
風呂の順番が来たのは、テレビのバラエティ番組が「キューブマニア」の事を伝えはじめた(そう言う番組の企画だ)時だった。
俺は家の風呂に行き、今日の疲れを落として、自分の部屋に戻った。だが……たぶん、ノックをしなかったのが悪かったのだろう。「自分の部屋だ」と思って。今は(表現はおかしいが)、同年代の美少女と同棲状態(仮)にあるのだ。
視界の中に飛びこんでくる、彼女の下着姿。
俺は急いで部屋のドアを閉め、着替え中の彼女に「ご、ごめん!」と謝った。
「見るつもりは、なかったんだ」
彼女は、俺の謝罪に応えなかった。無情にも響く、無音の声。その声に混じって、彼女の動作……つまりは、何かの服に着替える音が聞こえてきた。
俺はその音に興奮する一方、罪悪感に悶え、その場にゆっくりと座り込んだ。俺がまた、床の上から立ち上がったのは、彼女が俺に向かって「入って」と言った時だった。
俺は、部屋の扉を恐る恐る開けた。扉の向こうには、着替えを終えた彼女が立っていた。今日買ってきた服に身を包んで。その値札も、綺麗に切り取られていた。
俺は、彼女の前に歩み寄った。彼女の姿に見惚れるように。彼女の姿はそう、美人画の中に美人が乗り移った程に美しかった。現実の人間では、決して表現できない。彼女は正に、生きた芸術品だった。
その姿に思わず息を飲む。
俺は、自分の気持ちを何とか落ち着かせた。
「そ、それって」
「今日、買って貰った服」
どう? の目にドキッとした。
「に、似合っているな。それ」
「そう」
彼女は満足げに笑い、今の服をゆっくりと脱ぎはじめた。
俺はまた、彼女の身体から視線を逸らそうとした。
でも、「逸らさなくて良い」
彼女の声が、それを許さなかった。
「好きな人に見られるのは、構わない」
「なっ!」と、焦ったのは俺だった。いくら好きな人だからって。異性に裸を見られるのは、流石に抵抗がある筈だ。それなのに! 彼女には羞恥心と言うか、異性に対する恥じらいがなかった。
彼女の身体に視線を戻す。
俺は(なるべく見ないように)、彼女の身体をチラッと見た。
彼女の身体は……言葉にできない程、綺麗だった。「綺麗」なんて言葉では、言い表せないくらい。彼女の身体には(下着姿だが)、男が憧れる「エロ」と、女が憧れる「美」が潜んでいた。
俺は、その二つに息を飲んだ。
彼女はその反応を笑い、また新しい服を着はじめた。
「これは、どう?」
「って」
それはもう、可愛いしかないです。ミニスカートの彼女も魅力的だが、ロングスカートの彼女も大人っぽくってヤバかった。
俺は胸の興奮を抑えつつ、あくまで冷静に「良いんじゃねぇの?」と答えた。
彼女は、その答えにニッコリした。
「そう。なら、良かった」と言って、また今の服を脱ぎはじめる彼女。彼女は今の服を脱ぎ捨て、また次の服に手を伸ばした。
俺はその光景に驚いたが、彼女の意図にふと気づくと、やっぱり冷静な顔で、彼女に「なぁ?」と話し掛けた。
「今日は、キューブに戻らなかった理由って」
「そう」
彼女は、優しげに微笑んだ。
「あなたに『これ』を見せたくて」
「今日買った服を見せる、ファッションショーを?」
俺は、彼女のサービス精神に感心した。
「お前って凄いんだな」
「え?」も言わずに、キョトンとする彼女。彼女は上着の袖に腕を通してからすぐ、俺の顔をまじまじと見た。
「何が?」
「そこまでやる根性が。普通は(たぶんだけど)、そんな事やらないぞ?」
彼女は「分からない」と言う顔で、俺の目をじっと見つめた。
「私は、そうは思わない」
「ふぇ?」の言葉が無視されたが、別に気にならなかった。
「好きな人の為なら、喜んで裸にもなれる」
言葉を失った。「恋愛」の持つ魔力に。恋愛は人を臆病にする(らしい)が、同時に大胆にもするようだ。
彼女の大胆さにただただ驚く。
俺は彼女の大胆さに感動しながらも、真面目な顔でそのファッションショーを楽しみつづけた。
「ごちそうさま」と、俺の父親(以下、親父)。俺もそれに続いて、「ごちそうさま」と言い、キッチンの台所に食器類を持って行って、自分の食器を丁寧に洗った。「よし、終わり」
所定の場所に食器類を片づける。ご飯茶碗とかは後ろの食器棚に、箸は専用の場所に入れた。俺はテーブルの席に戻り(所謂、食休みだ)、風呂の順番が来るまで、テレビの映像をぼうっと眺めつづけた。
風呂の順番が来たのは、テレビのバラエティ番組が「キューブマニア」の事を伝えはじめた(そう言う番組の企画だ)時だった。
俺は家の風呂に行き、今日の疲れを落として、自分の部屋に戻った。だが……たぶん、ノックをしなかったのが悪かったのだろう。「自分の部屋だ」と思って。今は(表現はおかしいが)、同年代の美少女と同棲状態(仮)にあるのだ。
視界の中に飛びこんでくる、彼女の下着姿。
俺は急いで部屋のドアを閉め、着替え中の彼女に「ご、ごめん!」と謝った。
「見るつもりは、なかったんだ」
彼女は、俺の謝罪に応えなかった。無情にも響く、無音の声。その声に混じって、彼女の動作……つまりは、何かの服に着替える音が聞こえてきた。
俺はその音に興奮する一方、罪悪感に悶え、その場にゆっくりと座り込んだ。俺がまた、床の上から立ち上がったのは、彼女が俺に向かって「入って」と言った時だった。
俺は、部屋の扉を恐る恐る開けた。扉の向こうには、着替えを終えた彼女が立っていた。今日買ってきた服に身を包んで。その値札も、綺麗に切り取られていた。
俺は、彼女の前に歩み寄った。彼女の姿に見惚れるように。彼女の姿はそう、美人画の中に美人が乗り移った程に美しかった。現実の人間では、決して表現できない。彼女は正に、生きた芸術品だった。
その姿に思わず息を飲む。
俺は、自分の気持ちを何とか落ち着かせた。
「そ、それって」
「今日、買って貰った服」
どう? の目にドキッとした。
「に、似合っているな。それ」
「そう」
彼女は満足げに笑い、今の服をゆっくりと脱ぎはじめた。
俺はまた、彼女の身体から視線を逸らそうとした。
でも、「逸らさなくて良い」
彼女の声が、それを許さなかった。
「好きな人に見られるのは、構わない」
「なっ!」と、焦ったのは俺だった。いくら好きな人だからって。異性に裸を見られるのは、流石に抵抗がある筈だ。それなのに! 彼女には羞恥心と言うか、異性に対する恥じらいがなかった。
彼女の身体に視線を戻す。
俺は(なるべく見ないように)、彼女の身体をチラッと見た。
彼女の身体は……言葉にできない程、綺麗だった。「綺麗」なんて言葉では、言い表せないくらい。彼女の身体には(下着姿だが)、男が憧れる「エロ」と、女が憧れる「美」が潜んでいた。
俺は、その二つに息を飲んだ。
彼女はその反応を笑い、また新しい服を着はじめた。
「これは、どう?」
「って」
それはもう、可愛いしかないです。ミニスカートの彼女も魅力的だが、ロングスカートの彼女も大人っぽくってヤバかった。
俺は胸の興奮を抑えつつ、あくまで冷静に「良いんじゃねぇの?」と答えた。
彼女は、その答えにニッコリした。
「そう。なら、良かった」と言って、また今の服を脱ぎはじめる彼女。彼女は今の服を脱ぎ捨て、また次の服に手を伸ばした。
俺はその光景に驚いたが、彼女の意図にふと気づくと、やっぱり冷静な顔で、彼女に「なぁ?」と話し掛けた。
「今日は、キューブに戻らなかった理由って」
「そう」
彼女は、優しげに微笑んだ。
「あなたに『これ』を見せたくて」
「今日買った服を見せる、ファッションショーを?」
俺は、彼女のサービス精神に感心した。
「お前って凄いんだな」
「え?」も言わずに、キョトンとする彼女。彼女は上着の袖に腕を通してからすぐ、俺の顔をまじまじと見た。
「何が?」
「そこまでやる根性が。普通は(たぶんだけど)、そんな事やらないぞ?」
彼女は「分からない」と言う顔で、俺の目をじっと見つめた。
「私は、そうは思わない」
「ふぇ?」の言葉が無視されたが、別に気にならなかった。
「好きな人の為なら、喜んで裸にもなれる」
言葉を失った。「恋愛」の持つ魔力に。恋愛は人を臆病にする(らしい)が、同時に大胆にもするようだ。
彼女の大胆さにただただ驚く。
俺は彼女の大胆さに感動しながらも、真面目な顔でそのファッションショーを楽しみつづけた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる